【先行プレイ】話題の『ダンジョン飯』ボードゲーム『モンスターイーター』を、原作&『モンスターメーカー』ファンがプレイしてみた!

皆さんは、アークライトさんから9月15日(木)に発売される『モンスターイーター ~ダンジョン飯 ボードゲーム~』をご存知でしょうか。

人気コミックがボードゲームに!『モンスターイーター ~ダンジョン飯 ボードゲーム~』が9月15日に発売

アニメ化も決定した人気コミック『ダンジョン飯』の世界を舞台に、あのカナイセイジさんがボードゲーム化したという、注目せざるをえない一作。しかも、そのシステムは名作『モンスターメーカー』をオマージュしたものになっているというではないですか!

左が『モンスターイーター』、右がアークライト版『モンスターメーカー』のパッケージです(アークライト版『モンスターメーカー』の画像はアークライトのサイトより)。パッケージも名作をオマージュしたものになっています。

筆者は学生時代、当時の仲間たちと旧版(翔企画版)の『モンスターメーカー』シリーズを飽きることなく毎日プレイしていました。それはもう、本当に毎日。特に初代『モンスターメーカー』のリピート率はバツグンでした。

当時のゲームはカードに加工などされておらず、スリーブに入れるという文化もなかったため、裸のカードを持ってプレイ。やりすぎてカードが擦り切れてしまい、長く手の内に持つことが多いカード(例えば強い戦士の“アルシャルク”や“ディアーネ”、モンスターを避ける“回り道”など)は、山札のいちばん上に出てくると印刷の擦り切れ具合で何のカードか分かるほどでした(これって昔のカードゲームあるあるですよね……?)。

そして、筆者は今回のゲームのテーマとなる『ダンジョン飯』の原作も大好きです。自分を助けるために犠牲になった妹を生き返らせるため、迷宮の奥を目指す主人公のライオスと仲間たち。架空のモンスターたちの生態と調理法、食べたときの食感や味などがこれでもかと描写されているのですが、ともすれば激重な展開になりかねないところをユーモラスな味付けがされており、不思議な読後感がある作品です。先だって最新刊の12巻が発売されましたが、TRIGGER制作によるテレビアニメ化が発表されており、こちらも期待大といったところ。

というわけで、『モンスターイーター』のプレイレポートのお話をいただいたとき、食い気味のふたつ返事でやらせもらうことにしたのでした(なお、このプレイレポートは原作コミックのネタバレもちょっとだけ含んでいますのでご注意ください)。

さっそく迷宮に潜入開始! 料理も作るよ!

今回のプレイ人数は自分含めふたり。さっそくセットアップしてみます。自分は主人公であるライオスパーティ、対戦相手はカブルーパーティを選択。それぞれ初期資源を受け取り、ゲームスタートです。

手札から踏破カードを出して迷宮内を進みます。

モンスターが行く手を遮った場合は、戦ってこれを倒さない限り進めません。モンスターはプレイヤーが手札から遭遇カードを出した際に出現するのですが、他のプレイヤーの迷宮だけでなく、自分の前に出現させることも可能。自分も、さっそく自らの迷宮にモンスター“人喰い植物”を出現させました。

パーティのキャラクターは、戦闘を行ったり、魔法を使ったり、特殊な能力を使ったりすると、行動不能の“消耗”という状態になります(カードをタップして状態を示します)。これを回復させるためには、回復魔法を使うか、もしくは食料を食べなければなりません。戦闘や探索を放棄して調達という行動をすれば食料を2個確保できますが、手番を消費してしまうため多用は避けたいところ。

食料はキャラクターによっては初期資源として所持していることもあるものの、何度か戦闘をするとすぐに足りなくなるでしょう。ダンジョン内で食料を手に入れるにはどうしたらいいか……。そう、これは『ダンジョン飯』のゲームなのです。倒したモンスターを食材にして、調理してしまえば良いのです!

つまり、食料は基本的にモンスターを倒し、調理して入手するわけです。『モンスターメーカー』のモンスターは行く手を遮るだけの完全なおジャマ要素で、他のプレイヤーに対して出すとヘイトをかったりしたものですが、『モンスターイーター』ではこれが食料に化ける! 決して嫌なだけの存在ではないのです。

一方で、自分の迷宮にモンスターを出現させることができるのは、このゲームの大きなポイントとなります。つまり、食料となるモンスターを自分のために出現させるということです。

戦闘は、参加するキャラクターを選んで戦力に相当するダイスを振り、モンスターの戦闘力以上の数値を出せば勝利。戦闘力8の“人喰い植物”は強いモンスターではありませんが、ここは確実を期してライオスとセンシのふたりでかかります。攻撃力は2D+5で、これは楽勝です。

モンスターを倒したら即調理! モンスターには調理の難度が決まっており、“人喰い植物”は6です。2Dを振ってこれ以上の数値が出れば調理は成功。モンスターのカードを裏返して料理の面にします。

調理がうまいキャラクターはこの判定に有利な修正をもらえます。ライオスのパーティはライオスが+2、センシが+3の修正値を持っており、その調理力は全パーティ中最高。というわけで簡単に調理成功です。“人喰い植物”を食材として、料理“人喰い植物のタルト”が完成しました。これは原作コミックの単行本1巻第2話でセンシが調理したものですね。

丁寧な原作再現に注目!

