多作で知られ、シンプルながらもジレンマの詰まった作品をデザインしてきたドイツのボードゲームデザイナー、ライナー・クニツィア氏。BROADでは、これまで“入門編”と“初級編”の2度に渡り、氏のゲームを紹介してきました。
■名作連発! 『ペンギンパーティ』や『ヘックメック』など、ジレンマが詰まったライナー・クニツィアのゲーム入門編 おすすめ5選
■何度も遊びたくなる! 『バトルライン』や『ロイヤルターフ』などライナー・クニツィアのボードゲーム初級編 おすすめ6選
今回は、プレイ時間30分以上のしっかりとしたプレイ感が味わえる本格派から6作をピックアップ。クニツィア氏のゲームとしては重めとなる作品群ですが、ドイツ年間ゲーム大賞やドイツゲーム大賞を受賞したものもあり、その真価が発揮されたタイトルたちでもあるのです。
まだ見ぬ黄金郷を目指せ! デッキ構築とレース要素を融合
エルドラドを探して

デッキ構築の要素を加えたレースゲーム。プレイヤーは自分の探検隊を率い、ゴール地点となる黄金都市エルドラドを目指してマップを踏破します。
プレイヤーは手番に手札のカードをプレイし、探検隊コマを進めていきます。手札は全員が同じ組み合わせのデッキでスタートしますが、ゲーム中にカードの購入を行うことで強化していくことが可能。効果が低いカードを廃棄し、強いカードと入れ替えていけるかが重要です。また、他プレイヤーの探検隊コマと同じマスに入ることができないため、ルートの選択と先行も勝敗のカギを握ります。
手に汗握るレースだけでなく、手札を強化するデッキ構築の要素を約45分程度のプレイ時間で楽しめる欲張りな一作。2026年3月には単独でプレイできる独立拡張『エルドラドを探して 新版 黄金の神殿』のリリースが予定されています。
今日は家族でボードゲーム。
子どもが大好きなゲームで、何度も遊んでいます。再販されて喜んでいました。
スタートから妻が猛スピードで進んで行き、最後まで追いつく事ができませんでした🏃♀️💨大きく差がついてしまうと、追い越すのが難しいゲームですね💦『エルドラドを探して』 pic.twitter.com/VXLziTNuhu
— じゃむ (@jam_throw_dice) November 9, 2025
【エルドラドを探して 概要】
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:約45分
クニツィア氏の真骨頂! 名作競りゲームを低価格で楽しめる
モダンアート

画商たちによる絵画のオークションを描いた競りゲームで、クニツィア氏の代表作として名が挙がることも多い傑作。初版発売は1992年で、1993年にドイツゲーム大賞を受賞しています。
取引されるのは5人のアーティストたちの絵画。それぞれの画家の作品の価値はラウンドごとに変動するため、最終的にどれだけの儲けが出るか、正しい予想をしていかなくてはいけません。
手番プレイヤーは、手札の絵画カードの中から1枚を選んで出します。これを全プレイヤー参加のオークションで競りにかけます。オークションには全員が好きなタイミングで金額を言い合う「公開競り」や、コインを握って同時に明かす「入札」など5種の形式があり、絵画カードに指定されている形式で行われます。同一の画家の絵画が5枚出品されるとラウンド終了。集めた絵画はこのとき売却されて換金されるのですが、その金額はラウンド内で出品された枚数が多いほど高くなります。
手番で出す絵画カードの種類とオークション形式の選択によって、作品の価値や場の空気をコントロールしつつ、いかに安く絵を獲得するか、高く買わせるか、そしていつラウンドを終わらせるかの駆け引きが展開。競りゲームの醍醐味を存分に味わえるタイトルです。フルサイズのボリュームを持つ本格派ながら、ニューゲームズオーダーから発売された2025年版は、税込価格2,200円と格安。まだ触れていない人はぜひプレイしてみてほしいタイトルです。
②『モダンアート』(1992)
3-5人 同時競り/一巡競り/一斉入札/値付け—明日の傑作か?
—ゴミ屑同然のポスターか?無名アーティストの絵画を買い付け高値で売り抜ける、多様なオークション方式が魅力のクニツィア初期の競りゲームは皮肉の効いたユーモラスな作品だ#クニツィア競りゲームシリーズ pic.twitter.com/uuzIxxIxic
— しろくまどっとこむ (@daddy_cool33) August 24, 2025
【モダンアート 概要】
メーカー:ニューゲームズオーダー
プレイ人数:2~5人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:約45~60分
ラー

※写真は旧版のもの
プレイヤーは太陽神ラーを信仰する古代エジプトの部族長となり、一族の繁栄を目指します。
手番では、場にあるタイルを補充するか、それを獲得するためのオークションを開催するかを選択します。ゲームは3ラウンドで行われ、それぞれのラウンドで獲得したタイルの組み合わせによって得点を獲得していくセットコレクションです。
競りの方法がこのゲームのキモと言える部分で、プレイヤーはお金の代わりとなる手持ちの“太陽駒”で入札を行い、駒に書かれた数値がもっとも高かったプレイヤーが場に並ぶすべてのタイルを競り落とします。使用した太陽駒は、ボード上に1つある余った太陽駒と入れ替えになります。太陽コマは次のラウンド以降の競りに使うため、場にある太陽コマの数字も入札の判断基準になります。
複数の要素が絡む優れたメカニクスを満喫できる、ユーロゲームのお手本ともいえる名作。このゲームもニューゲームズオーダーから2025年に最新版が税込価格2,200円で発売されています。
新版が出たので早速買ったラー5人。太陽チップが紙になって…。でもこの値段は嬉しいし、プレイは変わらず最高。クニツィア先生の競り3大ゲームの中では一番好きかも。いや、どれもプレイ感が違って面白いよ。#ボードゲーム pic.twitter.com/OZTi5bDflB
— 鈴木 衛 (@suzukimmr) October 5, 2025
【ラー 概要】
メーカー:ニューゲームズオーダー
プレイ人数:2~5人
対象年齢:12歳~
プレイ時間:約60分
短いプレイ時間でしっかりとした手応えが得られる貿易ゲーム
交易王

