ボードゲームのデジタル版は何度かご紹介していますが、その逆、デジタルゲームのボードゲーム版もたくさんあるのはご存知でしょうか。
ボードゲームのデジタル版は、ほとんどの場合アナログ版をそのままデジタル版としてPCやゲーム機でプレイできるようにしたものです。一方で、デジタルゲームのアナログ版はフレーバーやキャラクターなどを受け継ぎつつも、システムやルールといったものはアナログゲームにするにあたってほぼ一新されます。さらにプレイ人数も、ほとんどのデジタルゲームが一人用であるのに対し、ボードゲームは多人数用。世界観を同じにしながらゲームのプレイ感や面白さのポイントが変わっているタイトルもあり、“アナログゲームならではの楽しさ”を感じられるのです。
今回は、デジタル版を知らなくても楽しめる、知っていればさらに楽しい“デジタルゲームをボードゲーム化したタイトル”を7つほどご紹介しましょう。
※五十音順に紹介しています。
シドマイヤーズ シヴィライゼーション:新たな夜明け
古の文明を率いて世界に覇を唱えよ! 歴史ロマンに浸ることができる一作
シド・マイヤーズによる傑作ストラテジーゲームシリーズから、『シヴィライゼーション6』をベースとしてボードゲーム化したタイトル。デジタル版と同じく、本作も歴史上の著名な指導者となり、自身が属する文明を率いて興隆を競います。
▲PS4版『シヴィライゼーション6』トレイラー
手番ですることは、手札から1枚を選んでプレイするのみ。しかし選択肢は幅広く、外交、交易、レガシーの建設、そして戦争とさまざまな行動をとることができます。
プレイアブルな勢力として非対称の8つの文明が用意されているうえ、拡張セット『シヴィライゼーション:未踏の大地』も発売されており、その世界観にハマることができれば繰り返し遊ぶことが可能。マルチプレイヤーズゲームのスリルと歴史ロマンに浸ることができる一作となっています。
なお、同じテーマを扱ったタイトルとして2010年に『シヴィライゼーション:ボードゲーム』というタイトルが発売されていますが、本作とは違うものです。また、『Civilization』(邦題『文明の曙』)、『Mega Civilization』(邦題『大いなる文明の曙』)も混同されがちですが、こちらもまったく違うゲームです。
シドマイヤーズ シヴィライゼーション:新たな夜明けをプレイ。
元のシドマイヤーズ シヴィライゼーションよりだいぶ軽い。準備とインストで2時間、プレイ3時間だった。
あまり戦闘しないウォーゲーム。でも後半は戦闘も大事っぽい。
負けたと思ったが終盤
怒涛の目的達成で逆転勝利。気持ちよかったw pic.twitter.com/1UEJie4V2Z— じん (@jin_777) February 27, 2022
【『シドマイヤーズ シヴィライゼーション:新たな夜明け』概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:約60~120分
チョコボの不思議なダンジョン ボードゲーム
迷宮に挑むチョコボをみんなで導こう!
ローグライクゲームとして人気の『チョコボの不思議なダンジョン』を、協力型のボードゲームにした一作。プレイヤーはダンジョンを進むチョコボを誘導し、最深部に潜むボスモンスターを撃破すれば勝利となります。
🐤キュピーー!
『チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ!』
トレーラー初公開だぜ!これからもどんどん新情報を発信していくので、
みんな忘れずに【フォロー】してくれよな!#チョコダン #チョコボの不思議なダンジョン pic.twitter.com/W0tiyPeG54— 公式『チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ!』 (@Chocobo_JP) September 20, 2018
プレイヤーは全員が手札を1枚出し、一斉にオープン。出したカードにより、取れる行動と、その行動におけるパワー(効果量)が決定します。このため、どのアクションを実行するべきか、どれぐらいのパワーで行うかについて、プレイヤー間の意思の統一が重要。出したカードを開く瞬間は大いに盛り上がることでしょう。
かわいいチョコボの木駒をはじめ、豪華で楽しいコンポーネントとアートワークは魅力たっぷり。一方で難度はなかなかの辛口で、熟練のゲーマーでもじゅうぶんな歯応えが感じられるはず。失敗すると悔しくて「もう1回!」となることうけあいのタイトルです。
#ボードゲーム
昨日遊んだボードゲーム
「チョコボの不思議なダンジョン」
協力してチョコボを脱出させるっていうのん。
一回全滅したけど無事極オメガ撃破!
