株式会社ジーピーは2026年8月3日、新宿文化クイントビルの株式会社SHIFT新宿第1オフィス9Fカフェルーム(東京都渋谷区)にて、カタン日本選手権2026決勝大会を開催した。
国内最大のボードゲームの大会であるカタン日本選手権は、今回で第12回目。優勝者は、2027年アメリカにて開催予定のカタン世界選手権に日本代表選手として派遣される。
地方予選は4月から開始。今年は東北大会が加わり、全8会場で決勝大会参加者を決定した(中部・北陸・東北・関西・九州・北海道・中国四国・関東=開催順)。特に関東大会は687名が参加、単一のゲームの大会としては国内最大の規模となっている。全会場の総参加者数は、なんと1532名。また、地方大会の成績上位者に加えて、認定された6つの大会(カタン名人戦、北陸カタン王、九州カタン王、なにわのカタン王、レディースカタン大会、カタン学生大会)の優勝者も参加資格を得ており、総勢48名が決勝大会へと歩を進めた。
今年も同大会のレポートと運営サイドの声をお届けしよう。
※この記事内では、大会参加者のお名前を実名ではなくプレイヤーネームで表記しています。
会場に続々と選手が集結!
今年は株式会社SHIFTカタン部の協賛を得て、新宿文化クイントビル内の同社オフィスのカフェルームを会場として使用した。開場は午前9時。会場内に続々と選手が入ってくる。長く開催されてきている大会ということで、お互い見知った選手も多く、あちこちで旧交を温める姿が見られた。


9時30分に開会式が始まった。GPGAMESJP(ジーピーYoutube公式チャンネル)にて決勝卓の実況を務める秋との子氏の呼び込みに応じて、選手ひとりひとりが入場。1回戦が行われるテーブルに順に着席していった(写真は昨年大会優勝者ナガモリ氏の入場)。今年も参加全選手がワインレッドのカタン日本選手権限定Tシャツを着用した。

GPGAMESJP(ジーピーYoutube公式チャンネル)
https://www.youtube.com/@GPGAMESJP
ジーピー代表の米川秀治氏があいさつ。今年もカタン日本選手権の大会モットーでもあるデザイナーのクラウス・トイバーの言葉「“また明日あなたと遊びたい”と言われるようなプレイで遊びましょう」が読み上げられた。


試合開始! 激闘の幕は切って落とされた
今年の決勝大会参加者は、昨年より4名増えた全48名。12卓で3試合を行ない、成績上位者16名が準決勝4卓に進出、それぞれの卓の勝者が決勝卓で対戦する。4試合+決勝卓の全5試合を1日で行う過酷な日程となっている。
10時20分、第1試合開始。第2試合は11時50分、昼食の休憩を挟んで13時40分から第3試合が行われた。対戦の組み合わせは第1試合と第2試合はランダム、第3試合はそれまで対戦していない組み合わせでランダムに選出された。


3回戦終了後、準決勝に進出した成績上位16名の発表。名が読み上げられるたびにどよめきと拍手に包まれる。過去3年の優勝者(25年ナガモリ氏、24年Cast氏、23年うっちー氏)は全員が準決勝に残っていた。

15時40分、準決勝開始。ここからそれぞれの卓にバンカー(進行役)が1名付く。16時30分を回るころにはそれぞれの卓で決着がつきはじめ、そのたびに勝者を称えるライバルたちからの拍手と歓声が沸き起こった。

いよいよ決勝! 猛者4名による頂上対決はかつてない大熱戦に!
ついに決勝進出者が決定。写真左より、ナガモリ氏(赤・九州地区4位)、SAM氏(青・関東地区Cブロック3位)、決勝卓バンカーのナカシマ氏、黄・Kmy/こみや氏(カタン名人戦優勝)、白・Yoshio Kato/加藤佳夫氏(九州地区優勝)の4名。

