【イベントレポート】すごろくや新作体験会で注目の新作タイトル『ダービーカジノ』『ビストロ・コスモポリート』『ヴェイル オブ エタニティ』をいち早くプレイしてきた!

去る2024年2月17日(土)、東京都吉祥寺にてすごろくやの会員限定イベント“すごろくや春の新作体験祭り ~競馬にグルメにモンスター召喚?! 怒涛の3タイトルを遊び尽くそう~”が開催されました。

■すごろくやイベントページ
https://sugorokuya.jp/e/event1064/

この体験会は、すごろくやが今春以降発売する予定のゲームが3点出展され、会場に集まった約30人のボードゲームファンは一足早く新作をプレイすることができるというイベントでした。

出展された新作は以下の3タイトル。

●ダービーカジノ
●ビストロ・コスモポリート
●ヴェイル オブ エタニティ

すごろくやの期待の新作を発売前に体験できるということで、BROADスタッフも鼻息荒く食い気味に参加! 存分に楽しんできました。今回のイベントでプレイした3作のレポートをお届けしましょう。

ダービーカジノ(2024年春頃発売予定)

レースの状況を見ながらリアルタイムでベットしていく熱狂の競馬ゲーム

まずは“競馬”のゲームこと『ダービーカジノ』。全9頭が出走する競馬のレースの勝ち馬を予想し、ベットして賞金を得ていくゲームで、対応人数は2~9人。人数が多いゲーム会で重宝しそうです。

レースは6面体ダイスを2個振り、出た目に対応した馬が先に進んでいくことで進行。プレイヤーはルーレットのレイアウト(チップを賭ける表)のような倍率が書かれたボード上に、ベット用のチップを置いていきます。出やすいダイスの目に対応した馬(例えば“7”の目の馬など)は、それだけ進みやすく勝ちやすいということで、勝ったときの賞金の倍率は低めに設定されています。一方で“2・3”や“11・12”など出にくい目の馬は倍率が高いのです。

▲ゲームはベットに用いるボードと、レースコースの2種類のボードを使って行います

このゲームの最大の特徴は、ベットがレース中にリアルタイムで行われること。ベットはレース開始直後から可能となり、レースコース上のゴール近くに引かれたラインを先頭から3頭が超えるか、先頭の馬がゴールしてレースが終了まで受け付けられます。つまり、プレイヤーはレースの状況をある程度見てから賭けることができるのです。ただし、誰かが先にチップを置いた予想マスに後からベットすることはできません。早いもの勝ちということですね。

先行して優勢になった馬の予想マスには、どんどんチップが置かれていきます。ただし、遅れた馬が後半に差し切ってくることもあるため、早めにベットすることが必ずしも勝利に直結するわけではありません。このあたりは予想と読みの勝負に加えてレース展開(つまりダイスの運)も絡んでくるわけです。

また、外した際にペナルティーとしてお金を失ってしまうマスもあるため、闇雲にベットすればいいというわけでもありません。

▲レースが始まると、展開に応じて各馬のベットのマスがリアルタイムでガンガン埋まっていきます。ここは早いもの勝ち!

『ダービーカジノ』のもうひとつの特徴として、専用アプリによってゲームを進行させることができる点があります。ダイスを振り、馬を進める操作をアプリに任せられるようになっているのです。アプリを使ってプレイすれば、プレイヤーはベットに専念することが可能。リアルタイム度がさらに増すうえ、音声による実況もあるため、より熱中度、没入感が高くなります。

▲今回のイベントでは、大きなスクリーンにアプリの画面を映し、全卓同時に進行。展開に応じて大きな歓声が沸きあがりました

ベットの種類も、1位になる馬の番号に賭けるだけでなく、馬に割り振られた色や、馬ごとの順位の差、さらに鼻差や大差などの状況を予想して賭けるなどさまざまな要素が用意されています。プレイヤーはレースの展開に一喜一憂しつつ、ベットの条件を把握し、刻一刻と変化する状況に対応してチップを賭けていくのです。馬が進むかどうかはダイスの目次第なので、まったく予想だにしない展開になることも……?

ゲームは全4レースで行われます(今回の試遊はショートゲームとして3レースでプレイ)。ゲームが進むにつれ、特殊な効果を持つチップを獲得したり、個人目標が得られたりもするので、さらにゲーム性が増して展開が多様化していきます。単に競馬のレースを予想して見るだけでも面白いのに、そこにリアルタイムのベットとさまざまなゲーム的な仕掛けが加わります。アプリ使用時の没入感は、これまでに体験したことがないものでした。これは熱いゲームだぞ!

