【第4回】BROADスタッフが語る! 2026年4月から6月に遊んだ面白いゲーム10選~ゲムマ2026春の新作も続々登場!

2026年1月から3月のあいだにBROADスタッフが遊んだゲームのなかから、面白いと感じたゲームをピックアップ

アン:BROADライターのアンです。BROADスタッフが遊んだゲームのなかからオススメのタイトルをご紹介する企画をお届けします。今回で第4回。2026年4月~6月の3カ月間が対象です。

ムネタツ:BROAD編集長の松井ムネタツです。

アン:この記事で名前を挙げるゲームは、以下のルールにのっとってご紹介するものです。

・2026年4月から6月までプレイしたボードゲームのなかで面白かったもの
・できるだけ初プレイのゲーム(新作とは限らない)
・上記の中から面白かったゲームを5つずつ挙げる。紹介順は順不同で、タイトルごとに順位をつけるものではない
※ここでご紹介するタイトルは、あくまでも個人が「面白いと感じた」ものとなっています。
※紹介タイトルのメーカーについて、日本語版がある場合はそちらを優先して記載しています。

『ステラ・フロンティア』

協力ゲームのいいとこどり! 完成度高くまとめあげたダイスロール

アン:では今回は自分から。まずは『ステラ・フロンティア』(くじらだま)。プレイヤー全員で力をあわせて宇宙開拓に臨む協力型のダイスロール&デッキ構築です。今年1月のBGBE(Board Game Business Expo Japan)で先行販売されて好評を博し、先日のゲームマーケットでも人気を集めました。

プレイヤーは手番にダイスを振り、複数のダイスの目を条件通りに合わせてミッションをこなすことを目指すのですが、それが難しい場合はカードを購入してデッキを強化していきます。カードはダイスの出目を増減したり、操作したりするような効果を持つものがあるので、次の手番以降にうまく手札を使ってミッションをクリアしていくわけですね。

手番ごとに振るダイスは基本的に6個。ミッション遂行のために求められる目は、例えば同じ目を4個ですとか、1~6の目を1個ずつといったように、そのままでは難しいものばかり。一方で、酸素量という数値があり、これが各人の手番ごとに減少していってゼロになるとミッション失敗になるため、酸素の残量にも気を配り、不足するようなら増加させることも必要です。

ムネタツ:酸素残量がある協力ゲームというと、『月面探険』みたいだね。

アン:自分は『パンデミック』のダイスゲーム(『パンデミック:完全治療』ホビージャパン)や、カナイセイジさんの『エイトエピック』(カナイ製作所)が近いという印象を受けました。こういったダイスロールの協力ゲームのいいところをうまく融合し、高い完成度でまとめあげた感じ。コンポーネントは少なめですが、やりごたえ十分でした。

ムネタツ:ミッションに必要なダイスは、全員でちょっとずつ出していってみんなで達成するという感じ?

アン:いえ、求められる条件をひとりのプレイヤーが1回の手番で振ったダイスだけで達成しなければなりません。先の「1~6の目を1個ずつ」を例にすると、6個のダイスを振って、手札で数字を調整して必要な目を自分の手番のあいだだけで揃える必要があるということです。もちろん簡単に達成できるものではないので、手札を強化してある程度出目を操作できるようにしないと難しいです。

難度は高いのですが、プレイ時間45分~60分とさほど長くないし、プレイするたびに理解が深まって「次はクリアできる!」と何度も繰り返してしまう

ムネタツ:これまでくじらだまさんが出してきたゲームとはかなり毛色が違うようだね。

アン:軽めのゲームの印象が強かったのですが、『ステラ・フロンティア』がかなりの本格派だったので驚きました。今回のゲームマーケットでオインクゲームズさんからリリースされた『流氷の航路』の元版である『バロニズモ』(2025年)を出したサークルさんでもありますし、今後も注目していきたいですね。

