4月19日は地図の日! 日本地図のボードでプレイするゲーム6選

毎年4月19日は“地図の日”であることをご存知でしょうか。

江戸時代の測量家として知られる伊能忠敬が、寛政12年(1800年)のこの日に初めて測量の旅に出発したことに由来しているそうです。今回は地図の日と伊能忠敬が作った“大日本沿海輿地全図”にちなみ、日本地図を使ってプレイするボードゲームを6つほど選んでご紹介しましょう。

なお、BROADではこれまでに地図の日にちなんだ記事で「地図を作る」ボードゲームを紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。

■地図の日に遊びたい、地図を作るボードゲーム7選
https://broad.tokyo/column/33839

※五十音順に紹介しています。

ショウグン(将軍)

目指せ将軍! 戦国大名となって乱世に覇を唱える

プレイヤーは戦国大名のひとりとなり、内政と外交、そして戦争を行って勢力を拡大し、将軍の座を目指します。デザイナーはディルク・ヘン。中世ドイツの30年戦争を扱った同氏の『ヴァレンシュタイン』の舞台を日本に移したリメイク作品が本作となります。ゲームボードの日本地図は、旧国名の国ひとつが1エリアで、東北の南部から中国・四国までを含み、北海道(蝦夷)と東北地方の北部、九州、沖縄(琉球)は入っていません。

プレイヤーはラウンド開始前に10種類のアクションのそれぞれをどの国で行うか計画をたて、順に実行していきます。特徴的なシステムとしては、戦闘の解決方法。お互いに投入した戦力のキューブを塔型のボックスに入れ、排出口から出てきたキューブの数を比べて勝敗を決定します。これがほどよいランダム性となり、意外な逆転劇が起こることもあるのです。プレイ時間は120分超えで決して短いゲームではありませんが、行動計画を全プレイヤー同時に行い、アクションの実行もひとつひとつテンポ良く解決していくため、ダウンタイム(待ち時間)はさほど長くありません。

それぞれが納める土地の地勢から非対称型となっているうえ、直接攻撃しあったり、外交交渉を行うため、インタラクション性が非常に高い。このようなタイプのゲームが苦手な人もいるでしょうが、群雄割拠の時代の歴史ロマンを存分に感じられるタイトルです。同作は日本語解説書付きの輸入版がメビウスゲームズより販売されていましたが、現在では入手難となっています。ボードゲームカフェなどに置いてあることもあるので、興味がある方は探してみるといいでしょう。

ショウグン 概要】
メーカー:Queen Games/メビウスゲームズ
プレイ人数:3~5人
対象年齢:12歳~
プレイ時間:90~120分

戦国大名

※画像はサンセットゲームズのサイトより引用。

総勢398名もの武将が登場! 名作の誉れ高い戦国マルチプレイヤーズゲームの決定版

こちらも群雄の一勢力として戦国の世を戦い抜くゲーム。元版は1986年にエポック社より発売されており、戦争や戦闘を扱った、いわゆる“ウォーゲーム”に分類されるもので、そのなかでも多人数(3名以上)でプレイすることを基本とした“マルチプレイヤーズゲーム”です。現在入手できるのは2005年にサンセットゲームズより発売された新版で、基本セット『戦国大名』に拡張『戦国大名エキスパンション・キット』の内容を統合してコンポーネントの一部を改訂し、プレイアビリティをアップさせたもの。デザイナーは『クロちゃんのRPG千夜一夜』などの著作でも知られる黒田幸弘氏。マップは旧国名の国ひとつが1エリア(信濃や陸奥など一部の広い国は分割されている場合もあり)で、蝦夷と琉球は含みません。

『ショウグン』と比べると、より細かく内政、軍事を扱っており、同盟関係の締結や臣従、戦闘中の裏切り、中立勢力の調略といった外交面も再現されます。さらに、同作の最大の特徴として、総勢398名にも及ぶ武将コマの存在があげられます。武将にはそれぞれ武勇、内政、威信、俸禄、忠誠の5つの数値が設定されており、史実の武将の能力に即したものとなっているのです。俸禄(給料)が高くて国庫を圧迫してしまったり、能力が高くても忠誠が低い武将は謀反の恐れがあったりと、その個性はさまざま。かなり知名度が低い武将も含まれているため、戦国時代に詳しい人は武将コマを眺めているだけでも楽しいはず。

