Nintendo Switch「世界のアソビ大全51」に収録されているボードゲームをいろいろ調べてみた

6月5日にNintendo Switch専用ソフト「世界のアソビ大全51」が発売されました。ゲームの内容は、定番のものからマニアックなものまで世界中のボードゲームなどが51も収められたソフトなのです。

 

「Nintendo Switchがゲーム盤に」って良いキャッチコピーだよなぁ……。ゲームによってはSwitch1台で友達と対戦出来るし、オンラインなら遠く離れた人と遊ぶことも可能。本当のボードゲームと違って片付けもカンタンだし、コマやカードをなくす心配もなし。このソフトを使って世界中の人が古典的ボードゲームをオンラインで遊んでるというのは想像しただけで何か心躍ります。

これは取り上げるしかないって訳で、収録されてるボードゲームの起源や歴史などを調べ上げました!あとTwitterで発見した実物の写真も。

では、ソフト内の順番で紹介します。ちなみにルール説明は一切ないので遊び方を知りたい人は他をあたって下さい。

 

 

マンカラ

おはじきを自分のゴールに沢山入れることを競う2人用のアブストラクトゲーム。

紀元前1500年頃の古代エジプトの首都メンフィスで、マンカラで遊んでた跡が確認されているらしいです。って事は少なくとも3500年前から遊ばれてるゲームですよ。超ロングヒット作。

諸説あるんだけど、西アフリカ発祥。アフリカ・カリブ諸島・中近東・東南アジアで古くから遊ばれている豆まきをテーマにしたボードゲームです。国によって呼び方も違うし、ルールも300種類以上あるんです。それだけの歴史もあるし遊び方も豊富なのに日本ではちょっとマイナーですよねぇ。

実物はビー玉だったり貝殻だったりいろんなバージョンがあってその辺の美しさも見所の一つ。

 

 

ドット&ボックス

フランス生まれの2人用の紙ペン( pencil-and-paper)ゲーム。紙とペンがあれば遊べちゃいます。

作ったのはフランスの数学者エドゥアール・リュカ。とある整数が素数か否かを判別する方法を考案した賢い人です。誰もが知らず知らずリュカの作ったパズルを触ってて、その名は「ハノイの塔」です。一番下にある大きい円盤から順に小さな円盤へと重なってる塔があって、それを1枚ずつ動かして別の場所に塔を移動させるという超有名なパズル。

あと、どんな迷路でも解く事が可能な「トレモー・アルゴリズム」を考案したのもリュカ。そう言われるとドットアンドボックスも頭が良くなるゲームに思えてきますよね。

 

 

ヨット

サイコロ5つを振って決められている役を作って得点を競うダイスゲーム。

1954年にカナダ人のカップルが考案したゲームで、ヨットの上で遊んでたので「ヨット」と名付けられたそうです。2年後にロウ社から「ヤッツィー」という名前で発売されたものの売れなかったらしい。そこでヤッツィーパーティーを企画したところ口コミで広がったというエピソードが有名。確かに見た目はサイコロ5個だけで最高につまんなそうなんですよね。遊べば分かるんだけど。

サイコロを使ってポーカーのような役を作るボードゲームって沢山あるけど、これが最初みたいですね。Switchだと計算は早いけど、サイコロ転がすゲームは実際にやった方が楽しそうだよなぁ。

 

 

コネクトフォー

重力要素がある2人用の四目並べゲーム。

元になってるのは「キャプテンズ・ミストレス」で、作者はよく分かってません。ボードは木製の箱型で、溝に白と黒の玉を落として四目並べをするというゲームです。ルールは全く一緒。キャプテンクックがこのゲームを始めると熱中して部屋から出てこなくなるので、船長の愛人(Captain’s Misstres)と名付けられたとか。

そんなゲームを1974年2月にミルトンブラッドリー社がカラフルなプラスティック製で販売して、1984年からはハズブロ社が販売。今も世界中で遊ばれているというのが歴史になります。

 

 

ヒット&ブロー

隠されたピンの色と場所を当てる2人用の推理ゲーム。

1972年にイギリスのインヴィクタ社が「マスターマインド」という名前で発売したのが最初。その後にハズブロ社が販売して世界中に流通という流れ。このアソビ大全では「ヒット&ブロー」という名前だけど「マスターマインド」「MOO」「Bulls&Cows」などなどいろんな名前で呼ばれているようです。この手のジャンルをヒットアンドブロー系とかマスターマインド系って言い方しますよね。

