遊びやすい重量級『エルダータイド:千の光』をプレイ! 嵐と資源とエネルギーに悩みまくる文明構築型の戦略ゲーム

Esper Game Studioの『エルダータイド:千の光』は、邪悪な「永遠の嵐」によって引き裂かれた空中浮遊都市群を舞台に、王国の再建を目指す1〜5人用の文明構築型の戦略ボードゲームだ。プレイヤーは5大勢力から1つを選んでそのリーダーとなり、船を操りながら10ラウンドにわたって勝利点(ゲーム内では「評判点」)を競い合っていく。

ゲームの核となるのは「航行ダイヤル」を用いたプロットシステムだ。毎ラウンド全員が秘密裏にダイヤルで設定するエネルギー量によって、手番順・移動距離・実行できるアクションの強さが一括して決まる。こうして各地の港を巡り、資源の獲得や輸出、個人ボードへの施設建設、専門化トラックの上昇によって勝利点を集めていく。

だが、ラウンド終了時にはダイスによって「嵐」が移動し、港を次々と破壊していく。灯台を建てて嵐を防ぎつつ、エネルギーを管理し、刻々と変わるマップに対応しながら、10ラウンド終了時に最も多くの勝利点を得たプレイヤーが勝利する――というのが大枠の仕組みだ。

コンポーネントのボリュームから「重ゲーかも」と身構えてしまうが、重量級ゲームの中では比較的プレイ感が軽い。パッケージに記載された「90分」どおり、スムーズに終わる印象だ。

重ゲー好きな人はもちろん、これから重量級ゲームに挑戦してみたい人にもおすすめしたい本作の魅力を、詳しくお伝えしていこう。

▲ゲームスタート時の盤面。首都と嵐はこの位置から始まり、その他の港タイルはランダムに配置する

エネルギーを温存するか、大量投入して先手と強い行動を取るか

毎ラウンド、各自が消費するエネルギー量を秘密裏に決め、多く投入した人から行動する。投入量が多いほど到着した港でのアクションも強くなるが、使い切れなかったエネルギーは戻ってこない。

「絶対に先手を取って、他のプレイヤーより先に行動したい!」「でも、ここでエネルギーを使いすぎると、次の航海が苦しくなる……」という、競りやブラフに近い読み合いが発生する。

▲エネルギーをどのくらい使うかは秘密裏に決めて、一斉にオープン。数値が大きいプレイヤーから行動を開始する。同じだった場合は優先マーカーを持つプレイヤーから開始

筆者は最初、何も考えずに「3つ先の港タイルで、3を消費するアクションができればいいか」と単純に「3」を選んだ。ところが一斉公開してみると、他のプレイヤーは「6」などの大きな数字を選んでおり、自分の手番は最後になってしまった。

その後、みんな数マス先の港でアクションをしていて、「数マス先なら、そんなに大きな数字でなくてもいいのに。なぜ3にしなかったのだろう?」と不思議に思ったのだが、その理由は自分の手番になって判明した。移動する際、道中に他のプレイヤーの船があると、通過するたびにエネルギーを1多く消費してしまうのである。つまり、目的地まで3マスで行けても、途中の港タイルに1隻でも他プレイヤーの船があれば必要なエネルギーは4になり、「3」では到達できない。先に動いたプレイヤーたちの船が航路をふさぎ、筆者はいきなり予定が狂ってしまった。

▲BからAに移動する場合、何もなければ2エネルギーで移動可能だが、障害物となる他の船が2隻あるので、プラス2余計に消費する

「じゃあ、エネルギーを使えるだけ使ったほうが得じゃないか!」と、いきなり10(初期状態での最大値)を投入してもいい。これなら確実に出遅れず、遠くまで移動でき、各港で最も強いアクションを実行できる。

だが、エネルギーを最大まで回復させるには、原則としてスタート地点である首都に戻らなければならず、それだけで1手番(1ラウンド)を消費してしまう。全10ラウンドしかない中で、これは痛手だ。しかも首都では、資源の入手や輸出といった港タイルで行うアクションが実行できないため、頻繁には戻りたくない。とはいえ、後述する「施設の建設」という重要なアクションは原則として首都でしか行えないため、何度かは戻る必要がある(首都でなくても「施設の建設」を行える場合もあり、あくまで原則ということで)。

▲個人ボードの左側にあるトラックで、エネルギーをどれだけ消費したか管理する

▲ちなみに個人ボードの全体はこんな感じ

「エネルギーをたくさん使って、好きな場所で強力なアクションをしたい!」「でもそうすると、すぐに首都へ戻らざるを得なくなる……」というジレンマこそが、本作最大の魅力だ。

資源を今すぐ輸出して得点にするか、自国の発展に使うか

港タイルを巡りながら集めた資源は、輸出すればすぐに勝利点になる。一方、この資源を使って個人ボードに施設を建設すれば、ゲーム終了時の勝利点を大きく伸ばせる。

ただし、施設を建設するには首都へ戻る必要がある。得た資源をすぐ輸出して「目先の得点」を得るか、個人ボードに施設を建てて「将来への投資」をするか。しかも本作では保管できる資源の数に厳格な制限があり、ゲーム開始時は基本的に最大5つまでしか資源を持てない。資源が溜まったら、それをどう処理するかを判断しなければならないのだ。

この資源マネジメントが、本当に悩ましい!

▲個人ボードの上部に資源を置く場所がある

▲そのときの輸出レートによって、獲得できる勝利点が変わる。ゲーム中にちょいちょいと勝利点を稼ぐことができる

▲資源を使って、個人ボードに施設を建設しまくった状態。最後に大量得点となる……かも!?