『32LDK』

小粒でもピリリと辛い、ミニマムゲームのエッジな最新型

ムネタツ:自分の1本目、すでにいろいろな人が話題にしているゲームだけど、『32LDK』(ロクジゾー)です。ロクジゾーさんは『ラーテル』『13月32日』と話題作を連発していて、さらに今回の作品が出てきた。

アン:カードを1枚出して、場より大きい数字が出せなかったから場の札をすべて引き取る、というルールはゴーアウトやハンドマネジメントとしてはわりとオーソドックスなのですが、それ以外の部分はかなりひねりがきいている。

ムネタツ:これはもう、本当にルールに対しての感心しかない。面白いのはもちろんなんだけど、それよりもまず感心しちゃうということのほうが先に立つ。1から32の数字が書かれたカードだけで、これほど面白いゲームが作れてしまうのか、という。

アン:実は1から32のユニークカードというところは前作『13月32日』とまったく同じなんです。フレーバーやアートワークは変わっていますが。

ムネタツ:場の裏向きのカードがすべて表になったら終了というルールが秀逸。単に前の数字よりも大きい数字のカードを出すという大富豪タイプのゲームかと思いきや、この終了トリガーのルールのおかげで、次第にヒリヒリするチキンレース感が出てくる。

さらに、他のプレイヤーの手札から出すこともできる。だから誰がどのカードを持っていったか、ということを覚えておくのも重要。場の数字より大きい手札がなくて、でも場にあるカードは引き取りたくない。そんなとき、そういえばこのプレイヤーはさっき30のカードを引き取っていったな、と思い出せればギリギリしのげるかもしれない、という。

アン:大事にもっていた大きい数字のカードを他の人に出されて、自分の考えていた流れが台無しになってしまったり。

ムネタツ:順調に手札が減っている人は終わらせたいからどんどん場の札をめくっていく。一方で、残った手札がマイナス点になるから手札が多い人は粘りたい。誰が終了トリガーを引きたがっているのか、誰が最後の場のカードをめくるのか、というところにも駆け引きがあるし、本当によくできてるな、と思ったんだよね。

アン:昨年のベストゲームの記事で自分が『13月32日』を挙げて似たようなことを話しているのですが、これ以下にはならないというほどの小さなコンポーネントに、これだけ内容が濃いゲームを詰め込んでいる。カードは1から32の数字だけだから、言い方は悪いですが「よくあるゲーム」のように思えるのに、やってみると斬新さに驚かされるんです。

今回、アートワークにもかなり気を使っているなと感じましたが、とにかくルールの完成度が高い。メカニクスを突き詰めて作ったゲームという印象です。

ムネタツ:カード出し切り系のゲームは、ひとつ間違ってしまうとぐだぐだになってなかなか終わらなかったり、膠着してしまうことがあるんだけど、『32LDK』は極限までシンプルに作っていながら1プレイを短くまとめていて、そのうえで最後までヒリついた展開が続く。いやー、よくできているな、と、ひたすら感心しました。

『おきざり島のバイキング』

早取りとセットコレクションのジレンマ爆発! コマとタイルの二重配置ゲーム

アン:自分の2本目は、4月発売のアークライトさんの『おきざり島のバイキング』。原題は英題『Looot(ルート)』、独題『Neuland(ノイラント)』。2025年のドイツ年間ボードゲーム大賞エキスパート部門の最終リストに入ったタイトルです(※受賞は『エンデバー:ディープ・シー』)。

プレイヤーはバイキングとなって無人の島を侵略していきます。共通の全体ボードに海賊コマを配置して置いたマスの地形タイルを獲得し、それを個人ボードのほうに配置していく、二重の配置ゲームです。

ムネタツ:全体ボードと個人ボードがあるのか。全体ボードは固定のマップなの?