ちなみに、原作1巻第1話で調理する料理が“大サソリと歩き茸の水炊き”。この料理の材料となるモンスターは大サソリ、歩き茸、スライムなのですが、この3体とも『モンスターイーター』に登場します。そして、3体とも調理後の料理が“大サソリと歩き茸の水炊き”になるのです。細かいところまで丁寧に原作再現されているところも、本作の魅力ですね。

料理を作ることに成功すると、できたものに応じた食料トークンと勝利点を獲得します。強いモンスターは調理が難しくなりますが、報酬として得られる食料トークンの数や勝利点は高くなります。

こうして、モンスターをどんどん倒しながら調理しつつ、先に進んでいきます。迷宮は浅層と深層に分かれており、踏破率が100%を超えたプレイヤーはボスとの戦闘に突入。浅層のボス“キメラ・ファリン”を倒すと深層に進み、深層のボス“狂乱の魔術師シスル”を誰かが倒すとその時点でゲーム終了となります。

自分はちょこちょことモンスターを倒しつつ、ゆっくりと迷宮を進行。一方、対戦相手のパーティは急いで進み、先に浅層を踏破して“キメラ・ファリン”と激突。これを倒して深部に進みました。さらに対戦相手のプレイヤーはこちらの迷宮にモンスター“ワーグ(魔狼)”を配置。このモンスターは食材にならない厄介者です。“ワーグ”は原作4巻第23話に死体として登場していますが、調理されることはありませんでした。

調理できないモンスターに用はありません! 余計な戦闘で消耗するのを避けるため、とっておきのカードを出します。モンスターとの戦闘を回避する“逃走”です。これは『モンスターメーカー』の“回り道”と同じく、ノーリスクで戦闘を避けるというカード。本来なら手強いモンスターに用いたほうが良いのですが、対戦相手に対して踏破率で遅れていたこともあり、ここで使ってしまいます。

少し遅れながらも、自分のパーティも深部に進みます。しかし、先行する対戦相手はここでもう1体モンスターを送ってきました。なんと“レッドドラゴン”です! 戦闘力はボス以外のモンスターでは最高の24。そのぶん、倒して調理に成功すれば破格の報酬が得られるのですが……。原作第1話で旧ライオスパーティを崩壊に追い込み、第4巻で死闘を繰り広げた難敵が簡単に倒せるはずもありません。こいつは大ピンチだ!

最強最大の敵が現われた! 渾身の一撃を喰らえ!

最強の敵“レッドドラゴン”を前に、しばし考えます。果たして、いま戦って勝てる相手なのか。

戦闘に参加したキャラクターは消耗状態となり、手持ちの食料や魔法がないと、回復に時間がかかってしまいます。モンスターに負けてもキャラクターが死亡することはありませんが、モンスターはいなくなりませんし、消耗したキャラクターだらけになってしまうと回復に追われて身動きが取れなくなるでしょう。“逃走”はすでに使ってしまいました。

全力で戦うしかない。ハラを決めた自分は、チルチャックを除く4人で対峙。マルシルが攻撃魔法を使うことで、6D+8もの攻撃力を確保します。喰らえ渾身の一撃!

6個のダイスの目は……。

1、1、1、1、1、2

こんなのあり!? 確率どーなってんの! 思わず目を疑うダイス運。対戦相手ともども爆笑、まさかの展開に絶句……ですが、こんなこともあろうかと。

チルチャックを残しておいたのには理由があったのです。じつは、チルチャックはダイスを3個まで振り直す“リロール3”という特殊能力を持っています。この能力を使い、1の目3つのダイスを振り直します。今度こそ!

振り直したダイスの目は2、5、6。他のダイスと修正値を合わせた攻撃力は25。やった! レッドドラゴンを倒したぞ! 原作のライオスは片足を失いながらも辛うじて勝利を収めるのですが、その戦いに劣らない激闘だったよ……。

戦いは終わった! ウキウキでさっそく調理です。ちなみに、調理力は消耗状態になっていても発揮できます。そんなわけで“ローストレッドドラゴン”が完成。勝利点8点、食料トークン5個獲得の大物です!

……と、ほっと一息ついたのも束の間。対戦相手は、さらにモンスターを送り込んできました。戦闘力20のコカトリスです。大激戦のあとで余力が残っているわけもなく、戦闘や探索をしないで回復を行う“調達”アクションを何度も強いられてしまいます。これはキツイ。

こちらがもたついているうちに、対戦相手は深層の最深部に悠々と到達。迷宮の大ボス“狂乱の魔術師シスル”との戦闘に突入します。そして、全力攻撃によってシスルを仕留めました! この時点でゲームは終了。得点計算に入ります。

ドラゴンを倒したし、勝った! ……と、思うじゃん?

