テンデイズゲームズは、東京・三鷹市に店舗を開いて今年で15周年を迎えます。区切りの年ということで、同店は三鷹市内の三鷹産業プラザにて7月12日、13日の2日間に渡りボードゲームイベント“テンデイズゲームズ超感謝祭”を開催しました。


“テンデイズゲームズ超感謝祭”は代表の田中誠(タナカマ)氏の意向で、ボードゲームで遊ぶこと軸に据えたプレイイベントとして開催。テンデイズゲームズに加え、メーカー・パブリッシャー各社が参加し、新作および先行販売品を中心とした即売会や、まだ一般発売されていないゲームの試遊まで含めたものとなりました。
前売り券は両日ともに完売。一般参加者には、筆入れ、鉛筆、色鉛筆、ダイス、鉛筆削りからなる“テンデイズゲームズ特製 紙ペンセット”と、オリジナル小冊子“掟破りの自社ゲームクロスレビュー”がお土産としてプレゼントされました(※写真左は田中氏のXより引用)。また、当日になって明かされた“3つめのお土産”もありました。なんとテンデイズゲームズ特別パッケージのプリングルス(サワークリーム&オニオン味)でした! これは予想できなかった……。


今回は、イベントの模様と各メーカー・パブリッシャーのブース、試遊卓の様子をお伝えします。また、15周年を迎えてますます意気盛んなテンデイズゲームズ代表田中誠氏のインタビューもお届け! ぜひ最後までご覧ください。
熱気あふれる会場内! 大盛況のプレイイベント
入口に入ってすぐの位置に受付とテンデイズゲームズのブースが設置されていました。物販コーナーには、田中氏の故郷・新潟県十日町市の特産品も販売。田中氏は、円滑なイベント運営のために受付から司会進行に至るまで大車輪の活躍!

会場は三鷹産業プラザ7Fの会議室を3室ほど使用。4~6人着席可能なテーブルが20卓以上配置され、参加メーカーが出展したゲームをプレイできるようになっていました。ゲームについては各メーカーのスタッフが各テーブルについて直接インストと進行を担当。逐一プレイをフォローしている姿が印象的でした。

イベントは既知のメンバーだけでなく、見知らぬ人同士が同卓してゲームを楽しむこともある、いわゆる“オープン会”に近いもの。田中氏は「いつもの仲間とは違う人と遊ぶと、また、ゲームの違った面が見えてくるかもしれません」と語っており、ゲームを通じた新たな出会いや、未知のプレイヤーと楽しむことで知るボードゲームの側面といったことまで含めて伝えられるプレイイベントとして開催したそうです。


今回の目玉ともいえるのが、ゲームプレイの結果によって獲得するスタンプを集めて行う福引。ゲーム本体などを含めた豪華賞品が用意されていました。田中氏は「ゲットできるスタンプは順位に応じて増えるため、ちょっぴり真剣に上位を目指す楽しさも感じていただけるはずです。いつもはエンジョイ派のあなたも、この日ばかりは、一点二点にこだわってみてはいかがでしょうか」とのこと。


