デッキ構築型ボードゲーム8選! 手札を揃えて強力なコンボを発動させよう!!

ボードゲームのうち、さまざまな効果を持つカードを手札として持つタイプのゲームは数多くあります。そのなかから、“デッキ構築型”と呼ばれているタイプのゲームをご紹介しようと思います。

デッキ構築型の定義としては、まずTCG(トレーディングカードゲーム)のように、プレイヤーごとに固有の山札(カードデッキ)と手札を持つということ。手札を使ったら山札からカードをドロー(補充)して補充。補充するカードがなくなったら捨て札で再び山札を作ってそこから引き、一度使用したカードを再び手札とする。本記事中では、これらの条件を満たすゲームをデッキ構築型とします。

強力なカードを加えたり、効果の低いカードを除いたりしてデッキを強化していくことや、カード同士のシナジー効果を生み出していくような組み合わせを作り上げていくことも重要で、いかにして自分のデッキを洗練されたものにしていくかがデッキ構築型のゲームをプレイする醍醐味となっています。

今回は、デッキ構築型のゲームを8つほど選んでご紹介しましょう。面白そうだと思ったら、ぜひプレイしてみてください。

※五十音順に紹介しています。

アーティチョークなんて大キライ!


※写真はアークライトのサイトより

手軽に楽しめるデッキ構築ゲーム入門編! 簡単なルールとかわいいイラストで誰でも楽しめる

手札にあるアーティチョーク・カードをすべて除外することを目指すカードゲーム。

プレイヤーは手番に場に出た野菜カードを1枚獲得し、手札から野菜カードを出してその効果を使います。最終的に最初に配られた10枚のアーティチョーク・カードをデッキ(手札と自分の山札)からすべて除外することができれば勝利となります。

野菜カードはアーティチョークを含めて10種類あり、その効果も「アーティチョーク・カードを除外」「他のプレイヤーと手札を1枚公開し、交換」など、さまざま。うまく野菜カードの効果を活かしてアーティチョークを排除したり、他人に押し付けたりしつつ、デッキのなかからアーティチョークを無くしていくわけです(なお、アーティチョーク・カードにはなんの効果もありません!)。

シンプルなルールとプレイ時間20分程度の手軽さながら、デッキ構築ゲームの楽しさである“自分のデッキの強化”と“不要なカードの除外”(いわゆるデッキの圧縮)という基本システムを抑えたタイトル。デッキ構築ゲームに馴染みのない人にぜひプレイしてほしいと思います。

ところで、アーティチョークってそんなに嫌われてる野菜なんでしょうか!?

アーティチョークなんて大キライ! 概要】
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:約20分

アルナックの失われし遺跡

デッキ構築+ワーカープレイスメントの本格派。コアなゲーマーを痺れさせた人気作

2021年ドイツゲーム賞大賞、2021年日本ゲーム大賞受賞作。考古学者グループの一員となって未踏の島の探査をするワーカープレイスメント。

プレイヤーはワーカーをボード上に派遣して探索や発見、資源の獲得、守護者との戦闘などのアクションを行い、得点を獲得していきます。各自が持ったカードデッキから手札を引き、これを使用することでアクションごとに必要なコストを支払いつつ、カードの効果を発揮。このデッキ構築とワーカープレイスメント、リソース管理が融合したシステムが本作の最大のポイントです。アクションの種類と得点手段が数多く用意されており、マップの構成や獲得するカードの変化によってプレイするたびに展開が変わるのです。

島の探索ポイントを調査して守護者とバトルするもよし、リソースを消費して研究を進めていくもよし、カードを獲得してデッキを強化していくもよし。取りうる選択肢と戦術が多く、互いに作用しあう要素をうまくまとめあげて調査を進め、得点を重ねていく感覚は本作特有のもの。ただしゲームは全5ターンしかなく、手番の数が限られているのが悩みどころです。

いわゆる“ゲーマーズゲーム(熟練ゲーマー向けのゲーム)”のひとつで、簡単なゲームに物足りなさを感じているならぜひとも挑戦してほしいタイトル。ソロゲーム用のルールも用意されています。さらに、拡張セットの『アルナックの失われし遺跡:調査隊長』、シナリオが導入されてキャンペーンゲームを楽しめる拡張セット『アルナックの失われし遺跡:消えた調査隊』も発売されています。