発売は2024年春頃とのこと。期待して待ちましょう。

ビストロ・コスモポリート(2024年夏頃発売予定)

未知の言語でオーダーされる料理名を聞き取り、材料を見つけて料理をお客に届ける

続いて“グルメ”。『ビストロ・コスモポリート』は2020年の段階ですごろくやよりローカライズの予定がアナウンスされ、ついに発売にこぎつけたタイトルです。2~8人でプレイできるパーティーゲームとなっています。

舞台は、さまざまな国のさまざまな言語を使う客がやってくるレストラン“ビストロ・コスモポリート”。プレイヤーは客からオーダーを聞き、できるだけ多くの卓に正しい料理を届けることを目指します。

まず、給仕役のプレイヤーがアプリを使って卓についた客から注文を取ります。このとき、給仕役はスマートデバイス向けに作られた専用アプリの音声を実際に聞いて(試遊時はヘッドホン装着!)注文された料理名を伝えるのですが、そこは多国籍の客が訪れるビストロ・コスモポリート。英語や日本語といったみんなが分かる言葉ばかりではなく、未知の言語の、はじめて耳にするような不思議な響きの料理名がオーダーされるのです。

▲給仕のプレイヤーはアプリを操作して注文を聞く役目。支配人はオーダーされた料理名と卓番号を記憶するためにメモを取ります

支配人役のプレイヤーは、給仕から伝えられた料理名と卓番号をメモしたり、料理名を料理人役のプレイヤーに教えます。そして、料理人は自分に配られた料理名と材料が書かれたカードを見て、オーダーされた料理のレシピが自分の担当した地域・言語のなかにあるか探し、もし該当するものがあったら必要な素材を材料のカードのなかから探し出します。

このとき一連のやり取りが、絶妙に笑いを誘います。

アプリの音声(給仕役のみ聞く)「○▲〒□○▲♪~」
給仕「え、ええと……1番卓、“オイエマンマージー”……??」
支配人(メモしながら)「1番卓、“オイエマンナージー”オーダー入りました!」
料理人A「“オイエマンナァジ”?」(なんだそりゃ……と思いつつ料理を探す)
料理人B「あ、あった!“オイエマンナァジ”ありました! だけど正しくは“オイェマワムナズィ”でした! ヤシ酒だそうです。材料は、木の実みたいやつ……? 急いで探します!」

▲料理人が担当する料理カード。不思議な響きの料理が並びます。モザンビークで使われるチュワブ語……初めて聞いたかも!?

料理人に配られているカードに書かれた料理名はカタカナで記載されているので、ここでもズレが発生します。それっぽい、でもちょっと違うかも?……というような事態が頻発するのです。

▲料理カードの裏面には、対応する地域と国名が記載されています

さらに、料理カードに記載された料理については、材料や料理のヒントになる言葉と、素材のイラストが書かれているだけ。ここで料理人は「魚介類」「野菜」などのカテゴリごとに分類されている材料カードのなかから同じイラストの素材を見つけ出し、料理名のカードと一緒にして支配人に渡します。支配人はこのカードを卓の番号を伝えながら給仕に渡し、最後に給仕がアプリで注文された料理を確認。正解であれば得点が得られます。卓の数は8つあり、限られた時間内ですべての卓に正しい料理を届けることができるとボーナスが得られます。

▲ヒントをもらったり、間違った料理を出したりすると減点

実際にプレイしてみると……。まずオーダーの音声ですが、未知の言語だと聞き取りが難しく、さらにこれをカタカナに言い換えるのが至難の業。聞いた通りに伝えたつもりでも、給仕・支配人間、支配人・料理人間で伝言ゲーム的なズレが発生してしまうことがあります。

プレイが始まると誰もが忙しくあたふたとしながらも、不思議な言葉が飛び交い、そしてそのやり取りのすべてがなんだか笑える奇跡の一作! 対応人数が最大8人と多く、ルールもシンプルなので、ゲーム会の場を温めるタイトルとして活躍してくれそうですね。

ヴェイル オブ エタニティ(2024年夏頃発売予定)

リソース管理が超重要!全70種におよぶモンスターを召喚、強力コンボを組み上げるカードバトル

最後は“モンスター召喚”。ドイツのボードゲーム見本市Spiel’23で人気を集め、完売した注目作です。対応プレイヤー数は2~4名。今回出展された3作のなかでは、もっともゲーマー向けのタイトルかもしれません。

