フォアシュピール2024秋東京で新作ボードゲームを試遊してきた!

2024年11月4日、「フォアシュピール2024秋東京」が開催されました。場所は錦糸町マルイ8階のすみだ産業会館です。

フォアシュピールとは、ゲームマーケットの直前に開催されるボードゲームの先行試遊会のイベント名です。ゲームマーケットではブースの数が多すぎて周りきれない……という悩みを解消すべく、2019年から行われているボードゲームの試遊会になります。販売は無しで、ゲームマーケットで頒布予定の新作ゲームの試遊だけを行うというイベントです。言うなれば、ゲムマの前哨戦。

今回は、初となる東京と大阪での同時開催。東京は会場が2ヶ所で計107サークル、大阪は34サークルが出展しました。アナログゲームのイベントとしてはゲームマーケットの次くらいにスケールが大きくて、試遊会と言うより一大ボードゲームイベントになりつつあります。開催時間10:30〜15:30の5時間では、出展されているボードゲームの半分も触れることは出来ないのが現状です。フォアシュピールのフォアシュピールが必要かも知れませんね。

では、試遊したゲームをブースの番号通りに紹介します。また、イベント用に時間短縮の特別ルールで案内してくれたサークルも多かったので、本来のゲームのルールとは多少違う可能性もあることをご了承ください。ゲームマーケット2024秋の参考になれば。

アークライト

ギフトクラフト

〈ギフトクラフト/1〜6人/6歳〜/20分〉

綿などの素材を集めてぬいぐるみを作るドラフトゲーム。

素材が描かれたカードを全員に7枚配ったらゲームスタート。手札の中からカードを1枚獲得したら左隣の人に残りのカードを渡して、右隣の人から渡されたカードの中から1枚獲得して…とカードドラフトを繰り返します。カード6枚を獲得したら、必要な素材を支払ってぬいぐるみを1つ作ります。ぬいぐるみの能力を発動して得点計算をし、点数が一番高い人の勝ちです。

たった1ラウンドだけでゲームが終わるので短時間で決着がつきます。しかし多くのパラメーターを上げるので、ゲーム時間20分程にもかかわらずやりごたえがありますね。1回のゲームではぬいぐるみは6体しか使いませんが、ぬいぐるみは25枚でカードの裏表で50体のぬいぐるみがあるので、飽きずに何度も遊べそう。ってか、『ギブトレ』や『ハニワと豪族あと土偶』で知られるOBOttoさんのイラストが可愛くて一枚一枚じっくり見たかった。N2さんが2023年に作った『エイジオブウィル』のリメイク作です。遊びやすい!

ClaGla

クルクルミラーサーカス

〈クルクルミラーサーカス/2〜8人/7歳〜/30分〉

サーカスの団長が書いた文字を当てるクイズゲーム。

1人がサーカス団長になり、残りの人が観客になります。サーカス団長が丸いタイルの上に文字を1文字記入したら、ゲームスタート。サーカス団長は、丸いタイルをボードの上に乗せて鏡の前にちょっとだけ出します。歯車をグルグルと3回転します。観客は正解が分かったら回答します。当たっていたら得点獲得。解答権は1回だけなので、はずれたら脱落です。全員がサーカス団長を1回やって、最終的な得点を競います。

何これ?!って声が出る、なんか面白そうなコンポーネントです。書いた文字をちょっとだけ隙間から出して、ぐるぐる回して文字を当てるってなんというアナログなクイズでしょうか。鏡に写って変な形になるので、なかなか混乱しますね。大人も子供も一緒に遊べるやつです。

オインクゲームズ

ベネチアのおみやげ

〈ベネチアのおみやげ/2〜4人/7歳〜/30分〉

ベネチアを舞台に、お土産を集めて空港に戻るセットコレクションゲーム。

お土産タイルをウラ向きに7×7列並べたらゲームスタート。自分の手番では、ウラ向きのタイルを1枚めくり、サイコロを振ってコマを移動して、止まった場所のお土産を買うかすでに買ったお土産を戻すだけ。同じお土産タイル3枚を集めると得点になります。ただし、お土産タイルは6枚しか持てません。さらに、土産タイルが全て表向きになるとゲーム終了なので、それまでにスタート地点の空港に戻らないと0点です。最終的に得点の高い人の勝ちです。

小さなお土産タイルを並べ、1〜3までのサイコロを使ったすごろく、制限時間内にスタート地点に戻らなきゃいけないなど『海底探険』を彷彿とさせるゲーム性。それもそのはず『海底探険』と同じ2人によるボードゲームでした。ルールの面白さはもちろん、アートデザインも含めていかにもオインクゲームズって雰囲気です。

