これまでに50作を超えるゲームをリリースしてきた“OKAZU Brand”。デザイナーの林尚志氏は、この夏に大きな冠をいただくことになりました。氏の作品『ボムスカッド』の海外版である『ボムバスターズ』が、世界的なボードゲームのアワードであるドイツ年間ゲーム大賞2025を受賞したのです。
ドイツ年間ゲーム大賞2025発表! OKAZU brand林尚志氏の『ボムバスターズ』が日本人デザイナー初となる年間ゲーム大賞受賞の快挙を達成
同賞はこれまで何度か日本人デザイナーの作品がノミネートされていたのですが、受賞を果たした作品はありませんでした。日本人デザイナーの悲願ともいえる同賞に、ついにその名を刻むときが来たのです。すでに海外から高い評価を得ていた林氏ですが、いよいよ名実ともに世界的なボードゲームデザイナーのひとりとなりました。
今回は、林尚志氏のゲームブランド・OKAZU Brandが送り出してきた作品のなかから7作を選んでご紹介します。なお、BROADでは2023年に林氏にインタビューを行っており、そのデザイン哲学について大いに語ってもらっています。まだ未見の方は、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。
ドイツ年間ゲーム大賞受賞! 一躍林氏の代表作になった協力ゲーム
■ボムバスターズ

※写真はEngamesのサイトより引用
自分や他人の持つ数字タイルを同じ数字2個セットにして取り除いていく協力型のゲームです。
タイルの数字は他人からは見えず、直接数字や場所を教えるなどのコミュニケーションは禁止。しかし数字タイルは昇順に並べられ、さらにアイテムを使うなどしてヒントを出すこともできるため、ある程度の推測が可能となっています。
引くと失敗となる爆弾タイルを避けながら、すべての数字タイルを取り除くことができればステージクリアー。プレイヤー間の意思の疎通と論理的な思考、そしてヒラメキが求められます。他プレイヤーの出したメッセージの意図をうまく汲み上げることができたり、直感がズバッとはまったときの快感はなかなかのもの。
ゲームはシナリオとレガシー要素が導入されており、さまざまなミッションを順番にクリアーしていくことで新たな要素が追加されていきます。ミッションの総数は50。徐々に難しくなっていくミッションに加え、次々と追加されていく要素によってプレイヤーを飽きさせません。協力型のゲームや論理パズルが好きな人にぜひともプレイしてもらいたい一作です。
2020年に発売されたOKAZU brandの『ボムスカッド』を改訂して海外版としたタイトルで、逆輸入の日本語版がEngamesより発売されました。ゲームの基本システムは変わりませんが、フレーバーの追加によって、よりキャッチ―なゲームに進化し、ドイツ年間ゲーム大賞2025受賞という大きな冠を林氏にもたらしています。
『ボムバスターズ』
⚙協力系
ドイツ年間ゲーム大賞日本人初の快挙で話題の作品。プレイヤーは不完全な情報から推理・協力し、爆弾解除に立ち向かう。ミッションの難易度は次第に高まるものの、今回はこう来たか!と毎度ワイワイ盛り上がり最高。これは固定メンバーで全クリしたくなりますね。 pic.twitter.com/0pp70RmLdb— た#む (@tamu_boardgame) August 17, 2025
【ボムバスターズ 概要】
メーカー:Engames
プレイ人数:2~5人
対象年齢:12歳~
プレイ時間:~30分
OKAZU Brand林尚志の名を世に知らしめた傑作ワーカープレイスメント
■横濱紳商伝

