去る7月25日、東京・三鷹市の三鷹産業プラザにてボードゲームイベント“三鷹ボードゲームフェスタ2026”が開催されました。同イベントは三鷹市内に店舗を構えるテンデイズゲームズの主催で、同社や協賛のメーカー・パブリッシャー・ショップのボードゲームのプレイを楽しんだり、販売ブースにてゲームを購入することができるというものです。
昨年7月に行われたテンデイズゲームズ主催のイベント“テンデイズゲームズ超感謝祭”と同じく、主軸となるのはゲームのプレイ。各社の人気作や新作に加えて発売前のタイトルの試遊や展示なども行われるとあって、チケットは完売。当日の会場内は大盛況となりました。
今回は、各社ブースとプレイスペースの様子を中心にレポートをお届けします。末尾にはテンデイズゲームズ田中誠代表のミニインタビューもありますよ!
どの卓も盛況!見ず知らずの人同士がボドゲの共通項で繋がる素敵な空間
会場は、今年も三鷹産業プラザ7階の3室を連結して使用。11時から18時までたっぷり7時間の濃密なゲーム会となりました。昨年の“テンデイズゲームズ超感謝祭”から引き続き、イベント全体の雰囲気は、いわゆる“オープン会”に近いもの。初顔合わせの人同士が同卓してゲームを楽しむ姿があちこちで見られました。


プレイにモチベーションを持ってもらいたい。普段はそのようなスタイルでなくとも、たまには勝敗にこだわってみるのも良いのでは。そういった想いから、昨年もあったスタンプカード&スロットによるごほうびも継続。プレイの結果に応じてもらえるスタンプを集め、本部のタブレットでアプリのスロットを回して当たりがでればごほうびをゲットできます。景品のなかには豪華なフルーツ詰め合わせや、田中氏の故郷・十日町市の特産品も!



【参加者のXポストより】
15社参加に拡大! 各メーカーのブースと試遊卓のタイトルを紹介
昨年はテンデイズゲームズを含めて10社の参加によってイベントが行われましたが、今年は協賛のメーカー・パブリッシャー・ショップが15社に増加。プレイスペースでは、各社の新作や発売前のゲームを専門スタッフのインスト・解説付きでプレイすることができました。それぞれの出版社の出展ブースおよび試遊卓の様子をお伝えします。
【参加メーカー・パブリッシャー(50音順)】
アークライト
イエローサブマリン☆
Itten
ゲームストア・バネスト☆
ケンビル☆
CMON JAPAN☆
ジーピー☆
JELLY JELLY GAMES☆
数寄ゲームズ
すごろくや☆
テンデイズゲームズ☆
ホビージャパン☆
メビウスゲームズ
Mob+/株式会社ナナトリー☆
mor!☆
☆は販売ブースもあり
アークライト
発売前の『トゥ・ウィン(2 Win)』をプレイアブル出展(リリースは今年予定)。手札から2枚を出して2桁の数字を作り、場のカードの数字を上回る組み合わせにして出していくライトなカードゲーム。小さいカードで小箱に収まるミニマムサイズ、ルールも分かりやすく、それでいて興奮度マックス。会場の評判も上々で、ヒット作になる予感! 他に林尚志氏の『やぎ山』リメイク作品である『サーカディア』もプレイされていました。


イエローサブマリン(販売あり)
ワーカープレイスメントの名作『新版 ぬくみ温泉繁盛記』や、アクションゲーム『スティックスタック』を出展。『新版 ぬくみ温泉繁盛記』は本格派タイトルながら1時間前後でプレイが終わるため回転が早く、何度も卓がたつ盛況ぶり。物販は2作に加え『ぬくみ温泉開拓記』『リフトイット!』などの自社タイトルが販売されていました。


Itten
コンパクトな立方体ボックスで展開するアクションゲームシリーズ“キューブシリーズ”を出展。『キャンディタップ!』『ピンポンフロッグ!』『パクパク ロボ』『ナイスエッグ! デラックス』『サイコロ原人』の5作がありますが、どれも見た目が楽しく、それぞれが違ったテーマ、違ったアクションがある個性派揃い。試遊は家族で来たプレイヤーが目立っており、楽しそうな歓声もあがっていました。


ゲームストア・バネスト(販売あり)
ゲームストア・バネストは7月に発売されたばかりのフリードマン・フリーゼの新作『フォーミダブル・ファーム』(海外版和訳付き)を出展しました。ワーカープレイスメントをベースに、15枚の手札を使い切ることを目指すコンボゲームで、1時間に満たないプレイ時間ながら複数のメカニクスがかっちり噛み合ったフリーゼ氏らしいタイトルです。ブースでは、『ポイントギャラクシー』『キュウリ・カタストロフィー』『シンビオーズ:共生』『カドー』を加えた5作を販売。


