株式会社ジーピーは2025年7月27日、SPRING TERRACE 表参道(東京都港区)にて『カタン』日本選手権2025決勝大会を開催した。
国内最大のボードゲームの大会である『カタン』日本選手権は、今回で第11回を迎える公式大会。優勝者は2026年開催予定の次回カタン世界選手権に日本代表選手として派遣される。
決勝大会の出場選手は、全7会場(中部・関西・九州・北陸・北海道・中国四国・関東 ※開催順)の地方大会を勝ち抜いて出場権を得た猛者たち。今年から中国四国地区が加わり、さらに関東大会は参加人数を600名超に拡大しての開催。総参加者数は1300名を超え、そのなかから選りすぐりの44名がこの日、会場に集結した。
今年も同大会のレポートと、熱戦を制してチャンピオンとなった優勝者、そして運営サイドの声をお届けする。
※この記事内では、大会参加者のお名前を実名ではなくプレイヤーネームで表記しています。
参加者増でさらに厳しい戦いとなった決勝大会! 1300人の頂点に立つのは誰か!?
今年の会場は、近年ボードゲームイベントにたびたび使用されているSPRING TERRACE 表参道の2F。ムーディーな印象があった一昨年・昨年の新宿プリンスホテルB1Fガーネットと比べると、明るくオープンに感じるスペースだ。


GPGAMESJP(ジーピーYoutube公式チャンネル)
https://www.youtube.com/@GPGAMESJP
今大会は、3試合の上位者16名が準決勝4卓に進み、それぞれの卓の勝者によって決勝卓の対戦が行われる。4試合+決勝卓の全5試合を1日で行うことになる。
午前9時30分、開会式が始まった。GPGAMESJP(ジーピーYoutube公式チャンネル)にて実況を務める秋との子氏の呼び込みと紹介を受け、選手ひとりひとりがあいさつしながら1回戦が行われるテーブルに着席していく(左写真が秋との子氏、右写真は昨年大会優勝者のCast氏)。


なお、今年は初の試みとしてジーピーYoutube公式チャンネルにて決勝卓の生配信が行われた。配信の解説はハイカン氏、実況は秋との子氏が担当。毎年のカタン決勝大会実況でおなじみのコンビだ。
2025カタン日本選手権 決勝大会 Catan Japan Championship
https://www.youtube.com/watch?v=BBkbea-VCko
選手は全員がカタン日本選手権限定Tシャツを着用。会場内がワインレッドで染まった。

開会式の進行はジーピー常務の米川秀治氏が担当。『カタン』日本選手権の大会モットーでもあるデザイナーのクラウス・トイバーの言葉「“また明日あなたと遊びたい”と言われるようなプレイで遊びましょう」も読み上げられた。


いよいよ試合開始。いずれ劣らぬ猛者たちが鎬を削る!
今年は全5試合ということもあり、昨年より早い10時15分に第1回戦が開始された。大会進行も全体的に前倒しで行われ、スムーズに進んでいく。


第2試合は11時35分に開始。お昼の休憩を挟んで第3回戦が行われ、14時40分ごろに終了した。


第3回戦までの戦いを終え、いよいよ準決勝進出者16名が発表。選手の名があがるたびに歓声と拍手で沸き返り、呼ばれた選手たちがスクリーン前にひとりずつ並んでいく。今回はボーダーラインがシビアで、3試合で2勝もしくは1勝をあげたうえで、27得点以上を取らないと準決勝卓に残れなかった。準決勝の組み合わせは、選手全員がくじを引いて決定した。


準決勝および第4回戦は14時50分ごろ開始。16時を過ぎるころには次々と決着が着き、決勝卓進出者が名乗りをあげていく。
ついに決勝卓の戦いが始まった! 混戦を制したのは……?
17時15分、いよいよ2025年『カタン』日本チャンピオンを決める戦いが開始。1番手そー氏(赤)は九州熊本のカタンクラブ後藤会所属で、決勝大会出場3回目にして決勝卓に進出。2番手のアガタ氏(青)は関西カタンクラブの強豪で、2016年に『モノポリー』日本チャンピオンにもなっている。3番手のナカシマ氏(黄)は九州カタンクラブ所属で、準決勝4卓のうち最後までもつれた激戦を制してのファイナリストとなった。4番手ナガモリ氏(白)はなんと4大会連続で決勝卓に進出しているベテランプレイヤー。準決勝では昨年の決勝卓でも戦った、どど氏と激突。この戦いを勝ち抜いて決戦に臨む。

