今回は、中学受験塾と学童を経営しており、8歳、5歳、2歳の三姉妹の父でもある私が、実際にプレイしてみて小学校低学年にお勧めできるボードゲーム7選をお送りしたいと思います。他にも面白いゲームが多く7つに絞るのが大変でした……。みなさんのオススメもぜひ私のSNSへのコメントやDMで教えていただければと思います。
キングドミノ:オリジンズ
『キングドミノ』は有名なゲームですから、プレイしたことがある方も多くいるのではないかと思います。「かけ算」の概念が理解できていれば、幼児でも遊ぶことが可能です。今回ご紹介する『キングドミノ:オリジンズ』はこの進化版といってもよいでしょう。
このゲームでは、「発見モード」、「トーテムモード」、「部族モード」の3つのゲームモードが存在しています。従って、お子様の理解度に応じてゲームモードを選択することが可能です。この点は、子供と遊ぶゲームを選ぶ上でとてもうれしい点です。複雑すぎるゲームだと低学年の子は遊ぶことができませんが、単調すぎるゲームだと大人が飽きてしまいますからね。
『キングドミノ』と比べて戦略性が増しているだけでなく、コンポーネントも充実していてタイル配置ゲームとしておすすめの一作となっています。
リトルタウンビルダーズ
次にお勧めするのは、『リトルタウンビルダーズ』です。写真は私が持っている同人版ですが、リメイク版がアークライトより発売されています。ボードゲームにおいて、自分のコマをある場所においてその効果を発揮させるシステムを「ワーカープレイスメント」と呼びますが、その導入にもってこいの一作となっています。
また、このゲームでは、開始前に各プレイヤーに目標カードが配られます。ボードゲームではよくあるパターンではあるのですが、低学年の子供は、まだまだ「何かを考えながら他のことも考える」ということが苦手です。自分の目標カードの達成を目指しながらも、きっちりワーカーに供給する食料を確保しなければならず、それでいて勝利点を獲得すべく、資源を得て建物を建築しなくてはいけないのですから、それは大変!
短時間で終わるゲームながらも、小学校低学年の子供たちの頭はフル回転していること間違いなしです!!
ボードゲームの醍醐味が凝縮された一作と言えるでしょう。
ナゲッツ
続いては、点数の書かれたナゲットを取り合う『ナゲッツ』です。
基本的には陣取りゲームなのですが、各プレイヤーは自分のタイルを裏向きで配置していくため、相手の狙いはわからないまま。しかも、自分のタイルを置く代わりに柵を配置することで陣地を区切ることができます。
小学校低学年というと、少しずつ相手の行動を予測しながらプレイできるようになってくる年代なので、まさしくそんな年代に打ってつけの一作です。短時間で濃密な心理戦を体感することができます。
ゼンマスター
「トリックテイキング」からは、『ゼンマスター』を選択しました。このゲームは、『綱渡り』、『フィフティフィフティ』など、さまざまなタイトルでリメイクされており、現在ではコロコロ堂さんから『オッドソックス』というタイトルで販売されています。
このゲームでは、一番大きな数字を出したプレイヤーは黒い棒を取り、一番小さな数字を出したプレイヤーは白い棒を取ります。基本的に、この棒はマイナス点になるのですが、黒い棒と白い棒が揃うと相殺されてなくなります。つまり、単に勝つだけでなく、意図的に勝たないこと、負けることがゲームシステム上要求されるのです。
トリックテイキングでは、このような点が重要になってくるゲームも少なくないですが、その辺りの勘所が掴めず苦手とする子供も多いかと思います。このゲームでは、そのようなトリックテイキングの勘所ともいえる点を必然的に意識させるゲームシステムになっており、トリックテイキングの導入としてもお勧めできます。
手札の運要素も大きいので、子どもでも楽しく大人と全力プレイできる一作だと思います。
スシロール
続いて、「ドラフトゲーム」からは『スシロール』をご紹介します。
『すしごー』がドラフトゲームでは有名ですが、今回はその面白さをそのままに、ダイス要素を加えたこちらのゲームを選びました。トレイの上のダイスがオープンな状態でドラフトが進行していくため、「何を選べばよいかわからない」という子どもでも真似をするところから始めることができます。
また、ドラフトする度にダイスは降り直すため、運の要素が大きくなりドラフトのキツさが緩和されている点も小学校低学年の子供たちにはおススメしやすいところです。そして、何といってもダイスを振るのは楽しい! 「箸」を使って他人の邪魔をしたり、みんなでワイワイ言いながらドラフトゲームのエッセンスをしっかりと感じさせる一作となっています。
カルバ
じつはこの『カルバ』、私が初めてプレイしたボードゲームでして、ボードゲーム沼に落とし込んだ張本人です。
このゲームでは、個人ボードに探検家と神殿を全員同じように配置し、全員が同じタイルを同じタイミングで配置していきます。「それでゲームになるのか?」と一瞬思いますが、しっかりとゲームになっています。ゴール順位を優先するのか、金塊を獲得することを優先するのか等、人によってその意図はさまざま。その違いを感じ取りながらも、基本的には自分の個人ボードを完成させていくので、攻撃性のあるゲームが苦手な子供でも十分に楽しむことができます。
終わった後に全員のボードを見比べながら「振り返り」ができる点もこのゲームのおススメポイントの一つです。
ケルト
最後にご紹介するのは2008年のSDJ受賞作『ケルト』です。
このゲームでは、自分の駒を進めていき途中ボーナスを獲得しながらより先のマスまで進み多くの勝利点を獲得していきます。進む際には、同じ色のカードを昇順または降順に出していくとなっており、ルールはとてもシンプル。しかし、それでいて「選択と集中」をしっかりと学びとることができます。
というのも、このゲームでは、全部で5つの駒が6点以上のゾーンに進むとゲーム終了となりますが、思っているよりもずっと終了が早くなります。その際、駒の進み具合によってはマイナス点になってしまうため、「それくらいであれば動かさずに0のほうが良かった」という事態に陥ります。
低学年の子供たちは、すべての駒を揃えようとしたり、とりあえず「0」や「10」といった昇順、降順が作りやすいゲームから配置する傾向にありますが、それではなかなか勝つことはできません。ある程度同じ色のカードを揃える計画性が要求されるものの、いつまでも進まなければゲームが終わってしまうため時には見切り発車の決断力も要求されるといったジレンマがとてもよく効いた秀作といえます。
終わりに
ここまで7つのゲームをご紹介しました。「小学校低学年」と一括りでいっても個人差がとても大きい時期になります。大切なことは「対象年齢」を気にすることではなく、大人と子供が本気で楽しむことができるゲームに出会うことだと感じています。その意味において、この記事が読者の方の一助となれば幸いです。