なお、『アルナック』シリーズは大人気作のため、入手が難しい場合があります。これまでも何度か再販されており、その際はメーカーから発表がありますので、購入を検討している人はXなどで情報をチェックしておくといいでしょう。

アルナックの失われし遺跡 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:1~4人
対象年齢:12歳~
プレイ時間:人数×約30分

イーオンズ・エンド

個性的なキャラクターたちでパーティーを組み、強大なボスモンスターを倒す協力型バトルゲーム

強力な魔法を操る“破孔魔術師(はこうまじゅつし)”となり、人類の脅威であるモンスター“ネメシス”とバトルするデッキ構築型の協力ゲーム。

プレイヤーは力を合わせて拠点のグレイヴホールドを守りつつ、ネメシスと戦います。強大な力を持つネメシスを撃破することができればプレイヤー側の勝利、ネメシスの攻撃でグレイヴホールドが陥落してしまうと敗北です。

プレイヤーキャラクターとなる“破孔魔術師”は、エネルギーを溜めてから放つ強力な“破孔魔術”を持っているのですが、その効果はキャラクターによって千差万別。基本セットには8人のキャラクターと4体のネメシスが用意されており、プレイするキャラクターや敵を変更するだけでかなり変わったプレイ感になります。

『イーオンズ・エンド』の特徴的なシステムは、山札が尽きて再度作るときに捨て札をシャッフルしないということ。カードを使用した順に捨て、そのまま次回も同じ順にドローしていくのです。このため、次に引く札を予想しながらのプレイが重要になります。また、もうひとつの特徴として、手番が回ってくる順がランダムとなっていることが挙げられるでしょう。プレイヤー全員とネメシスの誰がどの順で行動するかは毎ラウンド変わります。このため、プレイヤーは状況に応じて臨機応変に対応していくことが求められます。

相手への攻撃はもちろん、カードの獲得や回復といった行動をみんなで相談しながら進めていくのは楽しいものです。うまく流れをつかみ、大きな威力の攻撃を決めたり、仲間を救うムーブができたときはスッキリ爽快! ゲーマー向けでやや難度が高いのですが、デジタルゲームの『モンスターハンター』のようにみんなで協力して敵と戦うのが好きな人たちにぜひプレイしてほしいタイトルです。

キャラクターやネメシス、カードが追加される拡張セットも数多く発売中。拡張セットも豊富で、シナリオ要素がある『イーオンズ・エンド:あらたなる時代』や、レガシーゲームとなった『イーオンズ・エンド:レガシー』なども登場しています。中毒性が非常に高く、一度ハマってしまえば延々と遊び続けてもなかなか飽きがこない名作です。

イーオンズ・エンド 概要】
メーカー:アークライト
プレイ人数:1~4人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:約60分~

エルドラドを探して

デッキを洗練し、黄金のゴールを目指してひた走るレースを勝ち抜こう!

ゴール地点となる黄金都市エルドラドを目指し、マップを踏破する“デッキ構築系レースゲーム”。デザイナーは多作で知られるライナー・クニツィア氏です。

プレイヤーはスタート地点からカードを使って移動コストを消費し、ヘックスマップを進んでいきます。強力なカードを購入したり、村落に立ち寄って効果が低いカードを廃棄し、圧縮をはかるなど、自身のデッキの強化も行っていかなければなりません。ゴールまでのルート選びと、そのルートをスムーズに進むための行動力の確保が重要で、計画的なデッキの強化が必要となります。

リプレイ性の高さも本作の魅力。表裏両面と組み合わせにより地形が変わるモジュラーボードや、購入カードの組み合わせによって違ったシチュエーションとなるため、何度でも楽しむことができます。拡張セット『エルドラドを探して 英雄と呪い』『エルドラドを探して ムイスカと危難』も発売中。易しいルールながらもデッキ構築のシステムを存分に楽しむことができるので、中量級のデッキ構築型ゲームを体験してみたいという人にオススメです。

エルドラドを探して 概要】
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:約30~60分

クランク!