これも作者が分かってないんだけど、イギリスで考案されてイギリスの学生の間で広まったみたいですね。マスターマインドを持ってなくても、紙とペンさえあれば4桁の数字で遊べますからね。休み時間とか学校で流行ったんでしょう。

 

 

ナインメンズモリス

コマを3つ並べて相手のコマを減らしていく2人用アブストラクトゲーム。

このゲームの発祥は諸説あるんだけど、ローマ帝国時代に作られた説が有力っぽい。なので2000年の歴史があるゲームですね。ノルウェー・フランス・ドイツなどヨーロッパの各地から似た様なゲームが発掘されていて、14世紀にヨーロッパで流行した証拠になってるそうな。

ただ謎なのが、紀元前1400年頃に古代エジプトで作られたクルナ神殿の天井板にナインメンズモリスのボードの様な図形が描いてあるんです。ローマ帝国時代説を覆す証拠ですよ。もしかしたら当時の人も遊んでたんじゃないかという説もある事は追記しておきます。建築してた人達が暇つぶしで描いたんじゃないかって専門家が分析してるんだけど、ヨーロッパではこの図形が魔除として使われてる地域もあるんですよ。何か関係あるのかなぁ。ミステリーだ。

 

 

ヘックス

六角形のマス目が並んだボード上で自分のコマを端から端まで繋ぐ2人用アブストラクトゲーム。

1942年にデンマークの数学者ピート・ハインが考案したゲームで「CON-TAC-TIX」と名付けたそうです。面白いのがハインとは別で、5年後の1947年にアメリカの数学者ジョン・ナッシュもこのゲームを考案してるんです。こんな偶然が起こるなんて!アメリカでは「ジョン」「ナッシュ」と作者の名前で呼ばれていたそうです。

当時「モノポリー」をヒットさせていたパーカー・ブラザーズ社が1952年に「ヘックス(HEX)」という名前で発売。今はこのゲームだけじゃなく、六角形のマス目が並んでいるボード自体をヘックスと呼ぶようになってますね。そういう意味ではボードゲームの歴史を語る上で欠かす事の出来ない偉大なゲームです。

 

 

チェッカー

相手のコマを飛び越したら取り除いて相手のコマをなくした勝ちという2人用アブストラクトゲーム。

12世紀の南フランスでチェス盤上でバックギャモンのコマを使い、相手のコマを飛び越して獲得する「アルケルケ」というゲームをやったのが始まりだそうです。国によって呼び方とルールに少しの違いがあるみたいで、フランスではダム(Dames)ドイツではダーメ(Dame)イギリスではドラフツ(Draughts)など。定期的に世界選手権が行われるほどプレイ人口も多くて奥の深いゲームなんです。

このゲームに関しては変わったデザインが見当たらないですね。シンプルイズベストな物だらけ。

 

ウサギと猟犬

3vs1に分かれて追い込むか逃げるかを競う非対称のアブストラクトゲーム。

このゲームの詳細が謎なんですよ。作者も分からなければ、作られた時代も国も分かりません。ラトビアで見つかった古いボードから考察すると、14世紀には遊ばれてた可能性があるとのこと。

19世紀にヨーロッパで流行ったらしくて、フランスではソルジャーゲームと呼ばれていたようです。「フレンチミリタリーゲーム(French Military Game)」「ドワーフゲーム(Game of Dwarfs)」「仕立て屋の中の悪魔(The Devil among tailors)」など様々な呼び方があるんだけど「ウサギと猟犬(Hare and Hounds)」と呼ばれる事が多いみたいですね。どうやらプログラムが簡単らしくて、パソコンの普及と共に画面上で遊ばれることが多かったゲームらしい。

 

 

五目ならべ

碁盤の上に自分の石を置いて5つ並べるゲーム。

平安時代の絵巻物に五目並べをしてる女性が描かれているので、その頃から遊ばれてたみたいです。って事は1000年前に生まれたゲーム。ちゃんと史料として残ってるのは1700年代の中頃に二条家で行われてた「五石」だそうです。囲碁自体は中国から入ってきたけど、碁石を5つ並べるルールは日本発祥なんですね。

明治時代に先手必勝という事が判明したため、いくつかの禁じ手ルールを整えたのが「連珠(RENJU)」で、今や世界中で遊ばれています。

 

 

ドミノ

サイコロの目が2つ描かれた長方形の牌を使うゲームの総称。

これも起源は分かってません。有力な説は2つ。12世紀頃に中国で「天九牌」という長方形の牌が出来て、半分の大きさになったのが麻雀で、そのままの大きさで18世紀にイタリアを経てヨーロッパに渡ったのがドミノという説。もう1つは、天九牌とドミノ牌はちょっとだけ柄が違うので、独自にドミノが作られたというヨーロッパ発祥説。真相は分かりません。

