ゲムマ前恒例「春の超新作体験会」レポート! 『フィンスパン』など話題の新作&発売前のゲームを先取りでプレイ

暮しとボードゲーム編集部企画による「春の超新作体験会」が3月30日に東京・表参道のSPRING TERRACEで開催された。

「超新作体験会」は国内の有力メーカーが参加し、新作やリリース前のゲームの体験プレイを楽しむことができるイベント。今回は14社が参加し、5月17~18日に行われるゲームマーケット2025春発売予定のタイトルを中心に、直近に発売された注目作などがプレイ可能ということで、定員の60名が事前予約の段階で満員になっていた。

本稿では、出展ゲームの紹介や、記者が実際にプレイしたゲームのインプレッションなどをお届けする。

※出展タイトルをすべて紹介しています。
※タイトルに併記している人数は、プレイ可能人数もしくは本イベントでの試遊募集人数を示します。プレイ想定時間はインスト時間も含みます。なお、ボードゲームベアの募集ページで人数およびプレイ時間が発表されていないタイトルについてはここに記載していないものもあります。
※掲載メーカーは50音順です。

アークライトゲームズ

●フィンスパン/1~5人/60~75分
●ワンパーセント/2~6人/1~30分

発売されたばかりで現在話題沸騰中の『フィンスパン』は魚のカードを集めて個人ボードに配置していくタブロービルド。『ウイングスパン』の姉妹作となる。会場でも人気で、事前に予約していたプレイヤーによって絶えることなく回転していた。好評発売中(2025年3月発売)。

当日までタイトル名が伏せられ、この日に初お披露目となった『ワンパーセント』。10面体ダイスふたつを振って“00”の目を出すことを目指すゲームで、プレイヤーは配られたカードのスートと数字の場全体での合計数を予測。正解した側はダイスを振るか、ダイス目を修正する能力カードを獲得するかを選ぶ。予想&ブラフにダイスロールが加わったゲーム。発売日未定。

itten

●ヒット&アウト/2人/15〜30分

野球をテーマにした2人専用ボードゲーム『ヒット&アウト』は駆け引きと心理戦がみっちりと詰まった内容。ittenらしく、バッターやピッチャー、ランナーのコマがしっかりと作られている。ゲームマーケット2025春より発売。

Engames

●コンパイル/2人/30分
●キューブル/1~6人/20分

『コンパイル』はAI同士の争いをテーマにした2人用カードゲーム。プレイヤーは12種の種族のカードデッキのなかから3つを選択し、獲得したカードのシナジー効果を活かして3列のフィールドの支配権を争う。好評発売中(2025年3月発売)。

Engamesの新プロジェクトとなる小箱のKnick Knack Series(ニックナックシリーズ)第一弾、『キューブル』。3色に色分けされた立方体のイラストのカードを組み合わせてお題の図形をいち早く完成させるパズルゲームで、なかなかお題通りに出来上がってくれず、あたふた……が楽しい! 1人プレイも可能。Y GAMESのタイトルの商業作品版で、6人までプレイできるように改訂された。5月発売予定。

ケンビル

●ピラミドミノ2/1~4人/45分
●ティーガーデン/2~4人/90~120分
●グーテンダック/3~6人/5~10分

タイル配置の『ピラミドミノ2』は、前作から「宝石を置いて得点化」という要素が加わってさらにゲーム性がアップ。4月25日発売予定。

『ティーガーデン』は話題の『SETI』を生み出したトマーシュ・ホレック氏によるデッキ構築&リソース管理もの。2025年夏発売予定。

『グーテンダック』はカードに書かれた世界中の言語で全員同時に挨拶し、同じ挨拶をしている人を互いに見つける、というパーティーゲーム。4月25日発売。

Saashi&Saashi

●祝宴の夜に/1~4人/20分

『祝宴の夜に』は迎賓館のパーティを舞台とした、絵と色でセットコレクションしていくトークン配置ゲーム。体験会前日ギリギリに試遊版が完成したとのこと。どの色で、どの形で、その組み合わせで揃えたらいいか悩ましい! ゲームマーケット2025春にて先行発売予定。

サニーバード

●七つの予言/2~4人/25~30分
●カエルタワー/2~5人/20分
●ファイブシーズンズダイス/2~4人/20分

『七つの予言』はBluete Spieleの作品のリメイクしたもので、マストフォロー、切り札なしのトリックテイキング。ラウンド開始時にリードカラーがあらかじめ公開され、10トリックプレイした際の自分の順位と回数(1位を〇回、2位を〇回……)を予想してビッドする。ゲームマーケット2025春発売予定。

『カエルタワー』。ぶれけけゲームズのタイトルを商業作品化、5人までプレイ可能になった。裏向きのカードをめくって獲得し、4色のカエルを4段まで積み上げる。シンプルな坊主めくりタイプで、手軽に盛り上がるパーティーゲーム。オールユニークのカードイラストにも注目。発売時期未定。

サンプルが間に合った『ファイブシーズンズダイス』も出展。ライナー・クニツィア氏『ケルト:ダイスゲーム』のリメイク作品の日本語版。5つのダイスを振り、5列のルート上で自分のコマを最大4つまで進めていくダイスロールゲーム。発売時期未定。

ジーピー

●カタンサッカー/2~4人/70~80分
●はんぶんかくれんぼ/15分

日本語訳解説書付きの輸入版が販売される『カタンサッカー』。『カタン』の拡張セットで、街や村が建設されるたびに突然サッカーのリーグ戦の試合が始まるという、なかなかにぶっ飛んだ作品。得点チェックでボールを転がす際は大盛り上がりとなる。

『はんぶんかくれんぼ』は、半分の図形のイラストがごちゃまぜに集まったカードのなかから、お題として場に出ている図を鏡を使って探し出す。鏡のギミックが楽しいファミリーゲーム。

