図書館がボードゲームの館外貸し出しを始めているとは!

静かに本を読んだり、勉強をする施設というイメージが強い図書館。そんな図書館でボードゲームを楽しもうじゃないかという動きがあるのをご存知ですか?知らない人にしてみれば「ボードゲームなんか騒がしいだろ!」「なんで図書館で遊ぶの?」と首をかしげる事でしょう。

海外に目を向けると、ドイツやアメリカなどの図書館ではボードゲームを置いている所は多いんです。実は日本国内でもボードゲームの貸し出しを始める図書館が急に増えてきています。さて、何故ボードゲームの館外貸出が増えたのか?

その理由は後回しにして、ボードゲームの館外貸し出しをしている図書館を調べてみました。近くにあったら今すぐ図書館へ急げ!本を借りるついでにボードゲームを借りて家で遊べちゃうって凄くね?

 

中礼内村図書館(北海道)

館外貸出をスタートしたのは2020年3月27日。貸し出し期間は1家族1点で1週間。

ゲームはどうぶつしょうぎ・スティッキー・おばけキャッチ・テレストレーション・ボブジテン・ウボンゴ・アウトフォックスト!・ディクシット・パンデミックの9種類です。

 

松前町立図書館(北海道)

館外貸出をスタートしたのは2020年12月26日。貸し出し期間は分かりませんでした。本が14日間なので同じ14日間かも。

ゲームはカタン・ウボンゴ・ブロックス・おばけキャッチ・ナンジャモンジャ ミドリ・キャット&チョコレート日常編・お邪魔者・カタカナーシ・ワンナイト人狼の9種類です。

 

久慈市立図書館(岩手県)

館外貸出をスタートしたのは2021年6月1日。貸し出し期間は1人1点まで2週間。

ゲームタイトルは公表されていないので何種類あるのかも分かりませんが、公式のインスタグラムに侍石の画像がだけがアップされていています。まさか磁石ゲームだけって事はないだろうし、他にもあるでしょうね。

 

陸前高田市立図書館(岩手県)

館外貸出をスタートしたのは2020年5月。貸し出し期間は1人1点3週間。

ゲームは公表されてませんが、フェイスブックの写真を見るとブロックス・モノポリー・ディクシット・スコットランドヤード・ヒューゴ・おばけキャッチ・犯人は踊る・ノイ・ごきぶりポーカー・ラブレターの10種類があるようです。

 

江戸川区立西葛西・東葛西・東部図書館(東京都)

館外貸出をスタートしたのは2020年12月1日。貸し出し期間は1人1点1週間。

江戸川区内の3つの図書館で同時に貸し出しが始まって、東葛西図書館にあるゲームはウボンゴ・ウミガメの島・お菓子の魔女・お邪魔者・おばけキャッチ・カタン・カルカソンヌJ・キャプテンリノ・ごきぶりポーカー・ザクルー・ザマインド・サバンナテリトリー・スティッキー・スピードスピログラム・それはオレの魚だ!・ディクシット・ドブル・トポロメモリー・トポロメモリー2・ドメモ・ナンジャモンジャ(シロとミドリ)・ニムト・ねことねずみの大レース・ノイ・パカパカお馬・ハゲタカのえじき・はじめてのゲーム果樹園・花火・犯人は踊る・ペンギンパーティー・宝石の煌き・街コロ・みんなでぽんこつペイント・ゆっくり行こうぜ!・ラブレター・ラマ・ワードバスケット・ワニに乗る?の39種類。これは凄い!近所にあったら幸せ。数としては日本一かと思われます。

 

大津町立おおづ図書館(熊本県)

館外貸出をスタートしたのは2018年4月1日。なんと、日本で初めて館外貸出を始めた図書館なのです。貸し出し期間は1人1点で、本が15日間なので同じ15日間ではないかと。

ゲームはガスアウト・スティッキー・クラッシュアイスゲーム・ウミガメの島・キャプテンリノ・犯人は踊る・バイバイレミング・戦国時代・もじぴったん・ストーリーキューブス・ディクシット・横暴編集長〜ニンジャ記念日・大津町史跡カルタの13種類。大津町史跡カルタは地元ならではのレアゲームですね。この他に館内のみの貸出ボードゲームも沢山あります。