アン:全体ボードは4つのヘクスマップを組み合わせて縦長に作るモジュラーボード形式で、『エルドラドを探して』のものに近いと思います。ここに海賊コマを配置していくのですが、置けるマスは開始地点もしくは誰かが置いたコマに隣接する空きマスで、どんどん島の奥へと進んでいく感じ。

全体ボードと個人ボードは連動していて、個人ボードに置くためのタイル(資源タイル)を全体ボードで獲得していきます。全体マップの配置は資源の獲得が目的となるのですが、取りたい地形が先に他人に取られちゃったり、逆に誰かに地形を渡したくなくて自分が取ったり、といった駆け引きが生じるんです。

ムネタツ:なるほど、そうなると「こっちに延ばすと、次の手番のあいつがこの地形取っちゃうな」といったことも考えなくてはならないんだな。

アン:このゲームの特徴として、いくつかある先取り要素の得点が高いです。ただ、個人ボードのセットコレクションを重視したり、高得点に絡む地形の獲得を意識していると先取り勝負に遅れがちになる。どちらを優先するか、場面ごとの判断が大事です。

全体ボードではインタラクションが強い先取り対決、個人ボードではパズル要素が強いセットコレクションが展開し、二重配置によってゲーム性が違うふたつの勝負が繰り広げられる。プレイ中はずっとジレンマに悩まされる感じで、だからこそ思惑がぴったりはまるとスカッと気持ち良くなれるのですが。

ムネタツ:プレイ時間が35分程度ということだけど。

アン:エキスパート部門の最終候補としては短い部類に入るのでしょうが、密度が高いプレイ体験ができると思いますね。自分としてはユーロの正当な進化形というイメージで、かなり好きなタイプのゲームだと感じました。

ムネタツ:元版の出版社はフランスのギガミック。デザイナーもフランスの人なんだね。

アン:最近はフランスのゲームもかなり強くなっていますね。アスドール(フランスのゲーム賞)は宮野さんの『TRIO』の受賞で改めて注目された感じですが、個人的には『オリフラム』『アクロポリス』などの好きなゲームが受賞していますし、注目しているSTUDIO Hなどの出版社もあるので、フランスは熱い気がしています。

『隅田川レッドタウン』

裏切りには要注意!? 8種の縛りのなかでカードを出していく変則大富豪

ムネタツ:次は『隅田川レッドタウン』(サニーバード)。元は2023年にゲームマーケットで販売された『隅田川』(ましかまる)といういうゲームで、それをサニーバードさんがリニューアルして正式に製品化したタイトル。

ゲームとしては、赤黒のふたつのスートがあるカード出し切りの、いわゆる大富豪系。前のプレイヤーが出した数字より大きい数字出していき、全員がパスしたら流れて、カードを出し切った人が勝利。ただしカードを出すときのルールに特徴があって、その縛りが8種類ある。で、他の人がすでに出した縛りはもう選べない。例えば、「黒のスートを1枚だけ出す」という縛りの場所に誰かがカードを出したら、後に続くプレイヤーはその縛りは使えないから、まだ空いている他の場所に出さなければならない。

アン:大富豪だと、同数字や連番の複数枚出しがあると続くプレイヤーも組み合わせと枚数を同じにして出さないといけないのですが、このゲームは逆に同じ組み合わせで出すのはダメだと。

ムネタツ:だから、自分の手番が来た時に前のプレイヤーが出した数字より大きい数字のカードは持っているんだけど、その縛りのせいで「出せないよ!」となって、パスするしかなくなる、という局面が結構あるんだよ。

そのもどかしさ、悩ましさに加えて、もうひとつ特殊なルールがある。このゲームにはどの数字にもできる、トランプのジョーカー的なカードとして“殺し屋カード”というものがあり、開始時に赤黒各2枚ずつ持っているんだけど、この使い方がかなり変わっている。

ラウンド開始時、自分は殺し屋カードを入れたいかどうかを一斉に宣言するんだけど、このとき殺し屋を入れたいプレイヤーが複数人いた場合、その人たち同士ですべての手札を交換しなければならない。

アン:殺し屋を使いたい人がひとりだけだったらどうなるんですか?

