「真夏の超新作体験会」レポート! 13メーカーの秋以降に発売される新作をたっぷりプレイ!

暮しとボードゲーム編集部企画による「真夏の超新作体験会」が8月24日・25日の2日間、東京・表参道のSPRING TERRACEで開催された。今回で6回目の開催で、国内メーカーの新作がたっぷり遊べるイベントとなっている。

本稿では、出展ゲームの紹介や実際に遊べたゲームのインプレッションなどを中心にお届けする。

※事前に告知があったものをすべて紹介しています。

▲会場の配置図。2Fにほとんどのブースが集中しており、4Fにムーンスリーと数奇ゲームズのプレイスペースが設置されていた

▲取材は土曜日に行ったが、日曜日のほうが人は多かったそうだ

アークライト

●エイピアリー/1~5人/60~90分
●キャットと塔/1~5人/15~30分

『エイピアリー』は高度に進化したミツバチたちの陣営のリーダーとなって、働きバチを使って他の惑星を探索し、女王バチの寵愛を受けながら陣営の繁栄を目指すワーカープレイスメント。

『キャットと塔』は仲間の猫と協力しながら塔を建てて登っていくバランスゲームだ。

Engames

●フォルティッシモかるた/2~8人/10分
●とやまっち/2~5人/10分

これまで中~重量級の海外ゲームの日本語版が多かったEngamesから、Knick Knack Series(ニックナックシリーズ)というお手軽パーティーゲームブランドを展開。その第一弾としてこの2タイトルがリリースされた。

『フォルティッシモかるた』は音楽用語の「フォルテッシモ」や「スタッカート」などの指示にしたがって読むカルタゲーム。『とやまっち』のベースは神経衰弱ゲームで、「2」のカードなら2枚、「4」のカードなら4枚連続でめくらなければならない。

ケンビル

●フィット・トゥ・プリント/1~6人/60分
●テイク・ア・シート/1~6人/45分
●イーヴンフォール/1~4人/30分×人数
●カスカディア:ローリング なだらかな丘/1~4人/15~30分
●カスカディア:ローリング 波立つ川/1~4人/15~30分

『フィット・トゥ・プリント』は動物たちが住む小さな町で朝刊を作るリアルタイムアクションゲーム。記事を集めてパズルのように配置していく。

『テイク・ア・シート』は左右のプレイヤーと共有チケットシートを使ってマス目を埋めていく紙ペンゲーム。

『イーヴンフォール』は魔女の勢力争いとなるを率いる重量級エンジンビルド×ワーカープレイスメント。昨年のSpiel’23で話題になったタイトル。

『カスカディア:ローリング なだらかな丘/波立つ川』は、2022年にドイツ年間ゲーム大賞を受賞した『カスカディア』を紙ペンゲーム化けしたもの。共通ダイス4つ×個人ダイス2つで資源となる動物を集めて、その資源を使って自然環境を完成させていく。

こちらプレイできたのだが、どの動物を集めてどの地形を獲得していくかが考えるだけで超悩ましい。より多くの勝利点を目指すならたくさんの動物(資源)が必要な場合が多く、それらが集まるまでしゃがむか、それとも勝利点は少なめでもすぐ獲得できる地形にしておくか……。獲得できる動物は基本ダイス運だが、特殊効果で多少操作できるところも悩ましさが倍増。使うシートによってルールが大きく変わるので、何度も遊びたくなりそう。

Saashi&Saashi

●午前1時の大脱走/2~5人/20分

『午前1時の大脱走』は囚人達の脱走をテーマにしたゴーアウト系カードゲーム。カードをプレイした段階で上がりでなければ、山札からカードを引く……という、Saashi&Saashiらしい今までにないプレイ感が特徴。

サニーバード

●FALLING/1~4人/110〜140分
●Q.E.拡張:投機商品/3~5人/40分
●ファイブシーズンズ/2~4人/20分
●フィッシェン/3~5人/45分

『FALLING』はHOY GAMES 矢沢賢太郎氏(『老師敬服』や『ハリコッツ』など)がゲームデザインを手がけた重量級ゲーム。「たくさんの資源を得る気持ちよさと悩ましさを兼ね備えた話題作」とのこと。本イベントでは事前プレイ予約が満席となったので、急遽卓を増やした。

