タイルを置いて不定形のフィールドを戦略的に拡張! タイル配置ゲーム7選

“タイル配置”というゲームシステムは、プレイヤーが手番にタイルをひとつずつ配置していく、というものです。配置したタイルを繋げていくことでゲームボードの代わりとなるプレイエリアを広げていくゲームは、このシステムをメインにしたタイプだといえるでしょう。

これらのゲームはおおまかに分けて、プレイヤーごとに違う固有のフィールドを形成していくものと、共同でひとつのフィールドを作っていくものの2種類がありますが、最大の特徴はフィールドの完成形が決まっていないということ。予想もつかない形で拡張していくこともあって、なかなか先の展開が読めないということも、このタイプのゲームの面白さです。

今回は、タイル配置でフィールドを作っていくゲームを7つほどご紹介しましょう。

※五十音順に紹介しています。

AQUA(アクア)

海洋環境を整えて海の生き物を呼び込もう! 美しいアートワークも魅力

海洋環境の整備がテーマのゲーム。プレイヤーはサンゴのエリアを拡大していき、サンゴ礁を作ったり、海洋生物を集めていきます。手番にできることは、六角形のサンゴタイルをひとつ獲得して自分のフィールドに配置していくこと。サンゴタイルを繋げて拡げていくことで、ハニカム形状のサンゴのフィールドを作っていくのです。

サンゴタイルは隣り合った他のタイルと色を合わせて同色の六角形を作ることで対応した小動物が呼べます。さらに隣り合って配置された小動物の数と形状で捕食者となる大動物の獲得が可能。動物を呼ぶと得点が得られます。うまく六角形にできずに生物を呼べなくても、同色のエリアを4以上繋げて置いて“サンゴ礁”を形成することで加点があります。また、リプレイ性の高さも特徴のひとつ。小動物の種類ごとに設定される個別目標がプレイするたびに変わるため、毎回違った状況になるのです。

プレイ時間は4人で遊んでも30~45分程度ですが、戦略性が高く、しっかりと“ゲームをプレイした”満足感が得られるタイトルです。

アートワークを『エルドラドを探して』『ソレニア』などで知られるヴィンセント・デュトレ氏が担当しており、鮮やかな色彩のイラストも本作の大きな魅力となっています。

AQUA 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:1~4人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:30~60分

カスカディア

地形タイルと動物の配置で得点を獲得する二重構造パズルゲーム

2022年のドイツ年間ゲーム大賞受賞作。アメリカ北西部の自然豊かな地域で、クマやエルク(ヘラジカ)、サケなどの生物が住みやすい地形を作り出すゲームです。デザイナーはランディ・フリン。

プレイヤーは、手番に六角形の地形タイル1枚と動物トークン1個の組み合わせで作られたペアを4組のなかからひとつ獲得し、自分のエリアに配置します。地形タイルにはそこに配置できる動物のアイコンが描かれており、動物トークンは対応する地形にしか置けないようになっています。

地形タイルは5種類、動物は5種類。それぞれの動物ごとに配置のルールが設定されており、条件を満たすことで得点が得られます。また、隣り合わせで配置された同じ地形の広さによるマジョリティがあり、地形ごとの広さの上位になることでも得点が得られます。地形、動物ともに他のプレイヤーと狙いが被ると食い合ってしまうため、うまく調整しながら獲得していかなければなりません。将来的な展望まで含めてどのペアを獲得していくかの判断が難しいのですが、うまくハマったときは爽快です。

ソロプレイも可能で、上級ルールや低年齢層向けの簡易ルールも用意されており、リプレイ性の高さもあいまって一度はまれば長く遊べるタイトル。拡張セット『ランドマーク』やロール&ライト版の派生作『カスカディア・ローリング:なだらかな丘』も発売中です。また、簡略化されてジュニア向けとなった『カスカディア:ジュニア 日本語版』の発売が2025年に予定されています。

カスカディア 概要】
メーカー:ケンビル
プレイ人数:1~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:30~60分

カルカソンヌ

道を繋げて、街を広げて、配下を派遣して高得点! タイル配置の代表作

ドイツ年間ゲーム大賞2001年受賞作。代表的なタイル配置ゲームとして知られる傑作です。デザイナーはクラウス=ユルゲン・ヴレデ氏(他に『マインドマッチ』『ポンペイ』など)。

プレイヤーは袋から地形タイルを1枚引き、すでに配置されているタイルの周りに置いてフィールドを広げていきます。そして、任意で置いた地形タイルにある道や都市、平原のどこかに配下のコマを置くことができます。配下コマは置かれた場所に残り、条件が達成されると得点を得て手元に戻ります。