ムネタツ:そのときは、その人は好きな枚数の殺し屋カードを手札に加えられる。だから、手札が弱いときは交換を狙って殺し屋の使用を宣言し、その弱い手札を誰かにおしつけてしまうことができるし、宣言したのが自分ひとりだったら殺し屋を何枚も入れて手札を強くすることができる。

アン:それでも、バッティングしたときに手札全部交換というのはかなりきつい気がします。

ムネタツ:そこも含めて、かなり特殊なプレイ感がある。ラウンドの頭から、手札交換全部するかもしれないという駆け引きが始まって、その後に出せる縛りが狭まっていく出し切りの大富豪。ちょっと今までにない感覚のゲームで、とても楽しかったね。

『ホットストリーク』

激突! 転倒! そして気絶! 阿鼻叫喚の着ぐるみレース開幕

アン:続きまして自分の3作目、『ホットストリーク』(数寄ゲームズ)。これは着ぐるみ4人による直線レースを扱ったゲームで、プレイヤーは誰が1位になるかを予想して賭けるレース&ベッティングです。ゲームマーケットでの販売と後日の通販分は、あっという間に売り切れました。

日本語版は、価格が6600円。これだけ見ると少し高く感じるかもしれませんが、大きなフィギュアのコマ4体をはじめ、表彰台を兼ねたボックスや、巻き取り式で収納されたビニールシートのコースなど、コンポーネントが非常に凝っているので、この値段で出たことが驚きです。

ムネタツ:ゲムマでは早々に売り切れてしまったという話を聞いたな。特に初日は午前中になくなっていたから、一般入場の人は買えなかったとか。

アン:前評判が非常に高いゲームでした。海外版の発売が25年5月で、昨年の段階ですでにドイツ年間ゲーム大賞の有力候補と言われていましたから。2026年の同賞の最終候補にはノミネートされませんでしたが、推薦リスト入りはしています。

ゲームとしては、ある程度固定された内容の山札からカードを引き、4人のキャラクターののうち対応するものがカードに書かれた数字のぶんだけ進んでいくすごろく式。レース前にどのキャラクターが勝つかベットし、予想が当たると払い戻し金を獲得、3レースを行って最終的にもっともお金を持っていた人が勝利です。

ムネタツ:これ、確か対応人数がかなり多いんだよね。遊んだときは何人だった?

アン:自分は4人と5人でプレイしました。レースは4体の着ぐるみキャラクターが行い、プレイヤーはそのキャラクターたちにベットする立場になります。

誰に賭けるかは、投票券をドラフトでひとり2枚獲得(1巡目時計回り、2巡目反時計周りの、いわゆるスネークドラフト)していくことで決まるのですが、投票券の枚数は全部で18枚。ひとり2枚で最大9人までプレイ可能ということになるのかと思います。

ムネタツ:サイトを見ると、プレイ人数は2人から9人以上と書いてある。ゲーム会でプレイするという話になったとき、4人だと少ないと話していたのを聞いたので、多いほうがいいのかと。

アン:9人も可能なんですか。人数が多いほうが、わちゃわちゃして楽しそうですね。ただ多すぎると投票の選択肢が狭まってしまうので、6人ぐらいがちょうど良さそう。

レースで使うカードの内容はあらかじめ公開されるため、それぞれのキャラクターたちがどのぐらい進みそうか、おおよその予想が可能です。しかし、開始前にプレイヤーがひとり1枚ずつ自分しか知らないカードを山札に混ぜ、さらにシャッフルをかけるため、期待した展開になることはほとんどありません

ムネタツ:運要素が強いということ?

アン:このゲーム、とにかく何が起こるか分からない。いちおう順位を予想してベットするわけですが、着ぐるみたちは後ろから衝突されると転倒するし、転倒した状態でさらにぶつかられるとリタイアしてしまう。なぜか逆向きに走り出すなんてこともある。カードを1枚めくるたびに悲鳴と歓声があがって、爆笑必至の展開になります。

