【ゲムマ2024秋】新会場幕張メッセにて開催!さらに盛り上がりを見せるアナログゲームの祭典~ゲームマーケット2024秋レポート【エリアブース編】

アナログゲームの祭典、ゲームマーケット2024秋が2024年11月16日(土)、17日(日)の2日間に開催される。会場は今回から幕張メッセに変更。4~7ホールを使用し、過去最大面積での開催となった。

今回は企業やメーカーが配置されるエリアブースから、11月16日に編集部が注目した出展の情報をお届けしよう。

※以下、ブース名の前の【エリア〇〇】は会場内での配置番号を記載。

【エリア01】アークライト


これまで通り、会場と同時に長い列ができたアークライト。今回は準新作のドラフトカードゲーム『ギフトクラフト』を軸に、先行発売の『レンソービンゴ』『Ding!』および『テラフォーミングマーズ拡張プレリュード2』が目玉としてラインナップ。『ワイアームスパン』『六華』といった従来作を含めて次々と完売が続き、16時を回ったころには新作3作も本日分が完売となった。

サイト:https://arclightgames.jp/

 

【エリア02】Sui Works


新作のワーカープレイスメント『EAUCHEMIN(オーシェミン)』に加え、『Baladerie(バラドリー)』など全5作を出展した福岡のSui Works。いずれのタイトルも美しいアートワークと豪華なコンポーネントが注目を集めていた。

サイト:https://suiworks0321.official.ec/

 

【エリア21】ADICE

viviONのナログゲームブランド「ADICE」は今回初出展。マダミスの『ひねもす落ちる栗の花』『神様のサイコロ After 4.』『牧場カマス事件』、ボードゲーム『オズの原罪 -Sin of OZ- Beyond the Doors』『オズの原罪 -Sin of OZ- The Doors of Revelation』をズラリと展示・販売していた。さらに、会場初公開情報として、新作マーダーミステリー『デビルマン アーマゲドン序章』と『メガゾーン23 バハムートの残影』が発表。どちらも2025年春にパッケージ版が発売予定で、同社によるオンラインマーダーミステリーサービス「ミステリーラボ」でもリリース予定とのこと。

サイト:https://adice.vivion.jp/

 

【エリア25】Engames


富山のEngamesは、宮野華也氏の『ナナ』の海外版『トリオ(日本語版)』をリリース。重量級タイトル『ヘゲモニー』『コーヒーラッシュ拡張』などの新作も出展した。これまで同社から発売されたタイトルの人気投票“エンゲームズ総選挙”もブース内にて開催。また、近日発売の新作として『グランドオーストリアホテル(日本語版)』『グランドオーストリアホテル拡張:レッツワルツ』『ヴォイドフォール』を発表して重ゲーファンを驚かせた。

サイト:https://www.engames-s.com/

 

【エリア27】グループSNE


老舗グループSNEは人気タイトルの派生作『そういうお前はどうなんだ?異世界転生編』や、宮野華也氏の『ギャンブラー×ギャンブル(新版)』、我孫子武丸氏・九月姫氏など豪華スタッフによる“モンスタートリックテイキングゲーム”『アルカンシェル』の他、マーダーミステリーの新作を出展した。

サイト:http://www.groupsne.co.jp/index.html

 

【エリア28】itten


重力の法則を使った最大3人用のゲーム『グラビティースリー』、カードの角の丸さ加減を触感で当てる『四ッ角探偵』のユニークな2作をリリースしたitten。試遊も大人気だった。

サイト:https://www.itten-games.com/

 

【エリア29】SUSABI GAMES


開場と同時に列ができ、つづら折りとなって長く続いたSUSABI GAMES。超人気タイトルの新作『HacKClaD.DeltA』『アイドルアライブ ステラビーツ』の2作が絶大な支持を集め、会場内でも最長クラスの列を形成。午後になっても列がなかなか途切れなかった。

サイト:https://susabigames.com/

 

【エリア30】ゲームストア・バネスト


目利きによって選ばれた海外新作を和訳付きで販売するバネスト。開場と同時にコアなゲーマーたちが列を作る様子は、毎回のゲームマーケットの名物ともいえる。今回は『80日間世界一周』『Quiet House』をはじめとする12タイトルを販売した。午前中は接客におおわらわ、午後になって名物店長の中野氏もようやくリラックスムードに。

サイト:https://banesto.nagoya/

 

