近年、2人専用のボードゲームがたくさん発売されており、人気タイトルもいくつかあります。記事“サクっと2人で!軽めに楽しむ2人専用ゲーム8選”では、そのなかから手軽に楽しめる短いゲームを中心にご紹介しました。
今回は、プレイ時間が30分を超えていたり、ルールが少し難しかったりする、どちらかといえば慣れた人やゲーマー向けの2人専用ゲームを8つご紹介します。
やりごたえがある2人用ゲームを探していたり、前回ご紹介したタイトルに物足りなさを感じていたりする人にオススメです。
※五十音順に紹介しています。
ウィザーズカップ
編成と順番だけ決めていざ対決! 手軽にバトルできる対戦型カードゲームの新定番
すべて能力が違う全16枚で構成されたカードを使って戦う対戦型のゲーム。デザイナーは『ラブレター』で知られるカナイセイジ氏です。
使うカードセットは敵味方同じものですが、まずそのなかから1枚を相手がランダムで引き、他のカードから5枚を選んで加えたものが自分のデッキになります。プレイヤーはその6枚のうち1枚をサブ(控え)とし、残った5枚を好きな順番に並べて上から出し合ってバトル開始。
カード同士には属性の相性があり、有利属性のほうが勝利します。同じ属性同士や、無属性のカードが戦う場合はカードに記載された数値(戦闘力)を比べて高いほうが勝ち。このルールでカードを次々と戦わせていき、最後まで生き残ったほうがバトルの勝者となるのです。カードには特殊能力を持つものがあり、倒されたあとに次のカードを強化したり、サブのカードと入れ替わったり、といったような効果で戦闘に影響を及ぼします。出撃順は、うまくカード同士のシナジー効果を発揮して個々の能力を活かせるような並びにしたいところ。
バトルは2本先取の3本勝負。決着するまでは6枚のカードを変更することができません。2本目以降は相手のカードにどんなものがあるか分かってくるため、サブのカードも含めた編成と順番決めが重要。勝負は一瞬で付くのですが、何度でもやりたくなる、奥深い戦略性を持った2人専用ゲームです。
ウィザーズカップ
2人用ガチ対戦。
16枚のなかから相手が引いた1枚+選んだ5枚でデッキを組んで好きな順に並べ(1枚は控え)、勝ち抜きデュエル。
デッキ編成と順番決めに面白さが凝縮された特色あるプレイ感。
カナイセイジさんらしく、少ないカードで奥深いバトルを実現。 pic.twitter.com/yIZaWrYSGY— アン@ボドゲ (@nohuddle13077) August 26, 2024
【ウィザーズカップ 概要】
メーカー:JELLY JELLY GAMES
プレイ人数:2人用
対象年齢:10歳~
プレイ時間:~30分
ジャイプル
ヒゲのおじさん商人が大活躍!? 市場に出回る6種の商品とラクダを売買して大儲けしよう
インドの商人の取引を扱った2人対戦ゲーム。プレイヤーは市場にある6種の商品を効率良く買い付け、より高く売却することでお金を稼いでいきます。
手番にできることは、基本的にふたつ。市場から商品のカードを手に入れるか、手持ちの商品をルピー(お金)と交換するかです。市場からカードを取る場合、1枚だけ取るか、手札やラクダカードとの交換で複数枚数を取るか、もしくはラクダカードだけをすべて取るかの3種の行動から選べます。ただし、手札枚数の上限は7枚と決まっており、これ以上になるアクションはできません。
商品は早めに換金したほうが高く売れるのですが、それぞれの商品ごとに売却時のルールがあり、さらに同じ種類の商品を3枚以上まとめて売るとボーナスが得られるため、タイミングの見極めが重要です。山札がなくなるか、品物トークンのうち3種類がなくなるとラウンド終了。このときルピーを多く持っていたほうが“優秀の証”をゲットし、先に“優秀の証”を2枚獲得すると勝利となります。
シンプルながらも運、駆け引き、選択と決断の要素が揃った2人用ゲームの傑作との呼び声高いタイトル。なお、日本のボードゲーム界ではまことしやかに噂されている都市伝説があり、それは「箱絵におじさんが描かれているゲームは面白い」というもの。『ジャイプル』は、その代表作として名が挙がることが多いのです。果たしてこの噂は真実でしょうか?
