アークライト・ゲーム賞2021に選ばれたゲームはホントに面白いのか?

2020年からアークライト・ゲーム賞が発表されています。これはゲームマーケットで発表されたボードゲームの中から、アークライトで商品化する事を前提とした優秀な作品を選出する賞です。

一般投票とかで決める賞ではなく、アークライトのボードゲーム制作部門のスタッフが選ぶ賞となっています。プロ数人で選ぶ賞。選出の条件は公表されていて、下記の通り。

・面白い体験ができるゲーム
・何度もくり返し遊びたくなるゲーム
・人に紹介したくなるゲーム
・周囲の人が思わず遊びたくなるゲーム
・普遍性があるゲーム
・時流に合っているゲーム

ゲームマーケットが年々大きなイベントに成長してる事もあって、発表される作品が多過ぎて面白いゲームが埋もれてしまってる現実があるんですよねぇ。ゲムマの数ヶ月後のゲーム会で「こんな面白いのあったの?!」みたいな。そうした作品を少しでも多く商品化できないかという思いからアークライトが創設した賞なんだそうです。

ちなみに去年の最優秀賞は「ドキッと!アイス」で、2021年6月にアークライトから発売されています。

 

さて、2021年10月。アークライト・ゲーム賞2021が発表されました。いったいどんなゲームが選ばれたのか?そして遊んだ人の感想はどんなものなのか?徹底的に調べてみました!

まずは最優秀賞から。

最優秀賞 どひょ〜!どんなコトバもワードスゴイ

ゲームマーケット2021春で発表された、するめデイズの作品。

軍配を持った行司役の人が思い浮かべたお題に、力士役の2人が各々適当な言葉を言ってどっちがお題に相応しいかを決めるワードゲームです。稽古を何回か繰り返して、なんとなく行司が思ってるお題が分かってきたところで一発勝負の本場所。とにかく盛り上がる、ありそうでなかった伝統的な遊びみたいなゲームです。これはZOOMとかクラブハウスとかのリモートでも遊べる、まさに時流に合っているゲームでしょう。

多くの人が指摘してるけど、何もなくても遊べちゃうんですよね…。もちろん軍配があったほうが楽しいんだけど。これをアークライトがどんな風に商品化するのか、それも楽しみだったりします。

 

続いて優秀賞が3作品選ばれています。

優秀賞 CARTA MARINA(カルタマリナ)

ゲームマーケット2021春で発表された、YUTRIOの作品。

海賊船のクルーになって、クラーケンの脅威によって船が沈む前に島に到着するのが目的の2人用協力ゲームです。舵を切ったり排水したり緊迫感はハンパなくて、アートワークとゲーム性がしっかりマッチしてるので没入度が超高い!ヤバそうな船に乗ってる感覚になるんですよね。バランスも良いし見事な2人ゲーム。個人的には「もう協力ゲームはいいでしょ」って思うくらい食傷気味なんだけど、こんな凄いのがまだ出てくるんですねぇ。

優秀賞 SHIRITORI44

ゲームマーケット2020秋で発表された、ボドゲイムの作品。

10分という制限時間の中で、出来るだけ多くのひらがなを使ってしりとりをする協力ゲーム。同じひらがなは2回までしか使えないので頭を悩ませるけど、残り時間が気になってしりとりが上手く出来なかったりするのが面白すぎ!リモートで遊べるのも今年っぽいですね。すでに「シリト:リミット10」という名前でアークライトからリメイクされて商品化しています。

優秀賞 ひきわけしわけ

ゲームマーケット2019大阪で発表されて、2021大阪で新版が発売された、アーカブパラダイムの作品。

YESかNOか2択の質問を出して、全員の答えが半々になるのを狙うパーティーゲームです。単純明快ですぐに遊べますね。仲が良い者同士で遊ぶも良し、初対面の人達とのアイスブレイクにも最適。ゲーム会を主催する人なんかは必須のアイテムです。

 

そして佳作が10作品あります。

佳作 Cat in the box(キャットインザボックス)

ゲームマーケット2020秋で発表された、操られ人形館の作品です。

色が付いてないカードを使い、手札から出す時に色が決まる量子系トリックテイキング。よくぞこんなルールを思い付いたね…とため息が出るほどに特殊なトリテです。ボードにチップを置いていくエリアマジョリティっぽさもあって。このボードゲームはアークライトではなく、ホビージャパンから2021年中に商品化される事が発表されています。

佳作 金魚商

ゲームマーケット2021春で発表された、JUGAME STUDIOの作品です。

金魚の仲卸商人となり、新しい金魚の交配を試していくカードゲーム。手札と場札の数字を見て、より高い数字のペアにして希少な交配をすれば高得点という美しいだけじゃなく分かりやすい作り。ゲーム終了時にテーブルの上が金魚だらけになるのも見事!