道は長いほど、都市は広くなるほど得られる得点が高くなるため、うまくタイルを置いて獲得できる得点を増やしていくことがコツ。先を見通した得点計画が重要ですが、バッグドローの不確実性や、他プレイヤーの動向により、想定通りに進むことはほとんどありません。大胆に高得点を狙いつつも引き際を見極め、時には他人の妨害をすることも求められる、運要素とインタラクション性が両立した絶妙なバランスのゲームです。

発売は2000年。独立拡張の『カルカソンヌ 原始の営み』や、日本向けの改訂が行われた『カルカソンヌJ』10周年記念版20周年記念版、協力型のゲームになった『カルカソンヌ:霧に浮かぶ亡霊』などの拡張セットや派生作も続々登場しています。基本セットについては、現在では新版の『カルカソンヌ21』が発売中です。

ちなみに、本作で使用される騎士コマはミープルというのですが、これ以降のゲームでも人型の木製コマが使用されている場合はミープルと呼ぶことが普通になりました。近年ではミープルはドイツゲームをあらわす象徴的なアイコンとして知られるようになっています(BROADではミープルの名前や語源について調べた記事もあるので、ぜひご覧になってください。 人型コマを「ミープル」って世界で最初に言い始めた人を探してみたら意外な新事実が判明!

本作は2人でプレイしたときの競技性が高く、対戦型ゲームとして優れており、大会などでは基本的に2人用としてプレイされます。日本語版販売元のメビウスゲームス主催による日本選手権も毎年開催されています。

カルカソンヌ 概要】
メーカー:メビウスゲームズ
プレイ人数:2~5人
対象年齢:7歳~
プレイ時間:30~60分

キングドミノ

ドラフト獲得した地形タイルを並べて自分だけの王国を作れ!

ドイツ年間ゲーム大賞2017年受賞作。正方形の地形2つを横に並べたドミノタイルを各プレイヤーが1手番にひとつずつ獲得し、自分の城の周囲に並べて自分だけの王国を作り上げるゲーム。デザイナーはブルーノ・カタラ(他に『シーソルト&ペーパー』『指輪物語:デュエル 中つ国の決戦』など)。

ドミノタイルは自分の城かすでに配置されているタイルに接するように配置しなければならず、さらにタイル同士が接する際は同じ地形を繋げるようにする必要があります。また、フィールド全体を5×5の範囲に収めなければなりません。地形は全部で6種類あり、それぞれの地形ごとに繋げて配置した同じ地形の数の上位者にボーナス点が入るため、激しいマジョリティ争いが展開します。

特徴的なルールは、タイル獲得のシステム。基本は手番が早いプレイヤーから順に場のタイルのうち好きなものを先取りしていくドラフト型式ですが、タイルの裏側に数字が記載されており、数字が高いタイル(=価値が高いタイル)を獲得すると次回の手番が遅くなってしまいます。つまり、価値が高いタイルを取ると次は手番が遅れ、他のプレイヤーに先に価値が高いタイルを取られてしまうことになるのです。

1回のプレイ時間は15~30分程度。ルールが易しく軽く遊べるタイトルですが、パズル的な要素とマジョリティ争いによって密度が濃いプレイが楽しめます。基本システムを同じくする派生作として、得点要素が増えた『クイーンドミノ』や、ドイツ年間ゲーム大賞2021年キッズ部門受賞の『ドラゴミノ』などが登場しています。

キングドミノ 概要】
メーカー:テンデイズゲームズ
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:~30分

トロッコタウン

線路を繋げて街を拡大! トロッコが縦横無尽に走り回る経済圏を構築しよう

トロッコ用の線路で連結しながらさまざまな効果を持つ建物のタイルを配置し、街を作っていく拡大再生産タイプのゲームです。

プレイヤーが手番でできることは、場に出ている建物タイルを獲得して自分のフィールドに配置するか、同じく自分のフィールドに線路タイルを配置するかのどちらか。いずれのタイルも、すでに配置されているタイルに接するように置かなければなりません。また、建物については、建物同士を隣り合わせて配置してしまうとその部分が繋がっているとみなされず、連絡を確保したいのであれば建物と建物のあいだに必ず線路タイルをひとつは挟む必要があります。

建物には、資源の生産力を持つものや、得点を得られるものなどさまざまな効果があり、この効果を活かして資源を得点に換えていくことがプレイの基本。配置のあとのフェイズで資源を生産し、線路に沿って輸送していくのですが、このとき線路の接続がない建物タイルは孤立してしまうため、いかに連絡網を構築するかが重要になってくるのです。

ゲームは全4ターンしかなく、手番の数は限られているため、計画的な拡張が必要。ただし最終ターンのみ輸送と得点への変換が無限にできるので、ここまでにどれだけ資源と得点手段を確保できるかが勝負のカギとなります。

