デッキ構築&ダンジョン攻略がテーマだった『クランク!』。これまでいくつかの拡張がリリースされていましたが、この『クランク! イン・スペース! 完全日本語版』は単独で遊べる新作ゲーム。舞台をガラッと変えて「銀河を支配するエラディクス卿の宇宙船の中」で、その宇宙船の最奥に隠されているアーティファクトを盗んで脱出する、というSFへと変わっているのです。
ゲーム概要
ゲームシステムの基本は『クランク!』と同じです。カードが各自に配られており、自分専用の山札と手札を作り、それらのカードを使ってプレイしていきます。
カードには「新しいカードを購入するためのスキル(=お金的なもの)」、「宇宙船の中を移動するための移動力」「敵を排除するための攻撃力」などがアイコンで書かれています。
山札(デッキ)から手札となるカードを5枚引き、カードに書かれているスキルや移動のアイコンを合計して、新しいカードを購入してデッキを強化したり、宇宙船内部を移動したりして、アーティファクトへと向かいます。もちろん「特殊効果」が書かれているカードもたくさんあります。
最初に配られるカードは、敵のボスに発見されやすくなる音を立てるだけのカード、1枚でお金が1にしかならない弱いカードばかりで、最奥へと場所にたどり着くには心許なすぎます。1枚でお金2と移動力2といった強力なカードを購入してデッキを改善していかないと、他のプレイヤーに出し抜かれてしまいます。
そうして自分のデッキを強化しながらアーティファクトへとたどり着くと、今度は脱出口へと向かい宇宙船の外部に脱出します。途中に音を立てすぎたりしていると攻撃を被るので、静かに&素早く移動しなくてはなりません。
『~ イン・スペース!』での変更点
デッキのカードを入れ替えることで移動力や攻撃力を改善させて、素早くお宝を獲得して脱出する……という点はオリジナルの『クランク!』と同じですが、いくつか変更された要素があります。
まず1つはデータポートのハッキングです。実際は何カ所もある緑のマスのどこかに移動するだけなのですが、これを行わないとアーティファクトに決して近づけないようになりました。
しかも、2区画のデータポートにアクセスしなくてはならないので、宇宙船の中をうろうろしなくてはいけません。
この変更のおかげで、必ず「デッキを構築しながら宇宙船の中を探索」することになり、様々な仕掛けが用意されている宇宙船を存分に楽しめる、という仕組みになりました。ささっと近場にある手頃なアーティファクトを盗んで脱出する……なんていうということはできないのです。
もう1つは、カードに派閥という概念が追加された点です。カードの左上にどの派閥かを示すアイコンが表示されている場合があり、同じ派閥のカードを1回の手番で複数枚プレイすると、追加効果が得られます。
『クランク!』は、購入できるカードが固定の3種類とランダムに出てくる6枚に分かれています。購入できるカードには、複数枚を組み合わせると強力なコンボを生む効果はあるのですが、いかんせん出てくる6枚がランダムなので狙ったカードをなかなか購入できません。
ところが今作では、「同じ派閥アイコンがあるカード」をとりあえず購入しておくだけで、自然にコンボが発生して手軽にデッキ強化が楽しめます。
ランダムなカード市場とコンボを生むカードを揃える、という一見すると矛盾する2つを新しい要素を追加することで、うまく改良しています。
他にも、ボスの怒りゲージが上昇することによってショートカットが使いづらくなるイベントが追加されたり、脱出前に襲われてHPが無くなってしまった処理が変わっていたり、ゲームボードが組み立て式に変わってプレイ毎に違うマップが楽しめる……など、細かい改善点があちこちにあります。
元の『クランク!』も充分面白いゲームでしたが、宇宙をテーマにあちこち手を入れてプレイしやすくなったのが、この『クランク!イン・スペース!』と言えるでしょう。
カードは様々な映画などからのパロディーも入っていますので、SF映画ファンでしたらニヤっとできる仕掛けも見どころです。
デッキ構築、そしてダンジョンならぬ宇宙船の探検。今度も見逃せない作品になっているのではないでしょうか(私は英語版・日本語版ともにプレイしましたが、フレイバーまでわかりやすい日本語版がやはり楽しめますね)。
ご紹介しました内容は映像でも説明していますのでご興味ありましたら、そちらもぜひご覧ください。
■クランク! イン・スペース! 完全日本語版
日本語版発売元:アークライト
デザイナー: ポール・デネン
発売日:発売中(2023年2月23日)
価格:6380円[税込]
プレイ人数:2~4人
対象年齢:13歳以上
プレイ時間:45~90分