港を今修理・防護するか、もっと壊れるまで待つか

嵐に壊された港ではアクションが実行できなくなり、進入する際にエネルギーを余計に1消費するが、修理すると勝利点や報酬を獲得できる。しかも、壊されたままの状態でさらに嵐が来ると、修理報酬が2倍、3倍と増えていく。

そのため、「今修理して、安全を確保しつつ報酬をもらう」か、「もっと壊れて倍率が上がってから、さらなる報酬を狙う」か、という欲張りな駆け引きが生まれる。

▲嵐ダイスを振って、嵐が移動する方向を決める。写真のダイスは「NE」、つまり北東なので、嵐の右上にある港タイトルと場所を交換する

▲すでに嵐のダメージを受けていた港タイルに対して、さらに嵐が来ると修理したときの報酬が倍になる

港タイルには、嵐の影響を防ぐ「灯台」を建てることもできる。ただし灯台は基部と上部の2つのパーツで構成されており、完成までには複数回の行動と資源が必要だ。各パーツは他プレイヤーと分担して建てることも可能なので、協力や便乗といったやり取りも絡んでくる。

嵐は毎ラウンド必ず移動するため、基本的にはどこかの港が被害を受けることになる。同じ場所に嵐が重ねて訪れ、報酬が倍増したタイミングを狙うのは非常においしい。だが、灯台を建てて安定した得点・報酬を得る道もある。どちらを狙うべきか、あるいは他の得点行動に注力すべきか……選択肢の多さに大いに頭を悩ませてくれる。

▲灯台は基部と上部の建設して完成となり(赤丸部)、嵐の影響を受けなくなる。誰かにとって勝利点の元となる港なら、嵐の被害にあったときは敢えて放っておく、という作戦もあり

どの勢力を使って、どの勝利点を伸ばすか

本作には5つの勢力があり、それぞれ尖った強みを持っている。

ダークマ家:他船や壊れた港タイルなどの障害物を無視し、単純なマス数分のエネルギーだけで移動できる。建設による勝利点を大きく伸ばせる特権を持つ。

ファラス家:通常の2倍まで資源を保管できる。ゲーム終了時に食料(緑)とクリスタル(青)のセットを保管庫に残すことで、1セットにつき8勝利点という高得点を狙える。

ホラス家:最初から個人ボードに発電所をたくさん建設できる(素材さえあれば)。発電所は隣接する他施設と同じ効果を持つため、これを活かしたコンボや特権で勝利点を稼げる。

ロイヤルカンパニー:道具トークン(嵐を受けた港の修理や灯台の建設などに使用)を入手しやすく、道具トークンを使えば手元に資源がなくてもサプライから施設を2個即座に建設できる。施設建設に絡む勝利点を伸ばしやすい。

ジ・エンクレイブ:「ゲーム終了時、自分が建設した灯台上部1つにつき5勝利点」という特権を持ち、「ゲーム中1回だけ、同じエネルギーで追加手番を行う」ことも可能。灯台の積極的な建設を目指すのに向いている。

最初のプレイでは、移動が快適な「ダークマ家」で遊んでみるといいだろう。そうすると、他勢力の能力を「いいなあ」と感じ、隣の芝が青く見えてくる。もちろん他のプレイヤーからすれば、障害を無視して航行できるダークマ家の能力こそメッチャ羨ましく見えるわけで、いくつかの勢力で何度かプレイしてみると、このゲームの奥深さが見えてくるはずだ。

▲詳しい説明は省くが、上部全体は供給ボード(右側にあるバーはラウンドトラック)、下部は灯台報酬ボード

リプレイ性の高いゲームだが、初回プレイは見通しが立ちにくい部分も

見た目は超重量級だ。ここまで紹介した要素以外にも「専門化トラックの前進」や「タンク上限の改良」、「保管庫ロックトークンの解除」「輸出時の需要チャート」など、さまざまな要素が複雑に絡み合っている。それだけ聞くと「やっぱド直球の重量級じゃん!」となるが、実際に遊んでみるとコアとなるシステムは案外シンプル。かなり取っつきやすい作りで、初プレイ時は思わずそのまま3回連続で遊んでしまったほどだ。

▲個人ボードの専門化トラック。詳細は省くが、これをあげることで、その資源を使った施設を建設できる最大数が増える

ただ、重ゲーゆえに好みが分かれる部分はあるだろう。

この手のゲームではよくあることだが、初回プレイ時はどういう行動を取るのがよいのか、イマイチ見通しが立たない。勢力ごとに稼ぎやすい勝利点・稼ぎにくい勝利点が確実にあるため、そこへの理解が浅いと点数があまり伸びないのだが、これは最初のプレイではなかなかわからない。

いわゆる「重ゲーあるある」ではある。勢力能力を抑えた入門向けのルールがあれば、経験による差がもう少し緩やかになったかもしれない――とも思ったが、本作は勢力ごとの能力差こそが醍醐味。これをなくすと、それはそれで寂しいゲームになってしまいそうだよな……。

個人的には、初回プレイは3人がおすすめだ。マップがそれほど混雑しないので行きたい港タイルに行きやすく、それでいて他の船が適度に邪魔になる。慣れてきたら、4人や5人で混雑し合うマップでプレイしたい。

ジレンマに満ちたアクション選択と、刻一刻と変化する盤面が生み出す濃密なゲーム体験。その魅力には、一度遊べばきっと気付くはずだ。自分好みの勢力と戦略を見つけ出し、嵐に立ち向かいながら王国再建の覇者を目指してみよう。


■エルダータイド:千の光
プレイ人数:1~5人
プレイ時間:約90分
対象年齢:14歳以上
ゲームデザイン:Yofiandhy Dwi、Mahawira Singh、Rodrigo Esper
発売日:2026年6月~
価格:13,000円(税込)
公式サイト
Esper Games Shop『エルダータイド:千の光』