ナガモリ氏はなんと5年連続で決勝卓に進出。昨年優勝の現日本チャンピオンであり、連覇を狙う。オンライン戦で腕を磨いてきたSAM氏は決勝大会出場3回目にして悲願の決勝卓進出を実現。こみや氏はカタン名人戦で優勝し決勝大会出場の枠を勝ち取った歴14年の強豪で、1・2回戦未勝利から驚異の巻き返しを見せた。加藤佳夫氏は選手権出場11回、決勝大会出場9回を誇るベテランだ(なお、バンカーを担当するナカシマ氏は昨年の決勝卓でナガモリ氏と対戦している)。今年の決勝卓は腕に覚えある猛者が揃ったメンバーとなった。
※決勝卓の盤面の写真は、GPGAMESJP(ジーピーYoutube公式チャンネル)の生配信動画より許可を得て引用しています。
※決勝戦レポート部分の選手名については、生配信動画に拠って記載しています。
決勝卓の様子は、今年もジーピーYoutube公式チャンネルで生中継された。その模様は会場内に設置された大画面スクリーンでも視聴が可能となっており、戦いを終えた選手たちが集まって観戦。また、決勝戦以外にも卓が立っており、まだまだ対戦を楽しんでいる選手もいた。

●2026カタン日本選手権 決勝大会 Catan Japan Championship のライブ配信アーカイブ
https://www.youtube.com/watch?v=f3FhpfYp7b8
いよいよゲーム開始。初期配置では、ナガモリ氏(赤)があえて6・8を外して鉄産出と鉄港の確保を重視。SAM氏(青)は木とレンガを抑えつつも麦産出がない大胆な配置に。こみや氏(黄)と加藤氏(白)はほどよいバランスと産出量の地形を確保した。

序盤は全体的に木の生産が抑えられた形で進行。ナガモリ氏(赤)は発展カード「発見」を使って不足している木を獲得し、鉄港を確保。さらに鉄2つが絡む開拓地を都市化した。加藤氏(白)も開拓地を増やして鉄産出を高め、さらに麦港を抑える。SAM氏(青)は開拓では少し遅れをとったものの、道王への道筋を見出した。こみや氏(黄)は羊港を早々に抑えつつ、羊2つ産出の開拓地を都市化。序盤から各プレイヤーが激しく動き、ナガモリ氏(赤)、こみや氏(黄)が生産量が高い資源と港のセットを抑えてリードする展開に。
ナガモリ氏(赤)はダイス運に恵まれて資源入手が続き、次々と発展カードを獲得。現チャンピオンの先行に、他プレイヤーの警戒心が高まる。こみや氏(黄)は8麦に居座った盗賊に悩まされつつも発展カードを得て追撃、加藤氏(白)は都市化で麦産出を増加。各プレイヤーが順調にポイントを伸ばしていく。

ここでSAM氏(青)が道王を獲得。対抗馬がいないため最後までの確保が確定したうえ、盤面4点と合わせて6点に。こみや氏(黄)は手札が麦のみの状況でうまく加藤氏との交渉をまとめ、発展カードの獲得に繋げた。マークされているナガモリ氏(赤)は派手な動きを控えつつも、3枚目の「騎士」を公開して騎士王を獲得する。

中盤から終盤へ。加藤氏(白)は高いトークスキルを発揮して交渉を進め資源を確保、開拓地と都市を増やして着実に点を伸ばし7点に到達。ナガモリ氏(赤)、豊富な発展カードからさらに「騎士」を開いて盗賊を追い払う。しかし開拓は遅れて盤面4点に留まっており、残った2枚の発展カードの内容次第というところ。ここから各プレイヤーが互いに警戒し合い、じりじりと点を伸ばしつつも膠着状態に入る。
停滞した状況を打破したのは、こみや氏(黄)の「独占」だった。自ら振ったダイスで鉄が産出して各プレイヤーの手札の枚数が増えたタイミングで公開し、他プレイヤーの鉄をごっそりゲット! すでに7点を確保していたこみや氏(黄)だが、鉄港も3:1港も持っていなかったため効率的な交換ができず、ここで勝ち切ることはできなかった。他プレイヤーの警戒もあって交渉も進まない。バースト警戒で手札を整理したのち1カ所の都市化に留まり、再び膠着状態に。

最終盤となり、各プレイヤーが勝利への望みをかけて必死のプレイが続く。オープンされた発展カードの内容から察するに、ポイントを得るカードがまだ山に残っているため、この時点では発展カードの獲得が勝利へのカギとなりそうだと考えられた。
加藤氏(白)はバーストを食らいながらも8点に到達、さらに発展カード1枚追加。SAM氏(青)も7点まで伸ばしてくる。こみや氏(黄)は「街道建設」で道を延ばし開拓地を設置して9点、しかしまたしても勝ち切れず。ここで一縷の望みをかけてナガモリ氏(赤)が反撃の「独占」をうち、発展カードを引くがやはり届かず。決着が近い予感はあるが、なかなか決まらない。
シビアな得点のカウントと丁々発止のやり取りが続くなか、こみや氏(黄)、加藤氏(白)、ナガモリ氏(赤)が発展カードを引くが届かない。ナガモリ氏(赤)は都市化をして7点(+伏せた発展1枚)まで伸ばしてくる。SAM氏(青)は開拓地を置いて9点。いつ勝負がつくのか……? じりじりとした緊張感に包まれる会場。だが、ここにきてダイス運に恵まれていたこみや氏(黄)が必要量の資源を確保して開拓地を設置。ついに10点を突破した!