ケンビル(販売あり)
夏から秋に発売予定のライナー・クニツィア『ごろごろピニャミッド』をプレイアブル出展。ダイスを振ってボードに置き、猫のタイルを獲得していくタイル配置&チキンレースです。猫の姿が愛らしいアクリルタイルが盛りだくさんで、抜群に映える! 他にウヴェ・ローゼンベルクの新作パズルゲーム『Garden Lake』(輸入盤)や、ワードゲーム『DADADA』、発売されたばかりの『ダブルセブン』も出展、この3タイトルはブースで販売されました。


CMON JAPAN(販売あり)
同日発売となったばかりの『フラットアイアン』の試遊を実施。カードをプレイしてニューヨークの街角に三角形のビルを建てていく2人用のエンジンビルドで、床と柱を置いて立体的なビルを建設していく、視覚的にも楽しいゲームです。他に好評の『テイク・タイム』や6月発売の『スヌーピー:タレント・ショー!』もプレイされていました。ブースでは、これらのゲームに加え『クトゥルフ~死もまた死すべし~:ゴジラ ミニ拡張』『グルームヘイヴン:ボタンズ&バグズ【再生産版】』なども販売。


ジーピー(販売あり)
試遊卓では『ギャングポーカー(拡張入り)』がプレイされていました。ポーカーのテキサスホールデムをベースに、プレイヤー全員の役の強さ順にあわせて数字のチップを取っていく協力ゲームです。また、2人対戦ゲームの『リンクロス』も試遊できました。ブースではローカライズされたタイトルのほか、ゲームマーケットで完売していた『ギャングポーカー拡張セット』を販売。さらに、担当の方が「倉庫から持ってきました!」と話していた海外版タイトルがいくつか並んでいました。和訳が付いたキースリング『リバーボート』のほか、和訳無しの『バルセロナ』『フォーミュラD』、さらにシャハト『アフリカーナ』『ヴァルドラ』など、珍しいものもあり、まさに蔵出し!


JELLY JELLY GAMES(販売あり)
7月31日発売のメモリー&配置の協力ゲーム『ウィルモットさんの倉庫』を出展。ドイツ年間ゲーム大賞でロングリスト入りした注目作とあって、多くのプレイヤーがプレイしていました。また、大ヒット中のTCG風2人対戦カードゲーム『マインドバグ』を専用プレイマットを使ってプレイしたり、ゲームマーケットに出展されていたビッグサイズの『リーダーズ』も出展されたりしており、試遊卓は終始盛況。『ウィルモットさんの倉庫』はブースで先行販売が行われていました。




数寄ゲームズ
品薄状態となっている人気作『ホットストリーク』を出展。大荒れの展開で盛り上がるレース&ベッドのゲームです。評判のタイトルとあって、常にプレイヤーがついて卓がたっていました。

すごろくや(販売あり)
読みとハッタリがものをいう、ブラフありの競りカードゲーム『ブラフィット』を出展。発売は7月31日です。また、今後発売される予定の新作についての発表もあり、『恐竜大発見』『禁足地』『ベラヴィスタ』の3作が展示されていました。ブースではゲームマーケット新作の『タッグチーム』をはじめ、『リンク』『ヘルパゴス』や『すずめ雀』『エージェントアベニュー』など同社の人気タイトルを販売。




テンデイズゲームズ(販売あり)
主催のテンデイズゲームズは、直前で間に合った新作2タイトルを試遊・販売。『トリッククリーチャーズはサザンクロスゲームズの『トリックレイダース』のリメイク版で、リードを取ってから出すカードを公表し、その通りにプレイできないと脱落するスリリングなトリックテイキング。『酒場に死す』はライナー・クニツィアの新作で、西部劇のシーンを集めていくというハンドマネジメントのカードゲーム。いずれも回転が早く、多くの人がプレイしていました。販売は会場入り口付近の本部で行われており、上記2作のほか話題沸騰中の『レイルウェイズ・オブ・ザ・ロスト・アトラス』『拡張ランドマーク』をはじめとするタイトルを販売。




ホビージャパン(販売あり)
『ストレンジスロットシミュレーター』『ゴットファイブ!』『タックス・ザ・リッチ 富裕層に課税せよ』『ブルーム・キングダム』『インサレクション』『バウンス・イット!』の新作・準新作一挙6タイトルを持ち込んだホビージャパン。試遊卓はこれらのゲームのどれかが常にプレイされており、終始盛況でした。ボールを1回だけバウンドさせて箱に入れるアクションゲーム『バウンス・イット!』や、読み合いが熱いセットコレクション『インサレクション』は発売されたばかりで注目度が高く、試遊もよく回っていたようです。これらのタイトルはすべてブースで販売されていました。



