2023年8月12日と13日、東京ビッグサイトにて世界最大規模の同人誌即売会・コミックマーケット102が開催された。コロナ禍の影響により前回まで入場者数に制限がかかっていたが、今回は希望者全員が入場可能となり、2日間の参加者の合計は26万人に達した。さまざまな内容の同人誌が出展されるなか、今回も「ゲーム(電源不要)」というジャンルでアナログゲームやゲームに関する同人誌が頒布されている。
2023年夏コミックマーケットでのボードゲームの立ち位置は?
ジャンル「ゲーム(電源不要)」は将棋やトランプといったトラディッショナルなゲームからテーブルトークRPG、トレーディングカードゲーム、そしてボードゲームに至るまで、アナログゲーム全般のさまざまな内容を取り扱うサークルが含まれる。販売物はコミック、研究・攻略の同人誌や、ゲームそのものに加え、オリジナルダイスやプレイマット、リファレンスシートといったゲームを円滑にプレイするためのグッズとサプライに至るまで、多種多様なアイテムがズラリと並んでいる。
コミックマーケットでの非電源ゲームの取り扱いは古く、1980年代にはすでにテーブルトークRPGやウォーゲームの同人誌を扱うサークルが出展している。その流れをくみ、ユーロゲームの関連書籍や自作のボードゲームを販売する場も、自然とコミックマーケットが選ばれた。1990年代になると、コミックマーケットで同人ボードゲームを頒布するサークルが出てきている。
2000年にはアナログゲーム、特にボードゲームを中心に扱うゲームマーケットが開始された。当初は小規模での開催だったが、徐々に拡大していき、現在ではゲームマーケットが同人ボードゲーム発表の場としてポピュラーなものとなっている。一方、コミックマーケットではアナログゲーム関連の同人誌が発表され続けており、特にTRPGやTCGについてはいまだにこちらが主流。そんななかで、コミックマーケットでのボードゲームの出展についてはどのような状況なのだろうか。
ボードゲーム、カードゲームからマダミス、ボドゲコミックまでさまざまな出展が!
コミックマーケット102の「ゲーム(電源不要)」ジャンルには400強のサークルが出展しており、そのうちボードゲームとカードゲーム(TCGを除く)を専門で扱っていたサークルは120前後。これは全体の約3割にあたる。ここでは、ボードゲームやカードゲームなどを取り扱っていたサークルのなかから、いくつかピックアップして販売物を紹介してみたい。
前回(2022年冬・コミックマーケット101)は、取材したサークルの多くがゲームマーケットとコミックマーケットの両方に出展しているというところが多かった。
今回取材したサークルのなかには、コミックマーケットがイベント初参加というところがいくつかあった。別ジャンルでの出展経験があるためここを選んだという声や、春のゲームマーケット出展を考えていたが準備や制作が間に合わなかったので、こちらになったというコメントも。また、何度もコミックマーケットに出展しているサークルには、慣れや質の問題からゲームマーケットに出るのが気が引けると口にする人がいた。
出展されているものについては、ゲームマーケットと同レベルのコンポーネントを持つもののほか、かつて見受けられた印刷物をチャック袋に入れた形で販売する古き良きサークルもあった。もちろん、ゲームだけでなく本来のコミックマーケットの形である同人誌販売をしていたサークルもある。ボードゲームのプレイレポートや研究、攻略、初心者へのプレイのアドバイスなどの本はゲームマーケットではあまり見かけられないものだろう。オフセット本だけでなくコピー本も多く、多様性や雑多な感じはこれぞコミックマーケットといった趣があった。先鋭化が進んで商業作品に劣らないゲームが並ぶゲームマーケットと比べると、コミックマーケットでは、より原初な形での同人ゲームの頒布が行われている雰囲気を感じ取れた。
また、関連書籍についてはさまざまなものが出展されており、さまざまな角度からさらに深くゲームを楽しみたいという人は好みにあう本が見つかるかもしれない。漫画やアニメの同人誌に特化した形で報道されることが多いコミックマーケットだが、ことボードゲームにおいては多様な出展があると感じた。
次回のコミックマーケット103は2023年12月30日(土)~31日(日)の開催となる(電源無しジャンルの出展日は30日の予定)。同人ゲームや関連書籍に興味のある人は、ゲームマーケットだけでなくぜひこちらも見に行ってみてほしい。