ジャイプル。負け。このゲーム軽めにやれていいね。
3枚以上購入ボーナスに固執しない方がいい時もあるな。特に安い商品。
ラクダの使うタイミングも重要。 pic.twitter.com/NXMdYrZ38R— じま (@haIuuu) March 11, 2023
【ジャイプル 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2人用
対象年齢:12歳~
プレイ時間:30~60分
スカイチーム
機長と副操縦士になって旅客機を空港にランディング! 無言の意思疎通がカギの協力ゲーム
2024年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作。2人用タイトルとして初めて同賞を受賞した作品となりました。
協力型のゲームで、ジェット旅客機の機長と副操縦士となり、それぞれの手番で自分が振ったダイスをボードに配置していきます。4個のダイスを配置すると1ラウンド終了。7ラウンド終了時点ですべての着陸条件を満たせばミッション成功です。
プレイヤーのふたりは、ダイスを使いさまざまな要素を調整して飛行機を無事に空港に着陸させなければなりません。そのためには、空港までの距離、機体の速度と傾きの調整、空や空港の状況などを把握し、安全に空の旅を遂行していく必要があります。プレイ中、ダイスを振ったあとは相談できないというところがポイント。無言で意思疎通を図り、相手の意図を汲み取った行動が求められるのです。
難度によりさまざまな空港が用意されており、1プレイが15~20分前後と短いこともあって、何度でも繰り返しプレイしたくなるタイトルです。
夏休み中、ずっとやりたかったのに出来なかったスカイチーム!
やっと遊べたよぉぉ✈️娘とケプラビーク空港にチャレンジ!初アイスブレーキ🧊
無事、着陸できました👏
きもちー!!たのすぃー!! pic.twitter.com/lpGgQRdYeC— メア💎 (@mezzo456) August 23, 2024
【スカイチーム 概要】
メーカー:すごろくや
プレイ人数:2人用
対象年齢:12歳~
プレイ時間:~30分
世界の七不思議:デュエル
名作ドラフトゲームの2人版! 歴史的建造物を建てて都市を建設
ドラフトでカードを獲得しながら建物を建てていく傑作『世界の七不思議』を2人専用にしたタイトル。元版にも2人用ルールがあるのですが、より特化した形になっています。
最大の特徴は、2人用に改良されたカード獲得システム。元版のドラフトは札のセットのなかから1枚獲得し、残りを隣のプレイヤーに渡していくというものですが、本作ではカードの列を表裏交互の段にして重ねながらピラミッド型に配置し、そこから獲得し合っていく形になっています。
手番でできることは、カードを獲得し、そのカードを建設するか、金に換えるか、もしくは七不思議を作るかの3つ。建物や七不思議の建設には資源・コストが必要ですが、建てると資源の生産力を得たり、ボーナスが獲得できたりします。勝利条件は、軍事力の優位による勝利、科学力の優位による勝利、終了時の得点(市民勝利)の3種類。どの勝ち方を目指すかによってもプレイの方向性が変わってきます。
七不思議は(7つと言いながら)候補が全部で12種あり、そこから最大7つが建設されます。いずれも価値と効果が高く、どの七不思議がゲームに登場するか、建設されるかによって、プレイするたびに違った展開になるでしょう。
ロマン溢れるフレーバーやアートワークなどの雰囲気はそのままに、名作を2人専用に落とし込んだ対戦型ゲームです。拡張セット『DUEL アゴラ』『DUEL パンテオン』も発売されました。
文明発展競争❗️
『世界の七不思議デュエル』
いつも嫁様に接戦で負け続け、リベンジ挑んで38対80文明崩壊レベル負け🤣
どーなってるの🤣嫁様の国は娯楽施設たっぷり、科学の力伸び伸び、7ワンダー4つ建設🏛️✨軍事力で侵攻したヌースを跳ね返し、縄文時代の貝塚VS令和のシュレッダーくらいの文明差🤣 pic.twitter.com/b4FvdobQzY— ザ・ヌース (@nusfrog) August 10, 2024
【世界の七不思議:デュエル 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2人用
対象年齢:10歳~
プレイ時間:30~60分