全部で20本ものシナリオが用意されており、練習用の一人用シナリオや、年代や地域を限定したシナリオ、実在の勢力を使用しないフリーセットアップなど、そのシチュエーションは多種多様。ゲーム1セットで8人までプレイ可能で、さらに2セット連結することで最大16人まで対応します。元版が古いウォーゲームということで現代ボードゲームの範疇から外れている部分もありますが、没入度は抜群。戦乱の世を戦国大名のひとりとして体験したい方にぜひプレイしてみてほしいゲームです。

戦国大名 概要】
メーカー:サンセットゲームズ
プレイ人数:1~16人(1セット8人)
対象年齢:12歳~
プレイ時間:30分×遊ぶ人数が目安

チケット・トゥ・ライド:日本/イタリア

名作“チケライ”の日本マップ! 新幹線開発が勝負を左右する

代表的な鉄道ボードゲームとして知られ、2004年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作でもある『チケット・トゥ・ライド』。10を超える拡張セットやシリーズ作品があり、拡張セットとして日本マップも発売されています(イタリアマップとセット)。デザイナーはアラン・ムーン。日本マップは北は北海道から南は九州までが収められています。

基本システムは元版と同じで、プレイヤーは都市間に鉄道の路線を引いて繋げていきます。都市と都市を繋ぐひとつの区間には1人(特定の区間やプレイ人数によっては2人)までしか線路を引けないため、早取りの勝負に。また、路線を引くためにはボード上の路線の色と長さに対応した手持ちの列車カードをリソースとして捨てなければなりません。目的地チケットに記載された2都市を線路で繋げたり、長く繋がる線路を引いたりすると得点を獲得。最多得点者が優勝です。

このシリーズは、マップごとに特色があります。日本マップに用意された特別ルールのうち、特徴的なものは新幹線。日本列島の主要地域を広く網羅する路線で、敷設されると全員が利用することが可能です。敷設に協力したプレイヤーにはボーナス点が入り、逆に貢献度が低かったプレイヤーはマイナス点を被ってしまうため、ゲームの勝敗を左右する重要な要素となるでしょう。なお、新幹線は共用の路線のため専用コマが用意されているのも、シリーズが好きな人や鉄道ファンにはうれしいところ。ちなみに、この新幹線コマのモデルは700系のようです。

チケット・トゥ・ライド:日本/イタリア 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~5人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:30~60分

天下鳴動 DELUXE

ダイスロールとエリアマジョリティで描く戦国合戦絵巻! 名作に武将カードと武将コマを追加した新版登場

2019年に発売された『天下鳴動』を改訂し、新版として2023年に再発売したものです。デザイナーは与儀新一氏。マップは蝦夷、琉球を含めた日本全土で、全国を10のエリアに分けています。

プレイヤーは手番にダイスを3つ振り、そのうちふたつを派遣エリアの選択に、ひとつを派遣兵力数に割り振って派兵を行います。このとき、1度だけ任意の数のダイスを振り直すことが可能。全員が兵力コマを使い切ると終了で、最終的に各エリアに派遣された兵力を比較し、上位2名が得点を獲得します。また、兵力1位のプレイヤーはそのエリアを制圧し、隣国の勝敗判定をする際に援軍を送り込むことが可能となります。勝敗判定を早く行うエリアは獲得できる点数が低く設定されているのですが、後から判定する隣接エリアに増援を送ることができるため、その確保が重要となるのです。

新版発売にあたっては、新たな要素として6枚の“武将カード”と“武将コマ”が追加されました。武将コマは兵力コマと同じように派兵が可能で、2兵力として数えるほか、特殊能力を有しています。特殊能力はプレイヤーごとに固有のもので、開始時に武将カードを引いて決めます。登場する武将は織田信長をはじめ、武田信玄、上杉謙信、毛利元就、長宗我部元親、大友宗麟の6名。さらに旧版で共用だったダイスをプレイヤーごとに色分けして4セット分用意するなどの改訂も行われています。

