【ゲムマ2024秋】ここでしか体験出来ないイベントやゲームがいっぱい! アナログゲームの祭典~ゲームマーケット2024秋レポート【特設ブース編】

2024年11月16日と17日、幕張メッセでゲームマーケット2024秋が開催されました。

ゲームマーケットとしては初の千葉県開催でしたが、大きな混乱もなく不満もない、いつも通りの楽しいイベントだったかと思われます。実数ではなく印象ですが、初日の方が来場者が多くて賑わっていたかなと。

本稿では、ホール7を中心に展開していた特設ブースに絞ってレポートをします。

【特設01】新作ゲーム展示コーナー

会場のド真ん中に折りたたみ机がたくさん並べてあって、その上に今回のゲムマで販売されている新作ボードゲームが陳列されていました。出展した人が付箋にサークル名を書いて、新作ゲームを机の上に置いておくという無造作な展示です。新作狙いであればここをひと通り見れば会場を効率的に周れるかも知れませんね。

カタログや公式サイトに新作ゲームの情報が多々あって、事前にいろいろ調べてからここに来ている人ばかりなので意味がないのでは?と思いきや、常に人がいたので宣伝効果はありそうですね。

【特設02】ゲームマーケット・チャレンジ

通称ゲムチャレ。ゲームマーケット事務局が出したお題に該当するボードゲームの展示です。展示というよりは、上記の新作ボードゲーム展示コーナーと同じで自分で付箋にサークル名を書いて置いておくだけ。今回と次回のお題は「36枚以下のカードのみで構成されたゲーム」。特に来場者の投票で1位を決めるとか、事務局が出来の良かったゲームに何かの賞を与えるということはなく、該当するゲームをここに展示出来るというだけの企画。

初めてゲームを作る人のための指針になるかも、というのがゲムチャレの狙いになっています。ゲーム作りのきっかけやカードが少ないゲームを探してる人には丁度いいお題ですよね。

【特設03】デュエルボーイ ポケット

ゲームマーケット会場をバトルフィールドに見立て、カード7枚だけで闘う2人専用対戦型スタンディングカードゲームが、今回も登場です。総合受付で1パック500円のカードパックを購入したら胸元に『デュエルボーイ』のシールを貼って、会場内でシールを貼っている人を見つけたら立ったままで勝負が出来るというゲームです。対決後、負けたほうが相手の強いカードを2枚貰って弱いカードを2枚渡す決まりになっていて、負ければ負けるほど手札が強くなっていくのも平和です。

実際には、会場内のいろんな所で遊んでいるというよりは総合受付の隣がバトルフィールドになっていて、その辺に人が賑わっていてバトルを楽しんでいた来場者が多く見られました。特に土曜日は途切れる事なく人がいた印象です。

ゲームマーケット2022秋に初登場した『デュエルボーイ』も、少しずつ改良して今回はカードがカラーになりました。さらに様々なサークルとコラボをして、ゲームのキャラクターが描かれたカードがたくさんあったようです。今まで敬遠していた人がコラボしたゲームのおかげでデュエルボーイに触れた人も多かったことでしょう。ゲムマの名物になりつつありますが、このゲームは面白いので時間泥棒なんですよねぇ…。困ったもんだ。カードパックをいくつか購入して、後で遊ぶ手もありますが折角ならゲムマでやりたいですよね。

BROADでは、作者の上杉真人さんに『デュエルボーイ』についてインタビューした記事がありますので、気になる方はどうぞ。

▲『デュエルボーイ』の作者、上杉真人さん。会場でユーザーと対戦していました

【ゲムマ2023春】ゲームマーケット会場内で、静かに熱く燃え上がっていたカードバトル『デュエルボーイ』とは何か!? デザイナー上杉真人氏を直撃!【特別企画編】

【特設04】ドラマチック謎解きゲーム

会場内を周回して謎を解く「よだかのレコード」作製のドラマチック謎解き。価格は1000円。こちらもゲムマで大行列が出来るお馴染みのイベントですが、今回は「WORD   MARKET」というタイトルで言葉を作るのがテーマの謎解きでした。会場内に問題が貼ってあったり、ヒントブースがあったり、謎解きのパンフレットを持った人がウロチョロしてたり、時間がないのに物凄くやりたくなるんですよ。これも目の毒。