あと、ドミノと言ってもルールが100種類以上あるので覚えればいろいろ遊べます。いろんな遊び方があるってトランプみたいなイメージですよね。でも、ドミノも見た目の地味さで遊んだ事ない人が多いんだよなぁ。触り心地も良いし。倒すだけじゃないのに〜。もったいない。

 

 

チャイニーズチェッカー

コマを飛び越して自分のコマを全て向こう側に移動させるゲーム。

1883年にイギリスの形成外科医ジョージ・ハワード・モンクスが考案した「ハルマ」という2人か4人用のボードゲームがオリジナルです。正方形だったボードを星型ボードに変更して「星型ハルマ」としてドイツで発売されたのが1892年。アメリカで売る時に「チャイニーズチェッカー」と改名して販売したというのがネーミングの歴史です。

チェッカーじゃないのにチェッカー名乗っちゃってるんですよね。コマを飛び越すから「チェッカー」なのはまだいいとして、中国は全く関係ないのに「チャイニーズ」って。デザインは中華風で販売されたそうですが。ボードが五芒星っほいからオリエンタルな名前にしたかったのかな。日本では「ダイヤモンドゲーム」の名前で1933年に発売されました。

 

 

ルドー

サイコロを振って自分の色のコマを全てゴールに入れるのが目的のすごろくゲーム。

オリジナルはインドの古典的すごろく「パチーシ」です。1860年代にパチーシをアメリカの会社(パーカーブラザーズ社だと思うけど裏取り出来ず…)が販売。同時期にイギリスのジャックオブロンドン社がルールを現代風に変更し、ラテン語で遊びを意味する「LUDO」という名前で販売。1897年に特許を取得しているので120年以上も前から遊ばれていることになります。それでイギリスを代表するボードゲームと呼ばれているんですね。

 

 

バックギャモン

サイコロを振って自分のコマを進め、全てのコマをゴールさせるのが目的の2人用すごろくゲーム。

このゲームの起源は諸説ありすぎ!元となるゲームがピラミッドから出てきたとか、壁画に描いてあるとか。とにかくルールがちょっとずつ確立しながら世界中に広まったようです。6世紀には日本にも入ってきてて「盤双六」として大流行。お金を賭けて遊ぶ人が続出して持統天皇が禁止令を出したほど。

日本バックギャモン協会のサイトによると、1743年にルールが整理されてヨーロッパで流行し、1920年代に得点を倍にするダブリングが考察されて今のルールに落ち着いたとのこと。

 

 

リバーシ

自分の石で相手の石を挟むことで自分の石に変え、最終的に石の数を競うアブストラクトゲーム。

リバーシの歴史を説明するのは面倒なんですよね…。と言うのも「リバーシ」より「オセロ」という名前の方がしっくりくる人もいるでしょう。オセロは茨城県出身の長谷川五郎が考案したゲームで、1973年に株式会社ツクダから販売されました。一方リバーシはロンドンのルイス・ウォーターマンが考案して1888年にイギリスで発売されたゲームです。しかしジョン・モレットが1870年代に自分が考案したゲームだと争ったこともあり、今は2人が考案者として語られる事が多いかと。リバーシは明治時代に「源平碁」という名前で日本でも発売されていたので、長谷川五郎がオセロに酷似してるリバーシの存在を知っていたのか偶然オセロを考案したのかというのが、ずーっと言われ続けた話です。はぁ〜、説明が長い。

「オセロ」は商標という事もあって「リバーシ」と呼ぶのが一般的ですね。

 

 

チェス

相手の王を奪った方が勝ちの2人用アブストラクトゲーム。

古代インドで遊ばれていた「チャトランガ」という8×8のマス目の盤を使って5種類のコマを動かして王を狙うゲームがオリジナル。それが西ではチェスになり、東では将棋になったと言われています。チェスは8世紀頃ロシアを経てヨーロッパに伝わり、コマの種類に変化があり、ルールも様々な変遷があって16世紀に現在のルールに落ち着いたそうです。

古典ボードゲームだけあって様々なコマで販売されてますね。飾っておくだけで立派なインテリア。

 

 