ムネタツ:みんなでワイワイと騒ぎながら、アクシデント込みのレースを楽しむゲームなんだね。

アン:かなりパーティーゲーム寄りの内容で、戦略的に勝ちを狙っていくというタイプではないです。でも鉄板で盛り上がる。自信をもってオススメできるゲームですね。

『リーダーズ』

ユニーク能力を持ったユニットを集めて自軍を編成! シナジー効果を作り出して敵を追い詰める2人対戦型戦略ゲーム

ムネタツ:次に僕のほうの3作目、JELLY JELLY GAMESの『リーダーズ』

アン:2人対戦型の戦略ゲーム。元版の出版は先にも名を挙げているフランスのSTUDIO H社です。

ムネタツ:それぞれが固有の特殊能力を持った自軍のユニット(コマ)を動かして、相手のリーダーを追い詰めていく。チェスや将棋に似ているんだけど、違う部分としては、このゲームは手番で自軍のすべてのユニットを動かせる。

アン:ボードゲームでは珍しい気もしますが、ウォーゲームでは一般的なルールですね。

ムネタツ:このゲームは敵のユニットを取って盤面から取り除くということができない。だから、ある程度ゲームが進行すると特定のエリアにお互いのユニットが密集していく感じ。で、相手のリーダーに自分のユニットをふたつ隣接させたほうが勝ちになる。

もちろん、相手も手番に全部のユニットを動かすことができるわけで、どう攻めていけば勝てるのか、相手はどう動いてくるか、という部分を考えるのがすごく楽しい

アン:多少の運要素もあるんですよね。

ムネタツ:自分の手駒は、最初はリーダー1体のみで、そこに4体の仲間を加えていく。最初の数ターンは、場に出てきたユニットを自軍に加えて編成していくんだけど、その選択のときにどのユニットが場に出てくるかは運になる。

アン:お互いが5コマ目を獲得して戦力が固まると、そこからはランダム要素がなくなる。完全にアブストラクトの勝負が始まるというわけですね。となると、確定した勝利への道筋というものができてくると思いますが。

ムネタツ:お互いの戦力が毎回違うし、判断に必要な要素が多くて状況が複雑だから、将棋やチェスのように「こうやったら相手は絶対に受け切れない」という流れを作るのはちょっと難しいのかな、と思う。

最初からすべてのユニットを候補として獲得できるという拡張ルールもあって、これを採用すると運要素は完全になくなってガチの勝負になるね。ゲームに慣れてきたらこちらのルールでプレイするのも楽しそう。

アン:それぞれのキャラクターの特性を理解したら、拡張ルールのほうが面白そうです。

ムネタツ:よりアブストラクト感が高まる。すべてのキャラクターをとりあえず触ってみて「なるほど、このユニットはこんな感じに使えるんだな」とお互いが理解したうえで、拡張ルールでやってみようか、というところまで遊び込めると楽しいのではないかな。

「このキャラとこのキャラを組わせると強力なシナジー効果が得られる」「相手がこのキャラを取ったらこちらはこれを取って対抗しよう」「そんな作戦があったのか!」……といったように、似たレベルの相手と遊ぶとお互いのプレイが進化していって、ずっと楽しめそう

アン:1回や2回やって分かるというゲームではないですよね。プレイが15分程度と短いこともあって、何度も遊ぶことを前提にしている気がします。

ムネタツ:こういうゲームが好きな人は絶対に気に入ると思う。コンポ―ネントも豪華で、見て、触って楽しい。そのぶん2人用としては価格がやや高め(税込4950円)になっているけど、ガチ対戦寄りの戦略ゲームを探している人に、ぜひプレイしてもらいたいです

『CONDUCTORS(コンダクターズ)』

モンスター娘たちと冒険の旅へ! 2つのコマを進める進化形すごろく

アン:次はハレルヤロックボーイさんの『CONDUCTORS(コンダクターズ)』。ゲームマーケット新作です。このサークルも『ゴーアウトガール』『テーブルトップクライマー』と注目作を出してきて、この2作はどちらもカードゲームだったのですが、『コンダクターズ』はプレイ時間1時間級の本格派タイトル。

ゲームとしては、ファンタジーの世界観のなか、カードをプレイして2つのコマを進めていくすごろくタイプです。2つのコマはどちらを進めてもよく、このあたりは『パークス』を思い出しました。

