2026年5月23日・24日に、幕張メッセでゲームマーケット2026春が開催されました。
ボードゲームのイベントなので新作ボードゲームや出展しているサークルを見るのがメインなのは分かりますが、特設ブースだけでもしっかり見ていたら一日では足りないくらい充実していたのです。ゲームマーケット2026春のレポート記事第1弾は、あまり感想が聞こえてこない特設ブース編です。
【特設01】新作ゲーム展示

今回の新作ゲームが展示されるスペース。出展する人は、係員にゲームを手渡しして、ポストイットにブース番号を書けば置いてくれるようでした。勝手に持ち帰らないように柵で囲われ、係員が見張っているという状況。意外と言うと企画した人に失礼かも知れませんが、人が絶えない人気コーナーでした。


会場を歩き回らなくても、ここで今回の新作が見れちゃいます。ブースに行けば実物が見れますが、作者の目を気にせずじっくり見れるのはいいですね。「こういう印刷かぁ」とか「ダイス結構豪華じゃない?」なんて声が聞こえて来てました。あと、作った本人にルールを説明してもらうのも分かりやすいんですが、ゆっくり説明書を読んで理解するのもいいんですよ。出展する人は、面倒臭がらずに新作をここに置くと宣伝になります。想像してる以上に来場者に見られている印象でした。
【特設02】ゲームマーケット・チャレンジ展示

ゲームマーケットが出したお題で作られた新作ゲームの展示。出展者が自らゲームを置いておく感じになってましたが、新作ゲームの展示より人の集まりは遥かに少なかったかなぁという印象。

今年のテーマは「紙の立体ゴマ4と円形チップ4枚、カード18枚のみで構成されたゲーム」です。人気投票1位になったらアークライトから商品化されるとかの特典はなく、ただここに置けるというだけ。評価とか何か発表とかがあればもっと注目されるんでしょうけど……。初めてゲームを制作する人の目標や指針にはなるはず。
【特設03】ゲーム制作者支援コーナー

文字通り、これからボードゲームを作ろうという人のために役立つ情報がパネルになって展示してました。内容は基本的に前回と同じでしたね。

今回は、水田ことみさんの『わたしのボドゲができるまで』という漫画の一部がパネルになって、作者のコメントと一緒に掲示されていました。見に行ったときは、見てる来場者が1人もいませんでした。たまたまかな? ボードゲームは遊ぶだけじゃなく、ぜひ作ってみましょう。形にして、出展してみましょう。ゲームデザイナーデビューはすぐそこだ!
【特設04】マーダーミステリーブース

一生に一度しか遊べないというミステリー小説の中の登場人物になるマーダーミステリーが集まった販売ブース。ゲームマーケットでは回を重ねるごとにマダミスの勢力が大きくなっていて、日曜日(2日目)は初日のフリープレイスペース(後述)が片付けられて、マダミスなどを出展する人たちのブースが並んでましたから。ゲームマーケットのパンフレットもマダミスだけで結構な厚さだったし。


マダミス専門ブースと言いながら、ストーリープレイングなるものも販売されてました。いろいろ進化してますね。とにかく、日を追うごとにマダミス人口は増えているんです。多くの人に面白さがバレちゃった感じ。
【特設05】ゲームマーケット×ドラマチック謎解きゲーム

よだかのレコードによる、ゲームマーケット恒例の周遊型の謎解きです。参加はしていないので内容は分かりませんが「運命ヲタクされた平成からの脱出」というタイトルで2日間限定の謎解きが行われました。

会場内での周遊謎解きだけじゃなく、持ち帰りの謎も販売していたようで、この謎解きの紙袋を持って会場内を歩いてる人をよく見ました。来場者が持っていた紙袋で、ここのが一番多かったんじゃないですかね。
【特設06】ビッグゲームパーク

市販のボードゲームを20倍とか物凄く大きいサイズに作り変えたボードゲームが大集結。他の販売促進イベントや宣伝などで展示されるビッグサイズのボードゲームが置いてありました。もちろん遊び放題! これは写真映えするし、デカいというだけで面白さが倍増しますね。


ittenの『ピンポンフロッグ!』やすごろくやの『お菓子の魔女』が初登場でしたが、なんと言っても『海底さがし』のビッグゲームがあったのが胸熱! もちろん初登場。2023年にチャック横丁で発売された地味なゲームが口コミで広まり、ビッグゲームが作られ、ここに置かれて、小さな子供たちを喜ばせてるなんて感動的。ホントに良いゲームですよ。