数寄ゲームズ

●ネオドリーム/2~4人/60分

『ネオドリーム』は、『スマートフォン株式会社』や『ファーナス』で知られるイワン・ラシン氏の作品。好きな夢を作って見せることができる未来世界で、市場争いをするワーカープレイスメント&タブロービルド。SFライクなフレーバーと美麗なアートワーク、多彩なカードも魅力的。2025年春発売予定。

すごろくや

●エージェントアベニュー/2人/10~20分

『エージェントアベニュー』は円周トラックをぐるぐる回りながら相手に追いついたほうが勝ち。手札からカードを表1枚・裏1枚出して、相手にどちらか1枚を選んでもらい、残りはカードを出したほうがプレイ。表と裏、どっちを取るべきか、どっちを取らせたいかの心理戦が楽しめる。4人プレイ(チーム戦)も可。2025年夏発売予定。

テンデイズゲームズ

●サルトフィヨルド/1~4人/45~90分
●ガードリングス/1~4人/20~45分
●ネクストステーション:ロンドン/1~4人/25~30分
●ネクストステーション:パリ/1~4人/25~30分

『サルトフィヨルド』は2017年にリリースされたクリスチャン・アムンセン・オストビー氏によるダイスドラフトの『サンタマリア』をリメイク。ノルウェーの漁村を舞台に、集落を拡大したり、魚を獲りに船を出したり、貿易したりしてゲームを進めていく。2025年春以降発売。

こちらもオストビー氏作となる『ガードリングス』は、全員同時進行で進めていくバッグビルド・タイルパズルゲーム。2025年春以降発売。

『ネクストステーション:ロンドン』『ネクストステーション:パリ』は、好評発売中の『ネクストステーション:トーキョー』の別バージョン。めくったカードに記された駅(○や△など)まで線路をつないで得点していく紙ペンゲーム。1ラウンドごとに使用する色鉛筆を変えていき(隣のプレイヤーに渡す)、線路の交差は原則NGなので、全体を把握しつつうまく線路を敷いていく必要がある。

なお、『ネクストステーション:ロンドン』は2023年のドイツ年間ゲーム大賞のノミネート作品。

ホビージャパン

●フォー・ア・クラウン/3~5人/30分
●フタン/1~4人/30~45分
●さいころ民主主義 デメクラシー/3~6人/10分

『フォー・ア・クラウン』は共有のデッキを構築し、他のプレイヤーより多くのルビーを集めて王冠を手にすることを目指す。好評発売中(2025年1月発売)。

熱帯雨林を舞台に、花を配置して動物を呼び込み、豊かな森を作っていくのが『フタン』。カードをドラフトして自分のボードに花を配置し、特定の条件を満たすと動物がやってくる。ボードはとても華やかで立体的。好評発売中(2925年2月発売)。

ゲームマーケット2024春に制作発表をした『さいころ民主主義 デメクラシー』はデモ版を出展。大量に振ったダイスの出目を覚えて、多数派と少数派を当てる。ゲーム中は絶えず盛り上がっていた。発売日未定。

ムーンスリー

●ハンブルク/5人/80~120分

正統派ユーロゲームの流れを組む『ハンブルク』はステファン・フェルトのシティシリーズの一作で、昨年春発売の『マラケシュ』に続くタイトルとなる。同氏の『ブリュージュ』のリメイク作品。

メビウスゲームズ

●ニムト男爵/2-10人/15分
●ボタニクス/2-4人/60~90分

『ニムト男爵』は、ウォルフガング・クラマーの有名タイトルをアレンジしたシリーズ新作。カードを場に置いていく際は、列の末尾のカードと配置するカードのイラストの牛の色がひとつでも一致していなければならない。列の6枚目を置くか、一列に同じ色の牛が6匹集まるとカードを引き取り、牛アイコンの数だけ失点。予想もつかぬ混沌とした展開の連続は本家ゆずり。5月発売予定。

庭師を移動させながら個人ボードの庭園に花を植えていく『ボタニクス』。プレイヤーは共通ボード上の4種のアクションのどれかを手番順に早取りで実行していくが、強力なアクションほど次のラウンドの行動順が遅くなる。アクションに付随するボーナスが毎回変化するため、リプレイ性に富むタイトル。好評発売中(2925年2月発売)。

リゴレ

●ボレアル/2人/15~20分

『ボレアル』は2023年に頒布された2人インディーゲーム『ビルドキャッスル』の海外リメイク作。これがリゴレから日本語版として発売されることに。中央に並べられたカードを獲得して、ピラミッド状にカードを並べて得点していく。カードの配置、コスト、得点がいろいろ絡み合っており、20分程度のプレイ時間だけどかなり濃密。近日発売予定。


大盛況だった“超新作体験会”。関東圏のボードゲームファンにはすでにおなじみのイベントとなりつつあるようだ。

まだ発売されていないというタイトルも数多く出展されており、今回は開催日がゲームマーケット2025春の1カ月以上も前だったということもあって、同会のコンセプトである「発売前のゲームを事前にプレイして購入を検討する」という目的にじゅうぶん沿ったものとなっていたように思う。

参加しているプレイヤーの皆さんも慣れた方々が多く、和気あいあいと楽しんでいると感じた。また、遊び方についてはメーカーの担当者が直接説明してくれるうえ、不明点があればすぐに質問して対応してもらえるため、初心者の方にも優しいイベントなのではないだろうか(実際にこのようなゲーム会に来るのが初めてというプレイヤーも参加していた)。

BROADでは次回以降の開催についても随時報じていく予定なので、ゲームマーケット発売の新作が気になっている人はもちろん、ボードゲームのオープン会に興味があるという方も参加を検討してみてはいかがだろうか。