「弾く・積む・倒す」が一堂に! デクスタリティゲーム専門イベント「デクスタリティゲームナイト」レポート

ittenは4月24日、デクスタリティゲームに特化したボードゲームイベント「デクスタリティゲームナイト」を上野御徒町のボードゲームカフェ「U-Cafe」にて開催した。

「デクスタリティゲーム」とは身体的なスキルが求められるボードゲームだ。特に手先の技術を競うものが多く、「弾く」「投げる」「積む」「倒す」「引っ張る」といった直感的なアクションとゲームシステムが組み合ったもので、ゲームマーケットでも毎回いろんなデクスタリティゲームが登場している。今回はそんなゲームが一堂に会し、まとめて遊ぶことができるイベントとなっていた。

参加メーカーはittenSzpiLABこぐま工房アソビツクースの4社。10分程度で終わるゲームが多かったので、参加者は次々とゲームを遊びまくっていた。デクスタリティゲームというジャンルの性質上、会場では「やったー!」「うわぁぁぁ!」と様々な歓声があがり、終始賑やかな雰囲気に。

また、会場には知られざるデクスタリティゲームを紹介するコーナーもあり、展示内容も充実。遊ぶことはできなかったが、ユニークな仕組みのデクスタリティゲームがズラリと並んでいた。

イベントで遊べたデクスタリティゲーム

それでは今回、会場で遊べたゲームを紹介しよう。

【初公開】サイコロ原人(itten): 本イベントで初公開となったittenの新作。粘土を使ってサイコロを作り、どの出目が出るかを賭けるゲーム。粘土という材質を使う関係で、原則としてゲムマなどのイベント限定を予定。

▲サイコロ原人

キャンディタップ!(itten): 箱をタップするとキューブが落ちてくるので、うまく同色を集めていくセットコレクションゲーム。箱を強く叩けばキューブがたくさん出てくるが、全部出し切ってしまうとゲームから脱落。叩き加減が難しい! ゲムマ2026春で先行発売。

▲キャンディタップ!

ピンポンフロッグ!(itten): 卓球のように玉をバウンドさせて、相手のターゲットを倒していくアクションゲーム。狙い方や力加減が難しい! 2人専用。ゲムマ2026春で先行発売。

▲ピンポンフロッグ!

パクバク ロボ(itten): ロボットを前進させてエネルギーキューブを集め、色の配分を考えながら効率よくエネルギーチャージを目指す2人用デクスタリティゲーム。思い通りの色を集めることができても、思い通りの順番で出てくるかどうか……! ゲムマ2026春で先行発売。

▲パクバク ロボ

ナイスエッグ!Deluxe(itten): カーリング感覚でクセになると評判の『ナイスエッグ!』が、CUBEシリーズに合わせてデラックス化。タマゴを割ってキミを落とし、具材カードをいち早く集めた人が勝つ目玉焼きゲーム。ゲムマ2026春で先行発売。

▲ナイスエッグ!Deluxe

ダイバー・ゴー!(itten): 海底に眠る財宝コインを目隠しで探る記憶×宝探しアクション。船上から狙ったコインも潜ったとたん場所を見失う「キング・ダーコの呪い」が、ダイバーたちの行く手を翻弄する。2025年秋発売。

▲ダイバー・ゴー!

ストーンヘンジと太陽(itten): 天井から鉄球を吊り、振り子の要領でブロックの間を通すという独創的なセッティングで遊ぶアクティビティゲーム。卓上にストーンヘンジさながらの空間が立ち上がる、身体性と戦略性が同居する一作。2019年秋発売。

▲ストーンヘンジと太陽

プラネピタ(SzpiLAB): アークライト・ゲーム賞優秀賞受賞作。磁石を仕込んだ宇宙人コマをロケットから指で弾き、惑星エリアでマジョリティを争うカーリング系アクションゲーム。裏返して守るか表で攻めるかのジレンマが悩ましい。2022年春発売。

▲プラネピタ

スノープ(SzpiLAB): 雪原を模したボードでリングを指弾きし、輪に入ったカラフルな鈴を集める鈴取りスポーツ。鈴の音と同色を揃える駆け引きが楽しい一作。2025年秋発売。

▲スノープ

キャットと塔(アークライト/こぐま工房): 協力バランスゲーム。高さの違うカベを積んで傾く塔をみんなで支え、黒猫トトを10階の頂上へと導く。塔が完成すると物語のエンディングが進む。2024年10月発売。

