ダイスをたくさん振って気分爽快! ダイスロールゲーム9選

ダイス(サイコロ)を振る際のジャラジャラとする音や感触、転がるダイスをドキドキしながら見る感覚が好きという人は多いのではないかと思います。

ランダム要素を生み出すうえで、ダイスはボードゲームに欠かせないアイテムです。ボードゲームにはダイスロール(ダイスを振る)を主要ギミックとしたものがたくさんあるのですが、今回はそのなかから6面体のダイスを同時に4個以上振ることがあるタイトルを9個ほどご紹介しましょう。

※五十音順に紹介しています。

キャントストップ

ダイスロールの古典的名作! ダイスを振り続けるか堅実に進むかのチキンレース

ダイスを振りボード上のコマを進めていくゲームで、1980年初版発売の古典的名作です。デザイナーは『アクワイア』で知られる名手シド・サクソン。ゲームボードには2~12までの列があり、このうち3列のコマをゴールまで導けば勝利。プレイヤーはダイスを4つ振り、2個ずつの組み合わせにして対応するコマを動かしていくのです。

手番中は、何度でもダイスを振ってコマを進めて構いません。ただし、このとき進められるコマは3列までで、もし追加で振ったダイスの出目の組み合わせが進めていた3列に該当しなかった場合、バーストとなって進めていたコマはすべて戻されてイチからやり直しになります。

2や12など出にくい組み合わせの列は少ない回数でゴールできるようになっている反面、7など出やすい目はそのぶん道のりが長い。バーストを恐れずに何度もダイスを振るか、どこかで見切りをつけて次の手番に移るか。もしくは、手堅く振り直しせずバーストなしで進むか。その判断が悩ましい、チキンレース要素を含むダイスロールゲームです。古いゲームだけに、これまで何度も再販されてきており、さまざまなバージョンがあります。

※ポストの写真の『キャントストップ』は韓国版

キャントストップ(2023年版) 概要】
メーカー:ニューゲームズオーダー
プレイ人数:2~4人
対象年齢:9歳~
プレイ時間:~30分

新キングオブトーキョー

大怪獣同士の仁義なき殴り合い勃発! 最後にトーキョーの街に立っているのは誰だ!?

大都市トーキョーを舞台に繰り広げられる、怪獣同士のバトルロイヤル。プレイヤーは手番に専用ダイスを6個振り、出目によって自身の強化をはかる「エネルギー」、失われた耐久力を戻す「回復」、他の怪獣の体力を削る「攻撃」を行います。

マップ中央にある“トーキョー”の街。ここに怪獣が入っているプレイヤーは、トーキョーの街を破壊して勝利点をたくさん獲得できます。勝利点が20点に到達するか、他の怪獣を倒して自分だけが生き残ると勝利。トーキョーの街に入れるのは1体のみ。しかも街にいると他の怪獣全員から攻撃される対象になってしまいます。袋叩きになることを恐れずにトーキョーに入るか、それとも街の外で回復しつつ状況をうかがうか。場面ごとの判断が求められます。基本セットに用意されている怪獣は、それぞれ違う能力を持つ6体。個性豊かな怪獣たちの姿や、非対称性もこのゲームの魅力です。

デザイナーはTCGの代名詞的作品『マジック:ザ・ギャザリング』を作ったリチャード・ガーフィールド。新怪獣や新マップが追加される拡張セットも豊富に用意されており、さらに協力タイプとなった『キング・オブ・モンスター・アイランド』も発売されています。

新キングオブトーキョー 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~6人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:30~60分

ストライク

ダイスを投げ入れ、ぶつけて目を変える! アクション要素が楽しい生き残りバトル

すりばち状のバトルフィールドに手持ちのダイスをひとつずつ投げ入れ、ゾロ目の組み合わせができればそのダイスを回収。ただし、このゲームのダイスには「×」の目があり、これが出たダイスは除外されてしまいます。手持ちのダイスがなくなってしまうと脱落で、最後までダイスを残すことができたプレイヤーが勝利します。

このゲームの特徴は、ただダイスを振って目を見るのではなく、投げ入れる際にフィールドにある他のダイスにぶつけて目を変えていいということ。このアクションが非常に面白くて、プレイ中はとても盛り上がります。また、フィールド内のダイスがすべてなくなってしまうと、次の手番のプレイヤーが手持ちのダイスをすべて投げ入れなければならないというルールがあり、一気に形勢が変わることも。

理解しやすい簡単なルールのうえ、ダイスを投げ入れる、ぶつけるというアクション要素も楽しく、誰でもすぐに遊べるゲームです。

ストライク 概要】
メーカー:ブリオジャパン株式会社
プレイ人数:2~5人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:~30分

スポッツ

ダイス目に見立てた犬の毛の斑点柄を埋めていくバーストゲーム

手元のイヌカードの毛の柄をダイスで埋めていくゲーム。プレイヤーはダイスを振り、イヌカードの対応する目のスペースにダイスを置いていきます。すべてのスペースにダイスを置いたイヌカードは得点になります。