同人ゲームの初版が登場した際に、本格的な重量級ゲームとしてゲーマーに大きな衝撃を与えた一作。海外からの評価も高く、林尚志の名を世界に知らしめた氏の代表作のひとつです。
舞台は日本、文明開化の明治時代。プレイヤーは商人となり、横濱の街を移動しながら商品の売買を通じて資産を増やしていきます。
ワーカーコマをゲームボード上に派遣してアクションを行う“ワーカープレイスメント”タイプのゲームですが、ワーカーの配置と移動について特徴的なルールがあり、制限があるため自由にアクションを行っていけるわけではありません。どのマスにワーカーを動かすか、どんな移動経路を通るか、そしてどの順でアクションを打っていくかの判断が重要となってきます。
ゲームボードはタイル配置による可変式のモジュラー式となっており、プレイするたびに状況が変化。多彩な得点手段のなかから臨機応変な選択をしていくことが求められ、重量級ながらも高いリプレイ性を持ちます。
初版がOKAZU Brandよりリリースされたのが2016年、アークライトより商業作品版が出たのが2018年。さらに2021年にOKAZU Brandより改訂版が発売されました。また、2人対戦型の『横濱紳商伝デュエル』、紙ペンゲーム化した『横濱紳商伝ロール&ライト』などの派生作も登場しています。
#ボードゲーム 『横濱紳商伝』明治時代の横濱で紳士な商人になり切る……はずが。今回は行きたい所に他の社長さんが居座っていて(一場所一社長がルール)、やりたいことをほぼやらせてもらえず。舶来品一気に3個税関に納めて16点までは私は偉かったはず。ぶっちぎりドベの81点。😮💨くそー(※非紳士) pic.twitter.com/QN91DdnO1C
— 霞 (@Titus_Neighbors) November 30, 2024
【横濱紳商伝 概要】
メーカー:アークライト(※改訂版はOKAZU Brand)
プレイ人数:2~4人
対象年齢:12歳~
プレイ時間:60分~
OKAZU Brandの定番、鉄道テーマのタイトル
■レイルウェイブーム

林氏が個人的に好きなテーマと語っていたのが、歴史と鉄道でした。特に鉄道にまつわる作品は、OKAZU Brandからいくつもリリースされています。
そのなかの一作が、2022年発売の『レイルウェイブーム』。日本の鉄道黎明期、プレイヤーは日本の大富豪のひとりとなり、鉄道会社を運営します。競りをしてお金、資材、科学、石炭の4つのリソースを得たり、路線を拡げたりして、会社を拡大、収益を増やしていくのです。
要素が多くルールもやや複雑ですが、絶妙にまとめられており、プレイタイムが2~3時間かかる重量級タイトルとしてはプレイ感が軽め。遊んだあとに「これをやっておけば良かった」「こうしたほうが良かった」と思い返すことが多く、すぐにまたやりたくなるゲームです。
同作は2023年5月のゲームマーケット春にてシモーネ・ルチアーニ氏(『グランドオーストリアホテル』『バラージ』など)のデヴェロップによる新版制作がアナウンスされており、こちらはアークライトから発売予定。発表より2年を経ていますが、アークライトゲームズのXでも今年8月にその進行が触れられており、遠からず動きがあるのではないかと思われます。
今日はゲーム会。重量級 行ける4人だけなのでOKAZU brandさんの「レイルウェイブーム」をプレイ。悩ましくて面白いね!
そして みんな地元を取りがち🤔
関西人なので伸び伸びプレイできるハズなのに、持ち主なのに、べべタコでしたwまだ在庫あるらしいのでゲムマ秋でも買えるかも👍
遊んでみてね🙌 pic.twitter.com/jLn9EXz2jM— うるおいちゃん (@uruoi_chan) November 23, 2023
【レイルウェイブーム 概要】
メーカー:OKAZU Brand
プレイ人数:2~5人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:60分~
■メトロックス