次会って遊ぶ時には絶オメガ踏破だぁ。
最後裏向けで何が出るかわからないドキドキ感もあったり、それぞれ出すカードを読み合って盛り上がる pic.twitter.com/qIAlLGMb3Z— 琥珀色の月 (@luar_kohaku) January 14, 2024
【『チョコボの不思議なダンジョン ボードゲーム』 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:1~4人
対象年齢:13歳~
プレイ時間:30~60分
Dead by Daylight: The Board Game
闇の儀式からの脱出! サイコパス殺人鬼vs逃亡者の激闘
原作ゲームは、動画実況などでも大人気の非対称型対戦ホラーゲーム。ひとりがキラー(殺人鬼)、残りのプレイヤーが逃亡するサバイバー(生存者)となり、キラーは他のプレイヤー全員を吊るして殺害すること、サバイバーはフィールド内にある発電機を動かすことを目指します。ボードゲーム版のデザイナーはブラッド・タルトン(他に『ミレニアム・ブレード』など)。
▲デジタルゲーム版『Dead by Daylight』トレイラー
手番では、キラーが2枚、サバイバーは1枚移動カードを出して一斉に公開、手番順(サバイバー→キラー)に移動を行います。キラー、サバイバーともにそれぞれが特殊な能力を持っており、組み合わせでシチュエーションが変わるため、リプレイ性は高め。圧倒的な強者ながら単独での戦いを強いられるキラーと、常に殺人鬼の脅威を感じながらの逃走となるサバイバーの両者の緊張感が原作そのままに再現されています。
キャラクターのコマは全員がフィギュア化されており、キラーがサバイバーを吊るす際は実際にコマを吊り下げるので、雰囲気抜群。コンポーネントも原作のおどろおどろしさ、息苦しさが感じられるダークなイメージでまとめられており、ゲームのファンはもちろん、ホラー好きにの人にもおすすめできます。
「Dead by Daylight: The Board Game」も遊ばせてもらいました。
原作は見たことしかないけれど、割りと上手くアナログ化している部類な気がする。シンプル目にまとめてあるけれど、原作プレイヤーがボードゲームに興味を持つきっかけしてはよいかも? pic.twitter.com/ZlGUZWyx8z— arsenic@Tempered GAMES (@asclannasdango) June 10, 2023
【『Dead by Daylight: The Board Game』 概要】
メーカー:Asobition/アソビション
プレイ人数:3~5人
対象年齢:12歳~
プレイ時間:30~60分
ドーフロマンティック ボードゲーム
タイル配置で美しい村を作り上げるレガシーゲーム
ドイツ年間ゲーム大賞2023受賞作。デザイナーはミヒャエル・パルム&ルカス・ツァッハ(『アンドゥ』シリーズ、『バン!:ダイスゲーム』など)のコンビ。原作はタイルを配置して村を拡大させていくパズルゲームで、畑や風車などの田園風景の美しさが話題となっていました。
▲Nintrendo Switch版『Dorfromantik』トレイラー
ボードゲーム版は、タイル配置とタスクのクリアーで村を作り、得点を得ていくシステムを受け継ぎつつも、シナリオを進めるごとに秘密の箱を開封して新たなコンポーネントやルールが追加されていくレガシー要素を導入。次のプレイではさらにできることの幅が広がり、ゲームが進化していきます。
プレイヤー同士が高得点を狙って競争しつつ、共に村を拡大していく協力的な部分と、レガシー要素でゲームを進化させていくワクワクが組み合わさり、そのプレイ感は唯一無二のものに。基礎の部分はシンプルながらも、何度もプレイすることで多種多様な展開が楽しめる傑作です。
2人対戦専用とした独立拡張『ドーフロマンティック ボードゲーム:対決』も発売中。こちらは2人で遊ぶだけでなく『ドーフロマンティック ボードゲーム』用の拡張セットとしても用いることも可能となっています。
今年の星屑会は、通年で #ドーフロマンティック をプレイする。
メンバーを入れ替えながら、会としてキャンペーンを続けて、計12回でどこまで進めるか…!
