【おすすめ!定番!!ボードゲーム】『カタン』 ドイツ産の最高傑作を遊ばずしてボードゲームを語るなかれ!

『カタン』は1995年に発売され、数々のボードゲームアワードを受賞した傑作ゲームである。ドイツのクラウス・トイバー氏によって生み出され、ボードゲームの歴史において「『カタン』以前」「以降」と言われるほど、エポックメイキングとなっている。本稿では『カタン』の面白さについて解説していきたい。

▲ちなみに筆者が最初に遊んだ『カタン』は2002年発売のカプコン版

▲トライソフト版『カタン』。国内で初めてリリースされた日本語版

▲現在、国内で販売されている『カタン』はジーピーから発売

未開の地”カタン島”の支配者になるには誰!?

ざっくりとだが、簡単に『カタン』のルールを説明していこう。正六角形の地形タイルをランダムに並べてその上に2から12(7を除く)までの数値チップを置き、周りを海フレームで固定、海に浮かぶ島をイメージした”カタン島”を作る。

▲マニュアルに書かれいている「初心者のための初期配置例」でセット。ここからゲームスタート

ここに自分の領地となる「街道」「開拓地」「都市」を建設してポイントを獲得し、合計10ポイントになったプレイヤーが勝利となる。開拓地なら1ポイント、都市なら2ポイント、「最大騎士力」で2ポイントなど、得点方法はいくつかある。

▲都市は、開拓地をアップグレードさせて建設する

プレイヤーは手番になるとまずダイスを2個振る。その合計値と同じ数値チップが置かれたの地形タイルをチェック、その地形タイルに置かれている開拓地や都市の持ち主(プレイヤー)は、地形タイルの種類に応じた資源カードを獲得することができる。

▲ダイス目合計が「8」だった場合、黄色と青のプレイヤーがレンガの資源カードを1枚ずつ獲得

誰の手番であろうと、ダイスの目に応じた地形タイルに自分の開拓地・都市が置かれていれば資源カードを獲得できるので、ずっとゲームに参加している状態だ。これは『カタン』の面白さを語るうえで大事な要素だろう。

▲資源カードは5種類。地形タイルごとにもらえる資源カードが決まっている

さて、資源カードをある程度したら、これらを使って建設しよう。たとえば街道なら木材とレンガ、都市なら木材+レンガ+小麦+羊、といった具合で、カードさえあればいくらでも作っていい。

▲街道の建設は、自分の街道か開拓地・都市からしか伸ばすことができない。開拓地・都市は、街道のあいだ(地形タイルの角)に建設する。他の開拓地・都市との間は、必ず2街道分のスペースが必要

じゃあ、資源カードを溜め込めばいいんじゃ?と思うかもしれないが、じつはそれは難しい。手番最初の段階で振ったダイスの合計値が「7」だったとき、手札の資源カードが8枚以上だったら、手札を半分にしなければならないのである。これはダイスを振ったプレイヤーだけでなく、ゲームに参加している全員が対象となる。

▲「7」を出すと資源カードが半分になるだけでなく、盗賊コマを特定の地形タイルに置く(移動させる)。これが置かれた場所は、資源カードがもらえなくなる

ダイス2個振りにおける「7」はもっとも出やすい数値なので、「これだけ資源カードが貯まったから、次の手番でいっぱい建設しよう」なんて思っていたら、自分より前の手番プレイヤーが「7」を出して資源カードが半分になってしまった……なんてことは「カタンあるある」だ。

▲9枚持っているときにダイスの結果が「7」だった場合、4枚を捨てて5枚にする

リアルに交渉して、資源カードを交換する

ここまでの説明で、プレイヤーは手番時に「ダイスを振って資源カードを獲得する」「資源カードを使って建設する」といったアクションについて解説した。じつはもうひとつ、大事なアクションがある。これこそが『カタン』が『カタン』であるゆえんと言ってもいいだろう。

それは、「交渉して他のプレイヤーと資源カードを交換する」というアクションだ。

資材カードが揃わなくて都市が建設できなかったり、特定のサイの目に偏ってしまい欲しい資材が手に入らない(カタンあるある)ことがある。建設ができないと勝利に近づくことができない。

そんなときは、他のプレイヤーと資源カード交換交渉を持ちかけることができるのである。

【例1】
A「木材がほしいんだけど……誰か持ってる?」
B「何をくれるの?」
A「鉱石はどう?」
B「うーん、羊毛はある? 鉱石と羊毛の2枚なら!」
A「じゃあ、それと交換!」

 

【例2】
A「(レンガカードが余っているから何かと交換しよう)……レンガほしい人、いる?」
C「ほしい! 逆にAさんは何がほしい?」
A「小麦がほしいね。ある?」
C「あるよ!」
B「僕なら小麦2枚あげるけど、どう?」
A「じゃあBさんと交換!」

必ずしも1:1でなくてもいいし、交換時によりよい条件を引き出すのも「交渉」の楽しさだ。こうした何ともアナログな駆け引きが、『カタン』をより一層面白くさせていると言ってもいい。

▲パッケージに同梱されている街道・開拓地・都市のコマは写真左だが、筆者は木製のアップグレードキット(写真右)を購入して使用している

会話が楽しくなって、ずっとしゃべりっぱなしに!?