大航海時代の商人となり、6種類の交易品を売買しながらお金を稼いでいく貿易のゲーム。
プレイヤーは手番で手持ちの交易品を交換したり、カードを出して交易品の価格を変動させて決算を行ったり、手札を補充したりします。決算の際は、自分の交易品だけでなく、他のプレイヤーの同じ色の交易品も売却されて各プレイヤーに収入があるため、市場価格のコントロールと売り時の見極めが重要になってきます。
特殊な効果を持つカードを購入したり、追加の船を買って取り扱える交易品の数を増やしていくことも大事。ただし、終了時の手持ちのお金がそのまま勝利ポイントになるので、お金を使いすぎても良くありません。
コンパクトな小箱にまとめられたコンポーネントのゲームでプレイ時間も30分程度ですが、しっかりとしたプレイ感が味わえるタイトルです。
交易王👑
久々に交易王☺️交易船を5隻まで増やせて大船団で海原を駆け巡り荒稼ぎしてきましたw
シンプルながら面白い。クニチィアジレンマは最高に面白い‼️#夫婦ボドゲ pic.twitter.com/wqkMqgivY8— まぁやん (@maayan_8087) February 9, 2026
【交易王 概要】
メーカー:ニューゲームズオーダー
プレイ人数:2~4人
対象年齢:12歳~
プレイ時間:約30分
シンプルなルールに詰まったクニツィア・ジレンマの極致!
ケルト

2008年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作。ボード上の5つのルートのそれぞれに、自分のコマを進めて得点を獲得していく異色のすごろく風ゲーム。
プレイヤーは、手番に手札を1枚出し、カードの色に対応したコースで自分のコマを1マス進めます。ただし、カードを出す際は、これまでに出した同じ色のカードに書かれた数字が昇順、もしくは降順になっていなければいけません。例えば先に「1」「4」のカードを出していた色のコースでは、次に出すのはこの色の「5」以上の数字のカードである必要があります。このため、計画性を持ってコマを進めていかないと手詰まりになってしまう恐れがあるのです。
さらに、進んだマスの数が少ないコースは終了時にマイナス点を被ってしまうため、闇雲にコマを進めればいいというわけでもないのが頭が痛いところ。クニツィア氏のゲームらしい、シンプルながらもジレンマたっぷりのデザインが痺れる一作です。
ケルト2回遊びました!放射状に伸びる5本の線をバランスよく進めて、集めると得点になる石や、もうひとマス進めれる四葉を通り得点を上げていく。微妙に手を出すとマイナスになるので注意。
簡単なのに悩ましくクニツィア氏天才かてなる。石は本来のタイルの上に天然石を置いて気分を上げてみました🙌 pic.twitter.com/ZObcPvvmWc— うお (@uo_boardgame) August 21, 2022
【ケルト 概要】
メーカー:メビウスゲームズ
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:約30~60分
チグリス・ユーフラテス

※写真は旧版のもの。
古代メソポタミア文明における勢力争いを描いたエリアマジョリティ。1998年にドイツゲーム大賞を受賞しています。
プレイヤーはボード上に手持ちの文明タイルや指導者のコマを配置し、自らの勢力を拡大していきます。このとき、同じ種類のタイルを隣合わせで置くと得点を獲得できます。また、他プレイヤーの勢力と隣接した際は戦争が発生! 勝利することができれば、相手の指導者を除去したうえで得点を獲得します。
プレイ時間は最大120分とクニツィア氏のゲームのなかではもっとも重いクラスに属していますが、終わった後に「ああすれば良かった」「次はこうやりたい」と再プレイの意欲が湧き上がってくるタイトルです。
日本語版は2015年にホビージャパンから発売されていますが、現在では入手難。ただし海外で2026年にリニューアル版がリリースされる予定のため、輸入や日本語版新版の発売も期待されるところです。
チグリスユーフラテス
クニツィアの戦争ゲー
四つの種族の得点を平均的に獲得していかなければならないが、タイル引きの運もあり敵から自分だけではなんとかする事は難しい。
必然的に他人から掠め取ろうとするムーブに設計されている一手で盤面が激しく変わる局面があり悩ましい
地味だけど面白い pic.twitter.com/YjcoqUGYNe— Klrie (@kre_pt) June 26, 2023
【チグリス・ユーフラテス 概要】
メーカー:ホビージャパン(※2015年発売版)
プレイ人数:2~4人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:60~120分
今回紹介したゲームは、プレイ時間が長い本格派タイトルであっても、氏のデザインの特徴である“シンプルなルール”と“複数の選択肢があるジレンマ”は貫かれています。いずれも、ボードゲームの面白さと奥深さが詰まった、どれも自信を持ってオススメできるゲームたちなのです。
ボードゲームカフェやプレイスペースに置いてあるものもたくさんあるので、見かけたらぜひプレイしてほしいと思います。