前回まではあった「キッズパーク」がなくなってしまったので、子連れの親子が遊ぶ場所がここになっていましたね。もちろん、大きなお友だち1人でも参加は可能。キッズパークにあったカラフルなソファだけは置かれてました。
【特設07】本当に面白いユーロゲームの世界

太田出版から出ている雑誌『本当に面白いユーロゲームの世界』の展示。新作のボードゲームじゃなく、賞を獲った作品や古くから遊ばれている名作がズラリと並んでいて、スタッフの説明を受けてから実際にプレイすることが出来ました。


厳選した名作ゲームが掲載された小冊子も配られていて、料金は無料。しっかりした作りなのにタダって! そして、名作ゲームを遊ぶのも無料。スタッフがルール説明もしてくれるのに。これってお金が掛からないボードゲームカフェですよ。飲み物が無いだけ。常に人が埋まってました。
【特設08】ゲームマーケットスペシャルステージ

土曜日12:00からは三遊亭小圓楽によるTRPG落語。この場で落語なんて不釣り合いな……と思いきや、ゲムマのステージ最多出場者です。これを聞かなきゃゲムマに来た気がしないと言う人もいるとか。武器やアイテムの名前の由来を先生に訊く『アイテム根問』、「死んでる自分は誰なのか?」と奔走する粗忽長屋をベースにした『インスマウス長屋』、そして新作の『間抜けローグ』の3本。今年も面白かった! 頭の中で映像を想像するTRPGと落語は相性がいいんでしょうね。今回はJUGAME STUDIOから『真打ポケット【TRPG落語編】』が発売されたとか。

14:00からは「BitSummit×ゲームマーケット ライブ中継クロストーク」が行われました。ステージ上には、『はぁって言うゲーム』の米光一成さん、アークライト事業戦略室の鈴木健右さんと大きなモニターがひとつ。時を同じく、京都で開催しているインディゲームの祭典「BitSummit」と中継を繋いでのトークショーです。ゲームマーケットで他の場所と中継で繋ぐのは初らしく、15分遅れでのスタートとなりました。

デジタルゲームの制作者がボードゲームの制作に着手する事も珍しくなく、いつもはゲームマーケットに出展してる人たちが今回はBitSummitに出展してるという現象が起きてたんですね。いないなぁと思ってたら、京都に行ってたとは。BitSummitのステージには主催の小清水史さん、『ボコスカウォーズ』のRashoさん。米光さんは「BitSummitに行きたいのに同日にやるなんて!」と嘆いていたのが面白かったです。アークライトの鈴木さんによると幕張メッセの会場を抑えるのが1年以上前で、日にちが被ったのは偶然だそう。同日開催なので、ライブ中継で何かやろうとなったようです。
対談では、米光さんが「学生の頃、『ボコスカウォーズ』はMSXでやってました」と言うと、Rashoさん「ファミコン版は移植をやった人の都合で別物ですから、MSXかPCでぜひ遊んで欲しかった」と嬉しそう。
さらに「作ってるものが結果的にデジタルだった、アナログだったと言うくらい自分でも気付かない、どちらにもなるようなのをね。みんな作りたい物を作ればいいんですよ」とRashoさんが会場を盛り上げると、米光さんは「作ったゲームをアナログゲーム化したい人、ホント相談乗りますよ。DM送ってください」とあくまでもボードゲームにこだわる姿勢を見せていました。

15:00からは『マグノリア』『みんなでぽんこつペイント』のアートデザインを担当している長谷川登鯉さんによるボードゲームアートワーク講座。ボードゲームのイラストって上手い下手以前に、ゲーム中いかに視認性が良いかという点に重きが置かれてレイアウトされているんだなぁ……と、苦労がちょっとだけ分かった気がしました。ご自身の作品をスライドで写し出して紹介しながら、カードのレイアウトの工夫や失敗談など。いかに遊びやすいアイコンにしながら個性を出すか。遊ぶ側として気にしてなかったなぁ。長谷川さんは不定期でアートデザイン講座を開いているようで、今回はその短縮版という感じでした。アートデザインをしている人はもちろん、ボードゲームを遊ぶ人ならためになる話ばかりでした。
さて、2日目日曜日の12:30からは「ボードゲームと知的財産権」というなかなか堅苦しいテーマでのトークショー。コンテンツ海外流通促進機構の湯口太郎さんが司会で、著作権などに詳しい弁護士の前田哲男さん、飯田真弥さん、石戸あかねさんの3人が登壇。このテーマではお客さん集まらないかもなと思いきや、客席9割が埋まっている満席状態。みんなボードゲームと知的財産権の関係について興味あるのね。意外!

