ベニスコネクションのタイルを正しく繋げる事が出来たらベニスの街並みが完成するのか?

ベニス運河をテーマにしたパズルのような2人用の「ベニスコネクション」というゲームがあります。

たった16枚のタイルを交互に配置して水路をグルっと一周させるか、一周出来ない事を指摘したら勝ちというルール。表が直線の水路でウラが90°曲がった水路という16枚全て同じ構成のタイル、無駄のないシンプルなルール、厚めのタイルの触り心地、そして細かく描かれたベニスの街並み。全てが美しい!

作ったのはアレックス・ランドルフ。「ハゲタカのえじき」や「ガイスター」など、単純なのに奥深くて面白いボードゲームを作りまくったボードゲーム界の巨匠です。そんなランドルフの隠れた(?)名作が「ベニスコネクション」なのです。10分くらいで終わる軽いゲームなんだけど、ランドルフらしい切れ味抜群の作品となっています。ちなみにランドルフが最後に住んでた街がベニスだそうで、地元がテーマになってるんですね。

1988年に作られたボードゲームなので見掛ける機会が少なかったけど、2019年に日本語版としてリメイクされたので入手しやすくなってますね。元々のオリジナルはモノクロだったのが日本語版では水路が青くなっているので、見やすいし見栄えが良い!

 

さて、ゲームで使われる16枚のタイルって、よく見るとイラストが全部違うんですよ。って事は、街並みが繋がるように配置出来る仕様なんじゃないか?と。タイル16枚を合わせて1枚の絵画みたいな物が完成するのではないかとチャレンジしてみました。果たして結果はいかに。

早速、挑戦スタート!!

 

まずは全てを表にする

タイルには表とウラがあります。まっすぐな水路が描かれてる方が表って意味じゃなくて、ちょっと丸みのある感じの方が表で真っ平な方がウラです。触るとなんとなく分かるはず。もしくは、タイルの断面を見ると「上から刃物を当てて裁断したんだろうな」って分かるかと思います。まずは、タイル全てを表向きにするのが作業に入る前の準備になります。

完全にバラバラな16枚のタイル。ホントに繋がるのかなぁ?

 

迷わず1枚を手に取る

この中から適当に1枚を取り出します。これが第一歩。

適当に取り出したら、絵柄がピッタリ合うかどうか他のタイルと1枚1枚試していく作業のスタート。これは、とんでもなく地味…。なんか合ってるっぽいタイルは結構あるんですよ。例えば、次の写真を見て下さい。

ピッタリ繋がった!って思うじゃないですか。川岸のラインは綺麗に合ってるし。でも建物の線を見ると全く合ってないんですね。これは残念ながら合ってないタイル。ぬか喜びです。一瞬でも「!」って思った気持ちを返して…。

これを90°回して合わせて確認。違ってたら次のタイルを合わせて確認。違ったら回して確認…の繰り返し。こりゃあ面倒だ。

チャレンジする事15枚目。惜しいタイルはあるもののピッタリ合うタイルはありませんでした…。残念。これは繋がらないようになってるのか?それとも見逃しただけなのか…?

 

特徴を見つける

諦めかけてた時、適当に手に取ったタイルをよ〜く見てみると船がちょっと途切れてるじゃないですか!もう一度タイルの写真を。

船のお尻が切れちゃってるでしょ?さっきは気付かなかったけど、かなり特徴的なタイルですよ。もしかしたら、船の切れ端が描かれているタイルが何処かあるのではないかと他のタイルの断面をチェック。こっちの断面には何もない、そっちの断面も何も無し…。うーむ…、やっぱ無いのか…

すると、こんなタイルがあるではないですか!!

タイルの断面を見て下さい。水路の一部が白い!ポチッと小さく白い物が。これでしょ、これ!船の一部だ!ドキドキしながらドッキングです……。

合うのか?合うよね。

どうなんだ……

パキーン!合ったー!!

あまりに興奮してタイルがちゃんとくっついてないけど。でも冷静に見て下さい。ピッタリでしょ?途中で切れてた船が完成してるし、手前の建物の斜めの線もピッタリ一致してるし、向こう側の川岸の柄も同じ。

遂に見つけましたー!なんでさっきは見逃したんだろう?今はそんな過去の失敗はどうでもいいのだ。他のタイルは分からないけど、この2枚は確実に絵が繋がっているのです。

 

カップルを探せ

他にも特徴的なタイル2枚を取り出してみました。例えばこの2枚。建物のラインが斜めという特徴が2枚の共通点なんです。

建物のラインが斜めなので、なんとなく合わせてみると…

ピッタリ!斜めの建物のラインがズレる事なく直線で繋がり、白い広場が完成ですよ。

こんな感じで隣り合うタイルを何組か作ってみました。

「君達お似合いだよー」と勝手にカップルを作ってる感覚ですね。カップルが3組も誕生。やった!

絵柄がピッタリ合う組み合わせがいくつか出来たら「この辺も同じっぽいな」という特徴的な部分を見つけてはカップリング。この繰り返しです。

 

地味な作業を続ける事、20分……。ここまでいきました。

残り3枚!カップル誕生の度に喜びすぎて写真を撮ってなかったので、いきなりこの段階の画像となっています。

離れ離れだったタイルの特徴を捉えてカップル作りに励んでいると、成功率の高い婚活パーティーの主催者にでもなった気分ですよ。よくここまで個性の強いタイル達を引き合わせたものだ。

 

そして、完成!

残りの3枚を繋ぎ合わせて遂にベニスの街並みが完成です!

その写真がこれ。

ジャジャーーーーン!

うっ、美しい!これが本当のベニスコネクションだ!ちゃんと一枚の絵画のように並べる事が出来ました!額に入れて飾りたいっ。

もしスマホやタブレットで見てる人はピンチアウト、親指と人差し指でグイッと拡大して細かい部分まで見て下さいな。ピッタリ合ってるんで。これが正解の形です。水路が漢字の「回」みたいな形。水路をぐるっと一周回すのが目的のゲームだから「回」って事なのか?ランドルフは将棋に魅せられて日本に数年間住んでた程の親日家ではあるけど、流石にそれは考え過ぎかな。

 

裏には謎のメッセージ

ふと思ったんです、

「そう言えば、タイルって両面印刷だったよな」と。

って事は、そのままひっくり返せば裏面にも別の街が広がってるんじゃなかろうか?と。

 

もちろんひっくり返しました。

その結果はコチラ!

おおっ!こっちも綺麗な街並みが現れましたー。素敵だ。さっきのとは形が違うけどこっちもいいですねぇ。こちらも拡大して見て下さいね。ちゃんと繋がってるので。

あれ?これって街並みが漢字の「水」って形になってません?水そのものではないけど、漢字の成り立ちを表す象形文字の水っぽい。やっぱり「回」も偶然じゃないでしょ!ランドルフはこんな所で遊び心を見せた可能性ありますよ。ベニス運河のゲームで「回」と「水」なのか。これは面白い発見。

 

という訳で、ベニスコネクションのタイルをちゃんと繋げるとベニスの街並みが完成する事が分かりました。そして、漢字が浮かび上がってくる(気がする)事も分かりました。

本来の遊び方とは違うけど、お手持ちのベニスコネクションで試してみては如何でしょう。