【ボドゲと子供と教育と】『ルイス』で論理的に考えるとはどういうことか!?を体感する

私はとても手が小さく、さらに左利きであるためカードのデザインによってはアイコンが隠れてしまうことがあります。そういうわけで、我が家あるいはウチの教室には「カードスタンド」が常備されています。

さて今回は、手の大きな人も右利きの人もカードスタンドが必須と言っても過言ではないトリックテイキングゲーム『Luz(ルイス)』について考えていきたいと思います。

ゲームの概要

1~10の数字が書かれた5色(赤、青、黄、緑、白)の50枚のカードがあります。このうち、各プレイヤーに10枚ずつカードを配り、残りは裏返したまま箱に戻します。

そして、自分の手札は右隣のプレイヤーが受け取り、色ごとに右に向かうにつれて数字が大きくなるように並べ替え、一番右に「HIGH」カードを差し込んでから、元のプレイヤーに渡します。その後、表面を確認することなく、カードの裏面を自分に向けます。つまり、自分の手札が何かわからない状態でプレイすることになります。

このとき、カードの裏面からは、色が何色であるかがわかるようになっています。

自分の手札の色と各プレイヤーの手札を確認した後、スタートプレイヤーから順に自分が何トリック獲得できるかを予想していきます。ピッタリ予測できた場合には40点獲得します。「AND1チップ」と呼ばれるチップを使用して予想を当てることができた場合は、20点を獲得します。

当てることができなかった場合は、予想した数と実際に勝利したトリックの差×10がマイナス点となります。こうして、人数に応じたランド数を行い、合計点が最も高いプレイヤーの勝利となります。

なお、トリックに関してはいわゆる「切り札」有りの「マストフォロー」と呼ばれる形式となっており、「白」が「切り札」となっています。

とにもかくにも論理的に考える

「自分の手札が見えない」―これだけで「あぁでもない」「こうでもない」とひたすらに考えながらプレイし続けることになります。しかも使用しないカードがあるため、最初から自分のカードをすべて把握することは極めて困難です。そうした中、求められることは、「周囲の状況から自分の手札を推測する」といった「論理的思考力」です。「論理的思考力」というとやや使い古された言葉ではありますが、一度プレイしてみると、まさしく「論理的思考力」とはこのことだ!と体感することができると思います。

例えば、写真のようにゲームスタートの段階で相手と自分の手札に緑のカードが8枚(自分の2枚も含む)だったときについて考えてみます(自分が写真の下で裏側を表示。他の3人はすべて数値まで見える状態)。

このとき、自分から見えていないカードが「5」「4」「2」「1」ですから、自分の緑のカードに関しては、一番強くても「5」ということになります。そうすると、緑のスートで勝つことは難しいな……といった具合に周囲の状況から自分のカード、ひいてはトリックの獲得数の予想をしていくことになります。

自分の手札を推測することはもちろんですが、この「トリックの獲得数を予想する」というのも、決して簡単ではありません。自分の手札にあたりをつけながら、周りのプレイヤーの予測に応じて自分の手札の強弱を判断していかなくてはいけません。書いているだけで大変そうです。しかし、大変だからこそ、予想が当たったときの爽快感は絶大です。

また、対象年齢は「10歳以上」となっていますが、小4以上でも難しく感じる子も少なくないように思います。慣れるまでは、状況を説明したり、メモを取ったりしながら「論理的に考える」とはどういうことなのかを体感しながらプレイしていくのもよいのではないかと思います。

目標に向けて行動する

このゲームでは、「自分の取るトリック数を予想する」ことで得点を稼ぐことができます。自分の手札が見えている中でも難しいこの行為を、手札が見えていない中で行わなければいけないのですから、大変でないわけがありません。さらに、競馬のように単に予想してあとは天に委ねる、というわけではなく、自分の予想が現実のものとなるように行動することが求められます。そこには、全体を見据えたうえでの計画はもちろんのこと、予想に反した事態における対応力も必要とされていきます。

子供たちの中には、最初に自分が思い描いていたストーリーから外れてしまうと、うまく対応できなくなる子もいます。しかし、想定が外れるということもまた、一つの想定として考えておかなければならず、そのような時の第2案を考えながらプレイしたり、また柔軟に現状を読み直していくことが必要となるのです。あくまでも「自分の目標に近づける」という視点で考えていくので、方向性としてはわかりやすく、その意味では対応力を培うとてもよい練習になると思います。

最後に

初めてプレイしたときは、「自分の手札を見ない」というのが、とても新鮮でした。そんなことはとにかく、まぁ予想があたらない! 予想が当たらないのは、決してお酒のせいだけではないはずです(笑)。

これを機に、自分の思考の型についても論理的に考え直してみなくてはいけないのかもしれませんね。