10月30日は、香りの記念日です。
1992年10月30日に石川県七尾市で開催された第7回国民文化祭の中で「世界の香りフェアin能登」が行われたことを記念して、翌年の1993年に制定されました。
七尾城下町遺跡からは香炉が出土されていて、香木などの香りを鑑賞する「香道」が14世紀から盛んに行われていた地域と言われています。
ちなみに2月1日はニオイの日、4月18日はお香の日、10月1日は香水の日、11月3日はアロマの日、11月5日はお香文化の日と匂いに関する記念日は非常に多く、日本で嗅ぐという行為がとても身近で大切にされていることの証でしょう。
ということで、実際に何かの匂いを嗅いで遊ぶ非常に珍しいボードゲームを6タイトル紹介します。鼻を研ぎすませて遊びましょう!
お香のカードゲーム くんくんくん
〈お香のカードゲーム くんくんくん/1〜10人/6歳〜/5分〉
9枚のカードを並べて、同じ香りの3枚を揃えるカードゲーム。
香り付きの3種類3枚のカードをウラ向きに並べ、全員がカード2枚をウラ向きのまま受け取って手元に置いたらゲームスタート。自分の手番では、並んでいるカードを1枚取って手元のカードと合わせて3枚の香りを嗅ぎます。カードの表面には香りごとに違うイラストが描いてあるので、カードの表面は見ないように嗅ぎます。香りが1枚でも違うと思ったら、カード1枚を返して手番終了です。3枚とも同じ香りと思えば「おなそろ!」と宣言し、カードを表向きにして正解か不正解かを確認します。正解すれば勝ちです。
他には、違う3枚のカードを揃えるルールやカードの匂いを嗅いだ人に質問を繰り返して嗅いだカードを当てるルールなど遊び方は他にもあります。
カード自体がお香になっていて、カードを財布に入れてお香として普段使いする事も可能だそうです。松栄堂という創業300年を超える京都のお香づくりの会社が制作しました。
香感覚
〈香感覚/2〜5人/6歳〜/20分〉
お香を嗅いで感じた言葉を選び、全員で当てる協力ゲーム。
1人が親プレイヤーになり、残りの人が子プレイヤーになります。4つの言葉が書かれたお題カードを1枚めくったらゲームスタート。親プレイヤーは5種類のお香から1つ選んでお香を嗅ぎ、お題カードの中からイメージする言葉を選びます。子プレイヤーも同じお香を嗅いで、みんなで親プレイヤーが選んだ言葉がどれなのかを話し合います。子プレイヤーが回答を決めたら、親プレイヤーは正解を発表します。一致していれば成功で、違えば失敗です。親プレイヤーを変えてこれを繰り返して、5種類のお香を試す前に3回失敗したら負けというルールです。
日本の伝統的な芸道である「香道」の中で、いくつかの香りを嗅ぎ分ける組香を元にしたゲームです。お香を嗅いで思い浮かべるイメージが、人によって違うことを思い知らされます。
ゲームに封入されているお香は、東京の麻布香雅堂という和の香り専門店が調合しています。
マサラマジック
〈マサラマジック/2〜4人/10歳〜/20分〉
スパイスの香りがする線香でポーカーの役を作って得点を競うセットコレクションゲーム。
クミン・コリアンダー・ターメリック・カルダモン・シナモン・パプリカの6種類いずれかの匂いがする線香24本を袋に入れたらゲームスタート。自分の手番では、袋から線香を1本引いて金属製のカップに入れます。これを全員6本になるまで繰り返します。引いた線香の中から5本を使って、チャイ・ティッカ・カリーなどの決められた役を作ります。次に線香5本が入ったカップを隣の人に渡し、匂いを嗅いでもらいます。入っている線香を1種類宣言してもらい、当てられたらその線香を取り除きます。取り除いた後に全員で役を比較して、最も強い役の人が得点を獲得します。先に3点獲得した人の勝ちです。