このゲームは、得点になる要素がいくつかあります。

・モンスターを倒して作った料理のカード
・道中で拾ったアイテム(宝物)のカード
・倒したボスモンスターカード(終了時に2Dもしくは3Dを振って決定)

などで、カード5枚分の合計点で勝敗を決します。上記の要素を6枚以上獲得している場合、高いほうから5枚の得点の合計となるわけです。

自分は5体のモンスターの調理のぶんの得点だけで19点あったのですが、深部の踏破率が低かったため減点があり、最終の得点は11点。対戦相手は、料理こそ1体ぶんだけだったものの、ボスモンスター2体の討伐と、迷宮の途中で拾った宝箱や財宝などを合計して……なんと23点!

“レッドドラゴン”を倒した段階では勝利を確信していたのですが、結果は完敗でした。対戦相手によると、カブルーパーティは料理の能力が低いため、強いモンスターを倒しても調理が失敗する可能性があり、得点しにくい。それなら、とにかく急いで迷宮を進み、ボスを2体とも倒してそちらで得点を稼ぐ方針だったとのこと。完全に作戦負けでした……。

いかがだったでしょうか。思いもかけずドラマチックな展開となり、非常に楽しめました。これはオススメできるッ……! 興味がある方、『ダンジョン飯』ファンの方、そして『モンスターメーカー』が好きな方にも、ぜひプレイしてもらいたいゲームです。

各パーティの戦力を見てみよう!

ここで、『モンスターイーター』で選べる5つのパーティを見てみましょう。すべて原作に登場するキャラクターたちで、それぞれのパーティメンバーは固定ですが、ひとりずつドラフトしながら編制していくという選択ルールもあります(主人公の妹ファリンもカード化されていますが、どのパーティにも属していないため、この選択ルール使用時にしか登場しません)。

もとのパーティはどれもそれなりに戦っていけるバランスで編制されているものの、ドラフトするとクセの強い尖ったパーティができることもあるので、少しゲームに慣れてきてから試してみるといいでしょう。

【各パーティ戦力診断】
※難度評価は独自の基準によるものです。

・ライオスパーティ

『ダンジョン飯』の主人公、モンスター大好きライオスを中心とするパーティ。忍者のイヅツミが加わっているため、単行本6巻以降の編成となっている。

【特性】すべてのクラスが揃い、どんな状況でも対応できる万能型のパーティ。調理力の合計値が+5あり、難度が高い料理でも臆さず挑戦できるという大きな利点がある。
【難度】

・カブルーパーティ

若手冒険者グループ。リーダーのカブルーは他の冒険者とは違った目的でダンジョンに潜っているらしく、ライオスのことを気にしている。

【特性】初期資源を豊富に持ち、戦力のバランスも良いが、飛びぬけて優秀なキャラクターはいない。料理の能力を持つメンバーがいないことが欠点。
【難度】

・タンスパーティ

ダンジョンの調査を行なう学者のタンス夫妻が率いるパーティ。島主から依頼を受けており、豊富な資金力で護衛を集めている。

【特性】魔術師ふたりを中心とするパーティ。戦闘では物理攻撃力が高いナマリを軸に、魔法での支援をうまく絡めていきたいところ。
【難度】

・シュローパーティ

ライオスの仲間だったシュローが同郷の仲間たちを集め、ファリン救出のため結成したパーティ。

【特性】物理攻撃力が高い戦士がふたりとトラップに対応できる忍者がふたりずついる。リロールの能力があるメンバーをふたり要する唯一のパーティでもある。
【難度】

・カナリア隊

西方のエルフが遣わしたダンジョン制圧部隊。エルフを中心に編制されており、強力な魔術を操る。

【特性】6人中5人が魔術を使うパーティ。瞬間的な火力の期待値は最高クラス。ただし魔力は回復が難しいため、計画的に使っていかないと魔力切れでジリ貧になってしまう恐れがある。
【難度】

(おまけ)旧ライオスパーティ

ダンジョン最深部でドラゴンに挑戦したパーティ。戦いに敗れてファリンはドラゴンに喰われ、ナマリとシュローがパーティを離れてしまう。

【特性】強力な戦士と魔術師、鍵師で構成されたパーティ。センシが未加入のため調理力こそ劣るものの、戦闘力は非常に高い。
【難度】


最後に、今なお色褪せぬ名作『モンスターメーカー』をデザインされた故・鈴木銀一郎氏に、日本のボードゲームファン、ウォーゲームファンのひとりとして最大の敬意と哀悼の意を表させていただきます。ヒゲの大佐、ありがとうございました!

【関連リンクURL】
▼商品ページ
https://arclightgames.jp/product/682mtet/
▼アークライトゲームズ公式サイト
https://arclightgames.jp/
▼株式会社アークライト
http://www.arclight.co.jp/

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©1988 SHOWKIKAKU
©2004 SUZUKI GINICHIRO/KUGATSU-HIME
©2017 SUZUKI GINICHIRO/KUGATSU-HIME , ©2017 Arclight, Inc.
©2022 SUZUKI GINICHIRO/KUGATSU-HIME , ©2022 カナイ製作所 , ©2022 Arclight, Inc. ©Ryoko Kui 2022