▲1番手赤・そー氏(九州地区3位)

▲2番手青・アガタ氏(関西地区Bブロック1位)

▲3番手黄・ナカシマ氏(関東地区Bブロック1位)

▲4番手白・ナガモリ氏(中部地区4位)
いよいよゲーム開始。静かな立ち上がりののち、黄ナカシマ氏が最初に都市化を達成。続いて樹とレンガが豊富に産出する青のアガタ氏が道を延ばしていき、最長交易路を獲得する。アガタ氏はさらに道を延長し、盤面に波乱を巻き起した。最長交易路をめぐっては、青、黄、赤の3者が綱の引き合いに。

※決勝卓の盤面の写真は、GPGAMESJP(ジーピーYoutube公式チャンネル)の生配信動画より許可を得て引用しています。
白ナガモリ氏は巧みに交渉を進めつつ、発展カードに活路を見出す。麦の港を初期配置で抑えた赤そー氏も豊富な麦の算出を背景に資源カードをバーストを恐れずに大量に保持、発展カードを引きつつ機をうかがった。盗賊がダイスであまり動かず、騎士も白ナガモリ氏2枚、赤そー氏1枚、のちに黄ナカシマ氏が1枚が表にするものの、誰も最大騎士力に必要な3枚に届かないまま進行していく。

終盤の局面、都市1開拓地3(5得点)を盤面に持つ白ナガモリ氏は発展カードを引き続け、満を持して独占を公開した。ここで得た資源でさらに発展カードを2枚追加して手持ちが全部で8枚、うち2枚の騎士が公開された状態。決着の予感を感じて会場がざわつくなか、続く赤そー氏も独占を公開して勝負をかけ、発展カードを引くが伏せたままに。ナガモリ氏まで手番が回り、騎士1枚が公開されて最大騎士力を獲得、勝利点3のカードも開いて一気に5点を追加。10点を超えて勝利が決まった。

優勝が決定した瞬間、ナガモリ氏が両手を突き上げる。しみじみと余韻を嚙みしめるような、どこかほっとしたような表情が印象的だった。決勝卓を戦った3名も、にこやかにナガモリ氏の勝利を称えた。

優勝したナガモリ氏を、盟友にして好敵手、どど氏が祝福。ふたりは2022年に共に『カタン』世界選手権に出場した経験がある。

優勝者を直撃! 苦しんだ末の勝利の味はいかに?
激戦を制し、悲願の初優勝を果たしたナガモリ氏に話を聞いた。

──優勝おめでとうございます。今の気持ちをお聞かせください。
ナガモリ氏:4大会連続でファイナルの決勝卓に進出していたので、そろそろ勝たせて! という気持ちでした。やっと優勝できて、本当に嬉しいです。
──昨年の大会の表彰式で、「どうやったら勝てるんだろう?」とおっしゃっていたのが印象に残っています。
ナガモリ氏:確かにそう言っていましたね(笑)。もうこのゲームは自分に向いていないのではないかな、と悩んだ記憶があります。
──決勝卓を振り返って、勝因はどこにあったとお考えでしょうか。観戦していた側としては、開拓地や都市の建設が思うように進まず、発展カードに賭けた我慢のプレイに見えましたが。
ナガモリ氏:我慢していたというより、引いてきた発展カードがそもそも表にできる(使用できる)ものではなかったんです。それで潜っていたような形になっていました。勝因というのであれば、もうめぐり合わせとしか言いようがない。そーさん(赤)とナカシマさん(黄)が発展カードを何枚か引いていましたが、みんなが騎士カードをあまり持っていなかったということもあって、自分が最大騎士力を取れたことがすべてだったと思います。全部で8枚引いた発展カードのうち3枚が騎士で、本当に幸運でした。
それと、これは気分的な問題で、今年の会場が明るく天井が高く、部屋が広く感じたので、ポジティブな気持ちになれたのが良かったです。それがプレイにどれだけ影響したのかは分からないのですが。あとは、決勝卓に残った他の3人が顔なじみの面々で、和気あいあいとプレイできたのもありがたかったですね。
──最長交易路をめぐっては皆さんがバチバチとやり合っていた一方で、騎士については空白状態という状況でした。とはいえ、ナガモリさんもかなり苦しい展開だったのではないでしょうか。
ナガモリ氏:途中でそーさんが発展カードを引いたときは、「これでは騎士も持っていかれそうだし、しんどいゲームになりそうだ」と思ったのですが、いいタイミングで自分が独占を使えたことが効きました。そのときに引いた発展カードで勝利点や騎士を獲得できましたし、あの独占がかなり大きかったですね。
──最後に、2026年に開催が予定されている世界大会に向けての抱負をお願いいたします。ナガモリさんは2度目の出場となりますね。
ナガモリ氏:2022年のマルタ大会のときに出させていただいています。このとき、1回戦でとても気分良くプレイできて「今日は自分の日だな!」ぐらいに思っていたのですが、その後ミスをしたりで3連敗して負けてしまいました。ですから、次は予選突破できるようにしたいと思っています。
日本選手権の決勝大会も2018年の初出場のときは全敗して、2019年の2回目で決勝卓に進出できました。世界大会も2回目ですし、ある程度良い成績が出せるように踏み込んで上位に割って入っていきたいな、という思いがありますね。
大会主催のジーピー・米川秀治氏に聞く、これからのカタン日本選手権
回を経るたびに規模を拡大していくカタン日本選手権。今年は中国四国大会が追加され、総参加人数が1300名にも達した。今後も大会を広げていくのか、それはどのような形になるのか。主催のジーピー・米川秀治常務に話をうかがった。

