WBC開催記念! 65年前に作られたエポック社の野球盤の歴史を調べたら、進化が凄すぎて笑ってしまう!?

2023年3月8日に第5回ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)が開催されます。実に6年ぶりの開催です。侍ジャパンこと野球日本代表の試合は、3月9日〜12日まで東京ドームで連日行われます。全て午後7時プレイボールなので見やすい! さらに勝ち進めば準々決勝ラウンドも待っていますね。超一流選手が集結したドリームチームなので、野球ファンならずとも注目の大会ですね。どんなドラマが待っているのか今から楽しみです。

https://www.wbc2023.jp/

さて、野球のボードゲームと言えば野球盤。野球場をイメージしたボード上で、守備側がピッチャーになって球を転がし、攻撃側がタイミングよくバットで打ち返して「ヒット」や「ホームラン」などと書かれた穴に入れて、得点を競う対戦型のアクションゲームです。男の子なら子供の頃に一度は遊んだことがあるでしょう。

野球盤が日本生まれのボードゲームって知ってましたか? 玩具メーカーのエポック社の創業者である前田竹虎さんが開発したゲームです。というか野球盤を作るためにエポック社を創業したのです。アメリカに野球をテーマにした1人用のパチンコゲームはあったそうですが、対戦ゲームにしたのは前田竹虎さんが最初。

他のメーカーからも似たような野球ゲームが次々と発売されましたが、エポック社は現在も野球盤を販売し続けています。「野球盤って今もあるの?」なんて思っている人もいそうなので、WBC開催を記念してエポック社の野球盤の歴史を振り返ってみましょう! 物凄い進化を遂げているのです。では、歴史のポイントとなる作品を中心に古いものから紹介します。

グラウンドだけ期

1958年 野球盤

これが世界初の対戦型野球盤。鉄の球には縫い目が再現され、守備の選手はこけしのような人形でした。またピッチャーが投げられるのはストレートだけ。大卒の初任給が1万2000円の時代に1台1750円という高価な玩具でしたが、月に2000台も売れる大ヒット商品となりました。木製の選手はこけし職人が作り、盤面は家具職人がひとつひとつ丁寧に作ったそうです。

1959      野球盤A-2

マグネチック・ボール・コントローラーと名付けられた変化球機能が搭載。磁石の力で鉄の球のコースを曲げることにより、ピッチャーが直球だけでなくカーブやシュートを投げられるようになりました。初代から1年後には変化球が完成してたんですね。

1959年    野球盤B型

当時は「野球盤」という名前で販売された商品。盤面が四角ではなくハマグリ型に変更となりました。初代パ・リーグ会長の中沢不二雄さんが監修。デビュー2年目で当時のスター選手だった長嶋茂雄さんが広告に起用されました。

1960     野球盤E-1

玩具業界初のとなるTVコマーシャルが作られ、放映されました。

1965     アトム野球盤F型

当時絶対な人気を誇ったアニメと初のコラボレーション商品を発売。盤面には鉄腕アトムが守備をしているイラストが描かれています。

1969年    巨人の星 野球盤C型

当時、週刊少年マガジンに連載中だった人気漫画とのコラボレーション商品。盤面には投球をする星飛雄馬などが描かれています。巨人の星と言えば消える魔球の大リーグボール2号がありますが、この時はまだ野球盤に消える魔球が存在していませんでした。エポック社が野球盤で消える魔球を完成させるのは3年後の話。

野球盤ブーム期

1970    デラックス野球盤

スタジアムだけだった野球盤に客席のスタンドが初登場。守備の選手も立体的になりちょっとリアルに。バッティングは、レバーを手前に引いて手を離すとバットを振るように変更されました。

1972    オールスター野球盤BM型 魔球装置付き

ついに魔球装置が初登場。ピッチャー側がレバーを引くとホームベースの下がパカっと開いて、絶対に打てない消える魔球が投げられるようになりました。

1972    デラックス野球盤 魔球装置付き

スイッチバッター装置が初登場。バットを左座席に付け替えることが可能になり、左右の打ち分けが出来るようになりました。

デラックス野球盤とデラックス野球盤魔球装置付きのTVコマーシャル

1974   野球盤AM

ボタンを押すとバットが振れるワンタッチヒッティング装置が初搭載。ストライク・ボールカウントが分かるダイヤル式のカウンターが初登場。新しい機能がウケて、累計300万台も売れた野球盤史上最大のヒット作となりました。

1974年 野球盤CM型

メガヒットの野球盤AM型の廉価版。A型が豪華版で、B型が中型、C型がお手軽版という認識でいいと思います。最初のパッケージには長嶋茂雄さんが採用されました。

1977    野球盤AM型(連続投球装置付き)

連続投球装置が初登場。ピッチャーマウンドに球を複数個置けるようになったので、打ったらピッチャーに戻すという1球ごとの手間が省けるようになりました。

1978    野球盤AM型人工芝球場

人工芝が初登場。これにより弱い打球は途中で止まるようになりました。

1978年  ジャイアンツ野球盤BM型

前年の1977年に発売された野球盤BM型の読売巨人軍バージョン。グラウンドにはジャイアンツの選手8人がイラストで描いてあります。

1979年  ジャイアンツ野球盤BM型人工芝球場

ジャイアンツバージョンの人工芝あり野球盤。選手のイラストはなくなりましたが、ファールグラウンドにはジャイアンツのマークと文字が書いてあります。

1982年 パーフェクト野球盤A型

投球するとホームランの位置にある数字がクルクル回って、球の速度が表示されるスピードガン機能が初搭載されています。さらに、盗塁判定装置が初搭載。STEALと書かれたツマミを回すと、セーフかアウトが現れるので盗塁の判定が出来ます。あとはオートランナー機能も初搭載で、ヒットを打った後にレバーを操作すると地下に潜っていたランナーが塁に現れます。