対応するスペースがなく、置けなかったダイスは庭に埋めて隠すのですが、庭のダイスの目の合計が8以上になると主人に怒られてバースト。それまでにイヌカードに置いていたダイスが取り上げられてしまいます。

また、プレイヤーはダイスを振る際に、場に出ている6つの特殊な効果を持つアクションタイルを選択してその恩恵を受けることができます。ただし、アクションタイルの使用は早い者勝ちで、すでに他のプレイヤーに使われたものは選べません(アクションタイルは5つが使用されるとすべて使用可能な状態に戻ります)。このアクションタイルは全20種が用意されており、1回のプレイでそのなかから6種類しか使わないので、セットの組み合わせでプレイ感が変わったものになります。

アクションタイルの効果や、ダイスを振り直しするホネトークンをうまく使いつつ、バーストを避けながらダイスを置いていく。ダイス運や手番順によって勝敗が左右される部分はありますが、イヌカード(と、時々ウシカード)のアートワークが可愛く、短い時間でじゅうぶんなプレイ感が得られるタイトルです。

スポッツ 概要】
メーカー:アークライト
プレイ人数:1~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:~30分

ダイビィ!

ダイスの目で役を作っていく“ダイスポーカー”。運と選択に面白さが凝縮

5つのダイスを振り、その目でポーカーのような役を作る“ダイスポーカー”系のゲーム。プレイヤーは全6回の手番でダイスを振っていきます。

役は5つの目を揃える「5ダイス(ダイビィ!)」、4つ揃える「4ダイス」、連続した数字の「ストレート」、2・3個の同数の組み合わせを作る「フルハウス」、1~3、もしくは4~6の目のなかから2~3個のゾロ目を作る「ビッグダイブ」「スモールダイブ」の6種。手元の役のカードから達成したものを得点としていきます。

ダイスは手番ごとに2回まで振り直しが可能で、振り直しの際は必要だと思うダイスは残すことが可能。ただしどの役にもならなかったり、すでに達成した役の組み合わせを作っても点にならず、さらに未達成の役のカードを1枚破棄しないといけません。高い役を狙って低い確率に賭けるか、妥協して低い役を達成しておくかは迷うところ。

ルールは簡単で、6人までプレイ可能。1プレイはわずか15分程度で終わります。ダイスロールの運とカードの達成順の判断に面白さが凝縮されており、何度でも繰り返したくなる魔力があるゲームです。

ダイビィ! 概要】
メーカー:ハーベストバレー
プレイ人数:1~6人
対象年齢:6歳~
プレイ時間:~30分

パンデミック:完全治療(ザ・キュア)


写真はホビージャパンのサイトより

協力型ゲームの名作がライトに楽しめる! ダイスゲーム版『パンデミック』

協力型ゲームの金字塔をダイスゲーム化したタイトル。デザイナーは元版『パンデミック』と同じくマット・リーコック。プレイヤーは7種の役割からひとつを受け持ち、力を合わせてウイルス感染の脅威に立ち向かいます。

プレイヤーは自分の手番でプレイヤーダイスを振り、出た目によって移動や治療などのアクションを行ったり、感染拡大の処理を行います。世界へのウイルスの感染拡大は、6つの地域ごとに置かれた4色の感染ダイスで表示。1地域で同じ色の感染ダイスが4個以上になると感染爆発(アウトブレイク)が発生! さらに被害が拡大し、人類は窮地に……。感染拡大を抑えつつ、4色のサンプルを採集して治療薬を開発すればプレイヤー側の勝利です。

元版と比べるとシステムがシンプルで、1プレイの時間も短くなっているため、軽く楽しむことができます。一方で、その難度も本家『パンデミック』に引けを取らない、かなりの歯応え。手軽に協力型ゲームをプレイしたいときに重宝するタイトルです。

パンデミック:完全治療(ザ・キュア) 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~5人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:約30分

ブラフ

ハッタリ上等! 他人のダイスの目を予測し、確率論と腹の読み合いで勝負

カップに入れたダイスを5個(※6人プレイ時)振り、場全体で出ているダイスの目を予測していくダイスロール&ブラフゲーム。

使用するダイスの数は全部で30個で、これをプレイヤーの人数によって均等になるように分け、それぞれのプレイヤーはカップにダイスを入れて他の人に見られないようにしてダイスを振って出目を確認。手番プレイヤーは、全員が振ったダイスのうち、指定した目がいくつあるかを予想し、「2の目が8個以上」といったようにボード上でコールします。次の手番のプレイヤーは、コールの内容が正しい(ありうる)と思ったら、前のプレイヤーのコールした内容よりダイスの目もしくは個数を上げた予想をしてコール。これを繰り返していきます。