──今回の日本選手権は、昨年よりさらに規模を拡大して行われました。中国四国大会が追加され、関東大会は今回も人数を増やしています。
米川氏:私たちとしては、無作為に規模を大きくしているわけではありません。各地でご協力いただける方を中心とした、大会を運営できる体制があることを前提に増やしているというところが軸としてあります。
今回増やした中国、四国地方についても、現地のカタン会の方々のご協力があってこそで、私たちもその方々を支援することで大会を運営できる体制ができたということですね。
──今後大会を増やすことを考えている地方はありますか。
米川氏:来年は東北地方の大会を開催する予定です。岩手の盛岡にご協力いただける方たちがいらっしゃるので、そこで大会ができれば。今年は決勝含め全国8大会が行われましたが、増やせるのであれば、もっと増やしていきたいとは思っています。
それと、地方大会の他に規模が大きく、運営団体がしっかりしている大会を公認して、優勝者に決勝大会の出場権を付与するという試みも始めました。東京の“カタン名人戦”、北陸の“北陸カタン王”、関西の“なにわのカタン王”、九州の“九州カタン王”の4大会の優勝者が決勝大会に出場しています。他の大会では、“レディース大会”の優勝者にも付与する予定ですね。
あとは、新たに学生オンリーの大会をやりたいと思っていて、この大会の優勝者にも決勝大会の参加権を付与したいと考えています。今回の決勝大会の後援に東京都高等学校ボードゲーム連盟さんに入っていただいておりますが、高校生のプレイヤーも増えているので、私たちとしても積極的にバックアップしていきたいですね。
──関東大会は600名超を集めました。以前おうかがいした際に、ゆくゆくは関東で1000人規模ぐらいまでをお考えとのことでしたが。
米川氏:できれば来年にでも1000人で、といきたいところなのですが、やはりいきなりは難しいところがあり、次は800人ぐらいが目安なのかと思っています。
あとは会場の問題で、1000人入る手ごろな会場がほとんどない。今回の関東大会で使った会場(都立産業貿易センター浜松町館)が最大規模に近いぐらいなんです。来年の関東大会の会場については現在探している最中で、総参加人数については地方大会8会場で1500人以上を想定しています。
──決勝大会の場がSPRING TERRACE 表参道に移ったのも会場の都合なのでしょうか。
米川氏:今回、(SPRING TERRACE 表参道を運営する)ボードゲームベア様にご協力いただくことができたので、この会場で決勝大会を開催するということが前提としてありました。ボードゲームベア様には、他にも新しい得点集計システムの開発なども一緒にやらせていただいております。
──決勝大会の話をすると、今年の大きな変更点として、4戦を行ってそこから決勝卓の試合を行う、全5戦という形になっています。時間的にも難しい部分があると思いますが、なぜ決勝卓の試合を第4戦と別にして最後に追加したのでしょうか。
米川氏:これは、世界選手権の形式に合わせたからです。世界選手権は4戦して最後に決勝卓だけの試合を行い、それをリアルタイムで中継するんです。そもそも最初からこの形にすべきだったのかな、と思うところもありまして、今回は決勝卓のネット生配信も実行しました。
──昨年までもイベント終了が遅めの時間になることがあったので、試合数を増やすというのは難しい決断だったのではないですか。一方で、全体的な進行が前回よりも前倒しになっており、運営側が時短を意識していることが感じられました。
米川氏:スタッフが慣れてきたというところもありますが、先ほどお話ししたWebの集計システムがきちんと動作しているということが大きいですね。ここでかなりのスピードアップができていると思います。