特徴は、それぞれが特殊な能力を持つモンスターの案内人をひとりつけるというところ。案内人のモンスターはすべて女の子で、イラストの可愛さがゲムマ前に話題になっています

ムネタツ:これもすごろくタイプのゲームなんだね。いま見てみたら、このゲームも完売して再販の準備中とのことだった(※7月13日現在再販され、一部サイトやBOOTHにて販売中)。

アン:コマは手札を使って進めていくのですが、手札の補充は止まったマスでたまにできるぐらいで、基本的には減るばかり。ではどうやって増やすかというと、案内人を交代させることでモンスターごとに設定された上限の枚数まで補充できます。交代には1手番を使うため、どのタイミングで代えるかも重要です。

モンスターごとの特殊能力も多彩で、例えば止まったマスでリソースを得られたり、最下位だった場合にひとつ前の順位のコマのマスまで一気に進んだり、とさまざま。状況に応じたモンスターを雇用していくことも大事になりますね。

勝利条件は、リソースを交換して得られる3色のジュエルによるセットコレクションが主。ゴールすると早取りボーナスに加えて手持ちのジュエルを勝利点と交換できます。誰かが2つのコマをゴールさせると終了トリガーが引かれ、最終的にもっとも勝利点が高いプレイヤーの勝ちです。

ムネタツ:このゲームはボードがないの?

アン:コマを進めるルートは、モジュラーボード的にカードを組み合わせて作ります。

ムネタツ:じゃあマップは毎回変わるのか。

アン:マップの構成の変化でプレイに大きな差異が出るゲームではないですが、案内人の選択も含めて状況は毎回変化するので、リプレイ性はかなり高いと思います。メインボードをカードにすることでコンポーネントを抑えていて、ボックスは小さい。でも中身がギュッと詰まっている。

プレイ時間30分となっていますが、4人でやったら1時間はかかりました。入り口は「モンスターの女の子が可愛いな」というところかもしれませんが、遊んでみると非常にしっかりしたプレイ感があるゲーマーズゲームという印象です。

『アイムザCEO!』

企業内の戦い! 過労に倒れるのは労働者か重役か? 名作トリックテイキングを新フレーバーでリメイク

ムネタツ:僕の4作目、『アイムザCEO!』。これは昨秋のゲームマーケットで数寄ゲームズさんから出ていたカードゲームです。ゲムマの取材をしているとき、数寄ゲームズのブースでスタッフさんがお客さんに「トリテ好きなら絶対にやっておくべき!」と強烈プッシュしていて、自分も気になって買ってしまった(笑)。

アン:これは自分もプレイしています。ビットありのトリックテイキングですよね。マストフォロー、切り札ありのオーソドックスなタイプ。

ムネタツ:手札を配られた段階で何回トリックを取れるか予想するんだけど、勝つ数だけじゃなくて、どのスートで何回勝つかをスートごとに考えなくてはいけないというところが悩ましい。

それと、予想のときにビットせずに「CEOになる!」という宣言もできて、そうした場合は他のプレイヤーの予想が外れるようにすると得点を獲得できる(厳密にはマイナス点を押しつけられる)。ビット数がどうこうではなく、プレイの目的がいかに他のプレイヤーの邪魔をするかということになって、その非対称性も面白い。

アン:リメイク作品なんですね。元版は2003年発売の『七つの印』か。フレーバーがかなり変わって、会社を舞台に展開する労働者VS重役、みたいな味がついてる。レトロフューチャー感があるアートワークも素晴らしいです。

ムネタツ:プレイ感としては同じビットありのトリテ『スカルキング』に近いんだけど、さらにルールを細かくした感じ。かといってルールが複雑になっているわけではなく、より高度な駆け引きができるようになっていて、確かに数寄ゲームズさんが言う通りトリテ好きならプレイしておいて損はないな、というゲームだね。

