【ボドゲと子供と教育と】『なつのたからもの』を遊ぶと、カウンティングにかかわる「記憶力」とバランスを考える「構成力」が身につく

8月といえば、夏休み! 令和の小学生は何かと忙しいかと思いますが、なつの思い出になるような「たからものカード」を集める「なつのたからもの」を親子でプレイしてみてはいかがでしょうか。

ゲームの概要

ゲームの目的としては、より多くの「夏の思い出」を示すカードを集めることになります。

カードは「夏祭り」「かき氷」「海」「金魚すくい」「虫取り」「お小遣い」「ラムネ」「ひまわり」「線香」「スイカ」の10種類に対して、それぞれ数字が1~7まであります。ここでは、これらのカードを「思い出カード」と呼ぶことにします。

そして、これ以外にも3種類の特殊カードがあります。

プレイヤーは、「山札からカードを1枚めくるか」、または、「共通の場から表になっているカードを獲得するか」を選択します。「山札からカードを1枚めくる」を選択した場合には、再度、「山札からカードを1枚めくるか」、または、「共通の場から表になっているカードを獲得するか」を選択することになり、自分の手番中はこの繰り返しとなります。

獲得したカードは、自分の手札となっていきます。

「山札からカードを1枚めくる」を選択した場合、既に場に出ている「思い出カード」と同じ種類の「思い出カード」が出た場合、今引いた「思い出カード」は捨て札となり、そこで手番は終了となり、カードは獲得できません。いわゆる「チキンレース」系のゲームです。

山札が尽きるか、特定のプレイヤーがすべての種類の「思い出カード」を獲得しゲームの終了を宣言するとゲームは終了です。

ゲームが終了すると、10種類ある「思い出カード」ごとに一番大きな数字のみが得点となります。たとえば金魚の思い出カードについて、「6」「4」「3」の3枚獲得していた場合、「6」のみ点数として加算し、「4」と「3」は点数になりません。


また、同じ数字を表す「思い出カード」を3組集めると、10点となります。その他にも、最も早く「思い出カード」を10種類集めた人は10点を獲得します。そのほか、ゲームの詳細に関してはこちらをご覧ください。

集中力と記憶力

このゲームシステムの主要な部分は「引くか、止めるか」という部分ですが、その判断を支えているのは「すでに何枚出たのか」という事実に関する記憶力です。いわゆる「カウンティング」というやつですね。

例えば、下の写真を例に考えてみましょう(通常では手札は非公開ですが、便宜上公開しています)

既に「線香花火」のカードは6枚が場に出ていることになります。そうすると、残りは「3」と「4」の2枚になるため、山札の中には、わずか2枚しか存在しないと考えられます。

このように考えることができれば、少なくとも「線香花火」のカードでバーストする確率は低いということがわかるはずです。

もちろん、ゲームの序盤はより運要素が大きくなりますし、あくまで確率論に過ぎないので、完璧なカウンティングができていたとしても思うような結果にならないこともあります。しかし、そうであっても、大人が「ここで2枚しかないはずの1枚が出るか〜」などと言いながら悔しがるのを見て、子供たちは少しずつその重要性に気がついていきます。

多くの子どもたちにとって、自分の手番以外は「暇な時間」になってしまいがちです。その「暇な時間」の使い方を周りの大人がちょっとだけ示してあげれば、子どもたちのプレイの幅は大きく広がってきます。漫然とプレイしていたゲームも、戦略性が増し、考える楽しさをより実感できることでしょう。

また、子供たちにとって、人のプレイを見て自分の行動に反映させるということは容易なことではありませんが、「運要素」がほどよいクッション材となり、ゲームを通じて成功体験を積み上げていくことができます。

時には「なんでもう1枚引こうと思ったの?」などと聞いてあげると、根拠があって判断をした場合には嬉々としてその根拠を語ってくれるでしょう。そして、周りもそれを聞いて自分なりに考えていくようになります。

構成力

このゲームでは、各思い出カードについて「最も高い点数」のものが得点となります。そのため、「0」「1」「2」「3」のカードはゲーム終了時の得点とするよりも3枚集めて10点にするほうが効率よく得点できることになります。

しかし、そう一筋縄ではいきません。3枚で得点化するということは、手札から3枚のカードがなくなるということを意味しますから、その分「思い出カード」を10種類集める(10点)というミッションを達成することが遅くなることになります。

このように考えると、ゲームの終わり方、終わらせ方によって、「0」「1」「2」「3」のカードの使い方は異なってくると言えそうです。

例えば、自分の手でいち早く10種類を揃えたいのであれば、3枚で得点化することには慎重になりますし、ゲームの展開に応じて、10種類集めることをあきらめるのであれば、小さな数字はどんどん得点化していくことになるでしょう。

もちろん、これまで場にどのようなカードが出てきたか、などによっても対応は異なります。運要素が小さくないゲームなので、思いのほか早く終わってしまったという事態がないわけではないですが、そうでない場合には、ゲーム終了時を見据えたプレイが必要になってきます。

全部集めることを目指して小さな数字でも取りに行くのか、

そこは諦めて小さな数字の得点化で稼ぐのか、

はたまた、とりあえず大きな数字を目指し、リスクを負ってカードを引くか、

 

こうしたところのバランスをもって、ゲームの終わりを意識しながら自分の手札を管理・構成していくことになります。

子供たちは、直感的に大きい数字のカードを狙っていく傾向にあります。

しかし、例えば、既に9種類の「思い出カード」を集めており、残り1種類という状況を考えてみましょう。この場合、残り1種類の「思い出カード」の「0」と、既に持っている種類の「思い出カード」の「7」では、残り1種類の「思い出カード」の「0」の方が価値が高いと言えるでしょう。

また、「5」のカードでも3枚揃うと得点化してしまうという子供もいることでしょう。3枚揃ったことで気持ちよく得点化したいという心情は理解できますが、「6」「7」といったこれより大きなカードを持っていない場合、3枚それぞれが5点となり合計15点になりますから、その得点化にはより慎重にならなくてはいけません。

このように、大人から見ると簡単な手札の管理・構成のように感じますが、子供たちにとっては考える要素が複合的に掛け合わされていることになります。

ゲームが終わった後に「このとき、何を狙っていたの?」などと聞いてあげると、より考えるべきことが整理され、プレイの幅が広がっていくでしょう。

おわりに

今回は『なつのたからもの』を取り上げました。このゲームは『ノミのサーカス』というゲームのリメイクなのですが、「思い出を集める」というフレーバーがなんともノスタルジックな気分にさせてくれるとてもよい作品であると思います。実際に、獲得したカードの思い出作りを子供とやってみる、なんていうのもいいかもしれませんね。