『アズール』は、2017年にミハエル・キースリンク氏によって制作されたボードゲーム。2018年の“ドイツ年間ゲーム大賞”と“ドイツゲーム大賞”を両方とも受賞しており、遊んだことがある人も多いだろう。今回は、そんな『アズール』のシステムや魅力について解説していく。
タイルアーティストとして宮殿の壁を美しく装飾しよう!
『アズール』は、ポルトガル国王の命に従い、エヴォラ宮殿の壁をタイルで美しく装飾することが目的となるゲーム。タイルを“壁エリア”に配置すると勝利点が獲得でき、ゲーム終了時に一番勝利点が多い人が勝利となる。
このゲームのざっくりとした流れは以下の通り。
1:テーブル中央にある“工房展示ボード”に4個ずつランダムでタイルを置く
2:各プレイヤーが順番に“工房展示ボード”からタイルを獲得し、“図案ライン”に同色を配置をする
3:“工房展示ボード”からすべてのタイルがなくなったら、“図案ライン”にあるタイルを“壁エリア”に配置させて勝利点を獲得する
1~3までを1ラウンドとし、誰かが“壁エリア”のいずれか横一列にタイルを5枚配置した時点でゲーム終了。条件を満たすともらえるボーナス点を加算し、勝利点が多い人が勝者となる。
華やかなコンポーネントと、シンプルながら奥深いゲーム性
まず本作を手に取ったときに目につくのが華やかなパッケージやコンポーネントではないだろうか。ゲームのテーマとなるタイルが描かれた外箱や色とりどりのタイルは思わず写真を撮りたくなるほどオシャレ。
もちろん、見た目だけではなくゲーム性もしっかり作られている。本作では、タイルを獲得して壁にたくさん配置をすると勝利点が得られるが、たくさんタイルをもらえばいいというわけではない。
まず、“工房展示ボード”の上にあるタイルはすべてもらえるわけではなく、1回の手番では1種類(1色)しかもらえない。
獲得したタイルはプレイヤーボードの“図案ライン”に移動させるのだが、ここでどこに配置をするかが重要となる。“図案ライン”の一番上の段は1個しか置けず、一番下の段は5個置くことが可能だ。
“図案ライン”を横一列埋めると、その種類のタイルを“壁エリア”へ配置させて勝利点を得られるが、埋まらなかった列は配置されたまま次のラウンドへと持ち越す形になる。
そのため、ラウンドが進んでいくと“タイルを獲得しなければならないが図案ラインに配置できない”という状況も起こりえる。その場合どうなるかというと、獲得したタイルをプレイヤーボードの下部分にある“床ライン”に置かなければならない。
ちなみに1つの“工房展示ボード”から獲得しなかったタイルは中央へと移動する。中央に集まったタイルも獲得できるため、まとめてもらって“図案ライン”を一気に埋められるメリットがある反面、多すぎて“床ライン”に置かざるを得ないことも。
つまり、プレイヤーは自分のほしいもの、他の人がほしいもの、残り手番数、中央に集まるタイルの個数……、といったさまざまな要素を加味してタイルを獲得していくこととなる。
こう書くと複雑そうな印象を持たれるかもしれないが、素直に自分がほしいタイルを獲得していくだけでも十分に楽しめるゲームなので、未プレイの方も安心してほしい。
また、タイルをつなげばつなぐほど勝利点が増えていく、というシステムも本作のおもしろさのひとつ。
前述のとおり、横一列埋まった“図案ライン”のタイルは、“壁エリア”へ配置できるのだが、“壁エリア”に配置する際にほかのタイルと縦横に隣接させると獲得できる勝利点が増える仕組みになっている。
“図案ライン”から“壁エリア”への移動は上から順番に処理をしていくため、1つのラウンドで縦列そろえて配置できれば、「1点、2点、3点、4点、5点!」とコンボのように勝利点を伸ばすプレイもできる。
本作にハマったらシリーズ作品も遊んでみよう!
細かい部分の説明は省いたが、ざっくりと『アズール』のシステムや魅力を紹介させていただいた。ラウンドごとに出てくるタイルのランダム性があり、慣れれば1プレイに1時間もかからないため、繰り返し遊びやすい点も優秀といえる。
ちなみに本作はシリーズ化されており、2022年7月現在、国内では4作目まで発売されている。2作目『アズール:シントラのステンドグラス』と3作目『アズール:サマーパビリオン』は、タイルの獲得の仕方が本作と同じだが、プレイヤーボードや得点の仕方が異なるため、また違ったおもしろさがある。
対して4作目『アズール:王妃の庭園』はゲームシステムを大きく変更し、よりパズル感が強くなった印象だが、『アズール』らしさもしっかり感じられるゲーム性となっているので、こちらもオススメだ。
なお、これらは拡張ではなく、独立した別のゲームとなっているので、『アズール』を所持していなくても遊ぶことができる。ぜひ本作を遊んで楽しいと感じたら、シリーズ作品にも手を出してみてほしい。
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