【エリア32】ジェコ(DJECO)


フランス発“アートなゲーム”を持ち込んだ初出展のジェコ。『チョップチョップ』『ダッキーダッキー』『ピンポン!』などアートワークやコマ、ボードなどのコンポーネントが美しく、“映え”が抜群に良いキッズ向けのゲームを販売した。試遊も注目を集めていた。

サイト:https://djeco.jp/collections/games

 

【エリア36】Allplay


米Allplay社が日本進出。これまで各ショップが翻訳ルールを付けて独自輸入していたゲームたちが、ついにゲームマーケット初出展となった。『リバー・バレー ガラス工房』、ライナー・クニツィアの『砂漠を越えて』といった注目のタイトルが並び、ブースには行列ができた。

サイト:https://www.allplay.com/

 

【エリア37】ジーピー


注目作『カタン エネルギー版』の先行予約と、翻訳ルール付きの海外版を販売した『ギャングポーカー』の2作品それぞれに長い列ができたジーピー。いずれの作品も早々に受付終了・完売。試遊卓も大盛況だった。また、恒例の1000円ガチャにも長蛇の列ができた。

サイト:http://www.gp-inc.jp/

【エリア38】JISF 一般社団法人日本鉄鋼連盟

ヘルメット着用、作業員風のスタッフがひときわ異彩を放っていたJISF 一般社団法人日本鉄鋼連盟。鉄のリサイクルをテーマに、実際に鉄を使用した重量感溢れるゲームを出展した。新作『リサイクルハンター』はカナイセイジ氏デザインの本格派で、数量限定でクイズ回答者に抽選で無料配布されるとあって、開場時には長大な列ができた。前作『鉄の転生すごろく』の展示もあった。

サイト:https://www.jisf.or.jp/news/topics/20241029.html

 

【エリア44】LIQUOR GAMERS CLUB・サントリー


お酒をテーマにしたボードゲームをリリースし、バーを模したセットのブースで展開するLIQUOR GAMERS CLUB。これまでゲームマーケットで発売したタイトルは、いずれも短時間で完売している注目ブランドだ。新作はシリーズ初の招待隠匿系『スパイインザバー』。旧作3作の再販も人気だった。

サイト:https://liquorgamersclub.jp/

 

【エリア45】JELLY JELLY GAMES


新作3作をリリースしたJELLY JELLY GAMES。タイル配置で街を作る『トロッコタウン』、同時多発的に1対1の戦いが発生する変則トリックテイキング『FIXER』、指で棒を支え合う『YUBIBO』のどれもが大好評で、試遊も人を集めていた。

サイト:https://jelly2games.com/

 

【エリア47】TERIYAKI GAMES/ヨフカシプロジェクト


前回より合同で出展するTERIYAKI GAMESとヨフカシプロジェクト。TERIYAKI GAMEは『恐れ入りますが、こちらの一言で危機を回避させていただいてよろしいでしょうか?』『レロレロ最終列車』『神経が衰弱するデスクトップゲーム』の3作をリリース。ヨフカシプロジェクトからは人気コミュニケーションゲームの新版『まっぷたツートンソウル2』が新作として登場、当日分は完売となった。ブース内には、おなじみテリテリマンも出現!

サイト(TERIYAKI GAMES):https://bushiroad-creative.com/products/?lcategory%5B%5D=1&tg%5B%5D=56
サイト(ヨフカシプロジェクト):https://yofukashiproject.com/

 

【エリア60】ホビージャパン


恒例“わけあり品放出”が大人気のホビージャパン。今回は目玉の新作として数量限定先行販売された“言語創作ゲーム”『エスペライゼーション』が短時間で完売。『チケット・トゥ・ライド:デラックストレインセット』も品切れとなった。いずれも17日に少量ながら追加販売があるとのこと。また、『さいころ民主主義 デメクラシー』の試遊も行われた。

ブース背面ではスクウェア・エニックスとのコラボ作品を展開。カナイセイジ氏デザインによる新作『モーグリ6兄弟のモブハント』が先行販売された。

サイト:https://hobbyjapan.games/

 

【エリア61】オインクゲームズ


開場後にすぐに長い行列ができたオインクゲームズ。名作の新版『海底探検 深版』をフィーチャーしたブースで、潜水艦をイメージしたバルーンが上空に浮かんだ。他に『ベネチアのおみやげ』『おもちゃの多すぎるゲーム/トイ・ストーリー』『“ディズニーヴィランズ” アンノウンオーダー』などを販売。『ナインタイル プレミアム』展示と予約受付も行われた。