【特設05】マーダーミステリーブース

StudioOZONによるマーダーミステリー専門の販売ブースです。土曜日が特に賑わっていてブースの写真を撮れないほどで、マダミスの人口が増えていることを実感しました。人数別に分けて陳列してあるので買う側としては分かりやすく、スタッフもかなり詳しいのかお客さんの質問にも即座に答えているように見えました。マダミスを知らない人にとっても手に取りやすいし、ボードゲームよりもマダミス目当てで来た人にも優しい。一般ブースの方でもマダミスを作ってるサークルがいくつもあったので、全てまとめたら大きなコーナーになるだろうなぁと。

【特設06】ビッグゲームパーク

市販のボードゲームを大きく作り直したビッグゲームの試遊コーナー。いろんなボードゲームがかなりでっかくなっちゃってます。ゲームタイトルは『キャットと塔』『 バイキングシーソーワンダーボウリング』『スティックコレクション』『 トーキョーハイウェイ』『 イキノコオリ 』『 ぐらぐらケーキタワー』『 ウボンゴ3D 』『 さいころ民主主義 デメクラシー 』『 しゃてきーや 』『FILLIT 』『 the ONE – ザ・ワン 』で全部のはず。

各メーカーがイベント用に作った物を集結したそうです。これは写真映えしますね。見慣れたボードゲームが大きいだけですでに面白い! これら全てが無料で遊べるなんて。

【特設07】こどもゲームコーナー

文字通り、こども向けに作られたコーナーです。こういうのを見ると、ゲムマがイベントとして大きくなったんだなぁと実感します。比較的幼くても遊べるゲームを中心にライトなボードゲームがたくさん置いてあって、自由に試遊OK。親子で来場した人が利用していたようでした。いくつかのゲームは大会が開催されました。

【特設08】LARP体験エリア

LARPとは、リアルタイムアクションロールプレイングの頭文字を取った略称です。参加者みんなで衣装を身に付けたら、司会者が状況説明をするので、その状況に応じて役になりきって話を体験するという遊びです。剣士や魔法使いが仲間になって、ドワーフなどの魔物を倒していきます。有料で体験する事も可能でしたが、デモプレイをじっくりと。

演劇の世界で、役柄と設定だけを決めたら自由に演技をするエチュードというのがありますが、『ドラゴンクエスト』とかの世界観でエチュードをやっていく感じです。多分セリフも決まってなくて、みんなで自由に楽しんでやってるように見えました。司会者が場面転換の合図をしたら、一旦流れを止めてみんなで小道具や机などを準備して続きの場面を作ったりして、何か文化祭の出し物を見ているかのよう。自分が参加するのはちょっと恥ずかしいかなぁとは思いましたが、この手の世界が好きな人にはたまらないでしょうね。コスプレは出来るし、没入感どころじゃないので。

【特設09】Role&Roll  TRPGギルド

無料でTRPGが体験出来るブースです。定期刊行書籍『Role&Roll』と『セッションデイズ』の関連した作品が置いてありました。日曜日の方は、TRPG関連の一般ブースで大行列が出来るほどTRPGファンが多かったようで、土曜日以上に賑わっていました。

【特設10】本当に面白いユーロゲームの世界

去年も出展していた、太田出版から出ている『本当に面白いユーロゲームの世界』のブース。編集部の人達が、ボードゲームのルールを説明してくれる試遊コーナーです。置いてあるのは、ドイツ年間ゲーム大賞を受賞したボードゲーム、最近話題のボードゲーム、名作といわれる王道のボードゲームですね。ここの隣が広いフリースペースになっていて持っているボードゲームが遊べるようになってましたが、こっちはゲームは置いてあるし詳しい人によるインスト付き。「ボードゲームはドイツのものが面白いらしい」と興味を持った初心者にピッタリのブースです。小冊子の無料配布もありました。

【特設11】make.ctrl.Japan11

テレビゲームを操作するコントローラーが、体を動かして動かすなどのちょっと変わったゲームを展示する「make.ctrl.Japan」も、今回で11回目の展示です。アナログな動きでデジタルを動かすのがなんとも可笑しいんです。アナログとデジタルの融合。

お好み焼きを崩さずにコテでひっくり返す「コテの名人」、黒板消しクリーナーで体力を回復しつつ黒板消し2つを挟んで叩いて攻撃する「チョークの叛乱」などなど…。どこかのセンサーが反応して画面内が変わります。このブースはボードゲームではないのでノーチェックの来場者も多いようですが、凄い技術とアイデアを見せつけられます。

