【イベント】コミックマーケット104開催! 真夏の祭典・アナログゲームの出展サークルをピックアップして紹介【夏コミ】

2024年8月11日と12日の2日間にかけて、東京ビッグサイトにて世界最大規模の同人誌即売会・コミックマーケット104が開催された。参加者は両日13万人、2日間の合計で26万人に到達した。

今回もジャンル「ゲーム(電源不要)」に出展したサークルと、そこで頒布・販売されたアナログゲームやゲームに関する同人誌のなかからいくつかを取り上げよう。

▲コミックマーケット104初日の8月11日。台風接近の報もあったが、当日は快晴に。東京都の気温は最高35.9℃を記録、猛暑のなかでの開催となった

▲今回、「ゲーム(電源不要)」ジャンルのサークルは西館2に配置されていた

大作の先行販売も! コミックマーケット104で販売されたボードゲーム&関連本

コミックマーケット104の「ゲーム(電源不要)」ジャンルには400強のサークルが出展しており、そのうちボードゲームとカードゲーム(TCGを除く)を専門で扱っていたサークルは80前後。そのなかから取材者が気になったサークルをピックアップする。

▲“636GAMES(ロッサムゲームス)”は『Discipline』をはじめとするジェレミア魔法学校シリーズで知られるサークル。カワサキの街を舞台とした仁義なき戦いを描く本格タイトル『カワサキネオンギャングスタ』を先行発売

▲“HLKT工房 (へ理屈工房)”はバグだらけのクソゲーの最速クリアを目指すDVDサイズケース入りのタイトル『クソゲーRTA』と、『らくらく冒険者の幸せ異世界ライフ』をミニ拡張を含めて販売

▲コミケ初出展の“RMBC”。落ちものパズルゲーム風のカードゲーム『ドロッピングドロップス』と釣りがテーマのボードゲーム『キングオブアングラー』を販売

▲研究サークル“空創Lab”は陣取り系の配置ゲーム『CUATRO×QUATTRO-Bee』や、7種21枚のカードで戦う『totoANIMO』などを販売した。ゲームやグッズなどが当たるガチャガチャも目立っていた

▲“くろねこループ”は、ライトなルールで楽しめるカードゲーム『カケルカケルカ』を販売。ドット絵風のイラストとアートワークが魅力的

▲“BlackPoker”は、トランプを使ってプレイするTCGライクカードゲームのルールブックを頒布。今回は第7版が登場した

▲ユニークなテーマのゲームをリリースしてきた“理系ゲームズ”は、『素数スピード』『熱力学ワーカーズ』といったボードゲームを販売

▲年1作ペースで新タイトルを発表している“アイハラワークス”は、異世界召喚連想ゲーム『転生英雄 天命成就(ジョブマッチング)』を販売した

▲ファン活動としてのゲーム出版は、ゲムマにはないコミケ特有の文化。“Manbou The Great”は『アイドルマスター シンデレラガールズ』をテーマとしたカードゲーム『DICE de LCG』『かがやけリトルスター』を販売

▲同人ウォーゲームレーベル“ジブセイルゲームズ”は『格闘級! 航空母艦の戦い』『海保のお仕事』などのチャック袋入りウォーゲームを販売。また、同人誌の新刊として架空戦記『日本機動部隊始末記』も頒布した

▲ウォーゲーム系のサークル“さいたまオフライン”は『SLG Gamer』『武士ライフ』の既刊を頒布

▲『モンスターメーカー(翔企画版)』シリーズのイラストレーターとして知られる九月姫氏のサークル“FIELD-KUGATSU”では、『モンスターメーカー』本やグッズを販売