ちなみに好きなゲームは?という問いに、飯田さんは「カタン。フォルトかるた」石戸さんが「ナンジャモンジャ」前田さん「皆さんのように答えられるものはなく、人生ゲームとトランプ」と答えていました。知的財産権はアイデアや思想など頭の中のことを保護するものではないので、ボードゲームのルールそのものは保護されないだろうけど、登録すればパッケージやカードデザインなどを含め産業財産権で保護されるという話など。今回、カナイセイジさんがゲームデザインを担当した『HIT PLAN』という文化庁のゲームが出展してたので、このテーマでのトークショーだったのかなと。この日、最も集客力があった!

14:00からは、ゲームデザイナーのアントワーヌ・ボウザさんを招いて「Bauzaに聞く!ボードゲームのデザインとは?」が行われました。司会はドゥプラド・ヤニックさんで、インタビュー兼通訳という役どころ。ボウザさんは2015年以来11年ぶりの再登壇ということで、久しぶりのゲームマーケットの印象を訊かれて「オオキクナッタ」と日本語で。登壇が久し振りなだけで何度もゲームマーケットには参戦してるそう。確かに、普通に会場内を歩いてるのを見掛けますよね。

日本旅行の途中で『花火』『タケノコ』『東海道』を思い付いたらしく、当時は日本テーマは珍しかったけど、今は増えてるので多分作らないと思うとのこと。『世界の七不思議』はメカニックが先じゃなく、多人数で遊んで待ち時間が少ないゲームとして考えたらしい。『クイックショット!』で一緒にゲームデザインをしたカナイセイジさんの他に、日本のゲームデザイナーで会いたい人はいるか?という問い対しては、林尚史さんやsaashiさんの名前を挙げ、他にもたくさんの人と出会いたいと返答。最も影響受けたボードゲームは『プエルトリコ』で、最近だと『ザ・マインド』が良かったらしい。理由は、ドキドキするのにルールは1行というのがいいそうな。良いゲームは、やれることがシンプルと言う信条があるみたい。
……などなど1時間のインタビュー。とにかくヤニックさんの読解力・咀嚼力が素晴らしくて、ボードゲームのタイトルはもちろん、ボドゲ界の現状にも詳しいので話が超スムーズ。実に面白かった。満足。ちなみに客席にはカナイセイジさんと林尚史さんの姿がありました。気付かなかっただけで他にもゲームデザイナーはいたでしょうね。聴いてる方も豪華!トークショーの後はサイン会が行われていました。

15:30からは「ボードゲームに関わる疑問を解決!ボドゲ座談会6」が行われました。司会は引き続きドゥプラド・ヤニックさんで、海外ボードゲームメーカーのアスモデのケビンさん、ブラックロックゲームのマチュさん、カクテルゲームズのジュリアさんが登壇。海外メーカーの来場が増えてるので、日本のボードゲームの世界進出が円滑に進むようにアークライトとしてはゲムマの前日に商談会を開いたり、早期入場前から会場に入れたりする海外ビジネス制度を実施してる話など。
ケビンさんは2007年からゲムマに通ってるそうで、毎回新しいアイデアのトリテがいっぱい出ることに驚いてるそう。マチュさんは、海外のゲームイベントはメーカー主体なのに、ゲムマは同人中心で日本の同人文化が面白いと思ってるそうです。ジュリアさんは今回3回目のゲムマでゲームデザイナーの数の多さに毎回驚かされているとのこと。
個人的に驚いたのは、日本の面白いボードゲームを見つけてから自社で扱う流れは?という客席からの質問に、ジュリアさんがカクテルゲームズは社員8人の小さな会社で、8人全員が面白いと思わないと話が動かないという話をしてたんです。『ナナ』(製品名は『トリオ』)も『ボムスカッド』(製品名は『ボムバスターズ』)も社員全員に刺さったんだなとしみじみ…。会社全体で受賞した賞だったんですね。

