舞台は地球全土! 世界地図のボードでプレイするゲーム8選

4月19日は地図の日でした。このタイミングで公開した「日本地図のボードでプレイするゲーム6選」に続き、今回は「世界地図」でまとめてみました。盤面に書かれた世界地図を使ってプレイするゲームを8つほどご紹介しましょう。

※五十音順に紹介しています。

e-ミッション

ボドゲにもSDG’sの波が到来!? 脱炭素社会への移行を目指す協力ゲーム

ドイツゲーム年間大賞2024エキスパート部門受賞作。EUやアメリカ、中国、第三世界(アフリカなど)といった列強や地域を率い、脱炭素社会への取り組みを進めていきます。社会派の協力型ゲームで、デザイナーは同じく協力ゲームとして有名な『パンデミック』で知られるマット・リーコック。ゲームボードは欧州を中心にとした世界地図が描かれ、アマゾンの森林やアフリカの砂漠、シベリアの永久凍土といった地域に根ざした保全の管理トラックが用意されています。

プレイヤーは手番に手札をプレイし、炭素排出量を減少させる技術の開発、クリーンエネルギーの増産、国際的なプロジェクトを推進するなどしてカーボンニュートラル社会を目指します。しかし、各勢力が排出する炭素量に応じて上昇する気温や、砂漠化や海洋の酸性化といった危機への対策が必要となり、さらにターン経過によって必要となるエネルギーの需要が増えていくため、ことはそう簡単には運びません。

社会的危機が進行すると全員が敗北となってしまうので、プレイヤー同士の協力と相談が重要となります。次々と襲い来るピンチを紙一重で切り抜けつつ、目標に向かってみんなで力を合わせる感覚は、協力ゲームの醍醐味。担当する勢力の組み合わせにより難度を調整することも可能で、1人用ルールも用意されています。

なお、本作はパッケージやトークン、インサートのトレイといったコンポーネントに、石油由来のインクやプラスチック製品を用いず、パルプや生分解性素材のみ使用。細かなところから環境面への配慮がなされています。

e-ミッション 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:1~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:60分~

エクスペディション 世界を巡る冒険

世界を駆ける探検隊! W・クラマーの名作をリメイク

世界地図のゲームボード上に置かれた3つの探検隊を動かし、カードで指示された目的地や遺跡を巡っていくゲーム。元版は1996年発売で、新版の日本語版が2023年にテンデイズゲームズからリリースされました。デザイナーは名匠ウォルフガング・クラマー(『ニムト』『ヒューゴ』『エル グランデ』他)。

3つの探検隊コマは、全員で共有。プレイヤーは開始時に目的地カードを受け取り、探検隊コマを目的地に到達させることができれば得点を得ます。手番では、探検隊の進路を示す矢印をひとつ盤面に配置するだけなのですが、条件次第で追加で矢印を置いたり、さまざまな効果を持つチケットを使用することで他人の矢印を取り除いたりするなどのコンボが発動します。これらを活かしつつ、いかに効率良く自分の目的地に近付けるか、そしてフレキシブルに対応できるルートを構築できるかがカギとなります。

探検隊コマは全プレイヤーが動かせるので、目的地の近くまで来ていた探検隊が別のプレイヤーによって遠ざけられてしまったり、あさっての方向に進められて迷走することも……。各プレイヤーの手番ごとに悲喜こもごもの展開となって、大いに盛り上がることでしょう。

エクスペディション 概要】
メーカー:テンデイズゲームズ
プレイ人数:2~6人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:30~45分

世界一周ゲーム(Weltreise)

国から国へ、街から街へ。目指せ世界一周!