他プレイヤーの手番でも資源カードが手に入ることがあるし、さらには交渉という要素もあるおかげで、ゲーム中はプレイヤー同士の会話が絶えない。

A「(ダイスを振る)……また10だよ。はい、木材と羊毛ゲット」
B「僕ももらうよ」
C「いいなあ、俺の木材は3でしか手に入らないからなあ」
A「はい、じゃあ街道作りますよ、っと」
D「ぎゃあ、そこに伸ばすの? そっちは俺が伸ばしてるのに!」
A「だって鉱石ほしいしな」
B「羊毛ほしい人、いる?」
D「ほしい! レンガあげるけどどう?」
C「待って! Dはいま得点トップだから、交渉には応じないほうがいいよ!」
A「あ、羊毛もっとほしいかも!」
B「発展カード狙いか!? 何枚目だよ!」
C「はい次、ダイス振るよー(コロコロ)……、7!」
A「わー、いま資源カード8枚だよ。4枚も捨てるのか……(涙)」

『カタン』を遊んだことがある人なら、この状況が目に浮かんでくるだろう。こんなの、楽しくないわけがない。

▲とあるボードゲーム会での『カタン』。全員が初対面だったが、終始笑いが絶えない場になった

開拓地で1ポイント、都市で2ポイント……と得点の多くは見える状態なので、いま誰が勝利に近いかはわかる。「あいつ、もう8点だからだから、交渉に応じるのナシにしようぜ」と協力プレイっぽいこともできて、そんな会話も楽しい。今回は説明していないが、発展カードによる駆け引きや最長交易路の獲得合戦など、ゲーム中の盛り上がりポイントはたくさんある。

昨今のボードゲームはすべて『カタン』の影響下にあると言ってもいいので、これからボードゲームを始める人にはぜひ一度はプレイしてほしい。ボードゲームカフェなら大抵置いてあるはずだ。

ボードゲームの奥深さを体験できる最高の1本!

ボードゲーム初心者に向けてあらかじめ伝えておきたいのは、トランプの『7並べ』や『大富豪』のように数分でルール説明できるようなゲームではない、という点だ。

今回の記事でも説明していないルールはたくさんあるし、ルール説明に15分程度、プレイ時間も60~90分かかる。日頃からボードゲームを嗜んでいる人や、このサイトをマメにチェックしている人なら、それくらい時間がかかるゲームは当たり前かもしれない。ところが、こういったボードゲームを経験したことがない人からすると、「え!? そんなに時間かかるの?」と遊ぶことをためらうケースもある。

実際に遊び始めたらホントにあっという間なので、そこはだまされたと思ってぜひ飛び込んでみてほしい。1ゲーム終わった後、「え? もう90分経ってたの?」とその時間の流れにビックリするだろう。それだけ時間を忘れて夢中になっていた証拠だ。

まだ『カタン』を遊んだことがないのであれば、キミの周りにいるボードゲーム愛好家に「『カタン』を遊んでみたいんだけど……」と相談してみよう。びっくりするほど嬉しそうな顔で「いつ遊ぶ?」と速攻でスケジュール調整をしてくれるはずだ。

逆に、キミがボードゲーム好きで友人から『カタン』を遊んでみたい!と言ってきたら、優しく丁寧にナビゲートしてほしい。今後、一緒にボードゲームを遊んでくれる仲間候補だと思うので、どう考えながらプレイしているかさりげなく教えながら遊べば、その友人もすぐハマってくれるだろう。

▲筆者は『カタンの開拓者たち』だったころに購入。現在の名称は『カタン』

『人生ゲーム』『UNO』くらいしか遊んだことない」という人が、この『カタン』でボードゲームにどっぷり漬かってしまった、なんてパターンの多いこと(じつは筆者もそう)。もっとボードゲームのことを知りたい!という人は絶対に遊んでおくべき1本だ。

カタン
日本語版発売元:ジーピー
デザイナー: クラウス・トイバー
発売日:発売中
価格:4180円[税込] プレイ人数:3~4人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:60~90分