【特設12】ゲームマーケットスペシャルステージ

16日13時〜14時に行われたのは三遊亭楽天さんによる「TRPG落語」です。御本人も仰っていましたが、ゲームマーケット最多出演となる6回目の登壇だそうです。演目は、与太郎がダンジョンに出掛けてドラゴンを褒めるという牛ほめをベースにした「ドラゴンほめ」、死神の落語の途中でお客さんがサイコロを振ってその結果で話のオチが変わる「インタラクティブ死神」、宝箱を開けようとしてミミックに襲われる(置泥がベースの?)創作落語「ミミック泥」の3席。どれも面白い! 冒険の世界観の噺というだけで延々と聴けちゃいますね。

本来ならゲームデザイナーのライナー・クニツィア氏がこのステージで、1時間のトークショー(16日)とサイン会(17日)が予定されていたのですが、御本人が体調不良という事で来日自体がなくなり中止に。(多分)11年ぶり2度目の来日だったのに、残念……。体調では仕方ない。様々なブースでクニツィア氏のゲームを並べていて回復祈願なのかなぁと、ゲーマー愛を感じました。また次回!

ちなみに、ゲムマのXにはクニツィア氏のコメントがアップされています。

17日15時〜16時に行われたのは、「ボードゲームに関わる疑問を解決!」と題したゲムマ座談会3。ゲームデザイナーのトークショーになります。MCはBROADの執筆者の1人でもありボードゲームYouTuberの春99さん、『トリオ』で今年のフランス年間ゲーム大賞2024を受賞した宮野華也さん、『キャットインザボックス』でゴールデンギークアワード2022のイノベーション部門とライトゲームオブザイヤーの2冠に選ばれた常時次人さん、『スカウト』がドイツ年間ゲーム大賞2022で最終ノミネートに選ばれた梶野桂さん。贅沢過ぎる! 海外の賞を獲るまでの苦労、受賞してからの周りの対応の違い、ボードゲーム作りのきっかけなどなど。海外で評価された3人だからこそ話せる内容が多かったですね。また、春99さんの知識量に裏打ちされた出演者への返しも見事で、ここに集まった人の多くが満足のトークだったはず。撮影禁止のステージだったので写真はありません。

ちなみに、BROADでは今回の出演者の宮野さんと梶野さんにインタビューを敢行した過去の記事がありますので、ついでにどうぞ。

日本人初・フランス年間ゲーム大賞アスドール受賞!『ナナカードゲーム』を作った宮野華也氏にデザイン哲学について聞いてみた!

【作者直撃】ドイツ年間ゲーム大賞ノミネート作品『SCOUT』を作ったワンモアゲーム!の梶野桂さんインタビュー。会社の同僚はゲーム作りを知らない!?

【特設13】伝統ゲームコーナー(17日のみ)

世界では広く遊ばれていて、日本でも長い歴史があるのに何故かプレーヤーが少ない伝統的なボードゲームの紹介ブース。置いていたゲームは連珠(競技五目並べ)、シャンチー(中国象棋)、ドラフツ(チェッカー)の3つ。確かに日本国内で遊ぶ機会が少ないボードゲームですよね。シャンチーに関しては世界大会や国際大会も行われているゲームなのに。スタッフもたくさんいて、興味を持った来場者にルール説明をしていました。レベルが7段階の調整が出来るAIロボットと対戦も可能になっていました。

【特設14】本当に興味深いウォーゲームの世界(17日のみ)

ウォーゲームの歴史と実物の展示ブースです。ゲムマでは、戦場を模したボードゲームを扱っている一般ブースは昔から少数ですが、ずーっとある根強い人気のジャンルです。そんなウォーゲームが、今から40年くらい前に日本国内で一大ブームだったという歴史が分かるパネルがたくさん飾ってありました。今はSFやファンタジーの世界観になっていたり、アニメとコラボした作品としてウォーゲームがシミュレーションゲームとして現在も存在していますが、当時は戦争そのもののテーマにしているゲームが多かったんですね。きっと貴重なゲームが展示してあったんでしょうけど、知識が足りずに驚くことも出来ず。展示を見て「懐かしい〜」と喜んでいたおじさんを見れただけで、ボドゲの歴史を垣間見れた気分でした。

【特設15】ニコニコ超ゲームステージ(17日のみ)

2日目だけの出展だったニコニコゲームのブースです。ゲムマの朝と言えば、開場とともに早歩きで(走るのは禁止!)日本語版のボードゲームが先行販売される企業ブースに向かったり、予約出来なくて数少ない当日分のゲームを求めて一般ブースに向かう人たちがたくさんいるというのがお決まりでしたが、この日は開場するとまっすぐここのステージ前のパイプ椅子に向かう女性が続出。ゲームよりステージ目当ての来場者がいるなんて!