【参加者のXポスト】
テンデイズの超感謝祭に昨日今日と参加してました。開始からずっと色々と遊び、ダルマは抽選で当たらなかったけどスタンプカードで実質無料でボドゲも入手し、楽しいイベントでした。
15周年おめでとうございます! pic.twitter.com/njMQYESI7A
— ねんそ (@phlogiston76) July 13, 2025
本日は三鷹にてテンデイズゲームズ超感謝祭に参加。沢山のゲームを遊んだりくじを引いたりで楽しい一日を過ごせました。テンデイズゲームさんが大盤振る舞いすぎて少し引くレベルでした。ゲーム4作品がくじ引きとスタンプカードの割引で無料とか! pic.twitter.com/k7DHvAkS6f
— みっきー (@even_tora3) July 13, 2025
今日は家族でテンデイズゲームズ超感謝祭に行きました✨
我が家のボドゲにきっかけになったお店✨
で、おめでとうございます㊗️沢山遊べて凄く楽しく、みんな楽しそうで最高のイベントでした‼️‼️
家族で作ったボードも置いて頂いてこのタイミングに出会えた事は凄く良い思い出になりました🥰 pic.twitter.com/LomATAogL2
— とし104@家族でボドボド (@toshikipal1) July 12, 2025
先行販売タイトルの試遊もアリ! 各メーカーのブースと試遊卓をチェック
イベントに華を添えたのが、10社におよぶ出版社の参加とプレイ卓の設置。まだ一般発売されていないゲームの先行販売や試遊卓も出展されていました。それぞれの出版社の出展ブースおよび試遊卓の様子をお伝えしましょう。
【参加メーカー・パブリッシャー(50音順)】
アークライト
イエローサブマリン
itten
オインクゲームズ
コロコロ堂
JELLY JELLY GAMES
ジーピー
数寄ゲームズ
ホビージャパン
メビウスゲームズ
※五十音順に紹介しています
※取材日は7月13日。コロコロ堂、ジーピーの2社は7月12日のみの出展となっています
アークライト

7月18日発売の新作『ヤギたちのダンス』をプレイアブル出展+先行販売。ヴォルフガング・クラマーの名作カードゲーム『6 nimmt!(ニムト)』をボードゲーム化したタイトルで、韓国PLAYTE社の製品を日本語版としたもの。ボックスを展開するとそのままボードゲームになるコンポーネントがユニーク。また、正体隠匿の人気作の新版『タイムボムQ』も試遊可能でした。こちらは7月25日発売予定。


イエローサブマリン/ホビーベース

イエローサブマリンのボードゲームブランド、ホビーベースはワーカープレイスメント『ぬくみ温泉繁盛記』のほか、バランス系、アクション系のゲームとして人気の『スティックスタック』『リフトイット!』などを出展しました。


itten

ゲームマーケット2025春の新作として登場した、1対1で心理戦を戦う野球ゲーム『Hits&Outs』を出展。5つのチームに所属して優勝を争う事前エントリーのミニ大会“テンデイズリーグ”が開催されました。


オインクゲームズ

テンデイズゲームズと同じく、今年で設立15周年を迎えるオインクゲームズ。7月17日からは青山で“オインクゲームズのボードゲーム15年展”を開催します。今回のイベントでは、9月発売予定の『小早川』新版をいち早く先行販売、試遊も可能でした。他に7月25日発売の『TRND』が出展されたほか、『ペチケ』や『ウナギかヘビか』といった準新作もプレイされていました。
オインクゲームズのボードゲーム15年展が青山スパイラルで7月17日から23日に開催! 限定グッズや『小早川』新版も発売!
https://broad.tokyo/news/41942


JELLY JELLY GAMES

クロスカントリースキーを扱った『WHITE RUNNER』をプレイアブル出展。ゲームマーケット2025春では他ブースで先行販売されていたタイトルです。協力ゲーム『クワイエットハウス』も出展されていました。


数寄ゲームズ

7月1日に発売された大作『ストゥポルムンディ』、戦車レースを扱った『アベカエサル』などを出展。メイフォローのトリックテイキング『シュティッヒルン』もプレイされていました。


テンデイズゲームズ

主催のテンデイズゲームズも数々のゲームをプレイアブル出展。バッグビルド+タイル配置の準新作『ガードリングス』や、紙ペンゲーム『ネクストステーション:パリ』、『ツカナ・ビルダーズ』といったゲームがプレイされていました。販売ブースには6月発売の『マジカブー』も並んでいました。


ホビージャパン

発売されたばかりの映画館経営ゲーム『シネマポップコーン』や、7月中旬発売のダイスロール&投票ゲーム『さいころ民主主義デメクラシー』、人気作『ハーモニーズ』などを出展。試遊も盛況でした。


メビウスゲームズ

老舗メビウスゲームズは、ブースで7月下旬発売の『おばけキャッチ たんじょうびパーティー!』を先行販売。プレイスペースでは『ニムト男爵』『ばったポーカー』などを出展、宝石職人となってネックレスを作る9月発売予定の新作『ムーンライトマーケット』の試遊も可能でした。また、田中誠氏の名にちなんで(?)ドイツ・フッフ社のカードゲーム『誠』の大会を開催しました(※なんと未発売ゲームだそうです!)。