『魔法少女の罪』

飛び交う魔法! 光と闇のバトル! 脱落無しのオルタナティブ人狼ゲーム登場

アン:では自分の5作目。プレイレポートをやらせてもらった『魔法少女の罪』(ヨフカシプロジェクト)です。これもゲームマーケット新作ですね。全8人の魔法少女が白陣営と黒陣営に分かれて戦うという、招待隠匿系のゲームにバトル系魔法少女のストーリーが乗ったゲームになります。

61種類の魔法が飛び交う超進化版“人狼”! 春ゲムマ話題作『魔法少女の罪』先行プレイレポート

正体隠匿の代表格である『人狼』では狼プレイヤーが村人を喰いますが、このゲームは全員が手札の魔法を使って攻撃したり、占いで誰かの陣営を確認するなど、魔法少女ならではのアクションが可能です。特徴としては、陣営のシャッフル。全4ラウンドを戦うのですが、それぞれのラウンドごとにプレイヤー全員の所属陣営が毎回変わります。そして、最終ラウンドの勝利陣営に所属していたプレイヤーがそのまま勝者になります。

ムネタツ:各ラウンドの最初は、情報が少ない状況で殴り合わなければならない。

アン:黒陣営は開始前にお互いを確認して知っているのですが、白陣営は誰が味方で誰が敵かが分からないから、各人の行動などから予測して行動する必要があります。

陣営には非対称性があり、白陣営は人数が多く、多少雑に行動しても味方同士が連携できればカバーできる。一方、黒陣営は人数が少ない代わりに最初から味方を知っているうえ、生き残ったときに得られるポイントが多く、誰も戦闘不能にならなかった場合は黒が勝つようになっています。このため、白陣営は積極的に行動して黒陣営の魔法少女をあぶりだし、戦闘不能に追い込む必要がある

ムネタツ:このゲームの最大の特徴は、ローグライク要素(強化を引き継ぎながらプレイを繰り返す)があるということ。

アン:ラウンド終了時は生き残っているプレイヤーごとに陣営に得点が入り、多いほうが勝利。このとき勝者、敗者ともに強力な手札を入手するのですが、これがローグライク要素になります。これは勝敗によって傾斜があり、勝った陣営は2枚もらえますが、負けた陣営は1枚です。

ムネタツ:攻撃を受けてライフがゼロになると戦闘不能という状態になるけど、脱落はしないんだよね。次のラウンドでは復活して参加できる。

アン:ディレクションを担当したドロッセルマイヤーズ渡辺範明さんは、人狼が持つゲーム的な弱点を無くしたとおっしゃっていますね。人狼では喰われたり追放されたりして脱落したプレイヤーは以後プレイに参加できないので、手持ち無沙汰になってしまいますが、このゲームはそのようなことにならない

それと、もうひとつ特徴的なシステムとして、溜めたマナ(魔力)を一気に消費すると可能となる“変身”があります。変身時に強力な固有魔法を行使できることに加え、生存時に得られる得点が2倍になる大きなメリットがある。このため、それぞれの陣営では誰を守り、誰を変身させるか、といった戦略の共有が重要になります。

ムネタツ:「なぜあの人は、あの魔法をあの人に使ったんだろう?」「変身したあの人はどっちの陣営なんだろう?」といったことを推理して、相談タイムに話し合っていくのが楽しい。そのあたりは正体隠匿、人狼系の醍醐味でもある。

アン:毎ラウンド、手順ごとにそれまで得た情報や勘を頼りにして、白陣営は黒陣営の特定と排除を、黒陣営は潜伏と変身を目指す。状況は刻一刻と変わり、場面ごとの判断が重要になる。まさに進化形の人狼といえる内容になっています。プレイヤー人数5人からと、プレイのハードルは少し高いのですが、人狼や正体隠匿が苦手というゲーマーにこそ遊んでほしい。物語性があるフレーバーと個性的な魔法少女たち(とお供)、そして美しいイラストも注目のタイトルです。

『FALLING(フォーリング)』

“頂点から基部へと登り詰める”崩れ行くサカサマの塔で繰り広げられる資源獲得戦争

ムネタツ:最後は『フォーリング』(サニーバード)。空からさかさまの塔が降ってきて、崩壊する塔の頂点部分から上に登っていくという、凄まじい世界設定が組み込まれたゲーム

