テンデイズゲームズは、10月29日に事業者向けのボードゲーム出版社合同商談会を開催した。会場は東京都三鷹市の三鷹産業プラザ。
今回の商談会は、出展した出版社(パブリッシャー・メーカー)がゲームショップやボードゲームカフェ、卸業といったボードゲームを取り扱う事業者と直接話して商品説明を行い、事業者側が購入するか検討するというもの。
出展企業は以下となる(五十音順)。
・アークライト
・itten
・オインクゲームズ
・コロコロ堂
・ジーピー
・数寄ゲームズ
・すごろくや
・テンデイズゲームズ
・ハーベストバレー
・JELLY JELLY GAMES(ピチカートデザイン)
・Forgames
・ホビージャパン
・ホビーベース
・ムーンスリー
・メビウスゲームズ
平日午前からの開催で、一般公開はされず、参加は事業者のみが対象となった。会場は定員70名+24名の会議室ふたつを連結して使用しており、中央に島状にテーブルを配置して各社のタイトルを展示。周囲の壁に沿って出版社がブースを構えた。
会場内には商談用に長机が4卓ほど用意された。場所を取らないゲームなら、試遊しながらの商談も可能となっていた。
開始は午前10時。テンデイズゲームズ田中誠氏の開会あいさつで始まり、30分もしないうちに続々と事業者が現れて入場、大盛況に。
会場内は終始和気あいあいとした雰囲気で、パブリッシャー側はゲームの内容について詳細な説明を行い、事業者側もゲーム談義に花を咲かせるといったように、単なる商談に終わらず、お互いが時間を取って綿密なコミュニケーションを取っていたのが印象的だった。
今回、開催させていただく合同商談会は、ボードゲームカフェの方も気軽に参加していただけるようにいたしました。販売に興味がある、コラボイベントの可能性を話してみたいなどなど、商談会と銘打ってはいますが、ちょっとした疑問を投げかけつつ、いろいろな話ができる場として活用してみてください。 https://t.co/6z0Xh3VrFR
— タナカ マコト (@tanakama) October 9, 2024
出展各社のブース
今回の商談会に出展したパブリッシャーは全15社。11月16~17日に幕張メッセで行われるゲームマーケットで販売予定の新作や、ドイツ・エッセンでのシュピールに出展されたものを含め、各社がラインナップしているタイトルを持ち込んで展示を行った。
アークライト
アークライトは新作『ディング!』『レンソービンゴ』『ギフトクラフト』の3作と、既存タイトルを出展。さらに中央卓にて『アンコンシャス・マインド』の展示もあった。
itten
ittenはゲームマーケット2024秋で先行販売する『四ツ角探偵 』『グラビティスリー』のほか、『トーキョーハイウェイ』などを出展した。
オインクゲームズ
小箱でおなじみのオインクゲームズは、『月面探険 新版』や、コラボ作品の新作『トイストーリー おもちゃの多すぎるゲーム』『ディズニーヴィランズ アンノウンオーダー』を出展。いずれもゲームマーケット2024秋で販売される。
コロコロ堂
『CONIC』や『ナゼカヨメチャウ』などを出展したコロコロ堂。
ジーピー
ジーピーは『たべたのだあれ』『ウボンゴ ディズニーツムツム』などのほか、ゲームマーケット2024秋で先行予約が行われる『カタン エネルギー版』を出展。
数寄ゲームズ
数寄ゲームズは従来作に加え、新作の『トライコーダ』『失われた種の探索』『レオナルド・ダ・ヴィンチ レスター手稿』などを出展した。
すごろくや
すごろくやは『ナンジャモンジャ』『音速飯店』といった定番タイトルのほか、新作『ヘルパゴス』を出展した。
テンデイズゲームズ
主催のテンデイズゲームズは、『キングドミノ』や『ドラゴミノ』といった従来作を出展。さらに新作として中央卓にウヴェ・ローゼンベルクの『ブラックフォレスト』などを展示した。
ハーベストバレー
『スペースインベスターズ』と『ダイビィ!』を出展したハーベストバレー。
JELLY JELLY GAMES
ジェリージェリーゲームズはゲームマーケット2024秋で先行発売される新作『フィクサー』『YUBIBO』や『トロッコタウン』のほか、LIQUOR GAMERS CLUBのタイトルを出展。
Forgames
ゲームマーケット2024秋の新作『エッグ リリース・オブ・ヤバラス』や『ハリコッツ新版』などを出展したForgames。
ホビージャパン
ホビージャパンは発売済の『クイズウィズ』『シンクロクエスト』に加え、新作『ザ・セイムゲーム』『エスぺライゼーション』などを出展した(発売は近日を予定)。
ホビーベース
ホビーベースは人気作の新版『ぬくみ温泉開拓記』や、定番タイトルの『リフトイット!』『スティックスタック』を出展。
ムーンスリー
本格タイトル『マラケシュ』『東インド会社』や、『マラケシュ拡張:ラクダと流浪の民』を出展したムーンスリー。
メビウスゲームズ
