人類が惑星の至るところで汚染を引き起こしてしまった世界。かろうじて残った人々は汚染を避けて高所を移動するため、風の部族と呼ばれています。
プレイヤーは、人々の中から魔法を使って汚染を除去し、新しい都市を設立する導き手となる。こんなストーリーのゲームが、この『トライブス・オブ・ザ・ウィンド』です。
ゲーム概要
最初に各自の手元へは、汚染がいくつも配置された個人ボードが用意されています。
汚染(赤い雲状のタイル)が無い場所であれば、新たな森を作れます。森ができると、そこに人々を移動させることで村を作れます。
ただし、汚染がある場所には森を作ることができません。まず先に汚染を除去してから森を作る事になりますが、村を作ると同時に汚染を生んでしまうこともあり、汚染と森と村の3つのバランスを取りながら人々が住める場所を拡大していきます。
ゲームプレイ
プレイヤーは手札として配られているカードをプレイすることで、「森の配置」「人々の移動」「汚染を除去」といったアクションを行います。
ゲーム開始時に特定の並びで村を配置すると追加点とか、特定の森の並べ方で特殊能力が解放されるといった方針が示されており、そうした方向性を考慮しながらカードをプレイします。
カードには、「汚染を1つ除去する」とか「人を3マス分移動させる」「森を1枚得る」といった効果が書かれています。一般的なゲームですと、それらのカードを手元から出だすことでその効果を得られますが、このゲームではそう簡単にはいきません。
カードには前述の「効果(カード下部右側)」と同時に利用できる「条件(カード下部左側)」が書かれています。この条件の大半は、自分の近くに座っている人の「手札」に依存しているのです。
カードは、赤・青・緑・黄といった書かれている効果の系統にある程度沿った色が描かれています。この色は、背面にも大きく描かれています。つまり、隣のプレイヤーが「赤を何枚」「青を何枚」持っているかというのは一目でわかるのです。
これが先ほどのカード利用条件になっていて「隣人の一人より多くの赤カードを持っている」とか「自分と隣人2人の持っている青カードの合計が6枚以上である」などが書かれています(自分が所定色のカードを指定枚数持っている、または全く持っていないといった条件もあります)。
つまり、左右プレイヤーがどのようなカードを集めているのか、森は今作れないから緑系統のカードはしばらく残しそうだとか、汚染を積極的に除去してるから赤系統のカードはドンドン減っていくな……といった、普段のゲームでは見る対象になっていない「他プレイヤーの手札背面」と「各プレイヤーの今の狙い」というのを読みながら、自分がプレイすべきカードを選択していくユニークなゲームになっています。
他人の手札状況で自分がカードをプレイできるかどうかが縛られていると何もプレイできない、という状況もありえます。そうした状況を回避するために所定枚数の手札を捨てることで資源を得られる(回数制限あり)といった選択肢(神殿の配置)も用意されていて、手札もリフレッシュでき、資源も入手できるという隙の無い仕掛けです。
最終的には所定数の村を作ったプレイヤーが出るとゲームが終了にむかい、作った村の数や神殿の数、残った汚染の数などから得点の加算・減算をして勝者を決定します。
プレイ感は軽くサクサクプレイできるのですが、プレイ条件が悩ましく非常に新鮮なプレイ感です。
特にいくつかのカードでは条件が2つ書かれていて、青のカードを2枚持っていればAの効果。青のカードが4枚以上ならA+αの効果、とこんな具合のものがあります。
こうなると、今プレイするよりもうちょっと待っていたほうが、といった悩ましさも生まれます(相手がカードを使ってしまって、そもそもカードを利用できなくなるなんてこともあります)。
また、森を特定のパターンで配置することで開放される特殊能力は、プレイヤー毎に異なりますが非常に強力です。こうした能力も早く使いたい、でもカードはよいタイミングを待ちたいと、矛盾した悩みを抱えつつプレイするユニークな仕上がりになっています。
他プレイヤーのカード背面を気にしつつ自分の手札も見られてるこの不思議なゲーム。一度お試しになっては如何でしょうか。
ご紹介しました内容は映像でも説明していますのでご興味ありましたら、そちらもぜひご覧ください。
■トライブス・オブ・ザ・ウィンド
日本語版発売元:Engames
デザイナー:Joachim Thôme
発売日:2023年6月23日発売予定
価格:6600円[税込]
プレイ人数:2~5人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:40~90分