タルギ
配置がキモの2人用ワーカープレイスメント
砂漠の部族を率いて交易を行ない、対立部族より繁栄させることを目指すワーカープレイスメント(ワーカーと呼ばれるコマをボード上に配置してアクションを行うタイプのゲーム)。
このゲームは、ボードの代わりに5×5の形に配置したカードを用います。外側に並べる16枚の外周カードはアクションが書かれており、ワーカーを配置する場となります。内部の9枚はさまざまな効果や、獲得できる資源が書かれた部族カードが置かれます。
プレイヤーは、外周のカードに3個のタルギコマ(ワーカー)を交互に配置していきます。そして、外周のワーカーを置いたカード3枚と、ワーカー同士の交点になる内部の部族カードのアクションを実行。商品を獲得したり、コストを払って特殊能力を持つ部族カードを獲得したりするのです。資源を獲得したり、プレイヤーが取った部族カードはフィールドから除き、代わりに新たな部族カードを置きます。
12ターンが終わるか、どちらか一方が部族カードを12枚獲得したらゲーム終了。獲得した勝利点が高いほうが勝ちとなります。獲得した部族カードは自分の前に4×3の列で置いていくのですが、組み合わせや並べ方によって得点が変わるため、セットコレクションや配置の要素も加わります。
やること自体はシンプル。しかしアクション発動や商品獲得のシステムが独特で、ワーカーを配置する場所や、獲得した部族カードの配置など考えどころが多く、悩ましくも楽しいゲームです。
家庭内ボドゲ
タルギ
2人で行うワーカープレイスメント。お題のある資源変換ゲームと考えると珍しくないかもだけど、5ワーカーあるそのうち2つは外周に置いたワーカーの交点で勝手に置かれる。コレが非常になやましい。時間の割にガッツリ感も有って良い。 pic.twitter.com/bb74Jf16aj— 塩@ゲムマ2024秋【ブリッゲンダイス】 (@nobirobeisan) October 16, 2023
【タルギ 概要】
メーカー:グループSNE
プレイ人数:2人用
対象年齢:13歳~
プレイ時間:30~60分
トゥールームス
吸血鬼の館に潜入! 協力して敵を倒し、少女を救出せよ
2人協力型のボードゲーム。吸血鬼の館に迷い込んだ少女ニーナを見つけ出し、館の主人マントを倒すことが目的です。
プレイヤーは、手番にふたつの部屋のボックスのどちらかに山から引いたキャラクターを入れ、部屋のなかでどのようなことが起こるかを解決します。この際、手番でないプレイヤーは目を閉じ、相手が何をしているか見てはなりません。カードの効果をすべて処理したら「クローズ」を宣言し、手番が相手に移ります。
キャラクターカードには行動順の数字と能力が記されており、部屋の処理をする際は数字が小さいキャラクターから行動します。キャラクターは味方だけでなく、吸血鬼や、そのしもべといった敵も含まれており、結果次第では味方、もしくは敵の誰かが負傷します(負傷者が出た場合は、相手に手番を渡すときの宣言を「ブラッド」とします)。手番での選択肢は、引いたキャラクターカードを赤と緑のどちらの部屋に入れるかだけ。しかし、相方が何を考えて行動したか、その結果どのようなことが起こったかを予想し、より的確な選択をしていかなければなりません。
勝利条件はマントを負傷させ、ニーナが赤の部屋、緑の部屋、山札のどこにいるかを当てること。ニーナ、もしくは一部キャラクターが負傷してしまったり、山札が無くなった際にマントが負傷していない場合はプレイヤーの敗北となります。ゲームの難度はいくつか用意されており、難度ごとにキャラクターカードが追加されます。成功したらより高いレベルに挑戦していくといいでしょう。また、音を立てるだけでもヒントになってしまう可能性があるので、プレイ時はマットを引いたり、タオルやハンカチを敷くなどすると良いと思います。
ボックスを部屋として利用するコンポーネント、物語としてゲームの背景を知ることができる2冊のストーリーブックなど雰囲気を盛り上げるしかけもあり、プレイ感は独特。2人用の協力型ゲームをプレイしてみたいという方にオススメのタイトルです。
『トゥールームス』
2人専用の協力ゲーム!
山札から1枚カードを引き、緑か赤の扉を選び中のカードの効果を処理。
最終的にマント(敵)を倒しニーナ(ヒロイン)の場所を当てる。
相手手番中に目を瞑り何をやっているか予想するの楽しい!
