名作連発! 『ペンギンパーティ』や『ヘックメック』など、ジレンマが詰まったライナー・クニツィアのボードゲーム入門編 おすすめ5選

当代きってのボードゲームデザイナーとしてよく名が挙がるのが、ドイツ出身のライナー・クニツィア氏です。多作で知られ、活動を始めた1990年代から現在に至るまで毎年新作がいくつかリリースされ続けているボードゲーム界の巨人で、愛称は数学の博士号を持つことから“プロフェッサー”。特に競りゲームの名手と呼ばれています。

作品数が多く、そのなかには『バトルライン』『ヘックメック』など、どこのボードゲームカフェやプレイスペースにも置いてあるような定番タイトルもたくさん含まれます。彼のことを知らなくとも、彼の作品の名を聞けば、プレイしたことがあるという人もいるのではないでしょうか。

今回は、ライナー・クニツィア氏の作品のなかから、特にルールが易しかったり、プレイ時間が短かったりするライトなタイトルを“入門編”として5本ほどご紹介しましょう。

シンプルだけど悩みどころがバッチリあるカードゲーム

ペンギンパーティ

ペンギンのカードをピラミッド状に並べていくカードゲーム。ただし、ペンギンの色を下のカード2枚のどちらかと同じにしなければなりません。手札のペンギンの色が場と合わなくなって出すことができなくなったプレイヤーから脱落していき、生き残ったプレイヤーが勝利となります。

ルールはこれだけなのですが、手番で自分の手札のどれを出し、どれを残すかの判断が難しい。出すつもりだった場所を他人に抑えられてしまったり、逆に自分が他人のルートを先回りして潰したり、と一筋縄ではいかない戦略性があります。

シンプルなルールで子どもでもプレイ可能。6人まで遊べるので、持っているといろいろな場面で重宝するゲームです。

ペンギンパーティ 概要】
メーカー:ニューゲームズオーダー
プレイ人数:2~6人
対象年齢:6歳~
プレイ時間:~30分

ラマ

1~6の数字と“ラマ”のカードを使ってプレイする、手札出し切り系のカードゲーム。手番で出すことができるのは、場にあるカードと同じ数字か、ひとつ大きい数字のカードのみ。ラマのカードは、場の数字が1か6のときに出すことができます。

手番でできるのは、カードを出すか、山から1枚カードを引くか。もしくは、パスをしてそのラウンドのプレイを終えることができます。誰かが手札を出し切りか、全員がパスするとラウンド終了。残った手札はマイナス点になり、特にラマのカードを残してしまうと大きな失点をくらってしまうことに。

どの手札を出すか、それとも引くか。手札を出し切ることができれば+10点のボーナスがあるのでそれがベストなのですが、難しいようならどこかのタイミングでパスして降りるのも手です。シンプルながらも場面ごとにいくつも選択肢が存在し、シビアな判断が求められるタイトなカードゲームです。

ラマ 概要】
メーカー:メビウスゲームズ
プレイ人数:2~6人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:~30分


インフェルノ(2016年版)

最初のプレイヤーが出したカードと同じ色か同じ数字の手札を場に出していく、オーソドックスなカードゲーム。出す札がない場合や、出したくない場合は場に出ているカードを引き取ります。カードは1枚につきマイナス1点となり、最終的にもっともマイナスが少ないプレイヤーが勝利します。

ただし、カードの中には“インフェルノカード”と呼ばれる赤いカードがあり、これを引き取ってしまうとカードに書かれた数字がそのままマイナス点になってしまいます。いかにしてインフェルノカードを引き取らずにやりすごすか、手札と相談しつつ判断していかなければなりません。ルール自体は非常にシンプルですが、悩みどころがしっかりとあるゲームです。

元版は2014年発売。テンデイズゲームズが2016年に出した日本語版は、カードゲームとしては珍しいセクシーなイラストが印象的。また、2024年にテーマとアートワークを一新した新版『Zupa z trupa(しかばねスープ)』がポーランドで発売されており、少数ですが和訳説明書付きで輸入されています。

インフェルノ 概要】
メーカー:テンデイズゲームズ
プレイ人数:3~7人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:~30分

鉄板で盛り上がる進化形坊主めくり

だるまあつめ

1から10の数字が書かれただるまのカードを1枚ずつ引いていく、坊主めくりにマジョリティの要素を加えたカードゲーム。

プレイヤーは手番に好きなだけカードを引けるのですが、手番中に同じ数字のカードを2枚引いてしまうと失敗となり、引いたカードをすべて捨てて手番終了。失敗する前に引くのやめると、引いたカードは「予約」となり、次の自分の手番が回ってくると初めて得点になります。しかし、続く他のプレイヤーが予約のだるまと同じ数字を引くと奪われてしまいます。

カードを引き続けるワクワクと、どこでやめるかのシビアな判断、そして手番を終えたあと自分のカードが奪われるかどうかのドキドキがとても楽しい! カードをめくり、誰かが(欲張って)失敗するたびに歓声があがる、極限までシンプルながらも鉄板で盛り上がるパーティゲームです。

だるまあつめ 概要】
メーカー:テンデイズゲームズ
プレイ人数:2~6人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:~30分

ダイスロールで度胸&運試し!? チキンレースの傑作

ヘックメック

専用サイコロを振り、出た目の数字のイモムシのタイルを奪い合うダイスロールゲーム。プレイヤーは1~5の数字とイモムシの目がある専用ダイスを8個振り、好きな数字のダイスを確保して残ったダイスを振り続けていきます。ただし、すでに確保している目は選択できず、振ったダイスのすべての目がすでに選んでいた数字だった場合は失敗になってしまいます。

どこかのタイミングでダイスの振り直しをやめたら、そのとき出ているダイスの目の合計と同じ数字のイモムシタイルを獲得(イモムシの目はひとつ5と数えます)。これがポイントとなります。イモムシタイルは21から36までの16枚。もしダイスの目が他人が最後に獲得したタイルと同じ数字だった場合は、そのタイルを奪って自分のものにできます。ただし、ダイスロールに失敗した場合は獲得しているタイルを1枚場に戻さなければなりません。

たくさんのダイスを振るのが楽しく、爽快……なのですが、振るたびに続けるかやめるかの決断をしなくてはなりません。ドキドキハラハラの勝負が展開する、チキンレースタイプのボードゲームの代表作のひとつです。カードゲーム版の『ヘックメック カード』も登場しています。

ヘックメック 概要】
メーカー:メビウスゲームズ
プレイ人数:3~7人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:~30分


今回は“入門編”と銘打っているように、ボードゲームのプレイ経験が浅い人でも遊びやすく、対応人数が多いライトなパーティーゲーム寄りの作品を中心にご紹介しました。

たくさんの作品を送り出してきたクニツィア氏のタイトルは、ジャンルやメカニクス、プレイ人数、難度、プレイ時間のどれもが多様性に溢れて変幻自在。むしろ特徴がつかみにくいことが特徴かもしれません。しかし、彼のゲームはどれもシンプルで、さらに一貫したデザインコンセプトとして“クニツィア・ジレンマ”とも称される「こちら立てればあちらが立たず」といった背反する選択肢が存在します。ここにボードゲームの面白さ、奥深さを凝縮させているのがクニツィア氏の持ち味だと言えるでしょう。

BROADでは、引き続きステップアップした形でクニツィア氏の他のタイトルをご紹介する予定です。ぜひ楽しみにしていてください!