『ブラス』や『スチーム・パワー』など産業・歴史・鉄道がギッチリ! ヘビィゲーマー御用達、マーティン・ワレスのゲーム7選

イギリス出身のゲームデザイナー、マーティン・ワレス氏。彼のゲームには、主にイギリスを舞台とした産業を扱うものや、鉄道をテーマとしたタイトルが数多くあります。また、一定の時代にスポットを当てた歴史の要素を持つフレーバーも特徴的です。

今回は、マーティン・ワレス氏のデザインしたタイトルから7つを選んでご紹介します。

鉄道と経済の発展で描く産業革命! 絶大な人気を誇るワレス氏の代表作

ブラス:バーミンガム

中世、産業革命期のイギリスを舞台に、経済の発展と開発競争を描いたタイトル。海外のボードゲームサイト“BoardGameGeek”ランキングではTOP10圏内の常連で、ワレス氏を代表する一作。ボックスイラストの色合いから“白ブラス”とも呼ばれます。初版発売は2018年。

プレイヤーは事業家となり、イングランド中央部のウェスト・ミッドランズ地方で運河と鉄道を敷設して経済圏を拡大。鉄鋼を中心とした産業施設を建設し、収入を増やしていきます。ゲームは前半と後半に分かれ、前半では運河、後半では鉄道を用いて通商圏を構築、拡大します。

ルールは姉妹作である『ブラス:ランカシャー』とほぼ同じですが、窯元や醸造所、ビールの生産といった新要素を追加。プレイングの幅の広さと戦略性の高さから、ワレス氏の最高傑作との呼び声も高く、再販のたびに完売となる大人気作です。

ブラス:バーミンガム 概要】
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:60~120分

ブラス:ランカシャー

『ブラス:バーミンガム』の姉妹作で、テーマは同じく産業革命期イギリスの経済発展競争。こちらは産業革命の中心地となったイギリス北西部ランカシャー地方が舞台で、次作との比較でボックスイラストの色合いから“黒ブラス”と呼ばれます。

プレイヤーは、手番にカードや資金を使って運河や線路の敷設、産業施設の建設などを行い、影響力を高め、勝利点を得ていきます。カードのプレイとリソースマネジメント、通商路の拡大による勢力圏争い、限られた資源の奪い合いや早取り要素の存在で高いインタラクション性を確保。選択とジレンマの連続は、プレイヤーを大いに悩ませることでしょう。また、ワレスデザインの産業ゲームの特徴的なシステムである“借金”も存在しており、序盤の資金繰りの重要な要素となってきます。

初版発売は『ブラス:バーミンガム』と同じく2018年。本作は2007年発売の『BRASS』を新版としたもので、『ブラス:ランカシャー』(黒ブラス)が正統な後継作、マップを改めて新要素を追加した派生作が『ブラス:バーミンガム』(白ブラス)となります。

ブラス:ランカシャー 概要】
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:60~90分

さまざまな時代と地域で鉄道網を構築! 鉄道をメインテーマとするゲームたち

蒸気の時代

『ブラス』とともに、ワレス氏を代表するタイトル。さまざまな国の地方のヘクスマップを用い、鉄道網の拡大と輸送によって経済力の成長を競います。初版発売は2002年。以後、新マップが続々と登場し、現在まで愛され続けている鉄道ゲームの傑作です。

プレイヤーは、資金を使って線路を延伸し、都市と都市を繋いで鉄道網を構築していきます。都市にはゲーム開始時にランダムで荷物が配置されており、この荷物を別の都市に輸送することで勝利点を獲得していきます。

ラウンド開始時に手番順を競りで決定。手番順が遅いと線路の敷設や運ぶ荷物の取り合いで遅れを取るうえ、そのターンで使用する特殊アクションを獲得する順番にもなるので重要です。しかし、全体的に資金繰りが厳しいため、競りに資金を投入しすぎると線路の敷設や輸送に悪影響が。プレイヤーは常に現金不足に悩まされることになるでしょう。ほぼすべての要素にインタラクション性が存在する、非常にタイトなゲームデザインが痺れます。

マップはそれぞれ固有の特徴とルールが用意されており、プレイするマップによって内容が大きく変化。有志がインディーズ(同人)として発表したものまで含めれば、その数は優に100を超えます。そのため、重量級ゲームでありながら膨大なプレイバリエーションがあり、その全貌を網羅するのはほぼ不可能といっても過言ではないでしょう。

マップを固定化し、ゲーム内容の一部を改訂したリメイク版の『STEAM』も登場しています。

蒸気の時代 概要】
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~6人
対象年齢:13歳~
プレイ時間:60分~

スチーム・パワー

2025年に発売されたワレス氏の新たな鉄道ゲーム。タイトルに「スチーム(蒸気)」と入っているので前述の『蒸気の時代』の派生作のように思えますが、内容はまったく別のゲームです。プレイ時間はせいぜい60分程度で、ワレス氏の作品としては軽量の部類となります。

プレイヤーは、手番に無料で2本までの線路の延伸が可能(線路を敷く地形によって追加費用あり)。鉄道網を拡大して都市間を繋げつつ、各都市に配置された資源を集めて、手持ちの契約書の履行を目標とします。契約書を履行することができれば、追加の資金や資源、そして勝利点を得ることができるのです。一定数の契約書を履行したプレイヤーがいたらゲーム終了です。