トレンド

〈トレンド/3~5人/30分〉

同じ色で同じ形のイスを集めるハンドマネジメントゲーム。

色が白・黒・赤の3色、背もたれが四角・台形・くびれ型の3種類の計9タイプのイスカードを全員に同じ枚数配り、場に8枚並べたらゲームスタート。自分の手番では、並べられたイスカードを1枚獲得して、持ってるイスカードを捨てます。捨て方に特徴があって、前の人が捨てたイスカードと色もしくは形が同じものしか捨てられません。そして、同じイスカードであれば複数枚を一度に捨てることが出来ます。これを繰り返して、手元に同じイスカードが残っていればあがりです。最終的に集めたイスカードの枚数に応じて得点を獲得します。何回か繰り返して、規定の得点に達した人の勝ちです。

表向きのイスカードを手に取るので、誰が何のイスを集めているのかある程度分かってきます。そうなると、人気のないイスが場に残るので人気のないイスが集めやすくなるのが面白いです。最後の1人以外は得点を獲得出来るので、じっくりとカード集めが可能なのもいいですね。地味なカードゲームなのに、繰り返し遊びたくなる感じ。

ごらく趣造

そのオモチャちょうだい!

〈そのオモチャちょうだい!/3~5人/8歳〜/15分〉

全5色の猫の玩具カードを集めるトリックテイキングゲーム。

色が5色で、数字が1~8までのカードを全員に同じ枚数配り、切り札となる色を決めたらゲームスタート。スタートプレイヤーからカード1枚を出して、最も強い人を決めます。メイフォローのルールなので、スタートプレイヤーと同じ色のカードを出す必要はありません。最も強いカードを出した人は、今回出ている全てのカードを獲得して自分の前に並べます。これを繰り返して、5色をいち早く集めた人の勝ちです。ただし、1つの色のカードを4枚集めたら、その色のカードを捨てて0枚になります。

ゲーム自体は、非常にシンプルなトリテです。同じ色のカードを4枚獲得すると、バーストになってその色のカードを捨てなきゃいけないので、トリックを取る人がバーストしそうな色のカードを押し付けるというゲーム感。メイフォローが効いてます。3人で試遊しましたが、もう少し多い人数だとさらに面白そう。

ボドゲイム

まるっとフィッシング

〈まるっとフィッシング/2~5人/10歳〜/20分〉

手描きの網でたくさんの魚を捕まえるお絵描きゲーム。

いろんな魚が描かれたシートを確認します。手元にある透明シートにホワイトマーカーで網を描き、網を2つ作ります。マイナス点になる魚を捕まえないように網をシートの上におきます。囲んだ魚に応じて得点を獲得します。これを4ラウンドまで繰り返して、最終的な得点を競います。

見たまんま、想像した通りのゲームです。これは楽しい!「あの辺のタコを捕まえるには…」と考えながら網を描いて、重ねるだけ。2ラウンド目以降はカードをめくってアクシデントが発生するようです。ボドゲイムの作品は発想が他のサークルと違ってて、毎回ワクワク感がありますね。

パンパス

亜熱帯日本

〈亜熱帯日本/2~5人/7歳〜/20分〉

季節ごとに価格が変動するフルーツを集めて売るカードゲーム。

春に高く売れるキウイ、夏に高く売れるマンゴー、秋にしか売れないザクロ、季節が進む季節カードの4種類しかカードがありません。自分の手番では、場に並んだフルーツカードを1枚獲得するか、獲得したフルーツを売却するかの2択。これを繰り返して、2年後の秋が終わったらゲーム終了です。売却したフルーツはウラ向きで季節ごとに重ねて、ゲームの最後に得点計算をします。得点が一番高い人の勝ちです。

季節カードが12枚もあるので、凄い勢いで季節が流れたと思いきや、いつまでも夏が続いたり、相場が読めないのが楽しいですね。秋に売ろうとザクロを所持してたら、一周回って自分の手番の前に秋が終わったり。版画の様なカードをデザインが、シンプルで素朴なゲーム内容にピッタリ合っていました。

SHUNROID

ドンガエシ

〈ドンガエシ/2~5人/9歳〜/15分〉

ゲーム終了時にアッタリカードを所持するか、キープポイントの多い人が勝ちのカードゲーム。

自分の手番では、何かしらの効果が書かれたカードを山札から1枚引いて、効果を発動するかウラ向き並べてキープポイントを貯めます。これを全員で繰り返して、山札が無くなった時に「アッタリカード」を持っていた人が勝ちとなります。しかし、勝利条件を変更するカードがたくさんあって、数字順に全てをチェックします。その条件に合う人が勝ちとなります。