サイト:https://oinkgames.com/ja/

 

【エリア65】グランディング

『街コロ』でお馴染みグランディングの新作は『どうぶつ食堂』。食堂の店長になって他店より評価を集めて一番の人気店を目指す、というもの。その他、7月に発売された小学館「コロコロコミック」とのコラボタイトル『街コロコロ』や、Nintendo Switch版『みんなと街コロ』の試遊コーナーも。

サイト:https://www.g-rounding.com/

 

【エリア70】ForGames & SUNNY BIRD


合同でブースを出したForGamesとSUNNY BIRD。ForGamesは『ハリコッツ新版』『エッグ リリース・オブ・ヤバラス』『フューチャー・インク』の3作を、SUNNY BIRDは『フィッシェン』『ファイブシーズンズ』を先行販売。2025年発売・矢沢賢太郎氏(『老子敬服』『豆と共にあれ』など)デザインの注目作『FALLING』の展示も行われていた。

サイト(ForGames):https://forgames.jp/
サイト(SUNNY BIRD):https://sunny-bird.com/new_event/3936/

 

【エリア71】CMON JAPAN


フィギュアを使ったゲームで知られるCMON JAPANは、『アンマッチド:アドベンチャー テイルズ・トゥ・アメイズ』を先行発売。クラウドファンディングキャンペーン追加受付がされた『ファイナル・ガール』も展示、恐怖の首斬りパフォーマンスも!? さらに、なんと無料で行われたプレゼントくじ“CMONドリームジャンボ”も多くの人を集めた。

サイト:https://cmonjapan.shop/

 

その他のエリアブース

【エリア05】Smart Ape Games

Smart Ape Gamesはパーティーゲームにぴったりな、簡単ルールで盛り上がる『じゃんけんスピリッツ』を販売した。

サイト:https://lit.link/smartapegames

 

【エリア06】MARU×14×ソラガメ×押森

MARU. Game Design、14games、SORAGAME STUDIO、押入れの森の4サークルの合同ブース。クラウドファンディングで人気を集めるMARU. Game Designの新作『グロウスカイ』が試遊可能で出展。シュピールで注目された14games『スノープランナー』も販売された。

サイト(MARU. Game Design):https://poimochi3459.wixsite.com/maru–game-design
サイト(14games):https://14games.base.shop/
サイト(SORAGAME STUDIO):https://soragamestudio.com/
サイト(押入れの森):https://oshimori.base.shop/

 

【エリア07】うちばこや

木駒と豪華コンポーネントで知られるうちばこやは、各種旧作やグッズを販売。さらにクラウドファンディングで大人気の新作、お菓子の街を作る重量級タイトル『Sweet Lands』の展示と試遊が行われた。

サイト:https://uchibacoya.com/

 

【エリア09】Korea Boardgames

韓国のKorea Boardgamesは『リンクイットフォー 』『ラストペンギン 』といったタイトルを試遊可で出展。

サイト:https://www.koreaboardgames.com/store

 

【エリア10】やのまん

やのまんは、精霊たちと宝石を作る新作『アトリエ・ウィズ・ジニーズ 』を先行販売。『ファーム・ウィズ・ブラウニーズ ノーザンブランチ』の試遊も行われた。
サイト:https://www.yanoman.co.jp/topic/boardgame/?srsltid=AfmBOoqBnMBi-xqYpV2yr1Aae1-RPNWNPSiYM0iam_wYu4QSq09atT_k

 

【エリア16】ライブレイジ

『CRAFT BEER FEST(クラフトビールフェス)』を販売したライブレイジ。『タイムボム』『イレブン』の作者佐藤雄介氏の新作で、色とりどりのビール瓶コマが並ぶエリアマジョリティのタイトルとなっている。

サイト:https://www.librage.biz/

 

【エリア17】スタジオムンディ

スタジオムンディは、コタツの上の猫をポーカーライクなカードバトルで取り合うライナー・クニツィア『まねきねこれくしょん』を販売&試遊。猫とは関係ないシルクロードおじさんも、なぜかブース内にノリノリで出現。

サイト:https://www.s-mundi.co.jp/

 