『蒸気の時代』の要素を削りに削り、極限までシンプル化したようなタイトル。契約書はランダム入手なので、その引き運に左右される部分はありますが、高いインタラクション性は健在。鉄道ゲーム入門、ワレス入門としても適したゲームです。マップ上の猫が邪魔をする拡張セット『スチーム・パワー拡張 キャット・パワー』も登場しています。

スチーム・パワー 概要】
メーカー:アークライト
プレイ人数:1~5人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:60分

歴史のロマンを体感! ヒストリカルフレーバーのタイトル

ロンドン

時は1666年。大火の災厄に見舞われたロンドン市街の復興に取り組む経済戦略ゲーム。

プレイヤーは開発・購入・運営・追加カードの4つのアクションを行い、自身が運営する地区の発展を目指します。ただし、ひたすらに拡大すれば良いというわけではありません。行き過ぎた発展は貧富の差を生み、貧民が溢れかえってしまうことになりかねないのです。自分の地区に抱える貧民たちが他プレイヤーと比較して大きく増えると勝利点が激減してしまうため、他者の動向にも気を使いつつ、効率の良い復興を目指す必要があります。

ワレス氏お得意の借金システムも搭載。複数の要素を融合させつつ、プレイ時間60~90分程度にまとめた中量級タイトルです。初版発売は2010年。日本では、アークライトが新版(第二版)を2021年にリリースしています。

ロンドン 概要】
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~4人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:60分~

アエテルナ

※画像はホビージャパンのサイトより。

プレイヤーは古代ローマ帝国・ローマ氏族の一員。周辺地域征服の支援や街区の支配、建造物の建設といった行動で3つの時代をまたにかけたローマの発展に尽力し、名声を高めていきます。

ゲームはドラフトによるカード獲得、カードのプレイとアクション、リソース管理、セットコレクション、マジョリティなど数多くの要素を含みつつ、シンプルなシステムでまとめたワーカープレイスメント。ポイントとなるシステムは“騒乱”で、プレイヤーのさまざまな行動がローマの街に騒乱を呼び込む原因となり、対策をしないと大きく勝利ポイントを削ぐ結果となってしまいます。騒乱の増大を避けつつ、効果的に勝利ポイントを獲得していくマネジメントが重要なのです。

カエサルやトラヤヌスといったローマ史において重要な人物たちもカード化されて登場。自陣営の繁栄のため活躍してくれることでしょう。ローマ王国、ローマ共和国、ローマ帝国の3つの時代で推移していく歴史の流れのうねりを、ロマンたっぷりに再現したタイトルです。

アエテルナ 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:60~120分

ライトなゲームもお手のもの! かわいさ爆発のトリテ&競り

フォレショレ

重量級ゲームの印象が強いワレス氏ですが、実は多作であり、ライトなゲームもたくさんデザインしています。『フォレショレ』もそのなかのひとつ。ペンギンと氷を集めて大きな群れを作ることを目指すカードゲームで、日本語版は2023年にサニーバードから発売されました。

システムはトリックテイキング+競り。プレイヤーは4色・1~8の数字のペンギンカードでトリックを競い、トリックを取ったプレイヤーは氷カードを、取れなかったプレイヤーは出したペンギンをそのまま獲得していきます。終了時に獲得した氷カードの枚数分までペンギンカードが得点となりますが、ペンギンカードのほうが氷より多い場合は失点になってしまいます。

他のプレイヤーの思惑もあって勝敗のコントロールが難しく、なかなか思い通りにいかないのがもどかしいところ。短いプレイ時間と簡単なルールながらも、勝負をかける勘所が重要となるゲームです。日本語版はオリジナル版よりカード枚数を増やし、新たなルールと専用のペンギントークンを追加。アートワークを別府さい氏が担当しており、かわいいペンギンたちのイラストも魅力です。

フォレショレ 概要】
メーカー:サニーバード
プレイ人数:3~4人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:20分


2026年3月末、Xではワレス氏の新作、『ブラス:ピッツバーグ』が海外で発表され、話題となりました。ファン待望の『ブラス』新作とあって、大きな期待が寄せられています(ボックスアートから、すでに“金ブラス”と呼ばれているようです)。

ワレス氏のゲームは、そのほとんどがプレイ時間2時間を超えるような重量級、いわゆる“重ゲー”であり、複数のシステムを融合しつつゲーム性とインタラクション性を高めた“ゲーマーズゲーム”(コアなゲーマー向けのゲーム)。それゆえに人を選ぶ部分があるものの、カッチリと指向が合ったプレイヤーからは熱狂的に支持されているのです。

普段から重量級ゲームを嗜んでいるのであればワレス氏のタイトルをすでにプレイしている人が多いでしょうが、もし未体験であればぜひ遊んでほしいところ。また、ボードゲームに慣れてきて、ちょっとステップアップしたゲームをやってみたいという人にもオススメします。実際に遊んでみれば、多くのプレイヤーから支持されている理由が分かるはず。ぜひとも多くの人にプレイしてみてほしいと思います。