次の手番のプレイヤーがコールの内容が正しくないと思ったら「チャレンジ」を宣言。全員のカップの中のダイスの目を確認し、コールの内容が正しかったら次の手番のプレイヤーが、正しくなかったらコールした手番プレイヤーが出目の数とコールの数字の差のぶんだけダイスを失います。ダイスがなくなったプレイヤーは脱落、最後までダイスを残したプレイヤーが勝者です。

自分のダイスの目、全体のダイスの総数と出目の確率、他者のコールの内容などから予想をするのですが、これがなかなか当たりません。また、ダイスの目6の代わりにある「☆」はコールした数字として数えるため、予想を難しくします。さらにコールした数とダイスの数がぴったり同じの場合はコールしたプレイヤー以外の全員がダイスを1個失うことになり、これも時として勝負のあやになることが……。

度胸と読み、そしてハッタリが試される心理戦が楽しい定番ダイスゲームです。

ブラフ 概要】
メーカー:メビウスゲームズ
プレイ人数:2~6人
対象年齢:12歳~
プレイ時間:30~60分

ベガス(Las Vegas)

カジノを舞台にカネを取り合う! ダイスロール&配置で勢力争い

6つのエリアにダイスを置いて賞金を取り合う、マジョリティ(勢力争い)のゲームです。

ラウンド開始時、1~6までの番号が振られたエリアに賞金を2枚置きます。そしてプレイヤーは手番で手持ちの8個のダイスを振り、出目に対応したエリアにダイスを置いていきます。これを繰り返し、全員がすべてのダイスを配置したらエリアごとのダイスの数をチェック。もっともダイスが多かったプレイヤーがエリアのマジョリティを得てエリアに置かれたもっとも額の大きい賞金を獲得、次にダイスが多かったプレイヤーが2番目に額の大きい賞金を取ります。これを全3ラウンド行います。

特殊なルールとして、ダイスの数が同じプレイヤーが複数いた場合は、その全員のダイスが無効になり、次点のプレイヤーがマジョリティを取るということがあります。ダイスの振り直しができないため、意図せずダイスを配置しなければならないことがあり、その結果他のプレイヤーと同数になることも……。

流れを見ながら6つのエリアのどこにダイスを置くか、マジョリティの1位を狙うか、2位を狙うか、それともあきらめるか。ダイスの目と相談しつつ、場面ごとの判断が求められます。

デザイナーのリュディガー・ドーンは『イスタンブール』『ルクソール』なども手掛けた名手。特殊効果タイルや、2個分に数える大きなダイスなどの要素が加わったバージョンアップ版の『ベガス:ロイヤル』も発売されています。

ベガス 概要】
メーカー:メビウスゲームズ
プレイ人数:2~5人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:30~60分

ヘックメック

ニワトリたちのバーベキュー大会!こんがりおいしく(虫が)焼けました!?

ダイスを振って虫のタイルを獲得し、タイルに描かれた虫の数がもっとも多かったプレイヤーが勝利となるゲーム。ダイスは6の目の代わりに虫が書かれた専用のものを使用します。

プレイヤーは8つのダイスを振り、1種類の目のダイスをすべてを確保して残りを振り直し。これを繰り返し、打ち切ったタイミングで確保していたダイスの目の合計の数値と同じ虫のタイルを場から獲得。自分が取った虫タイルは重ねて積み上げます。なお、虫の目は5として数えます。ダイスの振り直しをする際にはルールがひとつあり、確保するダイスはそれまでに除いた目と違うものにしなければなりません。もしダイスを振って出た目がすべて確保済みの目だった場合はバーストしてその手番では虫タイルが獲得できなくなります。

虫のタイルは21~36までの16枚。ダイスの合計数が誰かがすでに取っているタイルで、そのタイルが一番上に積んであったら横取りできます。この条件に合わずタイルが取れなかったり、ダイスの数字が20以下だったりした場合、もしくはバーストしたら自分が獲得したタイルを1枚場に戻し、さらに場のタイルを1枚裏返して除外します。場のタイルがなくなったら終了です。

どこまでダイスを振り続けるかのチキンレースの要素に加え、虫タイルを獲得できないとデメリットが大きいので、これを避けたい。しかしゲームが進行して場のタイルが減ってくると、バーストの確率が上がってくる。なんとも悩ましく、度胸と運が試されるゲームです。デザイナーは多作で知られるライナー・クニツィア。カードゲーム版の『ヘックメックカード』もあります。

ヘックメック 概要】
メーカー:メビウスゲームズ
プレイ人数:2~7人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:30~60分


いかがだったでしょうか。ダイスはただ振っているだけでも楽しいですし、ゲームをプレイしているという実感も強く得られるため、何度もダイスを振るダイスロールゲームは他に代えがたい不思議な爽快感を感じることができるでしょう。

どうしても運に左右される面がありますが、ルールも簡単でプレイ時間が短いタイトルが多いので、あまりボードゲームに慣れていない人でも遊びやすいというのもメリットのひとつです。

ダイスロールゲームには独特の魅力があります。興味を持てたら、ぜひともプレイしてみてください。