佳作 コントラスト

ゲームマーケット2021大阪で発表された、029 PRODUCTSの初作品です。

交互にコマを動かして先に相手陣地にたどり着いたら勝ちという2人用対戦ゲーム。動ける方向の矢印が黒と白で書いてある透明のコマがこのゲーム最大の特徴。黒か灰色のタイルの上に止まると矢印が消えたり表れたりして、動ける方向が変わるんです。凄いアイデアだ…。

佳作 タビネズミ開拓記

ゲームマーケット2020秋に発表された、クリッティニアの作品です。

ネズミになって、新大陸を調査する協力型ボードゲーム。奥地に進めば進むほど手札が少なくなったりして、厳しい闘いをアイテムを使って強化していくのはワクワクしますね。一枚一枚細かく描かれたカードのイラストは冒険の雰囲気を否応なしに高めるほどのクオリティーの高さ。

佳作 TWO ROOMS(トゥー・ルームス)

ゲームマーケット2020秋で発表したYUTRIOの初作品です。

吸血鬼の館で姿を消した少女を助けに行く2人用協力ゲーム。お互いが交互に目をつぶってプレイをするので、目を開けた時に何が起きたのか想像するのがドキドキしつつも非常に楽しいゲームになっています。こちらはアークライトではなくJELLY JELLY GAMESで2021年12月に発売予定。それにしても「CARTA MARINA」が優秀賞に選ばれてるのに、その前に作ったゲームも佳作に選ばれるとは!

佳作 鳴かぬならカルタ

ゲームマーケット2020秋で発表された、ooyamaの作品です。

ぶっちゃけて書いてしまうと、このゲームの感想がネット上で見当たらなくて作者のツイッターしかないんですよ。遊んだ人は少ないのかも…。「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」という徳川家康の句をベースに、様々な読み札があるカルタだそうです。読み札の文章はそれぞれウィットに富んでて面白いんだけど、それよりも注目すべき点は取り札の裏が読み札になってて枚数を抑えることに成功してるんです。これはありそうでなかったアイデア!カルタ界の発明品では?それをちゃんと評価してるアークライトも凄い!

佳作 Magicalligraphy(マジカリグラフィ)

ゲームマーケット2021春で発表された、こぐま工房の作品です。

ピアノ線で吊られた羽根ペンをみんなで協力して動かして文字を書くアクション(?)ゲーム。なかなか思った様に羽根ペンは動かせなくて全員がアタフタする姿や、宙を舞うように生きてるかの様な動きをする羽根ペンにも笑ってしまいます。そして1人だけ違う文字を書こうとしてる人が混ざってる場合もあって、疑心暗鬼になる正体隠匿ゲームでもあるのです。

佳作 指感覚

ゲームマーケット2020秋に発表された、ちょっとずつ違うの作品です。

1から9までの数字が書かれたカードを使っていくつかの遊び方があるカードゲーム。このゲームが凄いのは、数字に比例してカードの厚みがちょっとだけ違うんです。1が最も薄くて、数字が大きくなるごとに少しずつ厚くなります。それを手で触って数字を判断して、神経衰弱やポーカーをプレイするのです。よく思い付いたよなぁ。そしてよく作ったなぁ。手触りで判断するので視覚に障がいのある人と一緒に遊べるし、もっと評価されても良さそうなゲームですね。

佳作 リトルレギオン

ゲームマーケット2020秋で発表された、TanTanの作品です。

交互にカードを列の前に出して、相手より強い役を作ったら鍵がもらえるという2人用対戦ゲーム。名作「バトルライン」をアレンジしたようなゲームで、こちらの方が鍵のセットコレクションもあって遊びやすく面白いですね。手札からカードを出すだけじゃなく場札から出すのも良いアイデア。2人で遊ぶ機会が多い人は持ってて損は無いでしょう。

佳作 ワームス

ゲームマーケット2020秋で発表された、NakagawaHandsの作品です。

サイコロを振って自分のワームスを動かし、動けなくなった人から脱落というボードゲーム。尻尾を繋げてドンドン長くなっていくのが見た目的に面白く、ゲーム的に厳しくなっていくのは素晴らしいアイデアですね。脱落した後もゲームに参加出来るのもよく考えられてますね。とにかく可愛いワームスのデザインもワームスの動きやすさも最高。

 

どのゲームも絶賛されてました!ま、褒めてるものだけを集めた訳ですが……。でも同人ゲームなので実際にプレイしてる絶対数は少なくて、その数少ない中でTwitterで何かを発信した人となると超少ないんですよ。その中でこれだけ興奮してる人がいるって事なんですよね。たまに「どうせ同人ゲームでしょ?」と下に見る人もいるけど、実際には面白いゲームが沢山あるんです!偏見や先入観を抱いてるのはもったいないって思いますね。

今回のゲムマも凄く面白いボードゲームが発表されるのかと考えるとワクワクしますね。改めてアークライトボードゲーム制作部の選球眼を見せつけられました。