難易度2だけど満足感凄い!🦇✨ pic.twitter.com/4a4mgdMiIm— ひ~す(スルワン星人) (@ahleiacteh) July 28, 2024
【トゥールームス 概要】
メーカー:JELLY JELLY GAMES
プレイ人数:2人用
対象年齢:10歳~
プレイ時間:~30分
パッチワーク
タイルを組み合わせてパッチワークを作り上げよう! 美しいコンポーネントが魅力の配置ゲーム
キルトの端切れのタイルをボードにはめ込んでパッチワークを作っていく配置ゲーム。正方形を組み合わせた形を“ポリオミノ”と呼びますが、『パッチワーク』はポリオミノタイルを用いたゲームのひとつです。
プレイヤーは手番に布地タイルを獲得し、9×9のゲームボードに置いていきます。この際、できるだけ空いたスペースが少なくなるように置いたほうが得点が多くなります。なお、タイル獲得にはボタンが必要で、ボタンは一部タイルを獲得したときや、一定ターンが経過した際、もしくは手番をパスするともらえます。布地タイルを配置すると、時間が経過します。お互いの時間の経過は時間ボードによって示されており、より時間を使っていないプレイヤーが先に手番を行います。
ルールは簡素ですがゲーム性は高く、獲得するタイルの選択と配置する場所、さらに時間の進め方といった要素が絡み、考えどころがたくさんあります。キルトをテーマとした鮮やかなコンポーネントはとても見栄えが良く、ボードゲームカフェなどに2人で行くと、よく勧められるタイトルでしょう。今回は本格的なタイトルとして紹介しましたが、初心者の方にもおすすめです。
デザイナーはウヴェ・ローゼンベルク。彼は『ノヴァルナ』や『アップルジャック』といった配置ゲームを作っていますし、『アグリコラ』をはじめとする数多くの作品に配置の要素が入っており、タイル配置を多用するデザイナーでもあります。
『パッチワーク』は、
お金を稼いで、素材を購入し、パッチワークを作るゲームです。
素材は、安いと時間がかかったり、置きにくかったり…高いと収入が増えたり、形が置きやすかったり…そこのバランスが絶妙です。埋めきると快感w
2人ゲームに迷ったら、まずはコレ的ゲームですw#パッチワーク pic.twitter.com/G6keHbhXun— KEITA (@KEITA78678497) March 30, 2023
【パッチワーク 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2人用
対象年齢:8歳~
プレイ時間:~30分
宝石の煌き:デュエル
拡大再生産の名作を2人プレイ専用に! インタラクション度アップで、ガチな対戦が楽しめる
プレイヤーは宝石商ギルドの長となり、得意先の貴族のために宝石を集めてより威厳のある装飾品を作っていきます。『世界の七不思議:デュエル』と同じく、名作の2人専用版。元となった『宝石の煌き』は、カードを獲得するたびに生産されるリソースが増えてさらに高い価値のカードを獲得できるようになる“拡大再生産”と呼ばれるジャンルのゲームで、本作もそのシステムを受け継いでいます。
元版と比べると要素が増えており、カード獲得時に手番が1回増えたり、相手のリソース(宝石トークン)を奪ったりするなど、より対戦を意識したシステムになっていることが特徴。宝石トークンの獲得方法は、場にあるトークンを3種1枚ずつ取ることができた元版から変更されており、5×5のボード上にランダムで配置された宝石トークンのうち、隣り合った3個が獲得できるようになっています。
宝石トークン獲得に関連するルールの改訂が絶妙で、経験者なら思い通りのトークンが手に入らずにもどかしく感じるのではないでしょうか。そのぶん、カード獲得時の特殊効果や、ボード上の好きな宝石トークンを入手する“巻物トークン”などの追加ルールによってリソースの獲得方法が多様化しており、さらに勝利条件が複数用意されたことで、インタラクション性が高まりました。
元版をプレイしたことがあるならすぐにルールは理解できるはず。2人専用として追加された新たな要素によって、慣れたプレイヤ―でも新鮮に楽しめるでしょう。より“ガチ対戦度”が増した『宝石の煌めき』、ぜひプレイしてみてください。
今日は『宝石の煌き:デュエル』をプレイ!
久々に遊びましたがやっぱり面白い!😆✨
宝石を集めてカードを取り、より宝石が取りやすくなっていくおなじみの拡大再生産ゲーム!💎デュエル版だと至る所で相手とのやり取りが発生するので、バチバチな読み合いがクセになります🤤
↓続く#ボードゲーム pic.twitter.com/HoyvWzvgDl
— MerryMerryBoardGames (@MerryMerrybg) June 4, 2024
【宝石の煌き:デュエル 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2人用
対象年齢:10歳~
プレイ時間:30~60分
いかがだったでしょうか。軽めの2人用ゲームを紹介した前回記事と比べ、今回はややルールが複雑で、ゲーム性や戦略性が高いタイトルを集めてみました。
ドイツ年間ゲーム大賞2024を『スカイチーム』が受賞し、2人専用ゲームの注目度と人気が増してきています。また、今回ご紹介したもの以外にも『アグリコラ 牧場の動物たち』や『イッツアワンダフルキングダム』など、名作タイトルの2人専用版が次々と発売されてもいます。
ガチで対戦したり、パートナーと意思の疎通を図ったり……。多人数で遊ぶものとは趣が違いますが、2人専用ゲームの楽しさは特有のものがあります。もし相手となるプレイヤーがいるのであれば、ぜひプレイしてみてほしいと思います。
また、合わせてこちらの記事もぜひご覧ください。