▲『グルームヘイブン』をテーマとした同人誌を発表し続けている“ねこじゃらしの鈴”。C104では既刊に加え新刊『フロストヘイヴン北進記』を頒布した

▲“L.E.D. ”は『アグリコラ』のデッキレビュー本を頒布。パロディー色が強い表紙イラストが目を引く

ボードゲーム以外のサークル TRPGを中心にマーダーミステリーやゲームブック、謎解きなどが出展

アナログゲームとしては、ボードゲームより多くのサークルが出展したTRPG(テーブルトークRPG)系をはじめとして、さまざまなテーマの本やゲームが出展されていた。TRPGのなかでは、『CoC(コール・オブ・クトゥルフ、クトゥルフの呼び声)』や『クトゥルフ神話RPG』を扱ったサークルが多勢で、『ソードワールド』シリーズや『シノビガミ』、『シャドウラン』『ダンジョンズ&ドラゴンズ』などをテーマとしたサークルも数多く見受けられた。

▲TRPGデザイナー朱鷺田祐介氏のサークル“朱鷺田工房&革のダイス屋さん”では『CoC』アンソロジー本や、唯一無二のテーマ・蜂蜜酒ミードの同人誌『MEAD-ZINE Vol.0』、オリジナルダイスなどを頒布・販売

▲“卓上戦術部”は『CoC』のシナリオ本を中心に出展。新刊として『ソードワールドRPG2.5』シナリオ&リプレイ本を頒布した

▲“あきつらーめん”はクトゥルフ神話テーマの出展。コミックなどの二次創作本やグッズに加え、3Dプリンターで出力したオリジナルフィギュアも販売した

▲“SWS”は漫画家おがきちか氏のサークル。『エモクロアTRPG』のルールで氏のコミック作品『Landreaall』の世界観を楽しむ既刊のシナリオ集に加え、新刊として『セインレットⅠ セイミザバードの名誉』のリプレイ集を頒布

▲“窓際デスク”はマーダーミステリー『時冷先輩は卒業できない。』を頒布。ボイス付きゲームタイマーも販売されていた

▲大正浪漫マーダーミステリー『鬼哭館の殺人事件』などの作品を頒布した“グループSGR”

▲“FT書房”はゲームブック(パラグラフアドベンチャー)系の本を作り続けてきたサークル。新刊として、『モンスター!モンスター!TRPG』のソロアドベンチャー『猫の女神の冒険』と、『ローグライクハーフ』のシナリオ『廃城の秘宝』を頒布

▲学習帳風の表紙が目を引く準新作の謎解き『えんぴつと赤ペン』をはじめ、多くの既刊を頒布した“弐人国家”

▲謎制作団体“きまぐれボックス ”は、謎解きの新作『百華鏡乱』や、既刊『注文の多いにゃん喫茶』などの作品を頒布した

コミックマーケットにおけるアナログゲーム、ボードゲームの今後

少しネガティブな話になるが、今回取材して気になったのは、ボードゲームを取り扱うサークルの減少。「ゲーム(電源不要)」ジャンルは全体のサークル数こそコミックマーケット102(2023年)とほぼ同規模だったが、ボードゲームとカードゲームのサークルに限れば、その数は約120→80と、約3分の2に減った形となっている。

今回、取材したボードゲーム系の出展サークルのほとんどがゲームマーケットとの掛け持ちで、販売するゲームはゲームマーケットの開催に合わせて作られたものが多く、コミケ合わせの新作はほとんど見受けられなかった。また、ファンジンやコミック、攻略本といったボードゲームをテーマとした同人誌については、数自体が増えているとは思わなかったものの、ゲームマーケットではほとんど見られないもので、コミケ独自の文化として今後も続いていってほしいと感じた。

一方で、TRPGの関連サークルについては、もともと多かった出展数がさらに増え、コミケという場においての勢いは増している。シナリオやリプレイ集といった冊子中心の展開も同人誌という媒体と嚙み合わせが良く、今後も興隆が予想される。地続きであるジャンルのマーダーミステリーもこれからはサークル数を増やしそうだ。

今後、コミックマーケットにおいてアナログゲーム、ボードゲームの扱いがどのように変化していくのか、興味を持って見守っていきたい。