10月2日は、芸術を楽しむ日です。
日付けの「美じゅ(10)つ(2)」という語呂合わせで制定されました。1918年に発行された雑誌『新潮』の中で“美術の秋”という記載があったので、芸術の秋という言葉が広まったそうです。夏から秋に季節が変わり過ごしやすい気候になり、ストレスが減って心の負担もなくなるので芸術を楽しむ余裕が出来ると言われています。他にも仁科展、日展、院展などの大規模の展覧会が集中しているのも芸術の秋と呼ばれる所以です。
そこで、実際にゲーム中に何かのオブジェを作ったり絵を完成させたりするボードゲームを10タイトル紹介します。遊びながら、実際にアートが生み出されるのは楽しい以外の感情が芽生えるはず。気軽に芸術してみましょう!
バルバロッサ
〈バルバロッサ/3〜6人/12歳〜/60分〉
各々が粘土で作った物が何かを当てるパーティーゲーム。
ねんどを2つ受け取り、紙に答えを書いたらねんど細工を2つ作ります。自分の手番では、サイコロを振ってコマを進めて止まったタイルの指示に従います。止まったタイルによっては、作った人にお題に関する質問したり、お題の何文字目が何かを教えてもらったり、徐々に答えに近付いていきます。答える事の出来るタイルに止まったら、答えを紙に書いてねんど細工を作った人に正解か不正解かを確認します。当たった場合は得点獲得。当てられた人は、何人目に当てられたかによって得点が変わってきます。すぐに当てられればマイナス点、何人かハズレた後に当てられると高得点になっています。先に規定点数に達した人の勝ちです。
ねんどで何を作ったのか当て合うボードゲームです。しかもすぐに分かるとマイナス点なので、分かりにくく抽象的に作りながら分かる人には分かるオブジェを作る必要があります。上手すぎてはいけない……このジレンマがゲームを面白くしています。『カタン』を作ったクラウス・トイバーの作品で、1998年のドイツ年間ゲーム大賞に選ばれている傑作です。
めかくしねんど
〈めかくしねんど/3〜6人/6歳〜/30分〉
目隠しをして作った粘土細工が何かを当てるパーティーゲーム。
1人が出題者になり、残りの人が回答者になります。出題者はテーマに沿ったお題をホワイトボードに記入して、ねんどを持ったら目隠しをします。3分の間にお題のねんど細工作ります。作ってる間、回答者は何度でも質問をすることが可能です。回答者は完成したねんど細工を見て、答えを紙に書きます。当たっていれば得点獲得ですが、正解した人が少なければ高得点になっています。全員が出題者をやったら、最終的な得点を比べて最も高い人の勝ちです。
上記の『バルバロッサ』をシンプルに改良したようなゲームになります。正解した人が少なければ出題者も高得点を獲得出来ますが、誰も答えられないとマイナス点になります。分かりにくくて見る人が見たら分かるねんど細工を目隠しで作るのはかなり大変な作業です。
おえかきネハンズ
〈おえかきネハンズ/1〜10人/10歳〜/30分〉
カードで指定された通りに涅槃図を描く紙ペンゲーム。
白い紙とペンを受け取ったら、衆生カードをめくり描いてあるキャラクターを紙に書きます。全ての衆生カードに描いてあるキャラクターを紙に描いたら、得点計算。絵解きカードに書かれた条件通りにキャラクターを描いていたら得点獲得。最も点数の高い人の勝ちです。また、協力ルールでは全ての条件を満たすようにキャラクターを描くのを目指します。
沙羅双樹の下で北枕で横たわるお釈迦様の周りを弟子や動物が取り囲んで悲しむ涅槃図を描く唯一無二のボードゲームです。特に協力ルールでは、1人でA4サイズの紙を担当して4人の絵を合わせるのでB4の大きさの涅槃図が完成します。ただただありがたいゲームですね。ようかくじ不二の会がゲームマーケット2023春に発表したボードゲームです。
エセ芸術家ニューヨークへ行く
〈エセ芸術家ニューヨークへ行く/5〜11人/8歳〜/20分〉
お題を知らずに絵を描いているエセ芸術家を当てる正体隠匿ゲーム。
全員に同じお題が書かれたホワイトボードを渡しますが、エセ芸術家の1人だけは何も書かれていないホワイトボードが渡されます。この状態で、1枚の紙にペンで一筆書きでお題に沿った線を描きます。1人ずつ線を描いて全員2回ずつ描いたらゲームの前半終了。ゲームの後半はお題を知らずに絵を描いているエセ芸術家が誰なのか、全員で投票をします。投票結果でエセ芸術家じゃない人が最多票になったらエセ芸術家の勝ち。エセ芸術家が最多票になったらエセ芸術家の負けですが、完成した絵を見てお題を当てれば逆転勝ちとなります。
分かりやすくイラストを描くとエセ芸術家のヒントになり、変に描くと他の人にエセ芸術家だと疑われてしまうのが面白い正体隠匿ゲームです。言うなれば、お絵描きの人狼。最終的にはみんなで1枚の絵を完成させる事になります。お題を知らない人の線、ごまそうとしている人の線が組み合わされて味わい深い世界に1つだけの絵になるはず。