 

2021年6月時点でボードゲームの館外貸出を実施している図書館はこれで全てのはず。漏れがあったらすいません、すぐに追加します。北の方に集中してるのは偶然ですかね。西の方が寂しすぎる…。

 

「図書館とボードゲームってミスマッチじゃない?」と思うけど、2008年にアメリカ図書館協会が11月の第3土曜日を「インターナショナル・ゲームズ・デー」と定めて、世界各国の図書館でゲームを遊ぶイベントを毎年開催しているんです。どうやらゲームを遊んでそのゲームの原作の本を読んでもらおうという狙いがあったみたいですね。10周年の2017年からは「インターナショナル・ゲームズ・ウィーク」と銘打って1週間に渡って世界中の図書館でゲームイベントを開催しているんです。もちろん日本中の図書館でもイベントは行われました。10年以上世界中で継続してるんだから図書館とボードゲームは定番の組み合わせなんです!

その影響なのか日本の図書館でもボードゲームイベントは急増。しかも11月じゃないのにゲームイベントを開催している図書館も珍しくありません。「騒音はどうなってんの?」と心配する方ご安心を。イベントは読書する場所とは別室で行われたり、休館日に開催されています。勉強や読書の邪魔にはならないのです!

イベントを開催すれば当然ながら図書館にボードゲームはある訳で、館内限定での貸し出しをしている図書館もあります。確認出来ただけで長野県立長野図書館(長野県)、山中湖情報創造館(山梨県)、ゆすはら雲の上の図書館(高知県)の3か所。他にもあるかも知れないので気になる方はお近くの図書館をチェックしてみましょう。図書館にボードゲームはないけどイベントは開催してるってケースも多いようです。

そして冒頭の謎。何故ボードゲームの館外貸出が増えたのか?コロナ禍でボードゲームのイベントが中止になったからじゃないかなと。手元にゲームはあるのに遊んでもらえないから館外貸出やっちゃおうと、推測ですけどね。日本初の大津町立おおづ図書館を除くと全て2020年春以降からサービス開始してるし、あながち間違ってはいないはず。

 

とにかくボードゲームを置く図書館は徐々に増えているのです。よくよく考えてみると、図書館ってCDやDVDも貸出してるし、カルチャー教室やワークショップなども行われてたりして、ただ単に本を置いているだけの施設じゃないですよね。教育と文化を発展させる為の施設で人々が交流する場所なんだから、書籍も音楽も映画も資料して置いているのは当然だし、ボードゲームもゲーム文化の資料だし、コミュニケーションのツールとして重宝されるのは自然な話なんですよ。本も音楽も映画もゲームも知的好奇心を刺激して人生を豊かにするものなんだから。

ドイツのようにボードゲームが文化として確立してれば資料という認識もあるだろうけど、日本ではボードゲームをエサに図書館に来てもらって活字離れの子供を少しでも減らそうという下心が見え隠れしますけどね。ボードゲームが拡がっていくんだからそんな狙いを否定するつもりはないけど。どうしても【ゲーム=遊び】ってイメージが強いもんなぁ…。個人的には、お題にピッタリの文章を本の中から探し出す大喜利ゲーム「みんなで本をもちよって」とか、有名絵画の中に描かれた人物を囲って気持ちを伝える「じっくりミレー」なんかは本を使って遊ぶボードゲームなんだから日本中全ての図書館に置いて欲しいですけどね。

もっと言えば、アナログゲームもデジタルゲームも同じゲームなんだからテレビゲームも置くべきでしょ。日本はゲーム大国なんだし(とやま駅南図書館にはXbox設置済み)。アメリカの図書館なんかNintendo Switchを置いてる所も多いらしいんだけど、その辺はまだゲームや文化に対する認識の違いでしょうね。どうしても【ゲーム=遊び】のイメージが…。

ボードゲームを置く図書館が去年から増えている現象って、日本でボードゲームが文化として定着していく瞬間を目撃しているようなものかも知れないなぁ。