【エリア18】Gemblo Company

初出展の韓国Gemblo Company。『ジェムブロ』『かわいい子猫と遊んであげましょう!』などの作品を試遊可能で出展。

サイト:https://gemblo.co.kr/

 

【エリア23】playte & Honu +2 games

韓国・台湾のメーカーや、海外タイトルを扱うplayte、HonuGames、niji games、Wonderful World Board Gamesの4社で合同出展。

サイト(playte):https://www.playte.com/
サイト(HonuGames):https://honugames.thebase.in/
サイト(niji games):https://nijigames.base.shop/
サイト(Wonderful World Board Games):https://www.wonderfulworldbg.com/

 

【エリア24】ナナワリ&ルテシア

ナナワリとルテシアが合同出展。路線構築『ライズオブザメトロ トウキョウ』、カードに示されたポーズを取る『きょうの勝ち ノバース』、新聞を使って指定されたキーワードに合う言葉を探す『BEST SCOOP!!』など新作4点をリリース。

サイト(ナナワリ):https://nanawari.thebase.in/
サイト(ルテシア):https://www.lutecia.design/

 

【エリア26】わくわくムービック

ムービックのアナログゲームブランド・わくわくムービックは、人気デジタルゲームをボードゲーム化した『NIKKE DUEL ENCOUNTER 1stENTRY』を出展、完売した(ゲームマーケットでの再入荷は無し、オペレーションセットの用意はあるとのこと)。『盤上賽遊戯−ばんゆう− 』は試遊での出展。茶室風の試遊ブースが目を引いた。

サイト:https://wkwkmovic.jp/

 

【エリア33】GEO GAMES

知育要素を加えたゲームをリリースするGEO GAMESは、直販イベントでの限定販売品として新作『九九ジャン拡張』を出展(拡張セット)。試遊も行われた。

サイト:https://engagingtoys.jp/geogames/

 

【エリア39】たのしーが

滋賀の4サークルの合同出展。ナメた謝罪をかます煽り属性高めの新作『ナメプ謝罪』をはじめとするタイトルを販売した。大川ぶくぶ氏のイラストによる巨大ポップは二度見必須で存在感満点!

サイト(アソビ舎):https://asobiya-boardgame.com/
サイト(RESPAWN):https://t.co/JsA6XdOLgo
サイト※X(ケンチャンヌ):https://x.com/PLEKEN2
サイト※X(あからん):https://x.com/akaran_games

 

【エリア40】ClaGla

札幌のClaGlaは鏡文字を読む新作『クルクルミラーサーカス』、YESかNOの二者択一を当てる『どっちーな』『どっちーな アイドル編』を出展。『たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。』の拡張2作も販売された。

サイト:https://www.clagla.jp/

 

【エリア42】Anaguma

Anagumaはパーティーゲーム『シークレットクラウン』『すきぴのことはぜんぶ知ってる』を販売。共同出展のサグイネルは引いたカードで行動を決める新作『これから私たちは、』を販売した。

サイト(Anaguma):https://anagumagames.stores.jp/
サイト(サグイネル):https://www.xaquinel.com/

 

【エリア46】カドアナ[KADOKAWA]

“クトゥルフ邪神祭”と銘打ち、クトゥルフ神話TRPGのルールブックやシナリオを販売したカドアナ。

サイト(note):https://note.com/kado_ana/

 

【エリア48】Saashi & Saashi

新作の世界観を表したブースがひときわ目立ったSaashi & Saashi。シュピール24に先行出展した新作『午前1時の大脱走』の販売・試遊を行った。

サイト:https://saashiandsaashi.com/ja

 

【エリア53】ジャイアントホビー

ミニチュアゲームを扱うジャイアントホビーは、10周年を迎えた『ドラスレ』の新拡張版『天竜奇譚アメノミヤ』を発売。

サイト:https://www.giant-hobby.com/

 

【エリア62】集英社ゲームズ

集英社のコミックをテーマとしたシリーズ“マンガボドゲ”を展開する集英社ゲームズ。人気作を招待隠匿系ゲーム化した『DEATH NOTE人狼』を先行販売した。

サイト:https://shueisha-games.com/

 

【エリア64】ドイツゲーム喫茶B-CAFE

兵庫のB-CAFEは、つぎはぎで怪しげな本のタイトルをでっちあげる『すごい自己啓発本を作るゲーム』を販売した。

サイト:https://boardgame-bcafe.jimdofree.com/

 

