地球という惑星の「成長」「拡大」「供給」を扱うという壮大なテーマのゲームが、リゴレよりゲームマーケット2023春先行発売予定の『アース』です。
ゲーム概要
ゲーム開始時点で「動物相」や「生態系」といったカードが公開され、各自の手元に「どんな環境を作り上げれば得点になるのか」が提示されます。
ここで明らかになった目的を気にしつつ、手札として配られる「植物」や「地形」といったカードを手元に配置していきます。だれかの手元に16枚のカードが配置されるとゲームが終了に向かいます。
「動物相」や「生態系」のカードに指定されている条件を、プレイ中やゲーム終了時に満たしていれば得点が得られますし、手元に配置した「植物」や「地形」カードからも得点が得られます。
こうした様々な場所から獲得した得点を合計し、最も合計点が多い人が勝利の栄光を勝ち取ります。
ゲームの特徴
『アース』の特徴を端的に言うと「プレイする時の気持ちよさ」に尽きます。これには2つの仕掛けがあります。
1つは、休みの無いアクションです。”フォロー”というメカニズムにより、「手番プレイヤーがアクションを行うと、それの廉価版が他プレイヤーも全員行える」という仕掛けによって、ダウンタイムがありません。
『アース』のアクションは、「手札のカードを出すー植え付け(緑)」「土壌を受け取るー堆肥化(赤)」「配置済み植物カードの上に新芽を置くー水やり(青)」「カードを手札に補充するー成長(黄)」の4種類しかありません(各アクションにもう少し細かな要素はあります)。
誰かがカードを出すと選択してくれれば、自分も出せます。誰かがカードを補充すると決めてくれれば、自分もカードを補充できるのです。壮大なテーマを扱うゲームですが、何をすればよいかを4つのアクションからであれば選択しやすく、プレイテンポがよいうえに、誰の手番であっても自分の環境も常に良くなっていくのです。
では、アクションの選択肢が少ないのでゲームが単調になるかというと、そうではありません。各自が手元に配置したカードには「緑・赤・青・黄」といった色が描かれており、その色の部分には特殊効果が併記されています。
前述した4つのアクションに色が書いて有った通り「手札のカードを出すー植え付け(緑)」のアクションが実行されたら「全プレイヤーの手元に出している緑の特殊効果が全て発動」するのです。
ゲーム序盤の1枚、2枚といったカードが出ている状態から、出しているカードが増えてゆくにつれてジェットコースターのごとく実行できる効果が増え、「同じアクションが選択されたとしても、各プレイヤーは結局違うことをしている」という演出がされています。
しかも手元のカードは自分が選択して徐々に増やしていくものですから、その効果も覚えやすく、かつゲームを通じて何度も発動するので、上手くいってるときの気持ちよさを演出してくれます(大部分のカード効果はアイコンで表示され、テキストがあるものは希です)。
もう1つは、カードを出す条件が非常に緩いということです。手元にカードを出してゆくには、「土壌」という資源を支払う必用があります。各カードに記載されている個数分だけ土壌を支払うのですが、これだけしか条件がありません。
Aという種類のカードが3枚以上出してないといけないとか、最上段でないとプレイできないとか、そういう難しいものは出てきません。とにかく土壌さえあればいいのです。
4種類のアクションの1つに「土壌を受け取る」がありますから、これを選択すれば間違いなくプレイしたいカードを出せる条件に近付くのです。
写真などでこのゲームを見ると、大量のユニークカードが配置され非常に複雑そうに見えますが、誰がアクションを選択しても劣化版のアクションが自分もできるし、選択したアクション色の特殊効果は劣化することもなく、全プレイヤーが自分が出している対象色の効果を得られます。
ゲームの進行に従って実行できる特殊効果が増え、急激に貰える土壌増加し、どんどんカードを手元に出せるようになります。
すると、いつのまにか手元には大量の間にカードが配置され、その上に新芽が伸び、場合によっては植物が生長したトークンをが置かれゲーム終了となる、非常にプレイ感の良いゲームになっています。
まとめ
ボードゲーマーにとっては、この手のエンジンビルドゲームでアクションが絞られ、カードをプレイする条件が緩和されればサクサクプレイできると思いますが、そうで無い方向けのモードもキチンと用意されています。
「動物相」は、プレイ中にカードが指定している条件を早く達成するほど高得点を得られるのですが、初心者モードではいつ達成しても同じ得点が得られるようになっています。
また4人でプレイするチーム戦も準備されています。二人VS二人のチーム戦ですが、味方同士ではカードや新芽・土壌などを共有することができます。
ゲームに慣れている方と不慣れな方やこのゲームを始めてプレイする方とでチームを組めば、このゲームを理解するのに助けになるでしょうとルールにも記載されていて、隙ががありません。
壮大なテーマのエンジンビルドでありながら、細かい部分までプレイヤーの負荷を減らして楽しまそうというデザイナーの意気込みが感じられる作品です。
ご紹介しました内容は映像でも説明していますのでご興味ありましたら、そちらもぜひご覧ください。
■アース
日本語版発売元:リゴレ
デザイナー:マキシム タルディフ
発売日:2023年5月26日発売予定(ゲームマーケット2023春先行発売予定)
価格:7480円[税込]
プレイ人数:1~5人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:45~90分