個人出展
個人の出展による試遊も行われていました。『8ビットモックアップ』『ハピエストタウン』を送り出してきた、さとーふぁみりあは旧作の新版となる『朝まで総選挙 Reboot』のモックアップをプレイアブル出展。スーパーナンバーワンゲームスはボードゲームを制作して出版するタイル配置の大作『#スーパーナンバーワンゲームズ』などを出展しました。


テンデイズゲームズ代表田中氏を直撃! 今回のイベントのことと今後の展開を聞いてみた!
店舗開店15周年を迎えたテンデイズゲームズ。今回のイベントを企画したテンデイズゲームズ田中氏に、いろいろなお話をお聞きしました。

──テンデイズゲームズ15周年おめでとうございます。
田中氏:ありがとうございます。今回15周年ということでやらせてもらっていますが、通販業務を始めたのが店舗開店より1年前だったので、開業ということですと実は16周年になります(笑)。
──今回の周年イベントは、多くの出版社さん、さらには一般参加のお客様のご協力を得て盛大に行われております。設立の経緯などは前回お話をうかがった際にお聞きしておりますが、15年の時が流れてここまで大きな規模で周年を祝うような状況になることは想定できていたでしょうか。
田中氏:私の中で(開店時から)極端に変わったという印象はありません。それというのも、自分のなかでスムーズにアップデートしながらこれまでやってこれたという印象がありまして、テンデイズゲームズの拡大と、ボードゲームの市場が大きくなっていくのと、私自身の心持ちが大きくなっていくのがちょうどリンクしているような感覚だったんです。ここ10年、ここ5年で急に大きくなったという感じではなく、少しずつ大きくなっていったという感じですね。ですから、過去と比べて規模が大きくなった、という実感があるわけではありません。実際にそのなかにいると、毎日の少しずつの変化というものは気付きにくいものですから。
開業した当時を振り返って考えてみると、ボードゲームのマーケットは今と比較すると非常に小さくて、私がお店を始めた2010年の段階では、まだまだニッチな市場でした。私自身はひとりのユーザーとして毎日ゲームを楽しくプレイしていましたし、もっとたくさんのひとに知ってもらって、遊んでもらいたいな、と思っていました。ボードゲームが面白いものだという自信があって、期待する部分があったからこそ事業を始めたのですが、その一方で「でも大変だろうな」という不安は常にありましたね。
──今後の周年にも同様のイベントの開催をお考えでしょうか。
田中氏:ありがたいことに、今回の超感謝祭は前売り券が好評で完売しています。もっと大きいところでやってほしい、とのお声もいただいており、実際にこの場所(三鷹産業プラザ)はギリギリの広さで手狭感もあります。しかし、私としてはボードゲームというのものはやはり「遊んでなんぼ、楽しんでなんぼ」といったところがあると考えているんです。
会場を大ききくすると、それだけホスピタリティが下がり、お客様ひとりひとりに対して主催側の気が回りにくくなると思います。ですから、私としても5年後、10年後に同様のイベントをやりたいという気持ちは当然あるのですが、規模を大きくするという方向ではなく、常に等身大の心持ちでやっていきたいと考えていますね。
私がボードゲームにのめり込むきっかけとなったのが、かつて主催していた“水曜日の会”というゲーム会でプレイヤーの皆さんが楽しそうに遊んでいるのを見たことでした(※現在は“水曜日の会R”として復活開催中)。それが何よりもテンデイズゲームズの設立に後押しになった部分があるので、まずはきちんとゲームを楽しんでほしいな、という気持ちで今後のイベントも企画していきたいと思っています。
──イベントといえば、テンデイズゲームズと田中さんは合同商談会の主催や、超新作体験会への参加、“本当に面白いユーロゲームの世界”といったゲームマーケットのイベントへの協力など、様々なご活動をされています。今後新しく企画しているイベントや、その構想などはありますでしょうか。
