【おすすめ!定番!!ボードゲーム】『宝石の煌き』は、シンプルなルールで拡大再生産の醍醐味を味わえる傑作!

「拡大再生産」というボードゲームの1ジャンルの醍醐味を、遊びやすいサイズにギュッと詰め込んだ名作……それが『宝石の煌き』というゲームです。最初は限られた選択肢しかない中で購入したカードたちが、中盤以降さらに高価なカードを買う元手となり、雪だるま式に資産が増えていく拡大再生産特有の爽快感は、これぞまさに拡大再生産ゲームと言えるでしょう。

それを手軽に味わえる名作ボードゲーム『宝石の煌き』の魅力をじっくりと見ていきます。

『宝石の煌き』ってどんなゲーム?

初期盤面は以下の画像のように、3つのレベルに分かれたカード4枚と6種類の宝石トークンと、点数付きの貴族タイルが並んだ状態です。このくらいのボリューム感のあるボードゲームの中でも、セットアップがかなり簡単に済むのも『宝石の煌き』の魅力と言えますね!

ルールブックを読むと、比較的シンプルであることがわかります。ゲームの目的はカードやタイルについている「威信ポイント」という得点を15点以上集めることです。威信ポイントを集めるには発展カードや特定の条件で入手できる貴族タイルを集める必要があります。

▲初期配置はこんな感じ。各レベルのカードは誰かが獲得すると山札から補充される

手番ではカードを獲得するか、獲得予定のカードを確保するか、カードの獲得のための宝石トークンを用意するか。その3択ですが、手持ちトークンの上限が10個しかないこともありなかなか高得点のカードは確保できそうにありません。

一体、どうやってこの高得点のカードを獲得したらいいというのでしょうか!? その鍵となるのが、冒頭でご紹介した「拡大再生産」の要素となるのです。

序盤は元手を整える準備のとき

左上に示された威信ポイントが3~5点のレベル3カードをいきなり獲得できたら手っ取り早いのですが、盤面を見たらすぐにそれは無理だと気付きます。そもそも宝石トークンの上限は10枚。それ以上は持っておけません。

たとえば左下に示されたコストが「白3青5緑3黒3」の宝石である3点のカードなんて、14個の宝石が必要な訳ですから当然トークンだけでは獲得できませんね。レベル2のカードですら少なくとも5個以上の宝石を要求されるため、序盤は取れる気がしません。

▲序盤はまったく獲得できる気がしない発展カード

序盤は宝石3~5個くらいで獲得できる、レベル1のカードをちまちま取り続けるくらいしかできません。レベル1のカードには威信ポイントがついていないものも多くありますが、すべてのカードの右上には宝石1つがついていて、次の手番以降、カードを獲得する際の元手の宝石トークン代わりとして何度も利用できます。

たとえば先日も友人とプレイしているとき、こんなシーンがありました。

「今まで獲得したカードで4色出せるから、このカードを無料で獲得できるな」

▲この段階で獲得している発展カードの宝石を確認すると、白2、青2、緑1、赤1……(続く)

▲(続き)ということは、この発展カードは宝石トークンを1つも消費せずにゲットできる

そう、確かにこのときの手元には、青緑赤白の宝石を持つカードが1枚ずつ(以上)あり、場にはそれらの色を必要とする黒い宝石の発展カードがありました。初めてプレイしたときは「宝石4つも消費してようやく宝石1個分か……。なんか損した気分だな」とか考えていましたが、このゲームはこうしてどんどん元手を増やして選択肢を広げていくゲームなのです!