専用シートに書き込んで路線を敷き、地下鉄ネットワークを作り上げる紙ペンゲーム。カードを使うフリップ&ライトタイプで、最大6人までプレイ可能(ただし、シートがあれば何人でも遊べます)。
プレイヤーはカードの指示に従い、全員同時にシートの路線の駅に丸を書き入れて路線図を作成。路線ごとに丸を書き入れることができる回数は限られているため、どの路線を優先するか、どこを空白にするかの判断に迷うところです。
同じ指示カードの内容を反映しながらも、プレイヤーごとに違った路線図が出来上がっていくのが面白い! 手軽で1プレイにかかる時間も短く、何度でも遊びたくなるゲームです。
基本セットには東京と大阪のマップシートが同梱されており、さらに『メトロックス追加マップ集』『メトロックス追加マップ集2』のふたつの拡張セットが発売されています。
「メトロックス」を初プレイ。これ、こんなに面白いのかよ!遊んだ事ある人はもっとアピールしてくれないと。東京メトロをテーマにしてるから思入れがあるのも理由だろうけど、実在してるテーマってのが愉快。紙ペンゲームとして相当優れてますね。これはホントよく出来てる! pic.twitter.com/yLTaXKPBtf
— 阿曽山大噴火 (@asozan_daifunka) June 30, 2018
【メトロックス 概要】
メーカー:OKAZU Brand
プレイ人数:1~6人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:~30分
メカニクスの妙! OKAZU Brandの良さが詰まったカードゲーム
■イグゾースト

※写真はOKAZU Brandのサイトより引用
生き残りを賭けて戦う“短期決戦型魔法耐久カードゲーム”。プレイヤーは4属性の手札をやりくりしつつ場に出していき、手札がなくなったり、出すことができなくなったプレイヤーが脱落して敗者となります。
場にはプレイ人数に応じたコンボカードが配置されており、プレイヤーはそれぞれのコンボカードに書かれた役の条件に合う手札を出していきます(この条件は4カード、ストレート、フラッシュなどトランプゲームのポーカーの役に近いです)。すでに誰かの手札が出ている場合は、その手札より強いカードでないと出すことができません。
コンボカードには、それぞれの役ごとに手札を出した際に発動する特殊効果が設定されています。手札を補充したり、パスが可能になるカードを獲得したりなどのさまざまな効果があるため、手札を出したあとのことも考えつつプレイする必要があります。
林氏いわく「力尽きるのできるだけを遅らせて他のプレイヤーの脱落を狙うタイプの“洗面器ゲーム”」とのこと。シンプルながらも奥深く、ヒリヒリとした我慢の勝負が味わえるスリリングなカードゲームです。ソロプレイルールもあるため、ひとりでも楽しめます。
イグゾースト
OKAZU brand春ゲムマの新作
リゴレで試供品を遊ばせてもらった!
脱落しないようにルールに沿って手札を出していく
ただそれだけなんだけどめちゃくちゃおもしろい
駆け引きやハンドマネジメントの面白さが詰まってる
値段も安いしめっちゃおすすめ
マストバイですわ pic.twitter.com/PPxQgFYBGZ— ウサギク (@usagiku49) March 26, 2022
【イグゾースト 概要】
メーカー:OKAZU Brand
プレイ人数:1~5人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:~30分
■カピ原

