【ゲムマ2022秋】伝統ゲームコーナー『ラミィキューブ』、Mリーグ、テーブルトークRPG、「BitSummit」などを紹介!【特設ブース編】

イベント参加者数や出展ブース数など、少しずつコロナ禍前の雰囲気に戻ってきたゲームマーケット。その「少しずつ戻ってきた」部分を実感できたひとつに、特設ブースがある。

企業による「エリアブース」、個人サークル等を中心とした「一般ブース」以外に、企画出展などの「特設ブース」が、ここ2年ほどお休みしていたものが復活。こうした雰囲気もあって、参加人数以外の部分でも戻ってきた印象を強く感じたのかもしれない。

本稿では、ゲームマーケット2022秋における特設ブースを中心に、普通のボードゲームとはちょっと違う出展も紹介していく。


試遊ブースが大賑わい!70周年を迎えた『ラミィキューブ』
ブース出展の“日本ラミィキューブ協会”に直撃

まずは久しぶりの伝統ゲームコーナーから。これまでゲームマーケットでは、『中将棋』『クリベッジ』『ごいた』などといった、伝統的なゲームを紹介・体験できるコーナーが設置されてきた。今回はこの伝統ゲームコーナーにて『ラミィキューブ』が展示となった。

10卓以上用意されていた試遊ブースは29日、30日の両日とも午後になると満席に!

▲10月29日午後の様子。『ラミィキューブ』特設ブースの試遊卓は満席に!

発売70周年を迎えたイスラエル生まれの『ラミィキューブ』は、タイルを使ったアナログゲーム。ルールはシンプルだが、閃きと決断の速さが求められ、世界中で長らく愛され続けている傑作だ。古くからあるゲームだけに、プレイしたことがある人も多いだろう。

▲『ラミィキューブ』特設ブースの試遊卓では、協会のメンバーが丁寧にルールを説明していた

今回の特設ブースの責任者で、『ラミィキューブ』の普及に努める“日本ラミィキューブ協会”の内藤美樹さんに話を聞いてみた。

――まずは『ラミィキューブ』というゲームの説明を簡単にお願いします。

内藤:『ラミィキューブ』はイスラエルで生まれたゲームで、実際にご覧になった方は分かると思うのですが、ゲームに用いるタイルの構成はトランプのカードを二組合わせたようなセットになっています。今回、伝統ゲームとして紹介されているトルコの『オーケイ』というゲームがほぼ同じ牌を使うものなのですが、ここから派生したまったく違うルールをエフライム・ヘルツァノ氏が考案し、それを商品化したのが『ラミィキューブ』です。

▲ブース内には物販コーナーも。ジョーカーのタイルの顔をあしらったTシャツやマグカップなどが販売されていた

内藤:『ラミィキューブ』は世界中でプレイされているゲームですが、プレイヤーの年齢層が幅広くて、子どもから高齢者まで遊べます。さらに女性プレイヤーの割合が多く、強い人もたくさんいる。70代の女性が一線で活躍するゲームというのは、あまりないでしょう。世界選手権が3年に一度行われていて、ここでも女性は強く、決勝の卓が全員女性だったということもありました。

――販売70周年ということですが、これほど長く愛されているのはなぜでしょうか。

内藤:ルールが簡単で覚えやすく、1回のプレイが短いし、何度もやりたくなる中毒性のあるゲームですからね。日本でももっと普及してほしいです。プレイヤーが増えれば、埋もれていたもっと強い人が出てくるということもあるでしょうから。

――ボードゲームカフェやボードゲームスペースなどは、『ラミィキューブ』が置いてあるお店が多いと思います。

内藤:チェスや将棋のように絶対的に強い人が勝つ、というゲームではないですし、見た目も地味で、好き嫌いがあると思います。簡素なゲームかもしれませんが、子供のころから慣れ親しんでいると本人もだんだん強くなっていく手応えを感じるでしょうから、上達を楽しんでもらえる側面もありますね。ゲームと聞くと子どもの親御さんの中には眉をひそめる方もいらっしゃいますが、『ラミィキューブ』はその見た目や内容から、それほど抵抗なく受け入れてもらえるんですよ。「頭が良くなりそう」「計算が速くなりそう」と思ってくれるようで。