それでも遠征してきている皆さんの帰りの時間は変わらないわけですから、事前に告知を行って周知してもらい、ご理解いただくという形でご案内させていただいております。
──大会の話からは離れますが、今後の『カタン』シリーズの展開について可能な範囲でお話しください。
米川氏:拡張セットの話ではありませんが、大きな変更としては、今後ベースのデザインや一部のコンポーネントが変わります。現在のコマを入れるためのビニールの袋が、専用の紙の収納箱に変更されます。これはエコを意識したもので、コマも再生プラスチックを用いたものに変更。それと全世界共通の変更点として、ボックスのロゴがアルファベットで“CATAN”という統一表記に変わります(現在の日本語版はカタカナの『カタン』と『CATAN』をボックスに併記する形)。
内容に変わりはないものの、いちおうは新版ということになりますね。スタンダード版の基本セットに続いて、拡張セットも数年かけて順次デザインを切り替えた新版に変わっていく予定です。
──最後に『カタン』プレイヤーの皆さんにひとことお願いいたします。
米川氏:プレイヤーの皆さんにいつも楽しく遊んでいただき、その結果としてカタン日本選手権という大きな大会を開催することができております。大会は毎年規模を拡大して、今では全国1300人、関東大会では600人を超えることができました。これは日本記録ということで、ここまで大会を成長させることができたのも、すべてプレイヤーの皆さんのおかげです。
日本は『カタン』のプレイヤーが増えてきておりますし、まだ遊んでいない人たちにも、どんどん広げていきたい。カタン日本選手権も世界最大の大会に成長させたいと思っておりますので、プレイヤーの皆さんも、ぜひいろいろな『カタン』のイベントに参加していただいて、引き続き楽しんでもらえればと思っています。これからもよろしくお願いいたします。
規模や参加人数もさることながら、何よりも選手たちの大会に賭ける意気込み、情熱、真剣さといったものを熱いぐらいに感じる大会だった。
余談になるが、運営の皆さんのご厚意で大会中にいわゆる“エンジョイ卓”を立てていただき、取材者も同卓させてもらった。大会サポートのために来場していた熟練プレイヤーの方々が直接お相手してくださっていろいろとご教示たまわり、まさに目から鱗が落ちる思い。一方で、浅くプレイしているだけでもじゅうぶんに楽しいと感じられた。『カタン』をプレイするのは久しぶりだったが、競技として取り組むもよし、エンジョイ勢もそれなりの遊び方ができる、本当に良いゲームだと再認識した次第だ。

8月10日には優勝者に次回決勝大会の参加権が与えられる“カタン名人戦”が川崎で開催される。来年のチャンピオンをめぐる戦いは、もう始まっているのだ。2026年のカタン日本選手権はどのような戦いが繰り広げられるのだろうか。今から楽しみでならない。
今年も名人戦の季節がやってきました。8/10(日) 神奈川県の川崎市教育文化会館(第1・2・3学習室合併)にて「第25回カタン名人戦」が開催されます。詳細および参加表明は当アカウント並びに日本カタン協会の公式サイトにて後日発表いたします。#カタン名人戦 pic.twitter.com/tBDVEIX8wy
— 日本カタン協会 (@catan_jp) June 5, 2025
※記事内でカタンレディース大会優勝者の方のお名前を誤って記載しておりました。現在該当部分は削除しております。大変ご迷惑をおかけしました。
※追記:記事内で決勝卓進出のボーダーラインの得点について、28点としていたところを27点に修正いたしました。