ボード上には5つのフロアが見えていて、ラウンドごとに下2つ分のフロアが崩れ落ちて、新しいフロアが上に2つ追加されていく。その各フロアに、デバイス(ワーカー)のコマを置くと勝利点や資源を獲得できて、それを繰り返して最終的にもっとも勝利点を稼いだ人が勝ち。

プレイヤーはデバイスをたくさん持っていて、それを各フロアにどんどん置いていく。デバイスは置いたときだけでなく、フロアが崩れて戻ってきたときにも勝利点や資源をもたらす。

アン:ワーカーが戻るまでに時間差がある“遅効性ワーカープレイスメント”『ツォルキン』『フロマージュ』を思い出しますが、このゲームは行くときと戻ってきたときの両方に恩恵があるのか。

ムネタツ:デバイスを上のほうのフロアに置いてしまうと崩れるまでに時間がかかってなかなか戻ってこない。帰ってくるまで何ラウンドかかるかというのも考えながら派遣する必要がある。さらにフロアを上がるには資源と手番が必要。それでも、まだ誰もいないところを先に抑えて、いい資源と勝利点を取っていくためには、決断が必要な場面がある

それと、デバイスには種類があって、性能が高いものを派遣するためには多くの資源を消費する。どのデバイスを、どの順番でどこに派遣するかも悩みどころ。あとは、ラウンド開始時にプレイヤーごとに配られるカードがあって、資源の変換などができるようになる。勝利点に換えたり、欲しい資源に変換したり、とさまざまな効果があるので、このカードも勝敗を左右する要素のひとつ。

どんどん資源を変換して、どんどんデバイスを送り込み、ガンガン勝利点を獲得していく。そのサイクルが心地よい。

アン:デザイナーは『老子敬服』『ハリコッツ』矢沢賢太郎さんですね。

ムネタツ:崩れる塔がさかさまに落ちてくるフレーバー、それにリンクしたフィールドの構成と更新、下から上に上がっていくだけで資源と手番を使うアクションの重さ。どこからどこまでも、よくこんなメカニズムを思い付くな、と。重いゲームを作る人の頭の中はどうなっているんだろう(笑)。

アン:フレーバーが先だったのか、メカニクスが先だったのかが気になりますね。このゲームは発売前から注目度が高くて、昨秋のゲームマーケットでも外国からいらしたかたがサニーバードのたいらさんにいつ発売になるのか念入りに確認していた姿を見かけました。

矢沢さんは今回のゲームマーケットの新作として『ファジョーリ』というハンドマネジメント&バーストのカードゲームを出していて、これも自分は印象的だったんです。リリース数が多いデザイナーさんではありませんが、珠玉作揃いという気がしますね。


今回は期間中にゲームマーケット2026春の開催されたこともあって、10作中7作がゲムマ新作となりました。メーカーやパブリッシャー、サークルに至るまで、ゲームマーケットにはデザイナー肝いりの新タイトルが勢ぞろいします。改めて、現在の日本のボードゲームシーンは、年2回のゲームマーケットを中心に回っていると痛感するところです。

BROADでは、今後もスタッフおススメのゲームをご紹介していきますので、皆さんがプレイするゲームの参考にしてもらえれば、と思います。

<今回紹介できなかったゲーム>
以下のタイトルも検討されたのですが、泣く泣く記事内の10作が選ばれました。いずれもオススメできるゲームなので、名前だけでも挙げておきます(順不同)。

ムネタツ:内侍/レイルウェイ・ポーター/ゴットファイブ!/デュアリス/ペチケ/カブラン

アン:魔法にかかったみたい/ボスファイターズQR/ウイングスパン(拡張:中南米の翼含む全部入り)/ローディパートナーズ/エチエチスキンデスマーチ/題名取札カルタム/モフチップ/ファジョーリ/キンドロ/チェルノーゼム/ボルドーの丘/Snowball snowball/エトコトバトル