控えめにガッツポーズをするこみや氏(黄)。終わってみれば発展カードをすべて引ききるという巧者同士らしい大熱戦に。苦しみながらも、激戦に終止符をうったこみや氏が自身初のカタン日本選手権優勝、2026年のチャンピオンとなった。

決着時の盤面。誰が勝利してもおかしくない、互いが鎬を削り合う僅差の戦いとなった。

激戦は終わり、表彰式へ。決勝卓を戦った4名に、ジーピー代表米川氏より記念品と賞状の贈呈が行われた。


こみや氏は、カタン世界選手権の出場権も獲得。昨年優勝のナガモリ氏とともに、2027年アメリカで予定されている大会に出場する。日本人プレイヤーは2014年にCast氏が世界選手権準優勝の結果を残しており、ナガモリ氏、こみや氏両名の健闘が期待されるところだ。
【優勝者こみや氏・大会後の言葉】
──優勝した今のお気持ちをお聞かせください。今年は名人戦優勝で出場枠を確保しての出場となりました。「今回こそは!」との思いも強かったのではないでしょうか。
こみや氏:そうですね。決勝大会は去年も出たのですが、そこで準決勝に進めずふがいない試合をしてしまったので、今年こそはなんとか、という感じでした。
──これで世界大会出場が決定しました。どのように戦っていきたいと思っていらっしゃいますか?
こみや氏:(同じ『カタン』をプレイするのでも)国内と海外ではいろいろ違うと聞いています。どこまで通用するかは分からないですが、自分のできることはすべてやって挑もうと考えています。
──世界大会での健闘を祈ります。
こみや氏:ありがとうございます。頑張ります。
ジーピー代表・米川秀治氏を直撃! 拡大するカタン日本選手権の今後は?
毎回の大会取材でお話をうかがっているジーピー代表の米川秀治氏に、今年もいろいろとお聞きした。ますます拡大していくカタン日本選手権の今後の展望とは……?

──『カタン』日本選手権は、毎年規模を拡大しています。今年は関東大会で687名、全国合計で1532名まで参加人数が増加しました。
米川氏:想定では1400名程度で考えていたのですが、最終的には超えてきました。ただ、毎年言っていることですが、私たちとしてはただ大会の参加人数を増やしていけばいいと考えているわけではありません。最終的な目標としては、数字どうこうというより、とにかく『カタン』のプレイヤーを増やしていきたいということがあります。
──今回も東北大会が追加されて全国8会場となりました。ほぼ全国をカバーしているかたちとなったわけですが、地区や会場について今後増えることはないでしょうか。
米川氏:地区として考えるのであれば、例えば現在「中国四国大会」としているところを分けて「四国大会」を作ったり、現在開催がない沖縄であったりと、候補の案はありますし、実際にいろいろなところからお声がけをいただいています。ただ、無軌道に増やしていけるわけではありません。
私たちとしても、まずは現行の8地区の大会をひとつひとつ着実に温めて育て、広げていくということが重要だと思っています。それと規模や参加人数以外にも、ご協力いただける現地のカタン会やプレイスペース、ショップなどの方々がいらっしゃるかどうか、ということも重要な要素となりますね。
──人数についてはいかがですか。
米川氏:参加人数は来年も増やします。特に関東大会について言うと、実は今回常時100人ぐらいのキャンセル待ちがあったぐらいで、出たいけど出られないという方がまだたくさんいらっしゃいました。ただし会場の都合などもありますから、これ以上関東大会の規模自体を大きくすることは難しい。そのため、来年の関東大会は土曜、日曜という形で2日間の開催にしようかと考えています。
それと、選手権というとハードルが高く感じてしまう人もいらっしゃるので、土曜のほうは一部に練習ができるようなスペースを設ける予定で、こちらは皆さんに気軽に参加してもらえればと思っています。普段遊ぶ仲間がいないという人や、いつもと違うメンバーでやってみたいという方にぜひ来ていただきたいですね。
──数年前の「前夜祭」でもそのような試みがありました。また、地方大会でエンジョイスペースが用意されたこともありましたね。
米川氏:今回の地方大会でも、初参加という方が全体の半数ぐらいいらっしゃいました。これは凄い数字だと思います。『カタン』の大会はベテランの参加者に支えていただいている部分があるのも確かなのですが、私たちとしてはさらに裾野を広げて、より多くの層の方に来ていただけるようになるのが理想だと考えています。
──決勝大会は全48名の選手で行われました。昨年は44名だったので4名増えています。全体の参加人数が増えるのであれば、決勝大会の参加者の枠も増えるのでしょうか。
米川氏:そちらも増加の方向で検討中です。
──『カタン』のゲームの話もおうかがいしようと思います。今年の4月にスタンダード版がリニューアルされ、拡張版も順次リリースされていますね。
米川氏:今回の大会も、リニューアル版を使用して開催しています。拡張セットもどんどん発売されていて、直近でも8月7日に『カタン スタンダード 5~6人拡張版』が出ますし、続いて8月28日には『カタン 航海者版』が発売されます。
──昨年お話されていた“日本を舞台にしたカタン”という新作があったかと思います。続報はありますか?
米川氏:マップが日本列島の形をしている“カタン日本マップ(仮題)”ですね。これはもう原型が出来ているのですが、発売については詳しく決まっておらず、今年中、もしくは来年の予定という感じです。
──地図が日本なんですね。
米川氏:A1サイズぐらいの大きなマップです。日本列島ですから、横に長い感じになりますね。少し先の話になりそうですが、こちらも楽しみに待っていただければ。
※追記:ジーピー様よりご提供いただいた『カタン日本マップ』パッケージ画像を追加しました。