――“日本ラミィキューブ協会”は、ゲームの普及のためにどのような取り組みをしていますか。

内藤:『ラミィキューブ』は1980年にドイツ年間ゲーム大賞を取っていますが、日本であまり名を知る人がいませんでした。その当時から遊んでいた古参のプレイヤーのなかに、第1回世界大会でチャンピオンになった桑原正人(代表)がいます。彼が日本で『ラミィキューブ』を普及するために作ったのが“日本ラミィキューブ協会”。協会といっても任意団体で、定期的に例会をしたり、このような場で宣伝をしたりして、遊ぶ人を増やしていくための活動をしています。商業的な側面はなく、あくまでもゲームの楽しさ、面白さを知ってもらうのが活動の目的ですね。

――日本は第1回世界大会で優勝しているのですね。

内藤:世界的に見ても日本は非常に強く、これまで4回優勝しています。直近2大会の優勝者も日本人でした。前回の日本選手権では兵庫の小学生の女の子が優勝して、2018年イスラエルで行われた第10回世界大会の出場権もその子が得ました。しかし、彼女は世界選手権参加者の年齢規定を満たしていなかったため、日本選手権で準優勝だった沼尻浩平さんが代わって出場し、見事優勝したんです。

▲ブース内に展示されていた世界大会優勝のトロフィー。日本人はこれまで10回行われた世界大会で4回の優勝を飾っている

――次の世界大会はいつ行われるのでしょうか。

内藤:世界大会はこれまで10回行われていますが、コロナ禍の影響で2021年の大会が中止になってしまいました。第11回大会は来年(2023年)ポーランドで開催が決まっています。協会としても、また優勝を目指して選手を送り出したいと思っています。

――最近はボードゲーム、アナログゲームへの注目が高まっています。その中にあって、協会としてはどのように『ラミィキューブ』というゲームを普及させていきたいとお考えでしょうか。

内藤:協会としては、まず『ラミィキューブ』というゲームを知ってもらい、その中から好きになってくれる人、続けてプレイしてくれる人を探したいと思っています。「(『ラミィキューブ』を)知らなかったけど、やってみたら面白かった。またやりたい」と思ってくれる人を増やしていきたいですね。

▲日本ラミィキューブ協会の面々。左から、今回の取材に応じてもらった内藤美樹さん、第9回世界大会チャンピオンの齋藤耕造さん、第1回・第5回世界大会チャンピオンの桑原正人代表

(『ラミィキューブ』取材:アン

プロ麻雀リーグに参加しているMリーガーとの対戦も!
Mリーグ

『ラミィキューブ』コーナーのすぐ隣にあったのが、「Mリーグ」コーナーだ。今年で5年目を迎えるプロ麻雀リーグで、Abemaにおける有力コンテンツのひとつでもある。ブースでは各種グッズの物販だけでなく、Mリーガーと1局対戦できるコーナーも! プロと対戦できる貴重な機会とあって、早い時間から行列ができていた。

みんな待っていたこのコーナー!
TRPGギルド

テーブルトークRPGと体験できる「TRPGギルド」。感染拡大防止の観点からしばらく行われていなかったが、今回は久しぶりにマスクやシールド等の感染予防対策をしっかり行ったうえで実施された。2日目のみだが、こちらも終日席が埋まるほど盛況だった。


お題に応じたゲームを作ろう!
ゲームマーケットチャレンジ

「ゲームマーケットチャレンジ」とは運営からゲームデザイナーに向けた新しい提案で、お題に沿って作られたゲームを募集する、というもの。

たとえば今回は、

・内容物:カード(約90ミリ×60ミリ程度、32枚以下)のみ
・ルール説明:5分以内
・プレイ時間:15分以内
・プレイ人数:制限なし
・システム:協力ゲーム以外