「アッタリカード」を無効にする「ハッタリカード」や、キープポイントを3倍にする「ガッポリカード」などなど、カード効果がめちゃくちゃ派手なのにバランス良く遊べます。大味なパーティーゲームと見せ掛けて、しっかり緻密に作られている印象を受けました。カード効果を熟知した上でガチ勝負したいですね。クスクス笑いが絶えない変なゲーム。

11時03分駅前集合

音感

〈音感/1~4人/4歳〜/30分〉

アプリに反応して音が出るICチップ入りカードを使った神経衰弱ゲーム。

ICチップが入っているカードを並べたらゲームスタート。自分の手番では、専用のアプリを立ち上げたスマホを1枚のカードの上に近付けます。ICチップが反応して、スマホからひとつの音が鳴ります。もう1枚カードを選んで同じようにスマホを近付けます。ひとつの音が鳴り、同じ音なら正解と判定されるので2枚のカードを獲得します。

音を使った神経衰弱です。ゲームとしてはシンプルですが、技術が凄い! 百聞は一見にしかず、いや、百見は一聞にしかずと言いましょうか、これはぜひ一度体験してほしいゲームです。こんなの同人で作れるんですね。音はピアノや尺八など10種類以上の楽器が用意されていました。半年前のゲームマーケット2024春では開幕してすぐに完売になりウワサだけが一人歩きしていましたが、今回再販されるようです。

Mob+

もぐらポーカー

〈もぐらポーカー/2~5人/6歳〜/15分〉

5枚のカードで役を作り強弱を比べるポーカーゲーム。

1~5まで6枚ずつのカードを、ウラ面に書かれたA・B・C・D・E・Fごとに山札を作ったらゲームスタート。自分の手番では、6つの山札からひとつ選んでカード1枚を獲得します。山札ごとに何のカードが何枚あるかがウラ面に書いてあります。1枚目と5枚目はウラ向きで他の人は見えないように置きます。2~4枚目は表向きで他の人にも見えるように置きます。これを全員が5枚のカードを獲得するまで繰り返したら、全員でカードを公開します。作った役を比較して、最も強い人の勝ちです。

これは楽しいですね。例えば「Cは3が3枚、4が2枚、1が1枚」と中身を分かっているので、他の人がCから1を引いたら3か4しか出ないことが確定するなど、戦略的に確率論でゲームを進めて役を作っていきます。確率を信じて山札を選び、カードを引くポーカーです。Mob+としては「ねこポーカー」「いぬポーカー」を作っていて、本作がどうぶつポーカー第3弾になります。

BrainBrainGames

GEAR

〈GEAR/2~5人/10分〉

公開されているカードと非公開のカードを使うトリックテイキングゲーム。

カードは黒と青の2色、数字は1~10の20種類で全て2枚ずつあります。カードを表向きで6枚ずつ人数分並べて、欲しいカード群をオークションします。全員どれかのカードを獲得し、さらにウラ向きでカード2枚を配ってからゲームスタート。スタートプレイヤーからカードを1枚出して、トリックテイキングを行います。表向きになっているカードはマストフォロー、ウラ向きのカードはメイフォローというちょっと変わったルールになっています。トリックを取った回数が得点になりますが、最後のトリックだけが3点になっています。最終的に得点が高い人の勝ちです。

前々作『OPEN』前作『LOOP』に続き、シリーズ第3段になります。また同じように小さな箱に入ってますが、非常に噛み応えのあるゲームになっています。最後の1トリックで勝つのが重要なので強いカードを残す展開になりやすく、中国の伝統的なトリックテイキングの『打天九』を意識して作ったんじゃないかなぁと。面白い!

新ボードゲーム党

LENGTH

〈LENGTH/2~5人/8歳〜/30分〉

手札からカードを出して条件を満たしていくセットコレクションゲーム。

カードは0~9までの10種類。全員にカードを8枚配り、得点となるカードを並べたらゲームスタート。自分の手番ではカード2枚を引くか、同数または連番でカードを出します。出したカードの枚数の組み合わせが得点カードに書いてある組み合わせと一致すれば、得点カードを獲得します。これを繰り返して、先に10点獲得した人が勝ちです。