デザイナーはStudio GGのShun氏。複数の要素をプレイ時間30~60分程度のコンパクトなサイズにまとめつつも拡大再生産の加速感を存分に感じることができる、ゲーム性とリプレイ性を担保したタイトルとなっています。

トロッコタウン 概要】
メーカー:JELLY JELLY GAMES
プレイ人数:1~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:30~60分

フィヨルド

全員でフィールドを構築後、領土争いに突入! 先を見越した配置が重要

2005年に発売された2人用ゲームの元版を改訂し、2022年に再発売されたタイトル。新版では4人までプレイできるようになっています。

プレイヤーはバイキングの一族を率い、フィールドに配下を派遣して版図を広げていきます。このゲームの特徴は、大きくふたつのフェイズに分かれていること。まずはフィールドの生成を行います。プレイヤーは手番に六角形の地形タイルを配置し、フィールドを拡張。地形は平地、山、海の3種。タイル配置後、地形が平地だったときのみ任意でそのタイルに自分の一族の住居をひとつ置けます(住居はフィールド内に最大4つまで配置可能)。

地形タイルが無くなるまで置いたらフィールドは完成となり、次は陣取り合戦がスタート。手番にひとつ、住居から配下のバイキングコマを出撃してフィールド上に配置します。バイキングは自分の住居かバイキングの隣の平地にしか置けないため、進出してくる他のプレイヤーのバイキングの進路を潰しつつ、うまく自分の領土を広げていかなければなりません。バイキングが置ける場所が無くなってしまったら、手持ちが残っていてもそこで終了となってしまいます。

ポイントは、フィールド生成の段階からバイキングをどう進出させていくか想定して地形タイルと住居を置いておくこと。他のプレイヤーの思惑も絡むため、そうそう思い通りにはならないのですが、先読みがうまくハマったときは爽快です。

ルールの量が少なく簡単で分かりやすいのですが、ひとたびプレイがはじまると悩みどころばかり。シンプルながらも高いゲーム性があり、何度でも遊びたくなるタイトルです。

フィヨルド 概要】
メーカー:すごろくや
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:30~60分

マイセリア(CMON JAPAN)

キノコを生やして、腐らせて、また生やす。菌糸類の菌糸類による菌糸類のための生存競争勃発!

タイル配置+タブロービルド(ドラフトによるカード獲得と配置)によって、キノコの繁殖と生育場所をめぐる領地争いと、菌糸類の生命のサイクルを描いたゲームです。

プレイヤーは探索によって三角の地形タイルを配置してフィールドを広げ、ボード上にあるキノコから胞子を飛散させてリソースを獲得。そのリソースを使って手札として持つ新しいキノコを誕生させていきます。キノコは、それぞれに定められた回数の胞子を飛ばすと腐敗して消滅するのですが、このときキノコが持つ特殊能力が発揮されるため、どんどん腐らせてキノコを入れ替えていくことが有力な手となります。飛ばした胞子は資源となるものの、飛んでいく方向はダイスを振って決めるため、風の気分(=運)次第。時には敵対しているプレイヤーに大量の胞子を送ってしまうことも……。

菌糸ネットワークを構成する親キノコ・子キノコの配置と移動、支配領域争い、さまざまな効果を持つ昆虫トークンの活用など、戦略的な要素も豊富。ゲームとしては激しい縄張り争いが発生するためインタラクション性が高く、ガンガンやり合いたいというプレイヤー向けかもしれません。

このゲームの目玉は、なんといっても69種類以上におよぶキノコのカードでしょう。もちろんすべて実在するキノコで、イラストも美麗。さながらキノコ図鑑といったところで、並んだカードを見ているだけでも楽しいので、キノコ好きな方にも強くオススメできるゲームです。

発売は2024年9月。ほぼ同時期にラベンスバーガー社から同名タイトルのゲームがリリースされていますが、そちらはタイル配置タイプではないのでご注意を。

マイセリア 概要】
メーカー:CMON JAPAN
プレイ人数:1~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:60分~


いかがだったでしょうか。タイル配置ゲームは決まった形のゲームボードがなく、流れ次第でフィールドが不定形に広がっていくため先の予想がつけにくいものがあります。

意図を持ったタイルの配置を必要としながらも、変わっていく状況に対しての柔軟な対応が求められるのですが、そのぶん読みが当たったときの達成感は大きなものがあるでしょう。

今回挙げたゲームはタイル配置ゲームのなかでもポピュラーであったり、比較的新しかったりするものなので、持っている仲間や置いてあるボードゲームカフェ・プレイスペースも多いかと思います。興味を持っていただけたのであれば、ぜひともプレイしてみてください。