ちなみに、客席には先ほどゲストとして登壇したボウザさんの姿がありました。普通に観てたので思わず笑ってしまった。ステージ上は基本的にフランス語メインで進行してたしね。だから、聴いてる方も豪華なんだって!
【特設09】TRPGギルド

TRPG関連の書籍の販売と試遊。TRPGとは何か?という説明がパネルにしてあって展示してました。スタッフの説明後、スタッフがメンバーに入っての体験会が多数行われていました。時間になると体験会を待つ人たちが集まって賑わっていました。


マダミス、謎解きと並んでボードゲーム以外の出展では人気のひとつです。
【特設10】チャリティセール


2日目だけ。売上げ金を募金することになっている特別価格のセール。スペシャルステージの取材もあって買いには行ってないのですが、閉会の2時間前にはボードゲームが無くなっていました。
【特設11】日本の伝統ゲーム

ゲームマーケット2日目の恒例企画になりつつありますが、日本各地に古くから伝わる伝統ゲームが遊べるコーナーがあり、17ものゲームが置いてありました。名前は聞いたことあるけど触ったこともない昔のボードゲームはたくさんあるので、知るには良い機会ですよね。局地的に遊ばれてたボードゲームがこんなにあるなんて不思議。そして、結構面白いのに他の地域に広がらなかったのも不思議。




何回覗いても、たくさんの来場者がいて盛り上がっていました。伝統ゲームを遊べばスタンプを押してくれるスタンプラリーも実施されていました。なんか貰えたみたいですね。開場からず〜っと人が途切れなかった人気ブースでした。
【特設12】東京コミコン

2日目だけ。2026年12月11日~13日まで幕張メッセで行われる世界最大のポップカルチャーの祭典「東京コミコン」のブースです。次回はゲームマーケットが出展するんでしょうか。派手な展示物がいくつも飾ってありました。

海外ビジネス参加制度専用商談室


自分のボードゲームを海外展開したい人のため、世界進出するための商談スペース。完全予約制。有名なメーカーが集まってました。予約したメーカーが立ち寄るブースで、パーテーションで囲われて来場者はスルーしてるので、ここだけ異様な雰囲気でした。
フードコーナー


会場の外に出たところにキッチンカーが並んでいました。前回までは幕張メッセの中にあったので、会場内に調理した食べ物のにおいが多少あったんですよね。そんなに気になるほどではなかったんですが、細かい配慮ですね。食べる場所は、長いテーブルが会場の外に並べてあって立ち食いスタイル。雨が降らなくて良かったですね。一応、屋内に椅子とテーブルが並べてありました。
フリープレイスペース

買ったボードゲームをその場で遊べるスペースです。料金は無料で、利用するのに受付や予約もいりません。その場で遊べる場所が用意されてるのはありがたいですよね。昔のゲムマは、買った後にどこかお店とかに移動しなきゃ行けなかったのでね。休憩だけの使用は認められていませんが、新作のボードゲームで遊びながら休んでる分には注意されません。それにしても広い! 椅子いくつあったんだろ? 開場前に撮影しました。

2日目はこのフリープレイスペースが片付けられて、マダミスとTRPGと謎解きの同人ブースになっていました。本ばかりが扱われていて、同人誌即売会のような何か違うイベントのようでしたね。
2日目はまた違う場所にフリープレイスペースが用意されていました。ここもまた盛況。

ゲムマ2026春もあっという間に終わってしまいました。特設ブースは見逃せないんですよ!せっかく会場に行ったのに、特設ブースを見ないなんてもったいない。
全体的に何か大きく変わったことはなかったのですが、ただ楽しいだけで終わるお祭り騒ぎのイベントではなく、ゲームマーケット全体が目的を持って海外の方を向いてるのかなぁという印象を節々で受けました。人を惹きつける、膨れ上がっただけのイベントで終わらせないという強い意思を感じましたね。まだまだ成熟途中のイベントって感じ。

ちなみに次回のゲームマーケット2026秋は、10月17日・18日で場所は幕張メッセであることが発表されました。ドイツ・エッセンの直前になります。なんと、次々回のゲムマ2027春の開催も発表されて、2027年5月29日・30日に幕張メッセになります。気が早い。けど、すぐにやって来そう!