ドイツKOSMOS社が先行公開した『カタン日本マップ』のボックス画像。日本国内での発売日時については調整中とのこと。どのような内容になるのか、今から楽しみだ。
──では最後に、これも毎年いただいているのですが、『カタン』プレイヤーの皆さんにひとことお願いいたします。
米川氏:今年は『カタン』をリニューアルして、またイチから盛り上げていこうという形になりました。おかげさまで日本選手権はさらに規模を拡大して開催できましたし、来年はもっと人数を増やしていければ、と考えています。また、昨年“レディース大会”、今年は“学生大会”を新設しましたが、いろいろな公認大会も引き続き開催していくということで、皆さんに楽しんでいただける場を増やしていきたい。
日本選手権ともなると単なるゲームではなく「競技」になってきています。私たちとしてはそういった遊び方があるということを提案しつつ、さらに楽しみながらプレイする「エンジョイ」も含めて広めていき、ボードゲームの市場を拡大していきたいと思っています。皆さんもいろいろな形で『カタン』を楽しんでいただいて、興味があれば日本選手権にチャレンジしていただけるとうれしいですね。
今年も大熱戦が繰り広げられたカタン日本選手権決勝大会。印象的だったのは、プレイヤーのマナーの良さ。プレイ中は皆が真剣でも、戦いが終われば同卓の皆が勝者を称え、にこやかに感想戦に興じる。卓を変える際には「ありがとうございました」の言葉をかけあう。4回戦までが終わって決勝卓の戦いが始まっているなかでも、名残惜しいのか、まだ『カタン』をプレイしている人たちが全体の半数以上いた。
すでに顔見知り同士の歴戦プレイヤーも多いが、選手の半数近くは決勝大会初出場ということで、初めて顔を合わせたという人もたくさんいたはず。しかしながら、『カタン』デザイナーのクラウス・トイバーの言葉「“また明日あなたと遊びたい”と言われるようなプレイで遊びましょう」のごとく、互いをリスペクトしながら楽しむという姿勢がすべての選手から感じられた。参加者にとって、そこにいることが楽しく、そして誇らしく感じられる空間だったのではないだろうか。
来年は関東大会が2日間の開催となるなど、さらに拡大を続けるカタン日本選手権。競技大会というと気後れしてしまう人もいるかもしれないが、出場選手のおおよそ半数が初出場ということで、参加のハードルは低い。熱気とエンジョイが入り混じったあの空気はカタン日本選手権独特のものかと思うので、興味がある人はぜひとも体験してほしいと思う。取材者としても、今から来年の大会が楽しみでならない。