メビウスゲームズ
夏発売予定の新作『ギャンブラー』を出展。『Sharp shooters』『Gambler』のリメイクで、ダイスを振ってボード上の対応するマスに置き、列を埋めると得点が獲得できるダイスロール&ダイス配置の古典的名作です。試遊卓では、メビウスパパこと能勢良太さん自らがインストを担当していらっしゃいました。

Mob+/株式会社ナナトリー(販売あり)
ゲームマーケット新作『冒険者はキレイなおハカでねむりたい』をはじめ、『シェディー・レディー』『ウォンテッド★ウォンバット』などのタイトルを試遊卓でプレイしていたMob+。デザイナー宮野華也氏の最新作、ヴァンパイア株式会社より7月11日に発売された正体隠匿『ヴァンパイアゲーム』も出展・販売されています。



mor!(販売あり)
サークル四等星としてゲームマーケットに参加しているmor!氏が個人出展。心理戦のギャンブルゲーム『ゆびカジノ』をはじめ、自身がデザインしたタイトルを試遊・販売しました。ほかに、スピード勝負の仁義なき治療対決『ドクターマッハ』や、1人用デッキ構築『スレイ・ザ・スパインⅡ』、ジャンケンに戦略性を加えた『スカイジャンケン』など、ひねりの効いたメカニクスを持つゲームを出展。


主催のテンデイズゲームズ田中氏に聞く~2年連続のプレイイベント開催となった理由は?

イベント中のテンデイズゲームズ田中誠(タナカマ)氏を直撃! 昨年の“テンデイズゲームズ超感謝祭”は同社の15周年を記念して行われたイベントだったため、田中氏も「また区切りの年に同じようなことができれば」と語っていたのですが、ふたを開けてみればまさかの2年連続開催に。なぜ今回のイベントを行ったのか、お話しいただきました。
――テンデイズゲームズさんは昨年も同様のプレイイベント“テンデイズゲームズ超感謝祭”を開催されています。2025年は店舗開設15周年ということで、記念イベントという色が強かったかと思いますが、その際に田中さんがまたこのようなイベントを企画していきたいとおっしゃっていて、1年後すぐに実現したということになります。
テンデイズゲームズ田中誠氏(以下田中氏):去年のイベント開催後、参加された皆さんから好評の声をたくさんいただきました。いま、ボードゲームのイベントというと即売会などのゲームを購入するものが多く、“ゲームを遊ぶ”ということに特化したイベントは珍しいと思います。それで、出展者サイドからも、プレイヤーの皆さんからも、このようなプレイイベントをまたやってほしいという声が多くあがってきたんです。
昨年はうちの周年ということでしたから、2日間やったり、記念品を用意したり、とちょっと無理をしたことで余分にコストがかかった部分がありました。今回は参加していただく会社の皆さんを増やすなどして負担を減らし、継続的に開催していけるよう、もう一度足元からイベントを組み直して実現にこぎつけています。
――昨年のイベントは大好評だったとのことで、手応えを感じた部分があったかと思います。
田中氏:自分たちにとっても、イベントで直接お客様の声をお聞きしたり、実際に遊んでいる様子を直接見させてもらう機会は非常に貴重です。ですから、何らかの形でプレイイベントをやりたいとは思っていました。
――イベントの規模についておうかがいします。会場は昨年と同じ大きさで、日数は1日になりました。チケットが完売したとのことで、参加できなかった方もいらっしゃるかとも思います。ただ、昨年のお話では、参加した方たちを厚くフォローするため、目が行き届く範囲を会場規模の大きさとしたいとのことでしたね。
田中氏:チケットは、総数の9割ぐらいはかなり早くお買い求めいただいて、残っていたぶんも3日前ぐらいにすべてなくなりました。ありがたいことに、完売後にもお問い合わせをいただいています。
ですが、やはりいらっしゃったお客さまひとりひとりにきちんと遊んでもらおうと思うと、ひとつの会社ごとに1卓、せいぜい2卓ぐらいがいいと思うんですよね。そうなると、おのずと会場の大きさもいまぐらいになってくるわけで、規模感としてはこれぐらいがいいな、という感じです。
それと、メーカー側の事情もあります。イベントに参加するメーカーさんが費やすリソースは、少ないものではありません。例えば、ゲームマーケットに出るとなればいまや一大プロジェクトですから、それこそ半年前から準備を進めたりするわけで、かなり負荷がかかってくるわけです。でも、このイベントぐらいの規模であれば、たくさん人を使って、お金もかけて……というわけではないですし、そういったことまで含めて、身の丈にあう規模感が大事だという気がしています。
――今後ですが、継続していきたいというご希望はありますか。また、今後があるとしても規模は変えずにいくのでしょうか。
田中氏:お客さまからの声があれば、やっていきたいという思いはありますね。手応えというものは皆さんが遊んでいるときの雰囲気、空気感といったものからも感じられますから、そういったものまですべて含め、プラスに感じられる部分があるならぜひ続けたい。
イベントの規模は、大きくするとプラスの面もありますが、マイナスの面がないとは言い切れない。お客さまとのちょうどいい距離感、ちょうどいい雰囲気は、自分のイメージするところでは100~150(人)ぐらいかな、と。
――少し規模が大きいオープン会(※)という感じですね。
※オープン会:既知の人だけでなく、広く参加者を募集するゲーム会。
田中氏:私は昔からゲームをやってきた人間で、これまで参加してきたゲーム会が根っこの部分にあります。遊びながらほかの人と一体となる空気を感じたり、その体験を共有して楽しむということでいうと、やはりオープン会のノリというものは、自分としても知らないうちに入れて考えている可能性がありますね。そうなると、やはり全体に目が届く範囲ぐらいの規模がちょうどいい、という感じになるんです。
今日も、今どこのテーブルが空いてますとか、何人募集してますとか、そういったアナウンスをしていますが、これが大きなイベントになってしまうと、いろいろと難しくなってくる。
――今回テンデイズゲームズさんは2卓動かしています。ですが、そのうちの1卓は午前中からしばらく、自社タイトルではない『JinxO』(ジンクスオー、独名『Dito!』2026年のドイツ年間ゲーム大賞受賞作)がプレイされていました。