1982年     原辰徳のパーフェクト野球盤B型

当時のスター選手である原辰徳さんバージョン。ただし、スイッチバッター装置がなくなり、パーフェクト野球盤A型をひと回り小さくした商品です。

2Dから3Dへのチャレンジ期

1988   ビッグエッグ野球盤

東京ドームの完成に合わせて作られた、初の屋根付きドーム型の野球盤。初の電動式で、自動ピッチングが選べるようになり1人で遊ぶことが可能になりました。ちなみに1人プレイは不評だったのか、自動ピッチングはこの後の商品に引き継がれていない機能です。そして、鉄の球とアルミの球がランダムに投球されるようになっていて、アルミの球をジャストミートするとフワッとアーチを描いてスタンドインする作りになっていました。

1995年 パーフェクト野球盤ブルースタジアム

日本人メジャーリーガーの活躍が目立った年で、盤面がアメリカのボールパークを意識したカラーリングになっています。

1997年   フルオート野球盤PRO

グラウンドが斜めで打った球はキャッチャーの方に転がるような作りで、下を通ってマウンドに戻るオートリターン機能を初搭載。球を拾ったり戻したりせずにプレイが可能になりました。

2005年   野球盤デラックス

選手が丸く立体的な人形になり、ポーズをつけられるアクションフィギュアシステムを初導入。バッターも人形がバットを持つようになり、今まで以上に野球をやっている感じになりました。人形の場所を変える守備位置変更機能も初導入されました。TVコマーシャルは何故か消える魔球をメインにした内容で、新機能の部分を全くアピールしていない残念なものになっています。

2006年    実況パワフルプロ野球野球盤

KONAMIの野球ゲーム「実況パワフルプロ野球」とのコラボレーション商品。盤面に組み込まれたセンサーが球の動きを把握して、音声で実況するシステムを初搭載しました。このコラボがなければ、実況アナウンスは生まれなかったかも?

2008年   野球盤ACE

ホームベースの直前で球が弾かれ、浮き上がってバットを飛び越える新魔球ライジングボールが初登場しました。

2009年   野球盤ライブスタジアム

電光掲示板を初搭載。入ると何が起こるか分からない「⁉︎ポケット」が初登場しました。

2010年    野球盤スラッガー

バットの先端に高反発素材のゴムが使われ、打った球が宙を飛ぶようになりました。

2011年    野球盤K

デュアル変化球レバーが初登場。ジョイスティックのように自在に動かせる変化球レバーで、カーブやシュートなどの左右の曲がりはもちろん、前後にも変化が付けられるようになりました。

2013年   野球盤ダブルスラッガーエクストリームライブ

液晶の電光掲示板が初登場のデジタル仕様の野球盤。

2015年    野球盤3Dエース

3Dピッチング機能が初搭載。今までのようにピッチャーが球を転がすのではなく、本当に空中に投げます。カーブやシュートなど左右に曲がるのはもちろん、上下も含めた変化球を投げられるようになりました。これは本当に画期的!

https://epoch.jp/cm/sp/cm.php?id=0116

2017年    野球盤3Dエースオーロラビジョン

カラー液晶の電光掲示板が初登場。多彩なアニメーションや実況アナウンスが繰り広げられるようになりました。

2018年    野球盤3Dエースモンスターコントロール

速度と投球コースをリアルタイムで計測し、電光掲示板に球筋をグリッド表示するようになりました。そしてバッター側は、ピッチャーの配球に合わせて上下を変えられる3Dスラッガー機能が初搭載。ピッチャーが投げる球種と高さとコースを読み合う心理戦は野球そのもの。2023年時点で最新の野球盤。

2020年 野球盤3Dエーススタンダード侍ジャパン野球日本代表ver.

9種類の球を投げ分けることが可能な野球盤3Dエースのスタンダード、侍ジャパンバージョン。ジャイアンツやタイガースなど様々なプロ野球チームのバージョンはありましたが日本代表はこれだけ。


60年以上も前に誕生した野球盤は年々進化してたんですね。振り返ってみると、1972年の消える魔球2005年の立体人形2010年の高反発バット2015年の3Dピッチングがかなりのアイデア。ビッグエッグ野球盤から始まった球を浮かせる工夫が、ライジングボールや高反発バットを経て3Dピッチングで花開いた感じ。特に3Dピッチング機能と3Dスラッガー機能の対決は従来の野球盤とは別ゲームと言っても過言じゃないほどの転機で、めちゃくちゃ面白いので遊んでない人はもったいない! 野球に興味がない人でも「ドラえもん」や「スーパーマリオ」や「シルバニアファミリー」のコラボ商品などもあって手を伸ばしやすくなっているのでぜひ!

この先、野球盤がどんな進化を見せてくれるのか楽しみで仕方ないです。WBCを応援した後は、絶対に野球がやりたくなるはずなので、そんなときこそ気軽に遊べる野球盤ですよ。