サイコロ堂vsコロコロ堂 沖縄対決までの長い長いみちのり

東京の湯島に「コロコロ堂」というボードゲームカフェがあります。そして沖縄の那覇に「サイコロ堂」というボードゲームカフェがあります。

場所は遠く離れているけど、名前が似てるのでどっちがどっちか混乱しちゃいますよね。どうやらこの2店は仲が悪いようで随分前からバチバチなんですよ。先に営業をしていたサイコロ堂の店長が沖縄から東京にやって来て、コロコロ堂に乗り込んで「ハゲタカのえじき」で闘いを挑んだのが2015年。

結果はサイコロ堂のボロ負け。沖縄からわざわざやって来てのボロ負け。名前が似てるくらいの事で争わなくてもいいじゃないかと日本中のボードゲーマーが心配そうに見ていたのが2015年の冬でした…。

 

 

それから1年後の2016年冬。再びサイコロ堂の店長が東京にやって来たのです。

東京に来たのは仲直りではなく、改めて闘いを挑む為の上京。これは雪辱戦なのです。サイコロ堂としても負けられない戦いがそこにあるのです!

沖縄土産の「サイズ」を生け贄に、サイコロ堂vsコロコロ堂の再戦です!「ハゲタカのえじき」の次に選ばれた第2戦目の競技は……

 

沖縄のボードゲームカフェと東京のボードゲームカフェの争いに石川県の伝統ゲーム「ごいた」が選ばれるとは。距離的にも石川は中間という事でフェアだと言いたいのか、兼六園と並んで我々こそが日本三大ボードゲームカフェなのだと声高に叫びたい気持ちがそうさせたのか本心は分かりませんが。果たして、再戦の結果や如何に…。

またもやサイコロ堂の負け。何やってんだサイコロ堂!2年連続で負けるとかしっかりしてくれよ!気がつくと思わずサイコロ堂の応援をしてしまう自分がいます。だってゲーム弱過ぎるでしょう。ちょっとは爪痕残して欲しいよなぁ。

 

 

 

そして1年後…。2017年の秋、男はまた懲りること無く上京したのです。

負けても負けても諦めない勝つことへの執念。一度食らいついたら離す事のないハブのような噛みつきっぷり。戦い続けた先に一体何が待っていると言うのか。戦わぬ者に何が分かる。行け、行くのだサイコロ堂!

1戦目「ハゲタカのえじき」2戦目「ごいた」そして今回の勝負は……

もう誰も止める事の出来ないサイコロ堂を表すかのような「キャントストップ」。上へ上へと高みを目指し、まだイケるんだと諦めないその姿はまるでキャントストップでしょう。しかもサイコロを使うボードゲーム(何故に今までサイコロを使わなかったのか?)対決!と言うか、相手の読み合いを止めてサイコロ運に全てを任せるゲームに変わった気もするけど3度目の正直となるのか!

いけー、黒進めー!勝てー、サイコロ堂!念願の勝利は目の前だ!

 

途中までは良かったのに負け。3年連続の敗北。なんですかね、サイコロ運に見放されるサイコロ堂って…。これぞ惨敗。流石に心折れるでしょ、と思ったらその場ですぐに再戦です。このメンタルの強さだけは誰にも負けないはず。

4戦目に選ばれた競技は「ヘックメック」。急にサイコロを使うゲームの波が来てますね。果たして結果は……

 

 

展開とか流れとか全く分からないんだけど、期待を裏切る事なくサイコロ堂の負け。しかも木枠が良くないとかしょうもない言い訳しててカッコ悪いし。得意なボードゲームないのかなぁ。もう、負けて当然みたいになってきました。

 

 

 

2018年。言うまでもなくサイコロ堂は行くのです、東京に。湯島に。コロコロ堂に。

今回選ばれたゲームは「クラスク」で三本勝負。遂にアクションゲーム対決になってしまいました。

白い玉が2つくっつくとは……。白いのを避けるのは基本でしょうよ、このゲームは。何と言うか、安定の負けっぷりですね。続いて2試合目。ここで負けたら3試合目は行われないぞ!頼むぞ、サイコロ堂!

何があったのか、遂にサイコロ堂勝利!夢っていつか叶うんですね。たった1枚の写真なのに泣けてくる…。いやぁ、ヒーローは最後に全て持っていくんですよ。これぞ王道。友情努力勝利ですよ。

と、これで一勝一敗。次の3試合目で全ては決まります。ここで勝って、やっと数年間の負け続けた悔しい思いが報われる訳ですよ。勢いに乗って勝つんだサイコロ堂!

3試合目は動画になっています。クラスクの歴史に残る2分の激闘をご覧あれ。

 

 

動いてるのを見れば分かるけど決してヘタな訳じゃないんですよ。見せ場もあるし惜しいところまでいったのに、最終的にサイコロ堂の負け。何を言っても負けは負け。4年連続の敗北。

ホントどうすれば、何をすれば勝てるのか。ってか、文句も言わず胸を貸してるコロコロ堂も評価されて然るべき。勝者を讃える気持ちが見えてこないんですよ、サイコロ堂には。その辺のリスペクトがないじゃないかと思ったら

なんと、コロコロ堂で働く宣言です。首から「私サイコロ堂はコロコロ堂様に4連敗しました」という屈辱的な文言が書かれた札をぶら下げて。厳密に言えばヘックメック含めると5連敗ですけどね。4年連続って意味なんでしょう。勝負の世界はシビアですねぇ…。

 

ここまで読んで分かりましたか?この2つのお店は名前が似ているというだけで、物凄く仲が悪いんですよ。人間の歴史が証明してるじゃないですか、争った先に幸せはないって。戦いなんて何も残らないんですよ。どっちがサイコロなのか何がコロコロなのか分かりませんけど、お互い大人になって握手をして欲しいんです。ボードゲーム業界の願いはただ一つですよ。