【エリア67】HANAYAMA

パズルメーカーとして有名なHANAYAMAは、326氏が手掛けた『パチモン』『かるたンゴ』の2作の新作をリリース。また、『TAKUMI ZOO』のデザイナー・TAKUMI氏の新作『TAKUMI PIZZA』の先行予約も行われた。ブースにはコック服姿のTAKUMI氏が登場。326氏もゲーム購入者にサイン会を行った。

サイト:https://www.hanayamatoys.co.jp/

 

【エリア69】アソビション

アソビションは『Bulletハート』の独立拡張『Bulletスター』および『Bullet』拡張3種の販売と試遊を行った。Kickstarterのプロジェクト開始に向けて準備中の新作『カンパニア』の展示もあり、美しいアートワークとコンポーネントが注目されていた。

サイト:https://www.asobition.com/

 

【エリア72】リゴレ

横浜のリゴレは名作の復刻版となる『HOTDOG』を販売。長谷川登鯉氏が担当したアートワークも注目の一作。

サイト:http://www.rigoler.jp/

 

会場が幕張メッセに変更! 主催のアークライトにその理由と、気になる“これから”のことを聞いてみた

今回から開場が東京ビッグサイトから幕張メッセに移ったが、変更に際して大きな混乱は見られず、これまで通りゲームマーケットが開催されたという印象を受けた。

会場変更については前回のゲームマーケット2024春のカタログ内でも言及されていたが、今回、改めて主催である株式会社アークライトボードゲーム事業部 事業戦略室兼イベントチームの鈴木健右(すずきけんすけ)課長にいろいろと話をうかがった。

──今回から会場が幕張メッセになりましたが、移動の理由はどのようなものだったのでしょうか。

アークライト鈴木氏(以下“鈴木氏”):現在、東京ビッグサイトのほうで大規模な改装工事をされています。これは1年以上に渡るものだとお聞きしておりまして、工事期間中は会場全体の稼働率、使用規模が6割ぐらいに落ちるという話でした。これを現在のゲームマーケットの開催規模に当てはめると、今の出展者さんの中から、おおよそ3割ぐらいの落選サークルが出るような形になってしまいます。私たちとしては落選サークルを増やすのは避けたいという考えがあったので、規模を落とさない形での開催を続けるということが会場を移るという話に繋がったと思っています。

──本日、この会場で実際にゲームマーケットを開催してみて、どのようにお感じになりましたか。

鈴木氏:いい会場だと思います。その理由のもっとも大きなところは、やはり会場規模を広く取れたというところですね。今回はこれまでのゲームマーケットと比べても面積が最大となっており、せっかく広い会場を使わせてもらえるのであれば、ということでホール4つぶんのスペースを取らせていただいて、そのうち1つは完全に遊ぶブースとしています(プレイと食事のスペースが置かれた7ホール)。贅沢な使い方が可能となったのも、やはりこの広さが確保できたからでした。

きっかけこそビッグサイトの工事から始まったことでしたが、この会場規模がビッグサイトで確保できたかというと難しい部分がありますから、これはやはり幕張メッセに移ったからこその利点だったと思います。

──実際にこの会場に入場して感じたことは、「通路の広さがこれまでと全然違ってゆったりしているな」ということでした。

鈴木氏:それも広く使わせてもらえたからこそですね。それと、広くなったこととは違う話になりますが、入場の待機列を屋内に格納できるようになったのも大きいです。特に、今回は当初は週末に雨が降るという予報がありました。

──ビッグサイトでの開催時は、雨天時に待機列が(りんかい線の)駅のほうまで続いたというときもありました。

鈴木氏:雨の影響で列の進みが想定よりもずっと遅くなったと聞いているので、今後はそのようなことにはなりにくいのではないでしょうか。それと、この会場ですと近隣にホテルがあるので、泊まったホテルから会場まで楽にアクセスできるなど、他にもいろいろなメリットがあると思っています。

それと、次回は前日からの会場のレンタルについて話を進めています。近年はだんだんとブースのセットが大がかりになってきており、設営が大変だったり、いろいろなお客様がいらっしゃるなかで商談するのが土日のイベント開催中になるのが大変だという出展者からの声をいただくことがありました。開催前日にブースの施工をしながら商談をするというのは海外のイベントではよくあるスタイルですし、金曜の夕方から出展者の皆さんにに会場を開放していくことを考えております。これも予定が詰まるビッグサイトでは難しいことですから、幕張に移ったメリットのひとつですね。