簡単なルールでプレイ時間は30分ほど。ライトなタイトルでありながら、ダイスロールの楽しさと、選択、決断の要素が詰まった戦略ゲームです。

天下鳴動 DELUXE 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:~30分

どこでもドラえもん旅行ゲーム

※画像はエポック社公式サイトより引用。

仁義なきすごろくバトル開幕! 交通機関をうまく使い、津々浦々のおみやげを集めて回ろう

ドラえもんのキャラクターたちがフィギュアのコマとなった、すごろくタイプのゲーム。現在は最新版の『どこでもドラえもん旅行ゲーム6』が販売中。プレイヤーは日本全国の7つの地域をめぐりながら、1地域ひとつずつ名産のおみやげを買い、全地域のおみやげを集めたのちにゴール地点に到達すると勝利となります。基本はすごろく。コマを進める数や資金を得る際はルーレットを回して決めるので、勝敗に対して運要素が占める割合は大きいものがあります。

移動は交通機関を使用して行います。利用できる手段は、一般鉄道、新幹線、タクシーのほか、飛行機とフェリー、はてまた宇宙に飛び出すロケットまでさまざま。それぞれ移動できるマスや距離、必要なお金などが違っており、状況に応じてベストな選択をしていかなければなりません。

キッズ向けながらもインタラクション性が高い部分があり、相手のおみやげを奪い取るなどエグい特殊効果を持つアイテム“ひみつ道具”を使ったり、ひとつの地域のおみやげを買い占めてしまったり、同じマスに止まった相手をランダムでどこかに吹き飛ばしたりするなど他人への妨害もできるため、ゲーマー同士がプレイするとシビアな戦いになることでしょう。子どもを交えて遊ぶ場合は、イジワルはほどほどにしておきましょうね……。

なお、基本ルールのほかに発展ルールがあり、さらにボードを裏返すと世界マップに。カードを使ったものも含め、全部で6通りのゲームがプレイできるようになっています。お子さんの年齢や理解度に合わせていろいろな遊び方ができるため、長く楽しめるゲームです。

※ポストの写真は『どこでもドラえもん旅行ゲーム5』のもの。

どこでもドラえもん旅行ゲーム6 概要】
メーカー:エポック
プレイ人数:2~6人
対象年齢:5歳~
プレイ時間:5~90分

ルソンレイルズ

※画像はサニーバードのサイトより。

鉄道株でひともうけ! ライトな鉄道&株ゲーム

海外インディーズゲームとして出版されたタイトルをローカライズ。元版ではフィリピンのルソン島が舞台でしたが、日本語版では北海道から九州までの日本マップを追加しています。マップはヘックス(六角形マス)で区切られており、そこにキューブを配置していくことで路線の拡大を再現します。

プレイヤーは投資家となり、競りによって株を買った会社の経営に参画しながら収益をあげていきます。同じ会社の株を他のプレイヤーが買った場合は共同経営者になるため、協力して経営にあたらなければなりません。鉄道会社が線路を引くためにはお金が必要で、その費用はプレイヤーが株を買った際に払った資金から捻出されます。

手番では、場にあるカードか手札から1枚を選んでアクションを実行。場のカードがなくなるとラウンド終了となるので、場と手札のどちらを使うか、どこでラウンドを終わらせるかの駆け引きもあります。

とかくプレイ時間が長いゲームが多い鉄道系ゲームや株ゲームのなかでは比較的ライトに楽しめるタイトル。ボードはリバーシブルとなっており、逆の面のルソン島マップではルールが増えるため、日本マップは初級者向けに設定されています。

ルソンレイルズ 概要】
メーカー:サニーバード
プレイ人数:1~5人(日本マップは3~4人)
対象年齢:12歳~
プレイ時間:45~90分


いかがだったでしょうか。日本地図をボードとしたゲームはそれほど多くはなく、今回はご紹介した6本すべてが戦国時代もしくは鉄道をテーマにしたものとなりました。これまでの記事ではあまり取り上げることのなかったウォーゲームなどは、ボードゲームに慣れた人でも知らない方がいたのではないでしょうか。

慣れ親しんだ日本地図を使ってプレイするゲームは、地名を知っていたり土地勘があったりするためか、それだけで不思議な高揚感を覚えるものがあります。ぜひ皆さんも遊んでみてください。