同じ数のカードを出したり連番でカードを出すラミー系のカードゲームは多々ありますが、出したカードの組み合わせで得点化するのが面白いアイデアです。手札から出した組数と同じ枚数のカードが引けて、得点化した時の得点と同じ枚数のカードが引けるので、カードがぐるんぐるん回って地味なゲームながらダイナミックな展開になるのも面白いところ。何度も何度も繰り返し遊びたくなるヤツです。

米光ゲーム

ジャーナリング・オブ・ザ・デッド

〈ジャーナリング・オブ・ザ・デッド/1~100人/8歳〜/30分〉

ゾンビに囲まれた2人が日記を書いていくストーリーメイクゲーム。

僕と相棒がゾンビだらけの世界に生き残ったという設定で、カードをめくって話を進めていきます。1日の終わりに日記を書いて、物語を展開していきます。

得点の多い人が勝ちとかカードを無くしたら勝ちとか、そういうありきたりなゲームとは全く別物の遊びです。ゲームの概念を問いかけてくるような作品でもあります。カードを引いたら説明書に書かれている設定に話が流されていくので、1人でも遊べますが複数人で展開を共有して挑んだ方が楽しめそうです。決して万人向けではないけれど、好きな人には深〜く突き刺さるはず。面白いとかつまらないとか、そんなちっぽけな感想を超越してます。斜め上からの発想を形にする、米光一成さんならではのゲームではないでしょうか。

Saashi&Saashi

午前1時の大脱走

〈午前1時の大脱走/2~5人/8歳〜/20分〉

囚人を全員脱走させるのが目的のゴーアウト系カードゲーム。

数字は1~8まで、囚人が描かれたカードを全員に同じ枚数配ったらゲームスタート。自分の手番では、同数のカードもしくは連番のカードを出して、カードを1枚獲得します。出し方の枚数に特徴があって、前の人が出したカードより1枚少ないか、同数か、1枚多いかの3択になります。これを全員で繰り返して、手札が0枚になった人が2人になるまで続けます。カードが残った人はマイナス点になります。3回繰り返して得点を競います。

自分の手番の最初に、前の人が出したカードに1枚付け足すことが出来るというルールがあって、場に出ているカード枚数をコントロール出来るのでスピード感があります。カード枚数は多いですが、1ゲームは短いのでサクッと軽いプレイ感。やればやるほど上達する気がして、なんかクセになるカードゲームです。もうちょっとやりたかった。

サークル713

ボールロールゴール

〈ボールロールゴール/2~5人/8歳〜/30分〉

ボードを斜めにしてビー玉を穴に入れるアクションゲーム。

1人がプレイヤーになり、残りの人は妨害をします。妨害する人はボード上に板を2つ並べます。次に、プレイヤーはボードの端を持ってビー玉を転がし、1分以内にビー玉を穴に落とします。この時、妨害で置かれた板を倒さなければ高得点を獲得します。制限時間内にクリアすれば更に高得点です。板を置いた人は、倒されると得点獲得です。全員でプレイヤーを2回やって、最終的な得点を競います。

失礼ながら、小学生が夏休みの宿題で作ったようなコンポーネントのゲームです。しかしこれが超面白い! そして、思った以上にビー玉を転がすのが難しいです。こういうヘンテコなゲームが飛び出してくるのがゲームマーケットの魅力のひとつですね。機会があれば是非遊んで欲しいヤツ。

ましうgames

君よりチョコレート

〈君よりチョコレート/2人/8歳〜/10分〉

板チョコレートを割って欠片を取り、取ったトッピングに応じて得点計算をする2人専用セットコレクションゲーム。

チョコレートタイルを5×7で並べたらゲームスタート。自分の手番では、チョコレートを直線で2つに割ります。割った時に3個以下のチョコレートのかたまりが出来たら、かたまり1つを獲得します。これを繰り返して、チョコレートタイルが1枚も無くなったらゲーム終了です。得点表に応じて、獲得したチョコレートの点数を計算して、点数の多い方が勝ちです。

テーマが可愛らしいので、カップルや親子にピッタリ。可愛らしさとは裏腹に「あそこを割るとあっちを取られるか…」など、ガチンコ勝負になるのでかなり頭を使うゲームですね。得点パターンの違うカードが多数あるので、得点のルールを変えれば飽きることなく何度でも気軽に遊べそうです。


ということで、試遊出来たのは以上16作品です。かなり駆け足でこの数です。事前にチェックしてたけど席が空かなくて断念したゲームもたくさんありました…。ゲームマーケットの開催時間はもう少し長いですが、そんなに試遊は出来ないんですよ。どのゲームもそれぞれの魅力がありましたので、気になる作品があれば今からでも予約してみてはいかがでしょう。