となっており、このお題をクリアしたものが特設ブースに設置されていた。目的としては、「初めてくるようなお客様に向けて導線になるようにしたい」「ゲームデザイナーの挑戦の輪郭をもう少し明らかにしたい」ということのようで、上記のお題はゲームマーケット2023春(2023年5月13日~14日)まで募集している。次のお題も2023春にて発表予定。


デジタルゲームコーナー
「BitSummit」と「make.control.Japan4」

「BitSummit」とは2013年より毎年京都で開催されているコンピューターゲームにおけるインディーゲームイベント。個人制作および小規模制作のデジタルゲームがたくさん出展され、「国内のおもしろいインディーゲームを海外に向けて発信していく」ことを目的に開催されている。今年8月に開催された「BitSummit X-Roads」にてゲームマーケットが出展。今回はその逆で、ゲームマーケットにBitSummitが出展する形となった。アワード受賞タイトルを中心に10タイトル以上出展。

「make.control.Japan4」は独自に作ったコントローラーを使って遊ぶデジタルゲームを展示するイベントで、第2回もゲームマーケット2022春内で開催された。今回で4回目となる。黒板消し、大理石、空気入れ、障子、自分の頭、洗濯板……など、「これでゲームを操作するの?」というものばかりで、多くの親子連れが楽しんでいた。

そうだ、プロモカードになろう!?
『ラブレター』10周年記念ブース

カナイセイジ氏によって生み出され、全世界で大ヒットした『ラブレター』が今年で10周年を迎える……ということで、アークライトブースのすぐ近くにて「イラスト争奪戦」というスペースが設置されていた。

会場で行われた『ラブレター』プレイスペースにて3勝すると、「オリジナルプロモカード制作権」を得られる。プロモカードなので、ゲームバランスを無視した無茶な特殊効果でもオーケー。カード用にオリジナル似顔絵を描いてもらえるというからこれも嬉しい! 結果は後日アークライトゲームズの公式サイトにてアップ予定とのこと。


『マジック』に続き、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト自ら販売開始!
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』

今回はTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』ブースが出展。これまで日本での販売元はホビージャパンだったが、今年6月でその契約が終了。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社自ら日本国内販売を展開する形となった。2022年12月より国内で商品展開が再開する。


ミニチュアゲームといえばコレ!
『WAR HAMMER』

ゲームズワークショップのミニチュアゲーム『WAR HAMMER』が久しぶりの出展。以前はブース内てミニチュア塗装体験を行っていたが、今の状況だとまだそこまでは難しそう。なお12月3日には、東京・秋葉原に「Warhammer store & cafe Tokyo」がオープン予定。


お馴染み会場を使った謎解きゲーム!
『チのハロウィンパーティからの脱出』

こちらもお馴染み、ゲームマーケット会場で行われるリアル謎解きゲーム。今回は吸血鬼となって王位継承戦に参加して優勝を狙う。紛れ込んでいる聖騎士を阻止しつつ、「血」と「知」を賭けた闘いが始まる、というもの。


ツイートすると先着で1本もらえる!
コカ・コーラ

今回はコカ・コーラ ボトラーズジャパンが協賛。指定されたハッシュタグをつけてTwitterに投稿し、その画面を見せると先着でコカ・コーラがもらえる!というイベントを開催していた。

次回ゲームマーケットは……!?

次回のゲームマケットだが、例年だと毎年3月ごろゲームマーケット大阪が催されていたが、過去2回の開催中止(いずれも開催の半月前に中止が決定)もあって、残念ながら2023年は見合わせることになった。

ということで、次回は東京で開催されるゲームマーケットは2023年の春となる。5月13日~14日の2日間、東京ビッグサイトの西1・2ホールで開催される。ゲムマ大阪が中止なのは残念だが、次回ゲムマ2023春まで首を長くして待ちたい。