金融を題材にした競りゲーム『Q.E.』の拡張『Q.E.拡張:投機商品』は、「得点方法が違う3つの投機商品が追加される人気ゲームの拡張セット」となっている。

『ファイブシーズンズ』は、ライナー・クニティア氏の『ケルトタイル』が日本の四季をテーマにした新たなアートワークでリメイクされたもの。

『フィッシェン』はフリードマン・フリーゼ氏によるデッキ構築+トリックテイキング。

CMONJAPAN

●AIスペースパズル/2~5人/20分
●マイセリア/1~4人/40~90分

『AIスペースパズル』は宇宙船に搭載されたAI役がヒントを出し、他のプレイヤーである宇宙飛行士役が正しい部屋に到達することを目指す強力ゲーム。

『マイセリア』はキノコを反映させて生存圏を拡大していくカード/タイル配置ゲーム。

数寄ゲームズ

●トライコーダ/2~5人/60分
●レオナルド・ダ・ヴィンチ:レスター手稿/1~5人/30~150分

『トライコーダ』はアレックス・ランドルフ氏による『ドメモ』上位版的な推理ゲーム。自分の前に並んだ数字タイルを当てることが目的。オリジナル版は1986年にリリース。

『レオナルド・ダ・ヴィンチ:レスター手稿』は発明品を競い合うワーカープレイスメント。アッキトッカ氏デビュー作『レオナルド・ダ・ヴィンチ』を現代風にリメイクしたもの。

すごろくや

●ヴェイル オブ エタニティ/プレイ人数2~4人/40分

『ヴェイル オブ エタニティ』は、モンスターや精霊などのクリーチャーを召喚し、勝利点を獲得していくカードバトルゲーム。モンスターたちのカードは70種類ほどあり、すべてユニークカード。

【イベントレポート】すごろくや新作体験会で注目の新作タイトル『ダービーカジノ』『ビストロ・コスモポリート』『ヴェイル オブ エタニティ』をいち早くプレイしてきた!

テンデイズゲーム

●ドーフロマンティック対決/2人/45分
●マイシェルフィーダイス/2~4人/20分
●ムーンリバー/2~4人/45分
●メソス/3~5人/20~50分

『ドーフロマンティック対決』は、2023年のドイツ年間ゲーム大賞を受賞した協力ゲーム『ドーフロマンティック』の2人専用対戦ゲーム版。同じタイルを配置して得点を競い合う。

立体的なコンポーネントで自分の本棚を作っていく『マイシェルフィー』をロール&ライトゲームにしたのが、この『マイシェルフィーダイス』。ビンゴゲームっぽい雰囲気で、20分程度で楽しめる。

『ムーンリバー』は、『キングドミノ』のタイル獲得メカニクスによるシリーズ最新作で、よりパズルライクな仕上がりになっている。

『メソス』は中石器時代における部族のリーダーとなり、新しいメンバーを加えたり食事を確保したり建物を建設したりして、部族を成長させていくドラフト&セットコレクション。シモーネ・ルチアーニ氏の新作(ヤニフ・カハナ氏と合作)。

ハーベストバレー

●スペースインベスターズ/1~4人/60分

『ダイビィ!』で鮮烈デビューしたハーベストバレーの新作『スペースインベスターズ』は、宇宙開拓をテーマにした拡大再生産カードゲーム。『ナナトリドリ』を手がけたToshiki Arao氏がゲームマーケット2023春に出展したタイトルを、ハーベストバレーが製品化する。

こちらを2人プレイで遊ばせてもらったが、インスト時に「『サンファン』に似たシステム」と説明を受けた。なるほど、カードは表にしてプレイする以外に裏にすることでお金になるという仕組みは確かに『サンファン』だ。

手番でてきることは、場に出しているカードをタップ(カード効果を発動させて横向きにする)か、タップされたカードをすべてアンタップ(カード効果発動前にすべく縦向きにする)するかの2つのみ。このどちらかをひと手番に2アクション行うことができる。

カード効果は様々なものがあり、それらがコンボでつながってより大きな効果になる。勝利条件は勝利点12ポイントを獲得すればオーケーで、獲得方法はカードに書かれたもの、特許証(早い者勝ちで勝利点が高い)、称号(条件を満たすと獲得。追い抜かれるとその人に移る)がある。

手番は2アクションで、施設を建設(カードを自分の場に出す)するにも「コストを払ってカードを出す」という効果があるカードをタップする必要がある。初期カードで「2金もらえる」「カードを出す or カードを獲得する」の2枚が自分の場に出ている状態でスタートするので、最初はとりあえず最初は2金もらって、その2金で出せるカードがあれば出すか、カードを獲得して手札を増やすして終了。

2回目の手番時は、まず1手番目で出したカードをタップして効果発動したとしよう。すると、もうすべてのカードがタップした状態なので、もう1アクションはすべてをアンタップして元に戻して手番終了となる。「カードを出す」ことができるカードが自分の場に1つしかないと、思うように自分の場を構築できなくなるので、どうにかして初期カード以外で「カードを出す」ことができるカードを場に出したいのだが……そう簡単にうまくはいかない。