いろかたおりがみ
〈いろかたおりがみ/1人/6歳〜/5分〉
折り紙を指定された回数折って、お題と同じ形にするパズルゲーム。
オリジナルの柄の折り紙を受け取ったらゲームスタート。カードに書かれた回数だけ折ってお題と同じ柄と形にします。お題と同じ柄・形にした人の勝ち。
FullPowerSideAttack.comがゲームマーケット2015秋に頒布した作品で、完売した話題作。驚きなのが、折り紙のPDFデータと問題を公開しているので無料ダウンロードが可能になっています。プリントアウトすればタダで遊べちゃいます。気になる方はコチラからどうぞ。
3回折るだけの簡単なゲーム
〈3回折るだけの簡単なゲーム/2〜6人/14歳〜/5分〉
折り紙を3回だけ折って、合わせ鏡の前に置いてお題通りの柄を作るパズルゲーム。
オリジナルの柄の折り紙を受け取ったらゲームスタート。お題の柄になるように折り紙を3回だけ折って、90°に開いた鏡の間に置いて、お題と同じ柄になった人の勝ち。
ただ折るだけではなく、鏡に反射させて柄を作るという変わりダネ。複数人で競うことも出来ますが、問題は32問あって1人でストイックに全問正解を目指すパズルゲームですね。
ORIGAMI鑑定
〈ORIGAMI鑑定/4〜6人/4歳〜/30分〉
折り紙でお題に沿った作品を作り鑑定人に審査してもらうパーティーゲーム。
1人が鑑定人になり、残りの人が作家になります。作家は4色の折り紙を受け取り、鑑定人はカードをめくって今回のお題を発表します。作家はお題に沿った折り紙を1分で作ります。鑑定人は全員の作品を見て、順位を付けます。順位が高いほど高得点になります。4回行って全色を使ったらゲーム終了で、最も点数の高い人の勝ちです。
折り紙で何かを作り上げるゲームですが、制限時間1分なのでぐしゃぐしゃと丸めただけの作品が作られるのも可笑しいゲームです。お題が色の要素もあるので「さっき赤い折り紙使っちゃった!」という運要素もあります。
ソーイングアート
〈ソーイングアート/2〜4人/7歳〜/30分〉
フェルトに毛糸2本で手縫いしてお題通りの作品を作り、何かを当てるパーティーゲーム。
1人が出題者になり、残りの人が回答者になります。出題者はカードをめくって、今回のお題を確認します。出題者は毛糸を2本選び、穴がたくさん空いているフェルトに毛糸を縫ってお題を表します。完成したら回答者がお題を答えて、当たったら出題者も回答者も得点獲得です。全員が出題者を行って、得点の高い人の勝ちです。
ペンで紙に絵を描くボードゲームは多々ありますが、毛糸でフェルトに何かを描くのはこれくらいでしょう。普段の生活ではあまりやる事のない作業で表現するのがかなり新鮮。楠Gamesがゲームマーケット2023秋で発表した斬新なゲームです。
フォトムズ
〈フォトムズ/2〜6人/6歳〜/20分〉
建物を置いて、指定された動物が写るように写真を撮る協力ゲーム。
建物と動物が描かれた建物カードをテーブルの上に並べます。カードと言っても、折り曲げて立てることが出来るのでいくつか並べるとそれなりの街が完成します。全員がスマホ1台を持ったらゲームスタート。全員に撮影すべき動物が書かれたフォトリストを配ります。フォトリスト通りの動物が1枚の写真に収まるように写真を撮ります。シャッターチャンスは一度だけで、全員が条件を満たせれば目標達成です。
フォトリストには撮影してはいけない動物も書いてあって、指定された動物が全部画面内にいると思って撮影したら余計な動物かチラッと写って大盛り上がりするゲームです。ゲームが終わった後はアーティスティックな思い出の写真が残ります。
ピクチャーズ
〈ピクチャーズ/3〜5人/8歳〜/30分〉
各々が担当する道具で写真を表現するパーティーゲーム。
16枚の写真カードを並べて、トークンをめくって自分が当てて欲しい写真を決定します。次にカラーキューブ・積み木・2本のヒモ・アイコンカード・石と棒のいずれかを担当して、自分の写真を表現します。全員同時に作った物を発表して、誰が何の写真を再現したのか予想します。正解を確認して、当たった人は得点獲得、当ててもらった人は当てた人数が得点になります。これを繰り返して、最終的に得点の高い人が勝ちです。
人に何かを伝えるのに言葉や文字は使えず、積み木やヒモで表現することのもどかしさが味わえます。なんとか伝えようと四苦八苦して創意工夫をしている姿を見ていると、みんなが前衛のアーティストに思えてきます。
芸術って格式高くて難しそうという苦手意識を持ってる人もいるかもしれませんが、遊びながらアートに触れてみましょう!