このステージでは12:00からの1時間、14:00からの1時間、15:30からの1時間の計3回のステージが行われました。出演者はゲーム実況をしている人気YouTuberの茸さん、まおさん、とりっぴぃさん、むつーさん、フルコンさんの5人。茸さんがMCで、他の4人が5つのボードゲーム対決をするという内容。しかも、会場に来なくてもニコニコ生放送にて無料生配信していたので、誰でも視聴可能だったのです。

1つ目のゲームは、頭につけたフックでブロックを積み上げるアクションゲーム『リフトイット!』。2人対戦をして、勝った2人で勝者を決めるトーナメント方式で行われました。とにかく、まおさんがメチャクチャ上手い! 決勝戦では制限時間ギリギリでブロックをお題通りに完成させて、会場は大盛り上がりとなっていました。

2つ目のゲームは、読み札が逆さになったカルタゲーム『タルカ』。こういう場面で『タルカ』が取り上げられるのは珍しい! このゲームを作ったオーヤマゲームも日曜日に出展していたので、丁度良いところ。結果はフルコンさんの圧倒的勝利となりました。このとき、とりっぴぃさんがヤシの木が描かれたカード1枚しか取れなかったことから、実況していた人たちから「ヤシのみ」と変なあだ名を付けられていました。

3つ目のゲームは、お題の都道府県の順位を当てる『キャピタルホース』。ちょっとだけルールを変更しての対決となりました。こちらはニコニコ生放送を見ている視聴者にもアンケートを取って、答えを予想してもらってましたが、問題が難しいのか視聴者ハズレまくり。もちろんステージの4人もハズレっぱなしで、全員0ポイント。最終的にジャンケンで勝ったむつーさんの勝利。

4つの目のゲームは、お題となる身のまわりの「モノ」の長さを手元のカードで予想する『ミリメモリー』。「トイレットペーパーの芯の直径」、「USB Type-Aの幅」などがお題となり、お客さんも手でこのくらいかな?などとサイズを示しており、会場全体で盛り上がっていました。勝者はむつーさん。

最後5つ目のゲームは、漢字カードで強そうな名前の必殺技を作るパーティーゲーム『我流功夫極めロード』。必殺技が出来たらステージの真ん中で必殺技の名前を言いながらポーズを取るという流れになり、全員で一発ギャグ大会のようになっていました。笑いの量としては、とりっぴぃさんの作った「邪光嵐風狼」が一番ウケていましたが、観客の拍手の大きさで「幻千空砲」を作ったフルコンさんの勝利となりました。

ステージの配信の合間には、芸人のいけだてつやさんがゲムマ会場内を練り歩いてゲームやブースを紹介していたようです。1時間の配信を2回、30分の配信を1回の合計2時間半もやってたはず。偶然、『クラフトビールフェス』を紹介している配信中のいけださんに遭遇してしまいました。後ろ姿ですが、仕事の邪魔にならないように。

ホール7には7台ものキッチンカーが並んでいて、食事が出来るようになっていました。さらには200席くらいあるフリースペース(正確には数えていませんが)では購入したボードゲームを遊べるようになっていて快適空間! 会場を出ると目の前にデイリーヤマザキもあるし便利。前回までの会場が悪かったわけではありませんが、幕張メッセはかなり広くなり、ブースとブースの間に余裕があって人とぶつからないんですね。かなり快適でした。

ゲームマーケットは、当然ながらボードゲームなどの作品を購入したり販売するのがメインなので、特設ブースを見ない来場者も多いようです。でも、ここでしか体験出来ないものがいっぱいあって、特設ブースだけで時間が足りないくらい充実しているんです。せっかくゲムマに来て特設ブースを見ないなんて損ですよ! 次回も幕張メッセで開催されるようなので、次は特設ブースもチェックしてみてください。