ドイツ・ラベンスバーガー社のもっとも古いタイトルで、初版発売はなんと1930年。世界中を旅して回る、クラシカルなすごろくタイプの名作です。

開始時、各プレイヤーごとに目的地の都市名が書かれたカードを9枚引き、その都市をすべて回ってスタート地点に戻ることが目的です。プレイヤーは手番にダイスを振り、目的地の都市を目指してコマを進めます。全員共通の自由目的地もあり、ここに到達してもポイントを獲得できます。

また、特定の都市に一気に移動する航空券やアクションカードといった特殊効果を持つカードも用意されており、これらを獲得してうまく使うことでプレイを有利に進めることが可能。最短で回るルート構築を考えるゲーム要素と、アクションカードによる戦略性、ダイスロールの運要素のバランスが良く、簡単なルールながらも熱くなれるタイトルです。

プレイすることで世界各地の都市名と場所を覚えることもできるので、知育ゲームとしての要素もあります。

世界一周ゲーム 概要】
メーカー:カワダ
プレイ人数:2~6人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:30~60分

テラ~私たちの地球/ファウナ

世界の事象、動物の数値のあれこれを予想するクイズゲーム

“緑の人”フリードマン・フリーゼのクイズゲーム。『ファウナ』が2013年、その姉妹作となる『テラ』が2015年に発売されました。いずれも世界地図がボード上にあしらわれており、場所がクイズのアンサーとなる場合はこの地図を使って答えます。

『テラ』は世界中の様々な事象(「ゴールデン・ゲート・ブリッジの長さは?」「クレオパトラの王在位年数は?」など)、『ファウナ』は世界中の動物たちの大きさや生息地域といったデータについて、予想コマを世界マップ上や数値トラックに置いて示します。予想が合っているか、近ければ得点獲得。予想コマを複数置くこともできますが、たくさん置いて外れると減点となってしまいます。

どちらのタイトルも、「知っていそうで知らない」絶妙な問題が出されます。プレイするだけでいろいろな雑学を知ることができ、お子さんと一緒に遊んでも楽しいタイトルです。

ちなみに、以前『ファウナ』を紹介したとき、このゲームのボックスが緑ではないことをお伝えしましたが、『テラ』のボックスは青色。なぜこのシリーズだけ緑が使われていないのでしょうか(『テラ』に至っては、氏のゲームの題名のお約束である頭文字“F”も使われていません)。

テラ~私たちの地球 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~6人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:約45~60分

ファウナ 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~6人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:約45~60分

パンデミック:新たなる試練

世界を襲う感染拡大の危機に立ち向かえ! 協力ゲームのパイオニア

全世界を襲う未知のウイルスの感染拡大から人類を救うゲーム。2013年に発売されると、当時珍しかった協力型ゲームということもあって、爆発的な人気を博したタイトルです。デザイナーはマット・リーコック。『パンデミック:新たなる試練』は2013年に発売された新版です。ゲームボードには全世界が描かれており、5大陸すべてが舞台となります。

プレイヤーは各分野のエキスパートとなり、それぞれの特技を活かしつつ世界各地を飛び回ってウイルスを除去していきます。しかし、ウイルスは毎ターン新たに発生してくるため、なかなか撲滅することができません。ウイルス除去と並行してワクチン開発にも取り組み、4種のワクチンを作ることができれば人類の勝利となります。

毎ターン開始時にウイルス発生の処理を行うのですが、このとき局所的にウイルスが集中した地域ができると、エピデミック(感染爆発)となってさらにウイルスが追加発生してしまいます。何度もエピデミックが起きるとゲームオーバーになるため、ウイルスが大量発生している地域がある場合は優先的に処理しないと危険。的確な状況判断と行動が求められます。

難度はかなり高く、場合によってはエピデミックが連発してあっという間に人類敗北となってしまうことも。知恵をしぼり、力を合わせて困難に立ち向かう感覚は特有のもので、協力型ゲームというジャンルを確立したパイオニア的なタイトルでもあります。