 

 

 

そして2019年。平成から令和へと元号が新しくなった事も影響したのか、新しい動きがあったんです。

今回はコロコロ堂が沖縄に行く事が発表されたのです!今までのサイコロ堂が東京に行くいつものパターンと逆。遂に仲直りか?いや5年目にしてサイコロ堂が勝っちゃうんじゃないか?はたまた、これは何か天変地異の前触れではないのかとボードゲーム業界に衝撃が走った訳です。

 

コロコロ堂の沖縄行きに翌日すぐ反応したのは東京の三鷹にあるボードゲーム専門店「テンデイズゲームズ」です。

なんとサイコロ堂vsコロコロ堂の激闘を見届ける為に沖縄行く宣言!学生の夏休み期間前にお店を休んで沖縄なんかに行ってたら、首を突っ込むとか言ってるけどただ単に遊びに行ってるだろ!と文句を言われそうなところをグッと耐えて激闘の結末を公平な目でジャッジし、見届けようという心意気ですよ。誰かがやらなきゃいけないんです。これぞ、日本ボードゲーム界の絆。もし遊びだったらガイアプロジェクトの再販はどうなってるんだ、テラミスティカの拡張はいつ出るんだとテンデイズゲームズに苦情殺到ですよ。歴史の証人になる為なんだから沖縄行きは仕方ない。

 

そして反応したのはテンデイズゲームズだけではなかったのです。富山県富山市にあるボードゲームカフェ「Engames」です。

なんと見届け人が2人も!そこまでのビッグマッチなのか?と疑問に思う人もいるでしょうけど、ボードゲーム業界はそれだけサイコロ堂とコロコロ堂の因縁対決に注目しているという証なのです。Engamesだって遊びじゃないですからね。もしバカンスとしての沖縄旅行なら、使い勝手のいいアクリルトークントレイもっと仕入れろ!と文句が殺到する訳ですから。こちらも見届け人ですよ。

 

テンデイズゲームズもEngamesも当然お店はお休み。仕事より大事な仕事があるのだから。

 

 

 

そして2019年夏、沖縄。

東京から沖縄へと場所を移し、炎天下で闘いが行われたのです!「ハゲタカのえじき」「ごいた」「キャントストップ」「ヘックメック」「クラスク」と5連敗中のサイコロ堂。今回は勝てるのか?今回選ばれたゲームは「ビーチフラッグ」です。

ボードゲームのタイトルじゃなく、砂浜を走って旗を取り合うアレです。これって何を争ってるんでしたっけ?まぁ、沖縄の海と砂浜が綺麗なので良しとしましょう。

サイコロ堂は沖縄在住なんだから得意かと思いきや、結果は2着。なんでもいいから勝てるものはないのか…。ボードゲームで負け、ビーチフラッグでも負け。

 

あくまでもここでの出来事はオマケ。お遊びですよ。この後サイコロ堂に移動してガチのボードゲーム対決です。負け知らずのコロコロ堂がアウェイでも勝つのか、ビーチフラッグで油断させておいたサイコロ堂が一気に畳み掛けて勝利を掴み取るのか。果たして結果は?

 

対決じゃなく、普通のゲーム会ですね。サイコロ堂vsコロコロ堂の真剣勝負が見たいのにテンデイズゲームズとEngamesも一緒になって遊んじゃってますよ。ゲームズコンビは何やってんだか。

「ゲスクラブ」「天下鳴動」「ハッピーサーモン」が遊ばれたようです。対決はいつなのかと思ったら、ハッピーサーモンで勝ち負けを決めようじゃないかという流れになったようです。その勝負の動画はコチラ

 

結果はテンデイズゲームズの勝ち!

なんじゃこれ?サイコロ堂vsコロコロ堂因縁対決の沖縄編はテンデイズゲームズとEngamesがやって来て、テンデイズゲームズが優勝。いやいや、これは納得いきませんよ。我々は2店の熾烈なバトルを5年も見守ってきたんですよ。それがボードゲームカフェでもない、店名に「コロ」も含まれてないテンデイズゲームズ優勝って。怒りが収まりませんよ、と思ったら泣きの再戦です。これがホントにホントの最終決戦。サイコロ対コロコロのハルマゲドン。コチラも動画でご覧下さい!

 

遂にサイコロ堂が勝ちました。我々はサイコロ堂が勝つ瞬間を目の当たりにする事が出来たのです!おめでとうサイコロ堂。感動をありがとうサイコロ堂!

何故かEngamesがガッカリしてるけど、そもそもこの対決に関係ないですからね。勝手に入り込んできて負けてるというね。

 

この5年間壮絶な闘いはテンデイズゲームズ優勝という結末となりましたが、ボードゲームが原因でケンカする事のバカバカしさを彼らは教えてくれたのではないでしょうか。本当の勝者はゲームを楽しんだ者なのだと。ハッピーサーモンで闘ってる4人の姿を見て笑わない人はいないでしょう。4人ともチャンピオンなのです!

 

 

そして最後に、コロコロ堂の店長のツイートを紹介してサイコロ堂vsコロコロ堂因縁対決の歴史にピリオドを打ちたいと思います。

 

実はサイコロ堂は怒ってなんかいなかったのです。似た名前を付けたボードゲームカフェからの連絡に「一緒に頑張りましょう」とエールを送っていたんですね。

てっきり一触即発、ボードゲームの歴史上最悪の犬猿の仲かと思ってたのに我々は乗せられてただけなのかも知れません。そう全てはお遊び、ゲームだったんだと。

 

来年2020年。再戦はあるのでしょうか。