初回は85点で放浪者となったものの、最初の一歩を踏み出した! pic.twitter.com/P2Z2CIsbiR
— 星屑@大分県宇佐市でボードゲーム! (@HoshikuzuTp) January 14, 2024
【ドーフロマンティック ボードゲーム 概要】
メーカー:テンデイズゲームズ
プレイ人数:1~6人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:30~60分
ファイナルファンタジー モーグリ6兄弟のモブハント ボードゲーム
※写真はスクウェア・エニックスのサイトより引用
他プレイヤーと駆け引きしながらモンスターをハント!
指名手配されたモンスターを倒すことで報酬を獲得する『ファイナルファンタジーXIV』のゲーム内コンテンツ“モブハント”をテーマとしたボードゲーム。デザイナーは『ラブレター』のカナイセイジ氏です。
▲モブハントが実装された『ファイタなるファンタジーXIV』パッチ2.3のトレイラー
プレーヤーはモーグリ6兄弟となり、モンスター討伐ミッション“モブハント”に挑みます。モーグリ6兄弟は、それぞれに対応したカードセットが用意されており、手札同士や、追加で1枚引くヒーローカードとの組み合わせによってさまざまな効果を発動可能。手番に攻撃可能なモンスター2体、もしくは中央に出現するボスモンスター“ヤズマット”のどれかに表向きで手札を1枚ずつ配置していき、6手番が終わったあとでそれぞれのモンスターに対しての成果を競います。各場所に1枚ずつ裏向きでカードを出してもよいので、何を出したか分からなくすることで隣接プレイヤーを惑わせることも可能です。
『ファイナルファンタジーXII』のアートデザインを担当した伊藤龍馬氏の描き下ろしによるヴァンやパンネロなどのヒーローカード、モンスターカードのイラストも魅力的。シンプルなルールと短い時間でプレイできるゲームながらも、カードの配置場所や組み合わせ、どのカードを裏向きに出すかなど、戦略や駆け引きの要素が凝縮されたタイトルです。
ファイナルファンタジー モーグリ6兄弟のモブハント 4人
ff12テーマのカードゲーム。
6つの固有デッキから1つ選び中央、右隣り、左隣りの3箇所で数比べ。手番が来たら手札からカードを1枚3ヶ所のどこかに配置して1枚補充して手番終了。6手番やって判定してゲーム終了。#ボドル22 pic.twitter.com/XUO8Wdy92g— アイランド (@Irand00) December 14, 2024
【『ファイナルファンタジー モーグリ6兄弟のモブハント ボードゲーム』 概要】
メーカー:スクウェア・エニックス
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:15分前後
フォールアウト:シェルター ボードゲーム
※写真はホビージャパンのサイトより
地下シェルターを開発し、住環境を整えるワーカープレイスメント
核戦争後の荒廃した近未来の世界“ウェイストランド”を舞台としたオープンワールドRPGの人気シリーズ『Fallout』のうち、シェルターの開発と拡大を扱った異色のスピンオフ作品『Fallout Shelter』をワーカープレイスメントのボードゲームとしたタイトル。デザイナーはアンドリュー・フィッシャー。
▲スマホ版『Fallout Shelter』トレイラー
プレイヤーは核シェルターの管理者。居住者の確保、リソースの獲得、災害・モンスターや外敵の襲撃への対策などを通じて居住者たちの幸福な生活のため尽力し、コミュニティーの繁栄を目指します。登場するアイテムやクリーチャーは原作ゲームそのまま。ワーカーのミニチュアフィギュアやトークンをふんだんに使い、独特な世界観を見事にアナログゲームに落とし込んだ雰囲気満点のタイトルです。
なお、同シリーズをボードゲーム化したタイトルは、他にも同じデザイナーによる『Fallout』(ホビージャパン)があります。こちらはスピンオフ作品ではなく正調のメインシリーズを扱ったもので、冒険者となって様々なクエストを達成していくゲームとなっています。
日曜日はJ☆Pへ
まずはフォールアウトシェルターボードゲーム
原作の有るボードゲームらしい?