拡張セットの『パンデミック:迫りくる危機』や、マップをアメリカにしぼった簡易版『パンデミック:ホットゾーン』、カードゲーム化した『パンデミックカードゲーム:接触感染』、ダイスゲームの『パンデミック:完全治療』、レガシー要素を追加した連続ストーリー仕立ての『パンデミック:レガシーシーズン1』など、関連作品も多数リリースされており、元版発売から10年以上が経過した現在でも人気が高いシリーズです。

パンデミック:新たなる試練 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:30~60分

ヒストリー・オブ・ザ・ワールド


※写真はホビージャパンのサイトより。

移り行く時代のなかで、あまたの国の栄枯盛衰を体験

全世界を舞台に、古代シュメール文明から近代に至るまでの悠久の人類文明史を追体験していく重量級ゲーム。元版は1991年に登場。日本語版は2018年にアークライトがリリース、2024年にホビージャパンから新版が発売されました。ゲームボードは欧州を中心に全世界が描かれています。

ゲームは5つの時代に分かれており、プレイヤーは各時代においてカードドラフトで割り振られた有力な文明や国家を受け持って繁栄に導きます。土地や建設した建物からゴールドを獲得、過去のフェイズで担当した国が存続している場合もゴールドを得ます。ゲーム終了時にもっとも多くゴールドを所有しているプレイヤーが勝利します。

その時点での順位によるドラフトによって各プレイヤーが担当勢力を選ぶため、プレイするたびに展開が変化。壮大な人類史の流れを追っていくロマン溢れるフレーバーは魅力十分です。

新版ではイベントカードの追加やコンポーネントの強化に加え、ダイスロールを排した新ルールやカードドラフトシステムの改訂などさまざまな変更が加えられており、プレイアビリティの向上がはかられています。

ヒストリー・オブ・ザ・ワールド 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~6人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:60分~

リスク(RISK)

大帝国を建国せよ! 列強を率いて世界征服を目指す原初のボードゲーム

ナポレオンが活躍した19世紀終盤の世界が舞台。プレイヤーは列強国を担当し、6つの大陸、42のエリアに分かれた世界地図のゲームボード上で領土を拡大して世界制覇を狙います。元版発売は1957年。古いゲームゆえ多くの版が存在しますが、現在最新の日本語版はハズブロジャパンから発売されています。

プレイヤーは自分の手番で兵力の増強や他の勢力の領土への攻撃、防衛のための部隊の展開を行います。支配する領地が多いほど増援で受け取る軍隊コマが増えます。また、ひとつの大陸を単独で占領していたり、領地を増やした際に獲得する“リスクカード”を使ったりしても軍隊コマを増強できます。

戦闘は自分の軍隊コマがある隣のエリアにいる他プレイヤーの軍隊コマ攻撃することで行い、ダイスを振って解決。互いにダイスを振って大きい目のダイスを比較し、より大きい目を出したほうが勝利で、お互いに負けた数の軍隊コマを除去していきます。

ダイスロールによる戦闘解決、エリア式のマップ、軍隊コマを用いた多人数プレイヤーによる勢力争いといったルールは戦乱の時代を再現する基本システムとして汎用性が高く、多くのボードゲーム、ウォーゲームに流用されました。『リスク』は数々のフォロワー作品を産み出したトラディッショナルなタイトルなのです。

リスク 概要】
メーカー:ハズブロジャパン
プレイ人数:2~6人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:60分~


いかがだったでしょうか。世界地図のボードを使うということで、ここで取り上げたタイトルは世界をまたにかけて旅行したり、世界の危機を救ったりと、すべて世界規模のテーマをゲームとしてプレイするものです。

その壮大さ、スケールの大きさにワクワクさせられるものばかり。ぜひとも遊んでみて、ダイナミックさを感じてほしいと思います。

最後に小ネタをひとつ。3月に発売された『フィンスパン』(アークライト)ですが、5枚の個人ボードを裏返して連結すると、世界地図になるのです! プレイに使用することはないのでゲーム内容には関係ありませんが、ちょっとしたオシャレな仕掛けということで、『フィンスパン』をプレイするときに確認してみてください。