2022年スカウトアクションの1位は。日本生まれの変態トリテ『キャット・イン・ザ・ボックス』

2022年10月6日〜9日、ドイツ・エッセンで世界最大のアナログゲームイベント「シュピール’22」が開催され、無事閉幕となりました。世界中からボードゲームファンが集まり、4日間で14万人以上が来場したそうです。

このイベントでは毎年、ドイツのボードゲーム専門誌「フェアプレイ」が来場者に新作ボードゲームの評価アンケートを取っていて、最終日にランキングを発表しています。来場者の評価は5段階評価で、その平均値の上位を発表しているのがスカウトアクションです。2021年の1位は『アーク・ノヴァ』、2020年の1位は『ミクロマクロ:クライムシティ』、2019年の1位は『ザ・クルー』なので、後に他の賞を受賞する名作がいち早く評価されるランキングでもあります。

今年はどんなゲームがボードゲームファンに評価されたのでしょうか?

では、2022年のスカウトアクション上位9タイトルを紹介します。

1位 『キャット・イン・ザ・ボックス』

操られ人形館の横内宗幸さんが2020年に発表した『キャット・イン・ザ・ボックス』を、ホビージャパンが5人まで遊べるようにしてコンポーネントを豪華にリメイクした作品が1位に選ばれました。

4色のマストフォローというトリックテイキングですが、カードに色は付いていません。手元からカードを出す時に色が決まるので、量子系トリテなんて呼ばれ方もする変則的なトリックテイキングです。

過去のスカウトアクションで日本人ゲームデザイナーの作品が10位以内に入ったのは、2013年『ラブレター』の9位と2021年『voll verplant』(メトロックスのユーロ版)の6位だけなので、1位に選ばれたのは快挙ですね。おめでとうございます!

ちなみにシュピール’22初日は開場から15分で完売だったようです。開催前から世界的に注目されていたんですね。それだけハードルが上げられてたのにスカウトアクション1位ってことは、ゲーム内容も期待通りだったということなのでしょう。

2位 『TRIBES OF THE WIND』

風の部族が荒廃した世界を再建するボードゲーム。

手札を使ってリソースやタイルを集め、自分のボードを埋めていくゲーム性。プレイした人の感想があまり見つからないので詳細は分かりませんが、英語の説明書を翻訳して読んだところ、他人との絡みは少なくてソロゲームのような印象を受けました。

3位 『チューリングマシーン』

各桁が1〜5までの3桁の数字を当てる協力ゲーム。

ヒントを元に正解の数字を当てる理論パズル的なゲームは昔からあるので安定して楽しめそうです。写真を見る限り、穴の空いたカードを使っての検証が面白そうで、コンポーネントだけでワクワクしてしまいます。

ちなみに、2023年にすごろくやから「チューリングマシーン」というタイトルで日本語版が発売される予定です。

4位 『Q.E.』

各国の代表として量的緩和(Q.E.)対策を実施します。企業を助けるために上限無くお金を使って企業を救済する……というオークションゲームが、この『Q.E.』です。競りで使用するお金は小切手に数字を書くだけなので、所持金が無制限というのが特徴的です。

長崎県のボードゲームショップSUNNY BIRDが、すでに日本語版を発売しています。日本語版は2020年秋の発売だったので、ここにランクインしてるのが不思議な気がしますね。ドイツ語版が今年だったんでしょうか。

5位 『Splendor Duel』

拡大再生産の代表作『宝石の煌き』の2人専用バージョンです。

基本的にはオリジナルと同じルールで、宝石チップはボード上から直接で3個連続で取るのが最大の違い。勝利目標は、合計で20点、1色で10点、王冠アイコン10個の3つがあってどれかを満たせば勝利です。オリジナルと違って得点を集めるだけとは違う戦いになりそう。

6位 『AKROPOLIS』

街を大きくして作っていくタイル配置ゲーム。

タイルの色ごとに得点条件が違って、星の数だけ掛け算になるというタイル配置ゲーム王道の計算方法。これにタイルの高さが加わるというありそうでなかったタイプのタイル配置です。ゲームは12枚のタイルを取って置くだけなので、短時間で遊べるのも魅力ですね。

7位 『ATIWA』

 

果物農家になって、フルーツコウモリを共生しながら枯れた土地を緑化して集落を繁栄させるワーカープレイスメントゲーム。

『アグリコラ』や『カヴェルナ』を手がけたウヴェ・ ローゼンベルク氏の新作なので、発表されてませんがホビージャパンから日本語版が出そうですね。

8位 『EVERGREEN』

種を植え、木を育て、豊かな生態系を作って緑豊かな地球にするのが目的のボードゲーム。

『光合成』のヒラルマ・ハク氏の新作。

9位 『KITES』

色ごとの砂時計がカイトを表していて、カードを出せば砂時計をひっくり返し。砂が落ち切るとカイトが墜落。カイトを落とさずにカードを出し切るのが目的のアクション協力カードゲーム。


どれも気になる! 日本語版が既に発売されていたり発売予定があるボードゲームも多いので楽しみです。今年話題の最新作、今後国内でも見掛けることもあるでしょう。