軽めのワーカープレイスメント pic.twitter.com/0z6eEFCo0D— 大原 由紀夫 (@yukio052716) December 25, 2023
【フォールアウト:シェルター ボードゲーム 概要】
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:約60~90分
マインクラフト ビルダーズ&バイオーム
“マイクラ”をボードゲームに! ブロックを積み上げて建物を建設&武器を拾ってモブとバトル
大人気ゲーム『マインクラフト』をボードゲーム化したタイトルです。プレイヤーは4×4に並べられたタイルの上を移動しつつ、ブロックを集めたり、モブ(敵)と戦ったり、武器を集めたりしていきます。モブの撃破やブロックを使って建物を建設するとポイント獲得。積み上げられていたブロックがなくなるとゲーム終了で、獲得ポイントが多いプレイヤーの勝利となります。
▲『マインクラフト』15周年記念無料マップ紹介トレイラー
ブロックで建物を建設したり、モブとのバトルなどで『マインクラフト』を忠実に再現。さらにタイル配置によるフィールド、武器などのアクションタイルを使ったデッキ構築といったボードゲーム特有の要素も融合されており、『マインクラフト』をプレイしていない人やボードゲーマーも存分に楽しめるようになっています。拡張セット『マインクラフト:ビルダーズ&バイオーム 拡張パック ファーマーズマーケット』も発売中。
なお、原作ゲームが世界的な人気を誇るだけあって、本作のほかにも『マインクラフト』をテーマとしたボードゲームは数多く出版されています。地下世界・ネザーからの脱出を目指す『マインクラフト:ポータル・ダッシュ』、モンスターと戦いながら廃村を再建する『マインクラフト:ヒーローズ』、モブを倒しながらアイテムを揃えていく『マインクラフト:エクスプローラーズ カードゲーム』といったタイトルがありますが、いずれも協力型ゲームです。『マインクラフト』をプレイしている家族を誘ってプレイするのも良いかもしれません。
マインクラフト ビルダーズ&バイオーム
めちゃくちゃ面白かった、選択肢の少し多いタイル配置ゲーム+ちょっとのデッキビルドって感じのシステム
めくり運にかなり左右されるけど、わりと軽めのゲームなので繰り返し遊べる! pic.twitter.com/TOCYYJ5Rjr— 伽ス@Absackerのマスター (@ikaros009) October 26, 2023
【マインクラフト ビルダーズ&バイオーム 概要】
メーカー:ブリオジャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:30~60分
いかがだったでしょうか。
今回紹介したもの以外にも、デジタルゲームをテーマとしたボードゲームはたくさんあります。これまでの記事でも、ソロゲーム『Slay the Spire』を多人数用のボードゲームにした『Slay the Spire: The Board Game』をデッキ構築ゲームとして紹介しています。
■デッキ構築型ボードゲーム8選! 手札を揃えて強力なコンボを発動させよう!!
https://broad.tokyo/column/35524
ボードゲームデザイナーにデジタルゲーム制作の経験者が数多くいるように、アナログゲーム、ボードゲームのあいだの垣根は低く、両方を楽しむユーザーが多いこともうなずけます。今回ご紹介したボードゲームは、原作ゲームを知らないボードゲーマーでもじゅうぶんに楽しめるよう工夫されたものになっているので、未プレイであればぜひ一度触れてみてください。