老舗メビウスゲームズは、『チャオチャオ』や『カルカソンヌ』などの定番に加え、人気作のトラベル版『マグネット ガイスター』を出展した。
中央の島での展示作品
各社の従来作品のほかに、一部の新作の展示も行われていた。
主催者を直撃! 商談会を企画した意図とは
今回の商談会は、テンデイズゲームズの田中誠氏の呼びかけによって行われたものとなる。その目的や開催の意図について、会場内で田中氏に話を聞いた。
──今回、初めてテンデイズゲームズ主催で商談会を開催したのは、なぜでしょうか。
田中氏:同様の会は、以前すごろくやさんが何度かやっていらっしゃって、コロナ禍の時期もオンラインで開催されていたのですが、近年はありませんでした。“巣ごもり需要”以降、ボードゲームを遊ぶ人が増えたこともありますし、小売りとして販売されている方、ボードゲームカフェの方も含め、さらに皆さんにボードゲームというものを知っていただく機会を作りたいと思ったんです。それが商談会を企画させてもらった理由になります。
──今回の出展企業は、老舗や大手出版社が参加していますね。
田中氏:今回はプレ開催といった位置付けです。初めてのことですから、どのくらいのことができるか私たちとしても予想がつかないところがありました。そのため、普段から私が親しくさせていただいている方々にお声がけさせていただいたというところです。私がテンデイズゲームズを始めて15年ほどになりますが、それだけの期間にいろいろな方にご協力をいただいてきて、今回、その皆さんとの繋がりがいい形で出せたと思っています。
──商談会ということで、事業者の人向けに特化した部分があります。
田中氏:私自身、自分の会社やお店をやっている中で、売り手がどうお客様に訴求していけばいいのか、難しいところがありました。例えば、ボードゲームカフェをやっていて、ゲームの販売にも興味があるが、メーカーや問屋と知り合うきっかけがない、と言う人がいらっしゃいます。しかし、私たち売り手からのアプローチが難しい。そのような方々の橋渡しになればというところもあって、今回は商談に特化したBtoB(Business to Business)という形でやらせていただきました。
──3月に関西で開催された“Board Game Business Expo Japan(BGBE)”にも、業者同士の交流デーが設けられていました。
田中氏:そのイベントのことも頭にありましたが、BGBEはどちらかというとデザイナーとイラストレーターのような制作サイドの交流が中心で、相互に売り込みたい同士のやり取りが多いという印象でした。今回の商談会は、おもちゃショーのビジネスデーのようにBtoBでメーカー(出版社)が買っていただく事業者さんに来ていただくという形に特化したものにすれば、BGBEとの差別化も図れますし、我々がやる意義があるのではないかと。
──今後もこの会を継続していく方向なのでしょうか。
田中氏:ありがたいことに、今回いらっしゃった方は私が想定していたよりも多くなりそうです。お問い合わせの件数も含めればさらに多くなりますから、やはりニーズがあったのだと思います。まだ始めたばかりで早計ではありますが、できれば継続的にやっていきたいですね。今回は東京近郊の出版社にお声がけしていますが、もし来年以降にまた開催するとなれば、地方の出版社の皆さんにも出展をお願いできればと思っています。
──今回は大きな出版社から個人でやられてるようなところまで集まっていらっしゃいますが、今後も会社としての大小を問わず出展を募っていくお考えですか。
田中氏:ボードゲームの世界は、広がりがあるというのが大きな魅力のひとつだと思います。大手の出版社がある一方で、同人ゲームを作っている個人もいる。それは両極端ではなくて、その間にグラデーションのような位置の方々がたくさんいるんです。メーカーを見ても、オリジナルタイトルをひとつふたつ作っているところから、輸入販売が中心だけど卸しもやっている、といったようなところも含めると、かなり幅が広くなります。いろいろなポジションの人にまんべんなく機会があるといいと思うので、商談会を続けていくのであれば、広がった部分も含めてフォローしていければと考えています。
今回は初の開催ということで参加した出版社は15社と決して多くはなく、会場規模も大きいものではなかったが、開始直後から多くの人が訪れて大盛況となった。参加者の皆さんがブースをしらみつぶしにひとつずつ当たり、出展側のスタッフと時間をかけて楽しそうにゲームの話に興じているのが印象的で、ユーザーへの販売が主となるゲームマーケットでは見られない風景だったように思う。
次回以降の予定は決まっていないが、田中氏は来年以降に継続的な開催を考えているとのこと。対象者はショップやボードゲームカフェ、小売りや卸しといったボードゲーム関連の事業者に限られるが、動きがあるようなら田中氏(https://x.com/tanakama)よりアナウンスがあると思われるので、興味のある人は注目しておいてもらいたい。