【ボドゲと子供と教育と】『どんぐりやま』で、協力しながら数の合成と分解を学ぶ

今年、妻がPTAのクラス委員になりまして、2年生の各クラスにボードゲームを置くこととなりました。決して職権乱用ではありません(笑)。

そして、いくつか選ばれたボードゲームのひとつが、このどんぐりやまです。

たし算と引き算を駆使しながら完成を目指す協力ゲームというのは、まさしく小学校に置くにふさわしいゲームとも思えます。

そういうことで、今回は『どんぐりやま』について考えていきたいと思います。

ゲームの概要

カードは「0」から「5」までのカードが各7枚ずつあります。「6」のカード7枚と「星」の書かれたカードは上級ルールの際に使う追加カードです。

このゲームでは、全員が1枚ずつカードを出していき、8段のピラミッドを完成させることを目指します。

手札として、各プレイヤーに5枚ずつカードを配ります。各プレイヤーは手番に1枚ずつカードを共通の場にプレイし、1枚手札を補充します。

山札がなくなった場合には、補充はできません。

カードをプレイする際には、今あるカードと隣接させて1段目に出すか、

隣接する2枚のカードの上に置かなくてはいけません。

その際、隣接させてカードを1段目に置く際には、8枚までしか置くことはできません。

また、隣接する2枚のカードの上に置く場合には、下の2枚のカードの「和」または「差」のカードしか置くことができません。

例えば、「4」と「1」のカードが隣接しておかれている場合、この上には、「和」である「5」、または、「差」である「3」のカードを置くことができます。

このようにして、全員で8段のピラミッドを完成させることができれば、全員の勝利となります。

数の合成と分解

まずは、このゲームでは「足し算」と「引き算」を使ってカードを出していくので、このような計算ができるようになってきた幼稚園生や1年生は、それだけで計算のスキルを培うことができるようになります。

しかし、このゲームでは「ただの計算問題」ではなく、「足し算」または「引き算」という点がポイントです。これにより、同じ隣接しているカードでも複数の選択肢を取ることが可能となる場面がでてきます。

このように選択肢が一つに定まらないことで、子供たちは数の合成と分解を自分のアタマの中でし続けることになります。複数の選択肢に気づき、それを自分の意思で決定する、とても大切なことですね。

そういえば、塾を経営していると、

「算数が好きになるゲームはありませんか?」と聞かれることも多いのですが、

結論としては

「ありません」(笑)

ただし、「数」や「計算」、「図形」と言ったものに対する接触回数が増えることで、自然と好きになっていくもののように思います。決して「得意にするために」、「やらせよう」などと思ってはいけません(笑)

真ん中の数と計画性

このゲームは協力ゲームですから、自分さえカードを出せればいいというわけにはいきません。

では、何を考えながらプレイしていけばよいのかということですが、実際にプレイしてみて処理に困るのは「0」のカードです。

「0」を置ける場所は、下のカードが同じ数字のときのみ(「差」がゼロになる)なので、「0」の上に置けるカードは「0」の隣に置かれたカードと同じ数字(「0」を足しても引いても同じ数字になるため)となり、何かと制限されます。

また、もっとも大きい数字である「5」(上級ルールでは「6」)も置くことができる場面が限定的になっていきます。反対に「2」「3」などの真ん中の数はとても使い勝手がよくなります

ということで、「0」や「5」を出すことが可能な場面では、積極的に出していくというのが基本的なセオリーにはなります。

しかし、それで十分かというとそういうわけにもいかず、常に先を見据えながら、各数字の残りの枚数を意識しながらプレイすることが求められます。

カードの引き運も小さくはないですが、低学年までの子供たちであれば、むしろ丁度良い計画性を必要とするゲームであると感じています。

さて、先ほどの「セオリー」ですが、小さな子供とやるときには、敢えてこの事実を告げず、自分たちで気づくまで待つというのも一つの考え方です。

合っていてもいなくても、「何でうまくいかなかったんだろう?」と考える習慣をつけることは、ボードゲーム以外の場面でも役立つことは言うまでもありません。

さらに、一番大きい数と一番小さい数、真ん中の数に注目するというのも、算数の問題を解くうえではもちろん、その後の統計資料などにおいても、とても大切な感覚になってきます。

こうして、知らず知らずのうちに感覚を培っていくことができるのもボードゲームのひとつの魅力である、と考えています。

最後に

私もこの記事を書くに際して、このゲームを2年生、4年生とやったのですが、まあうまくいきません。考えてみると、実際にプレイしたのは我が塾の教員でやった1回のみ……。

子供用のゲームと侮るなかれ。まだプレイしたことのない方は、ぜひ一度プレイしてみてはいかがでしょうか。