ゲームマーケット2018秋で頒布されたナトリウムランプゲームスの作品。頒布された数が少ないのであまり知られていないでしょうけど、隠れた名作です。ケースが木箱だったりカップが金属製だったりコンポーネントが凝っていて、同人ゲームだからこそ作れるこだわりのクオリティーになっています。線香でセットコレクションというのも面白いですが、嗅覚によって他人の妨害が出来るというのが素晴らしいアイデアですね。デビュー作でこんな奇作を作り上げてしまうセンスが恐ろしい…。
ウルフューム-香水人狼-
〈ウルフューム-香水人狼-/2〜8人/8歳〜/30分〉
1人だけ違う香りを渡された人を探す正体隠匿ゲーム。
全員に香水が染み込んだ綿棒を渡したらゲームスタート。全員渡された綿棒の香りを嗅いで、どんな匂いなのかを言語化します。1人だけ違う香水の人狼がいるので、みんなで話し合った後に人狼だと思う人を指差し投票します。最多票が人狼なら人狼の負け、最多票じゃなければ人狼の勝ちです。
渡された綿棒の匂いを嗅いだだけでは自分が人狼かどうかは分からないので、始めはぼんやりとした感想を言いがちなのが面白いですね。途中から人の感想に合わせたり。香水は小瓶に入っていて、ピーチやローズなど9種類もあるので何回でも遊べます。
ロト・デ・オドゥール
〈ロト・デ・オドゥール/1〜5人/5歳〜/15分〉
カプセルの香りを嗅いで、何の匂いなのかを当てる協力型のクイズゲーム。
全員でカプセルのふたを開けて香りを嗅いで、イラストの上にカプセルを置いていきます。みんなで話し合って全てのカプセルをボード上に置いたら、カプセルの裏面に答えが書いてあるので正解かハズレかを確かめます。全問正解を目指しましょう。ボードゲームと言うよりは単なる匂い当てクイズですが、フランスでは1988年発売のロングセラーの作品です。
カプセルの香りはスズラン、ユーカリ、ローズ、ラベンダー、松などの植物の香り、そしてストロベリー、バナナ、メロン、パイナップル、アプリコットなど果物の香り、他にはマッシュルーム、ソープ、はちみつ、クッキー、海、煙など30種類もあります。
パフューマー
〈パフューマー/2〜5人/12歳〜/90分〉
調香師の見習いになって、香水を調合したり香水店を開店したりして得点を稼ぐボードゲーム。
丸いボードを広げて周りに産地ボードを並べ、その上に7種類ある香りカードを置きます。7つあるカードケースには、置いてない香りカードを1枚ずつ入れたらゲームスタート。自分の手番では、ボード上を移動して原料を集め、その原料を支払って注文タイルを完成させたり、お店を開店して得点を稼ぎます。そしてこのゲーム最大の特徴が、香りカードの予想です。止まったマスに置いてある香りカードの匂いを嗅いで、どのカードケースに入っている香りカードと同じかを予想します。ゲームの最後に正解を確認して、正解すれば難易度に応じて得点が貰えます。
いろんなリソースを集めて得点タイルの条件を満たすというよくあるセットコレクションゲームです。しかし、実際にカードの匂いを嗅いで同じ匂いのカードが入っているカードケースを当てるのが凄く面白い!普通にゲームを進行しながら匂いを嗅ぐので、さっき嗅いだカードの記憶があいまいなまま予想することになります。香りの記憶は忘れやすくてあやふやになりがちですね。1ゲームが90分ぐらい掛かる中量級のボードゲームで、こんな実験的な試みを入れたのは勇気を讃えたい。台湾生まれのボードゲームです。
かなり数少ないですが、香りを使ったボードゲームです。もしかすると、これで全部かも知れません。香水をテーマにしたボードゲームはいくつかあるようですが、ホントに嗅ぐコンポーネントは作るのも難しいんでしょう。どのゲームも香りの効果が時間と共に薄くなるようなので、是非とも新品で遊んで欲しいですね。