プレイヤーはモンスターや精霊などのクリーチャーを召喚し、勝利点を獲得して勝利を目指します。モンスターたちは70種類にも及ぶユニークカードになっており、各プレイヤーはターンごとに2枚ずつこのカードを獲得していきます。

カードをゲットしたら、次はアクション。クリーチャーを手札に加えたり、召喚して場に出したり、もしくはリソースとなるマジックストーンに変換することができます。可能な限り何度でもアクションをすることができるため、獲得して手札に入れたカードをコスト分のマジックストーンを支払ってすぐに召喚し、発動する即時効果を得る、なんてこともできます。これらの行動を好きな順番で、できる限りプレイできるのです。

▲クリーチャーは5つの属性があり、毎ターン8体が登場。プレイヤーはこのなかから2体を選んで捕獲し、自陣営に加えます

これだけだと自由度が高いゲームのように思えますが、そんなことはありません! このゲームの最大のポイントとなる要素として、リソースの上限があります。マナストーンは、火(1コスト分)、水(3コスト分)、闇(6コスト分)の3種類があるのですが、手持ちのマナストーンは種類に関係なく合計4個までしか持てません(5個以上になったら4個になるまで捨てる)。また、高いコストのマジックストーンを両替することも不可能で、お釣りをもらうこともできません。さらにコスト数ではなく「火のマジックストーンを消費」などと種類が指定された要求がある場合、代わりに水や闇で置き換えて支払うこともできないのです。

そして、これがもっとも大きな制限になるのですが、実行できないアクションは使うことができません。たとえば「手札が0枚になってしまう状態で、手札をプレイする即時効果のカードは出せない」といったものです。この縛りがかなり厳しく、プレイ中は何度も上限の壁に当たりました。

さらに、召喚するクリーチャー数にも制限があり、それはラウンド数と同じ数になります。1ターン目は1体、2ターン目は2体……最終となる10ターン目は10体ということです。召喚したクリーチャーが不要になった場合は破棄することもできますが、ラウンド数と等しいマジックストーンが必要になるため、コスト面を考えると簡単にはできません。

▲プレイヤーは、制限のあるなかでクリーチャーを捕獲・召喚していきます。制限を超える行動はできないため、頭を悩ませることに……

このように大きな制限があるなかで、プレイヤーは召喚したクリーチャー同士の能力のシナジー効果をうまく利用しつつ、勝利点を獲得していきます。クリーチャーの能力には、召喚したとき即時に一度だけ効果があるもの、以降ゲーム終了まで発動している永続効果があるもの、アクション後の解決フェイズに毎ターン効果があるものの3種類があります。

勝利点はカードの能力でしか得られないため、最終的に勝利点に繋がるような流れでクリーチャー同士の能力のシナジー効果を組み立てたいところ。

しかし、マナストーンの手持ち数の制限や、場に出すクリーチャー数の制限によって、なかなか思う通りにプレイできません。プレイヤーは常にこのジレンマと戦いつつ、よりベストな選択をしていかなければならないのです。

▲意外な組み合わせを見つけたときの「閃き」の快感は、このゲーム特有のもの。対戦型のカードバトルゲームが好きな人にはたまらない作品でしょう

一方で、大きなコンボが完成してドバっと加点するようなアクションが成功したときは本当に気持ちいい! クリーチャーたちは70枚すべてがユニークカードで、1体ずつ能力が違うため、膨大な組み合わせのパターンが存在します。何度もプレイしていると、予想もしなかったシナジー効果を見つけることがあるかも?

美しいボードやトークン、クリーチャーたちのカードイラストが素晴らしく、コンポーネントも魅力的な一作です。


いかがでしょうか。

すごろくや代表の丸田氏は、BROADのインタビューにて、同社が扱うゲームの基準として「“新機軸性”と“定番の度合い”のふたつがないタイトルは取り扱わないようにしている」と語っています。

【インタビュー】ヒットゲームを送り出す秘訣は新機軸性と定番度。すごろくや・丸田康司氏が語るボードゲーム界の現在

今回のイベントに出展された3作は、どれもまったく違うプレイ感のゲームでした。なおかつ3作とも“新機軸性”と“定番度”を兼ね備え、さらに深い没入感と高い熱中度を持っていたと思います。実際に発売された際の反響が楽しみですね。

すごろくやの送り出すゲームは、いつも我々に新鮮な驚きを届けてくれます。今回のイベントでは、その思いを新たにしました。今後も同社の新作タイトルに注目していきましょう。