どんどん選択肢が広がる中盤

これに気づくことはできれば、盤面の見え方が大きく変わってくるはずです。最初は取れる気がしなかったレベル3カードを改めてチェックしてみましょう。

「レベル3にある白7青3を必要とする5点のカードを獲得するためには……」

そう考えて盤面を見ると、獲得したいものとそうでもないものの区別がつくようになります。中盤くらいならカードを5枚ほど獲得しているはずなので、レベル1カードを無料同然のコストで獲得するのはもちろん、レベル2カードでも少し宝石トークンを集めれば、レベル3カードを獲得できるはずです。

▲獲得した発展カードの状況からして、宝石トークンをちょっと足すだけでレベル2カードが取れる

序盤ちまちまと獲得していたレベル1カードの宝石が、こうして元手となり獲得できるカードの選択肢をどんどん増やしてくれるます。序盤からゲームが進むにつれてできることが増えていく……、まさしく拡大再生産のゲームがもたらす快感!

この快感を味わったら、あなたもすっかり『宝石の煌き』の魅力の虜となっているはずです。

レベル3カードを獲得されると、ゲームは終了に向かい始める

……と見出しに書いたように、レベル3カードを獲得し始めるとゲームは終盤、誰かが(誰もが)15点への到達が近くなっています。威信ポイントの合計は10点を超えはじめているでしょう。

『宝石の煌き』の目的は威信ポイントを15点以上集めることですが、達成したプレイヤーが出た時点で、ゲームは最後手のプレイヤーの手番が終わり次第即終了です。つまり最後手のプレイヤーが最初に15点を獲得したら、そこでゲームは終了となり、最後手のプレイヤーが勝利となります。

手持ちのカードや宝石はすべて公開情報なので、「次の手番でアイツが15点以上になる!?」ということもわかります。そうなったらもう他のプレイヤーには勝利への道はないのでしょうか? そんなことはありません。しっかりと盤面を見ればどこかにチャンスはあるはずです。

▲この段階で威信ポイントの合計は11点。あと4点……!

勝利目前のプレイヤーはどのカードを取ろうとしているのか、それは次の手番で取ることができるのか、取れないならこっちが獲得予定のカードとして確保しておくべきか、相手の宝石状況はどうなのか……。

たとえば、レベル3の宝石を取るためだけに宝石カードを集めるなら、一番コストパフォーマンスが良いのはレベル1の安い宝石です。レベル2のカードならレベル3ほどでないにしろ威信ポイントがついています。

相手の邪魔をする(相手が獲得できるカードを先に取ってしまう)か、自分の威信ポイントを伸ばすためにレベル2や3のカードを取るか……。状況に応じてよく考える必要があります。

このように『宝石の煌き』は拡大再生産の快感と同時に、盤面を見て最短で15点以上を目指さなければ勝てないシビアさを我々に教えてくれるゲームなのです。この最短で……というのが実は難しいのですが、こうした「手番の圧縮」を最大効率で行わなければ勝てない戦略性も、『宝石の煌き』がシンプルなルールながら多くのボードゲーマーに愛される理由のひとつでしょう。

拡大再生産の醍醐味を味わえる傑作!

『宝石の煌き』は、最初は獲得できる気がしないレベル2~3のカードが中盤から終盤にかけて次々と手の届く範囲に収まり始める……という快感は、ぜひ体験してもらいたいですね。

手番で行うことや目標はシンプルなため、ボードゲーム初心者でも簡単に楽しめる一方で、相手の数手先を読む思考を求められる辺り、熟練者同士で戦ってもとても味のあるゲームとなるでしょう。最大4人まで遊べるゲームですが、2人で対戦しても相当熱いです。

また、コンポーネントの宝石トークン(見た目はポーカーチップ)ですが、ズシリと重みのある作りになっており、これをいじっているだけでも何だか楽しくなってきます。

▲宝石トークンはズシリとした重さがある

ボードゲームカフェやプレイスペースに行けば高確率で置いてある本作ですが、プレイ人数で戦略が変わる楽しさがあり、コンポーネントの豪華さもあるので、ぜひ一家にひとつ持っておきたいですね。

宝石の煌き
日本語版発売元:ホビージャパン
デザイナー:マーク・アンドレ
発売日:発売中
価格:5500円(税込)
プレイ人数:2~4人
対象年齢:13歳以上
プレイ時間:約30分