将棋

相手の王を奪った方が勝ちの2人用アブストラクトゲーム。

起源は諸説あって分かりません。チェスで書いた通り大元は「チャトランガ」だろうとは言われてるけど、いつ日本に伝わったのかはハッキリしてません。奈良県の興福寺境内から『天喜6年』と書かれた木片と共に将棋の駒が出土しているのが日本最古の将棋駒。天喜6年は西暦1058年なので960年くらいの歴史がある訳ですね。

13世紀には盤を大きくして駒の数を増やした大将棋が遊ばれて、15世紀頃から駒の数を減らして現在のルールになったそうです。将棋って随分前からルールが仕上がってるんですね。

 

 

5五将棋

通常の8×8の将棋盤ではなく5×5の小さな盤で行う将棋。

様々な亜流の将棋が発案される中で、1970年に楠本茂信が考案した王将・金将・銀将・飛車・角行・歩兵の6つだけを使用する将棋。熟練者と初級者の差がつきにくいということで短時間の将棋としてオススメ。子供向けのキャラクターとコラボでいつくか販売されてます。海外ではMINI-SHOGIとして知られているらしい。

作者の楠本茂信さんが何者なのか分かりませんでした。結構調べたんだけどなぁ。将棋界で著名な方なのか、ボードゲームを作ってる方なのか。

 

 

花札

12ヶ月ごとの花が4枚ずつ描かれた48枚の長方形の札。

16世紀にポルトガルから日本に伝わってきたのが「南蛮かるた」で、それを日本国内で作り直したのが「天正カルタ」です。4つのスートに12までの数字が描いてあってトランプみたいなイメージの札。全国には地方ごとにルールが違う「地方札」というオリジナルの札もあったそうです。カルタを使って賭け事をする人が増えたので取り締まりが厳しくなり、その抜け道として数字が書いてない「花札」が作られたと言われています。1816年には花札の禁止令が出ているので、それよりも前に花札が存在してたってことになりますね。

1902年にはカルタ税を徴収するようになったので地方札を作ってたカルタ屋さんが軒並み倒産。しかし、任天堂が地方札の原版をたくさん保有してて今でも作る事が可能らしいです。歴史の保存もしてるのか、任天堂!

 

 

麻雀

牌を使って決められた役を作り上げるセットコレクションゲーム。

中国発祥のゲームです。中国なのは間違いなさそうなんだけど、起源がなんとも断言しにくいんですよ。中国では昔からマーチャオと呼ばれる紙札のゲームが遊ばれてたそうです。4スートで40枚のカードだそうです。そして、天九牌(ドミノのところで出てきたヤツ!)などを使って役を作る遊びが合体したものというのが有力な説で、なんと麻雀の誕生は19世紀後半!いかにも凄い昔からありそうな雰囲気なのに若手ですね。

1920年には(現在はファッションブランドの)アバクロンビー・アンド・フィッチ社が麻雀を輸入して全米で販売したところ、ニューヨークなどで大ヒット。日本では第二次世界大戦後にリーチ麻雀のルールが整備されて、日本でも麻雀が盛んに遊ばれるようになったようです。

 

 

ラストカード

配られたカードを1枚ずつ捨てて一早く手札を無くしたら勝ちというゴーアウトのカードゲーム。

アソビ大全では「ラストカード」という名前だけど、オリジナルは「クレイジーエイト」というトランプのルールです。考案者は分からず、時期も20世紀前半ではないかと曖昧になっています。他にも「ページワン」などもクレイジーエイト系のルールになります。

この手のゲームの代表作は何と言っても「UNO」でしょう。アメリカ・オハイオ州で理髪店を営むマール・ロビンスがクレイジーエイトを改変して1971年に作ったのがUNO。その後インテル・ゲーム社が1979年に発売して爆発的にヒット。今はマテル社が販売という40年ほどの歴史しかないゲームなのです。

 

 

「世界のアソビ大全51」には他にもトランプ、ビリヤード、ダーツ、キャロム、エアホッケーなども収録されてるけど、机の上で遊ぶいわゆるボードゲームに絞って調べました。

 

こうして調査するとボードゲームの歴史も面白いですねぇ。いついかなる時も人類は遊びを欲してたのが分かりました。生きる上で衣食住の次に重要なのは遊なのでは?何百年・何千年経って、現代人も同じルールで楽しんでるのはロマンを感じます。人類の歴史はボードゲームの歴史だ!

それにしても、どれもこれも名作だらけ!こんなに面白くて古いボードゲームを知らなかったなんて今まで損した気分ですよね。古くても面白さは変わらないんだな。

 

さ、アソビ大全51を遊んでみましょう。無料体験版もありますよ!