──それでは、会場移転によるメリットとデメリットについては、メリットのほうが大きかったということでしょうか。ビッグサイトと比べると、少しアクセスが悪くなったという声もあるようですが。

鈴木氏:会場が移れば、近くなる方と遠くなる方の両方がいらっしゃいます。その点についてはいろいろなお声をいただくので、今後も継続的にどうしていくかという話が出て来るかと思います。

──次回もこの会場で決定しているとのことですが、参加者の皆さんが気になるのは、これから先も幕張メッセで開催するのか、もしくはまた別の会場に移るのか、といったところだと思います。

鈴木氏:そうですね。まず移転の話は東京ビッグサイトが1年以上工事をするというところから始まっているわけですが、今はころころと場所を移すより、継続的に開催していける形を考える段階にあると思っています。現状、会場規模を大きくできるメリットを最大限に見たうえで、うまくいく形を模索しているところです。

もちろん、今回もできることはいろいろとやらせていただいています。近隣の学校に向けて招待券を配布したりですとか、専門学校でゲームの作り方を学んでいる皆さんを招待させていただいたりと、来場を促すような施策をうっています。

それと、近年はゲームマーケットの事前に行われるイベントも増えてきており、そういったイベントとも連動して発表を早めにしていくことで、遠方からいらっしゃる方々の宿泊前提のプラン作りにご協力させていただくといったことも考えていますね。

──今回も、前夜祭、後夜祭といった位置付けのイベントがいくつか開催されます。

鈴木氏:例えば、会場の一部を深夜まで使えるようにする“ゲームマーケットナイト”などは、夜遅くまで遊んでいただいて、近隣に宿泊して、また翌日の朝からゲームマーケットに参加してもらうという想定のものです。これは海外からいらっしゃるお客様からの要望としてあったもので、たった2日間のためだけにわざわざ日本に来るのは大変だという声があるなかで、こちらとしてもイベントとしてのボリュームを増やしたいという考えがありました。

また、出展者の皆さんからのニーズも大きいものがあり、同好の士と繋がりたい、いろいろな人と話をしてみたい、このような集まりがあったら嬉しい。そのような様々な要望を取り込んで、イベントを大きく、より良いものにしていきたいという部分もありますね。

──今後も、ゲームマーケット前後の連動イベントは増えていくのでしょうか。

鈴木氏:そういったイベントを作っていきたいと思っていますし、国内だけでなく、アジアのハブ的な役割を果たすという部分でも、私たちができることをいろいろな方々とお話ししているところです。

──アジアというところでは、今回のゲームマーケットは韓国をはじめとするアジアの国からのエリア出展が増えていますね。

鈴木氏:日本側の企業や個人のアシストもあって参加してくださる海外の会社が増えており、私たちとしてもそのような方々をフォローしたいと考えています。例年、春のゲームマーケットで国際色を強くしていくという方針なのですが、今回は秋でもそのような部分にボリュームが出てきました。ですから、先の展望として、次の春の開催ではさらにその傾向が強くなっていくのではないかと思っています。

──最後に、ゲームマーケットに参加する方、出展する方に向けて、コメントをお願いします。

鈴木氏:開催地が変わった1回目というところもあって、いろいろな変化のあったゲームマーケットですが、やはり出展者の方々、来場いただく方々あってのイベントですので、皆様のご要望にはできるだけお応えしていきたいですね。私たちとしても、今後どのようにゲームマーケットを成長させたいかという話を積極的に発信し、みんなで大きいイベントにしていければと考えていますので、ぜひともご協力いただければと思います。


話のなかで触れられている通り、次回のゲームマーケットは引き続き幕張メッセでの開催が決定している。その先についてはまだ分からないというのが正直なところだが、アークライト鈴木氏の話からは“規模を落とさずに開催を続けていく”という点について主催者としての強い意志が感じられた。そのため、将来的に再び開催地が動くことがあったとしても、移転先は絞られるはずだ。

また、今年の9月には久々の関西地区での開催となったゲームマーケット京都が行われた。規模については春秋のゲームマーケットと比べると小さめのものだったが、こちらについても今後の動向が注目される。

アナログゲームを愛する者の“祭り”として、すっかり定着した感があるゲームマーケット。次回以降もどのような施策やイベントが行われるのか、楽しみにしていよう。