※写真はOKAZU Brandのサイトより引用
一列に並んだカピバラの頭の上を飛び跳ねる子ザルを行ったり来たりさせて、新たなカピバラを追加したり、得点となる“かぼちゃカード”を獲得していくカードゲーム。
子ザルが前進すると、その歩数と同じだけカピバラのカードを子ザルより後ろの列のどこか1カ所に割り込ませて追加。子ザルが列の先頭にいる場合や、進む歩数が確保できない場合は後退させます。場に出ているかぼちゃカードには入手条件が記載されており、子ザルが通過したカピバラのカードに書かれたアルファベット(A~Eの5種)と枚数が、かぼちゃカードの条件(例、A4枚B2枚など)を満たすようなら、そのかぼちゃカードを獲得できます。
特徴的なルールは、列に入れたカピバラのカードは前後に動かすことや、取り除くことができないということ。場に出たかぼちゃカードの条件を見て、うまく獲得できるようにカピバラの隊列を組んでいかなければならないのです。
かわいいカピバラたちが一列に並ぶ様子はとてもユーモラスで、見た目も楽しいゲームです。OKAZU Brandは他にも『ひつ陣』『モル盛』といった動物をテーマにしたゲームを数多くリリースしてきていますが、これは林氏がノンテーマでルールだけ作ったゲームに、アートワークを担当するryo@にゃも氏がフレーバーを追加したもの。ryo@にゃも氏のセンスが光る動物テーマのゲームたちは、『横濱紳商伝』や『レイルウェイブーム』といった本格派タイトルと共にOKAZU Brandを支える柱となっているのです。
OKAZU brandさんの秋ゲムマ新作「カピ原」を遊ばせてもらった!
「ひつ陣」「やぎ山」に続く小箱ゲーム。
猿を歩かせてカピバラの列を作りつつ、猿を走らせて目標を達成していくんだけど、戻れるのは3マス(のちに4マス)までという押し引きの悩ましさ…!
今回のもやはりいいゲーム、マストバイだな。 https://t.co/pBLjtEckWF pic.twitter.com/1gfKWgHBbh— 兄者@倒さないドミノで遊びたい (@amax2neueziel) October 30, 2021
【カピ原 概要】
メーカー:OKAZU Brand
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:30分
OKAZU Brand最新作! ミッションクリア式の対戦型カードゲーム
■エクストリームミッション

※写真はOKAZU Brandのサイトより引用
ゲームマーケット2025春でリリースされた、2025年8月時点でのOKAZU Brand最新作。プレイヤーはエージェントとなり、強力な能力を持つ協力者の力を借りて実現不可能と思われる難度の高いミッションのクリアを目指す対戦型カードゲームです。
プレイヤーは、指示通りの色や数字の組み合わせを手札から出し、4段階あるミッションのクリアを狙います。ただし、ミッションのなかには「1から9までの数字がすべて同じ色でなければならない」「すべての色が同じでなければならない」といったように、非常に難しいものも含まれています。
ですがご安心を。一見無理に思えるクリア条件でも、各プレイヤーごとに5枚の協力者の能力(オールマイティカード)を使うことによって無理やりにでも達成してしまうことが可能なのです。ただし、協力者を再使用するためにはコストとしてカードを支払わなければなりません。さらに勝利のためには4つのミッションのクリアに加えてすべての協力者カードを再使用可能な状態にする必要があり、的確なハンドマネジメントが求められます。
シンプルで分かりやすいルールながらも芯を喰った面白さを持つ、OKAZU Brandらしさを感じるタイトルです。
エクストリームミッション
OKAZU brand( @OKAZU_900jaku )さんのゲムマ春新作その2!
手札からカードを出して、4つのミッションクリアを目指す。
連番とか、ペアとかそういう感じのものだけど、とにかく難しいので、お助けキャラをうまく使おう!という感じ。ミッションの無茶な加減が好き。 pic.twitter.com/azwKkxQ7Rr— やざわ@HOYGAMES (@Punks_YZW) April 23, 2025
【エクストリームミッション 概要】
メーカー:OKAZU Brand
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:~30分
林氏のデザインするゲームはシンプルなものから重量級に至るまでメカニクスを同じにするものがなく、その多様性と豊富なアイデア、ひねりの利いたデザインには感嘆するばかり。
OKAZU Brandは毎回のゲームマーケットで新作をリリースしており、今後も違ったメカニクスのゲームが続々と登場してくるでしょう。さらにOKAZU Brandから発売されるタイトルではありませんが、林氏デザインの本格派ゲーム最新作として、ハーベストバレーより販売される予定の『鄭和宝船』や、アークライトから出る新版『レイルウェイブーム』も控えています。
勝ち得た栄誉にとどまることなく、さらにその先を目指し、林氏が世に送り出すゲームは我々を驚かせ続けてくれることでしょう。かねてから林氏のゲームをプレイしていた方も、『ボムバスターズ』でその名を知った人も、ぜひとも今後のOKAZU Brandのゲームに注目してもらいたいと思います。