テンデイズゲームズの試遊卓でプレイされていた『JinxO』。自社が関連する製品でなくても、興味があるプレイヤーが多いのではないかということで動かしていたそうです(バネストの中野店長が楽しそうに遊んでいる姿が印象的でした)。
田中氏:つい先日ドイツ年間ゲーム大賞が発表されたばかりですが、ぜひお客さんにも受賞作を楽しんでいただきたいということで。自社製品でなくても私のなかでは大きな差はありません。このイベントは何としても自社のゲームを遊んでもらうだとか、どれぐらい遊んでもらうとか、そういった縛りやノルマ的なものはないんです。
ゲームマーケットであれば商業的な面を意識することがあるかもしれませんが、これぐらいの規模のイベントなら出展している側もある程度自由にやれます。販売にしてもこの場で大きな利益が出るというわけではないですから、それならお客さんに楽しんでもらうことに注力しようというわけです。
――ゲームの販売をしているのは、お客さんが遊んで楽しかったゲームをその場で手に入れられるように置いているということで、売り上げありきではないんですね。
田中氏:ここで楽しんだ体験を持って帰っていただくことが第一。ゲームは会場で買わなくても良くて、あとでテンデイズゲームズや、ほかの会社さんのサイトですとかSNSをチェックしてもらって買ってくださってもいいわけですし。
いま、即売会で何個売れましたですとか、予約が何個だとか、そういった話がよく出てきますよね。少しでも話題になるのであればそれも良いのですが、やはり私としてはゲームというものは遊んでもらってこそ、だと思っています。
例えば、先にうちが発売した『レイルウェイズ・オブ・ザ・ロスト・アトラス』という鉄道のゲーム。ゲーマー向けの重量級で、あれが数万個売れる、ということはない。だからといって、うちが会社として回らないほど数が出ないわけではないですし、それなら皆さんに喜んでもらえる方向に力を入れていったほうがいいのかな、ということで出版を決めています。
――もっと売り上げが出るゲームにリソースを割くこともできるけど、多くはなくとも必ず喜んでくれるコアなユーザーに向けて、あえてニッチなタイトルを出していくということですね。そのような姿勢でいるからこそ、テンデイズゲームズさんはゲーマーからの信頼が厚いのだと思います。
田中氏:逆に言うと、うちはそれしかできないというのもありますが。例えば、有名なデザイナーさんにお願いして、映えるイラストを入れて10万個売れるプロジェクトを動かそうと言っても、それはうちにはできないし、私にそのセンスはない。できる範囲でやっていることが、たまたまうまくいってるという感じでしょうか。でも、それが皆さんにとってプラスになったり、喜んでもらっていたりするのであれば、本当に幸せなことだと思います。
昨年から引き続き、ボードゲーム愛に溢れたイベントとなった“三鷹ボードゲームフェスタ2026”。ボードゲームという共通項で結ばれたボードゲームを愛する人たちが集まり、プレイを楽しむ。いつメン同士はもちろん、普段とは違うメンバーで遊んでみたい人も、家族で参加する人も、誰もがみんな楽しめる。そんな素敵な空間だったと思います。
テンデイズゲームズ田中氏は、継続しての開催について「前向きに検討したい」と語っています。次回以降の開催は確定していませんが、期待して待っていましょう。


