【ボードゲームをデザインした巨匠たち】シド・サクソン

ボードゲームのルールやシステムを考えてボードゲームを作る人がいます。職業としてはゲームデザイナーと呼ばれる人たちです。古今東西いろんなゲームデザイナーが存在します。一体どんな人なのか、どんな経歴なのか、どんなゲームを作ったのか…。

という事で、著名なゲームデザイナーに注目してどんな人なのかを紹介する「ボードゲームをデザインした巨匠たち」シリーズのスタートです。記念すべき第1回目はシド・サクソンです。

 

シド・サクソンの経歴

1920年2月4日アメリカ・シカゴ生まれ。1943年から建築の仕事を始め、世界貿易センタービルのデザインなどにも関わったこともあるそうです。

ボードゲームデザイナーとしては1946年に「ポーク」というトランプを使ったポーカーのようなゲームのルールが雑誌に掲載されたのがはじまり。名を知らしめたのは1962年の「アクワイア」になります。ホテルの吸収合併を繰り返して株で儲ける経済ゲームの不朽の名作ですが、なんとご自身が8歳の時に作った戦争ゲームが元になっているそうです。8歳でボードゲームを作ってたとは。しかもウォーゲームって!

1981年には「フォーカス」でドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)を受賞しています。ちなみに、長い間親しまれていたのか1963年に発売されたボードゲームなのに1981年に選ばれているというのも凄い話です。

100タイトル以上ものボードゲームを作り、「シド・サクソンのゲーム大全」というルール集の書籍などを残し、シド・サクソンは2002年にこの世を去りました。

ゲームを作るだけでなくゲームのコレクターとしても有名で、なんと1万8000個のボードゲームを集めたとか。晩年には治療費を捻出する為にボードゲームをオークションに出す事になりましたが、その前に亡くなりコレクションのうち2000個の珍しいゲームがオークションとして放出されました。

 

シド・サクソンのゲーム

アクワイア

◼️3〜6人

◼️90分

◼️12歳〜

◼️1962年作

ホテルチェーンの投資と合併をテーマにした経済ゲーム。ルール自体はそんなに難しくはないんだけど、いつ合併させるか、どのタイミングで株券を売るかなど戦略的にゲームを展開していく必要があります。ただし、ホテルを建設するためのタイルは運任せなので、戦略と運のバランスが絶妙なのです。アクワイアを遊ばずにボードゲームを語るなと言いたくなるほどの傑作。一度は是非!

ちなみにいろんなバージョンが存在していて上の写真はアバロンヒル版です。

 

キャントストップ

◼️2〜4人

◼️30分

◼️9歳〜

◼️1980年作

11本あるコースのうち3コースでゴールに到達するのが目的のすごろくゲーム。サイコロを4個振って、2個ずつに分けたら合計数のコースでコマを1つ進めるというのがゲームの進め方。複数のサイコロを振った後に何個かに分けるゲームって沢山あるけど、もしかしたらこのゲームが最初なんじゃないかなぁ。古いゲームだけど今も色褪せないダイスゲームの代表作。

ボードに山の絵が描かれて登山を想起させるバージョンなどいろんなバージョンが存在します。

 

アイム・ザ・ボス

◼️3〜6人

◼️60分

◼️12歳〜

◼️1994年作

商談を取り付けてお金を稼ぐリアルタイムビジネスゲーム。商談が始まると全員が好きなタイミングで発言をして交渉し、強力なカードを自由に使う事になります。相手の商談を横取りしたり、変なカードで邪魔されないように気をつけたり、どんちゃん騒ぎのパーティーゲームです。カードの効果がホント強烈で、みんなが揉めたり盛り上がるように作られてるんだろうなと感じます。このゲームしか知らなかったらシド・サクソンって性格悪い人ってイメージになりそう。

 

フォーカス

◼️2〜4人

◼️45分

◼️8歳〜

◼️1963年

運の要素が無いアブストラクトゲームで、交互にコマを動かして他人のコマを見えなくするのが目的のボードゲーム。コマは重ねられるようになっていて、例えばコマが3個重なっていれば3マス動けるというのがこのゲームの最大の特徴。ルールはシンプルなのに物凄く頭を悩ませる頭脳ゲームの傑作です。

1981年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作。

 

他にも「スルース」「メトロポリス」「マロニーの遺産」など有名な作品は多々あります。その後のゲームデザイナーに多大な影響を与えたと言われていて、現代ボードゲームデザインの父なんて呼ばれ方をしています。ボードゲームがヨーロッパで発展したけど、そんなユーロゲームの先駆者がアメリカ人だったというのは面白い話ですね。