ダンジョンを探索してお宝ゲット! 無事に地上まで戻るところまでが冒険です

ドラゴンが住む危険なダンジョンに潜り、宝を手に入れて生還を目指す探険型デッキビルディング&チキンレース。

プレイヤーはカード購入に必要な「スキル」、移動に使う「ブーツ」、戦闘に用いる「剣」の3種のカードでデッキを組み、強化しながらダンジョンの深部に進みます。しかし、ここはドラゴンが支配するダンジョン。プレイヤーキャラクターが物音をたてる行動(クランク)をするたびにバッグドローの袋に自分の色のキューブが追加されていき、危険度が増していきます。そして、ドラゴンが怒って炎を吐くと袋から指定された数のキューブを取り出し、自分の色のキューブがあればそのぶんダメージを受けてしまうのです(10ダメージを受けるとリタイア)。そのうえ、ドラゴンが宝が盗まれたことを知ると怒り爆発! さらに危険度が増します。

最初に地上に戻るほうが安全ですが、二番手以下のプレイヤーも深部で価値の高い宝を獲得し、得点を稼いでから帰還すれば逆転は可能。デッキ構築による手札の強さと、自分を含めたプレイヤーの位置、得点状況、袋に入ったキューブの数、ドラゴンの状態など、さまざまな要素が絡み合うなかで進むか戻るかの判断が求められるチキンレースとなっています。何より、袋からキューブを引くときのハラハラ感がたまりません。

さまざまな拡張セットや、姉妹編の宇宙版『クランク! イン・スペース!』も発売されています。

クランク! 概要】
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~4人
対象年齢:13歳~
プレイ時間:約30~60分

Slay the Spire: The Board Game(スレイザスパイア:ザ・ボードゲーム)

人気デジタルカードゲームをボードゲーム化! 4種のキャラクターごとに違ったデッキを強化して強大なボスにチャレンジ

大ヒットデジタルゲーム『Slay the Spire(スレイザスパイア)』をボードゲーム化したタイトル。デジタルゲーム版はひとり用でしたが、ボードゲームでは最大4人までの協力型で、ソロプレイも可能です。

プレイヤーは4人のキャラクターからひとりを選び、全3フロアの塔に挑戦します。キャラクターは筋力自慢のバランス型“アイアンクラッド”、毒とナイフを使う暗殺者タイプ“サイレント”、自動的に攻撃や防御を行うお供・オーブを操る“ディフェクト”、自身のスタンスを切り替えて攻防の緩急をつけながら戦う“ウォッチャー”の4種。デッキのカードはそれぞれのキャラクターごとに専用で用意されており、その総数は320枚以上にも及びます。このうち一回のプレイで使うのはごく一部なので、プレイするたびに違ったカードを見ることになるはず。モンスターやボスはフロアごとに数種類が用意されており、プレイヤーキャラクターの成長と獲得カードの変化により、何度プレイしても同じ展開になることはないでしょう。

プレイヤーは塔のなかに出現する敵とのバトルの報酬や、ショップ、キャンプなどでカードを入手したり、改良したりして自身のデッキを強化していきます。それぞれのキャラクターはいくつかの成長の方針が用意されており、獲得するカードによって方向性を変えていけます。例えば“サイレント”であれば毒攻撃を強化していったり、ナイフ攻撃を強くしていったりと、キャラクターごとに得意とするスタイルや伸ばす能力を変化させることができるのです。このキャラクターの強化と育成がとても楽しく、「次はどのように成長させようか?」とワクワクすることうけあいです。

全3フロアで1フロアごとのプレイ時間が60~90分ですから、非常にプレイ時間が長いゲームですが、その熱中度と没入感はバツグン。やや敷居は高いものの、デッキ構築型ゲームが好きという人はぜひプレイしてほしいタイトルです。

スレイザスパイア:ザ・ボードゲーム 概要】
メーカー:ケンビル
プレイ人数:1~4人
対象年齢:12歳~
プレイ時間:60~90分(※1フロアごとに)

ドミニオン

貴族同士の勢力争いを描いた元祖デッキ構築。ボードゲームの歴史を変えた一作!