田中氏:私は企画の話をいただくと、商売とは別のところで自分がやりたかったらやってしまう、というところがあります。そのような気持ちがあるからお客様に喜んでいただいている部分があると思っているので、面白い話があれば積極的に参加していきたいです。
最近考えている具体的なところでいうと、地方のイベントへの参加ですね。先日も九州の“ボードゲームカーニバル”に行ってきました。東京近郊は毎週のように大小何かしらのイベントが開催されている一方で、地方はイベント自体がないところもあるかと思います。まだまだうちも見送らざるを得ない状況はありますが、今後は地方のイベントにも参加していきたいな、という気持ちがありますね。地方で頑張っている皆さんとガッチリ手を組んで、仲良くやっていければ。
──今回のイベントに集まっていらっしゃる出版社さんもそうですが、田中さんがさまざまな繋がりを作って、次に繋がる関係性ができているように思います。
田中氏:ボードゲームの業界はまだ新興のマーケットで、関わる皆さんが仕事でありつつもゲームが好きだからやっている、というところが大きいと思います。皆の向いている方向が同じですから、それがいい形でマーケットに反映できているという気がしますね。
──テンデイズゲームズといえば、目利きのゲーマーが選ぶひねりの利いた海外タイトルのローカライズ、というイメージがあるのですが、今後のラインナップについて、どのような展開をお考えでしょうか。
田中氏:以前は私ひとりで出版する作品を選んでいたようなところがあったのですが、現在はゲームのことを話し合えるスタッフが増えてきました。私としてはスタッフ全員にゲームを選ぶセンスや見る目を磨いてほしいと思っていますので、それがさらにテンデイズを尖ったラインナップにしていくのか、もしくはより多くの方に手に取ってもらいやすいような方向になるのか、というのは分かりませんし、私自身楽しみにしているところです。それをお客様にも楽しみにしてもらえると嬉しいですね。
──出版するゲームは、田中さんをはじめスタッフの皆さんで話し合い、実際にプレイしたうえで決めているのですか?
田中氏:そうですね。ただし、まだまだ私のセンスを超えてくるような者はうちには出てきていないと思っていますので、完全にスタッフ任せにすることはできないという心境があります。まあ、半分は冗談ですが(笑)。
──今後に期待したいですね。では最後に、テンデイズゲームズのゲームをプレイしているボードゲーマーの皆さんに向けて、15周年ということで改めてひとことお願いいたします。
田中氏:テンデイズゲームズとしては、自分たちで選んだ面白いものを自信をもって皆さんにアプローチしていると思っています。もし少しでもテンデイズゲームズのゲームに心に引っかかるものがあれば実際に触れていただけると嬉しいですし、そこに私たちの想いが込められているということを感じ取っていただけるとさらに嬉しいな、と思います。
いかがだったでしょうか。田中氏をはじめとするテンデイズゲームズの面々、出展の出版社のスタッフ、一般参加のプレイヤーひとりひとりに至るまで、会場内にいるすべてのひとたちの熱気とボードゲーム愛を感じることができるイベントでした。
ボードゲーム好きが集まり、みんなが楽しんで、会場のあちこちで笑顔がこぼれる。運営側は「楽しんでもらいたい」、参加側は「楽しみたい」という意思が合致し、とても心地よい空間になっていたと思います。取材陣が滞在したのは長い時間ではありませんでしたが、それでもボードゲームを愛する者として、とても楽しく、幸せが詰まった時間を過ごすことができました。
コアなゲーマー向けタイトルからキッズゲームに至るまで、さまざまなボードゲームを出版してきているテンデイズゲームズ。今後もテンデイズゲームズと田中氏が世に送り出すゲーム達と、溢れ出すボードゲーム愛に注目していきたいと思います。
家に帰ってまいりました。テンデイズゲームズ超感謝祭、二日間、ありがとうございました。ゲームシーンを盛り上げることで、次の機会に向けて、また一日一日を積み重ねていければと思います。本当にありがとうございました。
— タナカ マコト (@tanakama) July 13, 2025