▲キャットと塔

マギワンダー(こぐま工房): ワンドでマジカルコインを操って複数の競技に挑むアクションゲーム。瞬間的だった磁力体験を魔力として長時間体感できるのが最大の魅力。最強のワンド使い「マギワンダー」を目指す。2023年春発売。

▲マギワンダー

うちあげはなびら(アソビツクース): 小人になってスプーンで花を打ち上げ、木にたくさん咲かせるアクションゲーム。カタパルト(投石器)を使って、角度や距離を調節しながら高得点の場所に花を打ち上げて乗せていく。2024年春発売。

▲うちあげはなびら

カンダタとゆかいな亡者たち(アソビツクース): 地獄に落ちたカンダタとゆかいな亡者たちが主役のバランスアクションゲーム。ルールはひとつ、カンダタコマを箱より高く積むだけ。倒れそうで倒れない激変するバランスがクセになる一作。2021年春発売。

▲カンダタとゆかいな亡者たち

デクスタリティゲーム クリエイタートークショー

イベントの終盤では、デクスタリティゲームのゲームデザイナーが登壇するミニトークショーコーナーが行われた。SzpiLABの藤縄英佑氏こぐま工房のたきざわまさかず氏アソビツクースのエリサ氏が参加し、司会進行はittenの島本直尚氏が務めた。

▲写真左から司会進行の島本直尚氏(itten)、エリサ氏(アソビツクース)、藤縄英佑氏(SzpiLAB)、たきざわまさかず氏(こぐま工房)

どのような場面から着想を得ているのかというテーマからスタートし、「大人も子供も夢中になって、わーっとなってしまうような体験」エリサ氏)、「スポーツからインスピレーションを受けることが多いです」(藤縄氏)、「私は常にデクスタリティに関するアンテナを張っています」(たきざわ氏)と、こちらは三者三様だった。

続いてデクスタリティゲームならではの「物理的な製造の苦労」の話題になるとさらにヒートアップ。アソビツクースのエリサ氏による苦労話は、『うちあげはなびら』におけるカタパルトに使ったバネについて。サンプルと製品版でバネの強度が変わってしまい、製品版では飛びすぎてしまうほどの強さになってしまった。最終的にどうしたかというと、「全部付け替えた」そうで、その数400個以上だったそう。

SzpiLABの藤縄氏は『スノープ』の製作苦労話を披露。リングの厚みを決める際、0.6mmだと動きが悪く、1mmだと厚すぎて入らない。最終的に0.8mmというコンマ何ミリの調整をしたという。また、ボードの表面にもこだわり、リングを弾いたとき、盤面を滑らせる際にひっかからないよう、ボードの切れ目に入れる刃の方向を工夫してもらい、表面をフラットにするなど地味な調整を積み重ねた。

こぐま工房のたきざわ氏からは、「あえて不器用な人にテストプレイしてもらう」ことを重視しているという。『キャットと塔』では、不器用な人が倒してしまうかどうかのギリギリのバランスにしたそうで、そこが一番苦労したポイントであり、こだわった部分だったそうだ。

▲各テーブルで様々なデクスタリティゲームが遊ばれていた

また、デクスタリティゲームは物理的な面白さはもちろんのことだが、そこにボードゲームとしての戦略性やシステムをどう組み込むか。これについてはクレイエイターならではの様々な視点があった。

エリサ氏「物理的な楽しさを邪魔せず、かつシンプルで戦略性もあるバランスを目指しています。『カンダタとゆかいな亡者たち』ではテストプレイのときに積むのは楽しいのに、ルールがその楽しさを台無しにしていると言われたことがあり、そこからルールを大幅に変更しました」

藤縄氏「私が意識しているのは、視認性と対話です。全員が同じ盤面に注目し、お互いの状況がひと目で分かるようにしています。情報を隠さず、相手の状況を見て戦略を練るというユーロゲーム的な感覚をデクスタリティゲームにも持ち込みたいと考えています」

たきざわ氏「物理ゲームの結果は、成功か失敗かになりがちですが、私はその中間のグラデーションをシステムに組み込みたいと思っています。危うい状態をどう判断し、積み重ねていくかというプロセスを大切にしています」

▲会場は上野御徒町にあるU-Cafe

まだまだ聞きたい話はたくさんあったが、イベント終了時間も迫っていたのでミニトークショーはここまで。最後に参加者によるランキングの表彰が行われ、イベントは終了となった。

夜7時から10時まで非常に濃密なイベントで、デクスタリティゲームだからこその盛り上がりを感じられた。また開催されることがあれば、取材とは関係なくいちユーザーとして参加してみたい。