2009年ドイツ年間ゲーム大賞、ドイツゲーム大賞などの賞を総なめにした傑作。“デッキ構築型ゲーム”というジャンルを世に知らしめ、定着させたパイオニア的作品です。

プレイヤーはとある王国の一地方の貴族となり、さまざまな効果を持つ王国カードをプレイして10勝利点を獲得することを目指します。王国カードは基本セットで25種が用意されていますが、一回のプレイで使用するのはそのなかから10種のみ。この組み合わせによって、無限に近いプレイバリエーションを実現しているのです。

プレイヤーごとに山札からドローして手札をプレイ、山札がなくなったら捨て札をシャッフルして再度ドロー、追加カードの購入と弱いカードの除外による圧縮でデッキを強化、といった『ドミニオン』の基本システムのすべてが以後のデッキ構築型ゲームの規範的なルールとして定着。その斬新さと飽きがこないリプレイ性、一度やったらやめられない中毒性は多くのボードゲーマーに衝撃を与え、熱狂的なファンと、多くのフォロワー作品を生みました。

また、本シリーズの特徴として、その拡張性の高さが挙げられます。拡張セットは2024年時点で15種が発売中。基本セットと拡張セットのすべての王国カードは組み合わせてプレイすることが可能で、選択したカードによってプレイ感が変化。カード同士のシナジーや新たな戦術を考えるのも本シリーズの楽しさのひとつとなっています。

なお、本シリーズも基本セット、拡張セットともに入手が難しい場合があるので、欲しい人は各ショップの在庫をチェックしたり、メーカーの再販情報を見ておくといいでしょう。『ドミニオン』はデジタル版もあり、そのなかでも特にスマートフォンのアプリ版(iOS/Android)は無料でダウンロードできます。デジタル版はいつでも入手できるので、ゲームの雰囲気や基本的なルールを知りたければこちらに触れてみるのも良いと思います。

ドミニオン 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:約30分

ハートオブクラウン


※写真はFLIPFLOPsGamesのサイトより

推しのプリンセスを帝位に導こう!キュートなイラストと本格的なゲームシステムが魅力

“デッキ構築型ファンタジーカードゲーム”と銘打たれた一作。プレイヤーは全員共通のデッキでスタートし、好きな後継者候補のお姫様を迎え、支持を集めて彼女を帝位につけるために尽力します。

基本セットで選べるお姫様(プリンセスカード)は6種類。各人が個性豊かで、それぞれ特殊な能力を持っているので、自身の戦略に合ったキャラクターを選ぶもよし、見た目の好みで選ぶもよし。有名イラストレーターを起用した姫たちのイラストは美麗で、このゲームの大きな魅力となっています。

勝利するためには“継承点”を20点集めることが必要です。領地カードを使って税収を確保し、さまざまな効果を持つ行動カードを購入してデッキを強化したり、継承点を得る継承権カードを獲得して自陣営を勝利に近付けていかなければなりません。

かわいいカードイラストながらもゲームは本格的なデッキ構築型で、他者を妨害するカードもあるなどプレイ感は辛口。拡張セットの『極東辺境領』『六都市同盟』や、デジタルゲーム版(Steam版)の『HEART of CROWN Online』も発売されています。

ハートオブクラウン 概要】
メーカー:FLIPFLOPsGames
プレイ人数:2~4人
対象年齢:12歳~
プレイ時間:約20~40分


デッキ構築型のゲームはリプレイ性と中毒性の高さが特徴です。ひとたびハマってしまえば、繰り返し何度も遊びたくなるのです。プレイの選択肢が多く、自分なりの戦い方を楽しむことができるのも大きな魅力。自分が思う通りのデッキや、オリジナリティが高いデッキを組んで勝てたときの快感は特別なものがあるでしょう。

また、カード主体でプレイするため、カードゲームが好きなプレイヤーと親和性が高いこともメリット。TCGをやっている友達をボードゲームの沼に引きずり込むのに最適です。近くにTCGプレイヤーがいたら、ぜひともプレイに誘ってあげてください。

他にも、8人用ゲームの記事で紹介している『チャレンジャーズ』や、1人用ゲームの『破宮のデクテット』『ロビンソン漂流記』などもデッキ構築型のゲームなので、ぜひこちらの記事もあわせてご覧いただければと思います。

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