場に出したカードが増えてくるとどれをタップして、どのタイミングでアンタップして、いやそのまえに次はアレをしてこれをして……とどんどん悩ましく&楽しくなっていく。

オリジナル版にはなかった要素として、最初から何らかの効果を持っているキャラクターを8種類の中から選ぶことができる。どれも非情に個性的な効果を持っているので、どれを使うかだけでもだいぶ戦略が変わってくる。こうした部分も含めて、とてもリプレイ性の高いゲームだと感じた。

ホビージャパン

●エスペライゼーション/3~5人/90~120分

『エスペライゼーション』は言語創世文明発展ワードゲーム。互いの知恵を出し合い、ひとつの言語を作り出していく。

ムーンスリー

●マラケシュ/2~4人/90~120分

『マラケシュ』はシュテファン・フェルト氏(『ブルゴーニュ』『トラヤヌス』など)によるシティコレクション第4弾。プレイヤーはクトゥビーヤ・モスクとバヒア宮殿への影響力を高めたり、学者の研究や市民への支援、砂漠へのキャラバン派遣などさまざまなアクションをして得点を獲得し、街一番の有力者を目指す。

メビウスゲームズ

●クランズアンドグローリー/2~4人/30分
●チキン!/2~5人/20分
●マグネット ガイスター/2人/20分

『クランズアンドグローリー』は往年のドイツゲームっぽさを感じることができるカード配置ゲーム。自分の氏族(クラン)により優秀な人材を加入させることが目的。集会所に置くチップをどのタイミングで置くかで獲得できるカードの点数が変わってくるので、「お前が先に置け!」「そっちこそ」みたいな駆け引きが独特のジレンマとなっている。2400円[税込]とお求めやすい価格なのも嬉しいポイントだ。

『チキン!』は、手札(配りきり)のカードを誰かが場に出しきったらゲーム終了で、失点が一番少ないプレイヤーが勝利する。他プレイヤーから「チキン」と宣言されたら自身が勇気あるのか、それともヘタレ?なのかが試される……!?

お手軽に楽しめるパーティーゲームであるものの、考えどころもしっかりある。引き取ったカードを失点にするか、自分の山札の一番下に入れるかを選択できるのだが、いいカードを山札最下部に入れていくと山札そのものが強くなる。これをうまく利用し、できるだけ「チキン」を宣言して他のプレイヤーにたくさんのカードを持たせていくのがポイントとなる。

プレイさせてもらったとき、最初は「とにかく山札をなくしてゲームを終了させる」ことばかり考えていたのだが、「最初に山札をなくす」=「勝利」でなく、失点が一番少ない人が勝利となるのがポイント。失点についての細かい説明は省くが、初プレイ時にとにかく自分の山札をなくしてゲームを終了させたはいいが、結果的に自分の失点ポイントが一番多いという展開になってしまった。次は慎重なプレイをして、どうにか少ない失点で終わらせることができた。

とまあそんな小難し話以前に、誰かに対して「チキン!」と叫ぶ楽しさったらなかったので、下記にあるXのポストのように、ゲーム会の最初や最後にひと盛り上がりするのにちょうどいいゲームな印象だった。

『マグネット ガイスター』は、コンパクトサイズの『ガイスター』で、いわゆるポータブル版。持ち歩きができる手頃なサイズになっている。「マグネット」とあるのは、裏側が磁石になっているので(鉄板の)ボードにしっかりくっつく。

この『マグネット ガイスター』の大元となったのは、2003年にPlayStation 2向けソフト『ヨーロピアンゲームコレクション』の限定版に同梱されていたもの。メビウスゲームズからこういうのをまたやりたいと版元に相談したところから実現したそうで、PS2タイトルの同梱版よりしっかりとした仕上がりになりそうだ(下記写真はサンプル版)。


暮しとボードゲームによる超新作体験会、今回初めて取材も兼ねて参加させてもらったのだが、どれもこれも新作ばかり(その多くは今後発売予定のもの)でそれらをたっぷりと遊べる空間は、とても居心地がよい。1日1000円、2日間通しで1800円の有料イベントで、重ゲー(120分クラス)は事前予約が必要となるものの、十分元を取ったところか得しかないイベントなのではないかと感じた。

今後の超新作体験会も取材したいが、次回はいちユーザーとしてとことん遊びたい気持ちもある(あちこち見てまわる関係で、重ゲーは今回遠慮した)。次回以降も開催時にはBROADにて告知していく予定なので、まだ参加したことない人で各メーカーの話題作に触れてみたい!と思った人は、ぜひ参加を検討してほしい。